6月13日(月)

●今日は洗濯日和。6月ネット句会の入賞発表が正午を回ってしまった。金賞は桑本栄太郎さんの句だった。栄太郎さんの話では、毎日の放射線治療が終わって久しぶりに遠出をしたとのこと。やはり、そういう背景があって、いい句は
できるというもの。技巧だけではない。
●元がダスキンに家の掃除を頼んでくれた。お父さんの世話が大変で掃除どころではない、と言っておいたからだろうけど。若い時は結構きれいに掃除はしていたが、やはり老人、徹底できない。

6月12日(日)

●6月月例ネット句会。
投句はこれまで作っていた三句を出した。
麦秋の魚焼きけり塩光り 正子
豆腐屋のラッパ響けり走り梅雨 正子
●「髙橋正子の俳句日記」を書き初め、今日が5000日になる。
●句美子がいつものように、午後来て、3年ぶりに来た息子の元と孫の元希が揃うことになった。元は信之先生の「愛媛大学名誉教授証」を作ってもらったので、持ってきたとのこと。身分証明書のようなものがないので、なにかのときに面倒な事があったらしい。図書館に入館できるくらいのメリットぐらいらしいが、無いよりましという程度のもの。
●元と元希は来るなり、元希用に買っていた本を見つけて、紙袋に入れていたのだが、すぐわかったらしく、もらって帰ると言って二人で選んだ。『Gruffalo』シリーズも要らないのかと思っていると要るとのこと。細かい意味はわからなくても、絵本を見ながらCDの音読と歌を聞くと面白いらしい。たしかに音読には、私もにんまりと笑ってしまった。もう図書券にした方がいいのではと思うが、そうでもないらしい。この辺りは、微妙だ。句美子がいうのに、お兄ちゃんもお母さんに甘えてるからだという。こちらも孫に本を選んぶのは結構おもしろいから、それでもいいが。
●信之先生は、初めて元希とオセロを楽しんだ。句美子がいうには、元希が楽勝だったらしい。忙しい一日だった。

■6月月例ネット句会/入賞発表

■6月月例ネット句会/入賞発表
■2022年6月月例ネット句会■
■入賞発表/2022年6月13日

【金賞】
★連山を映し色濃き青田かな/桑本栄太郎
田植からそれほど経っていないのに苗はすくすく育ち青々としてきた。まだ田面に水が見えて堂々と連山が映っている。日本の原風景と言える景色が素晴らしい。(髙橋正子)

【銀賞/2句】
★石鎚に向き後ずさりつつ田植え/柳原美知子
四国の霊峰石鎚山が見える田での田植。人は石鎚が見える方を正面とするのだろうか。手植えするとき、石鎚を見て後ずさりしながら植えていく。石鎚を朝夕仰ぐ農家の人たちならではの田植の光景。(髙橋正子)

★夏の風切りしばかりの前髪に/多田有花
「前髪に」が涼しそうで、可愛さがある。前髪を切ると額に当たる風が涼しくて、夏の風が特にさわやかに感じられる。(髙橋正子)

【銅賞/3句】
★風鈴や明けの静けさ深まりて/弓削和人
「明けの静けさ深まりて」は、実感が強い。明けの深く静かな一時を、「風鈴」と取り合わせることで、見事に句に詠んでいる。初心者とは思えない詠みぶり。(髙橋正子)

★露涼し草履に濡れる指の先/吉田 晃
朝早く、靴でもサンダルでもなく、草履で畦道や庭の草の生えているような所を歩くと、指の先が知らず露に濡れていることがある。それも涼しいことなのである。(髙橋正子)

★夏の夕新しい道を歩いてみる/髙橋句美子
夏の夕は、日が永くなって涼しい。たとえ新しい、見知らぬ道を歩いたとしても、暗くなってしまうことはないだろう。新しい道を歩く少しの冒険心と楽しみを夏の夕がもたらしてくれる。(髙橋正子)

【髙橋信之特選/7句】
★連山を映し色濃き青田かな/桑本栄太郎
景が良く見える。田植えを終えたばかりの青田の水に新緑の連山が映って、青が一層濃くなった初夏らしい一句。(廣田洋一)

★風鈴や明けの静けさ深まりて/弓削和人
夏めいてきた日。窓辺の風鈴。ちりんちりんという音が静けさを際立たせて静けさの深まりを感じさせてくれる。そんな夏の日の明けのひとときが垣間見えます。 (高橋秀之)

★石鎚に向き後ずさりつつ田植え/柳原美知子
これは手植えの光景だなとおもいつつ、石鎚山からあとずさりするというのが、面白いなと思います。 (祝恵子)

★人集い花壇に植える夏の花/多田有花
夏の花はみな色彩豊かで、見ているだけで元気がでそうです。人々が集まって、賑やかに、それらの花を植えていく光景はほほえましく、活気に満ちていて、コロナ禍を吹き飛ばしてくれるようです。 (柳原美知子)

★露涼し草履に濡れる指の先/吉田 晃
★夕立の雨雲流れ来甥に会う/髙橋句美子
★麦秋の魚焼きけり塩光り/高橋正子

【髙橋正子特選/7句】
★植え終えて山田蛙の声に暮れ/吉田 晃
山田ということは、山際の田あるいは機械も入れないような棚田でしょうか。一日がかりで苗を植え、長い一日がようやく暮れ、田は蛙の声に溢れています。仕事を終えた充実感と安堵感が伝わってきます。 (多田有花)

★夏の富士友と並びの座席から/高橋秀之
新幹線の座席でしょうか。気の置けない友人と並んで一緒に車窓から眺める清々しく美しい富士山。思い出深い楽しい旅が想像されます。 (柳原美知子)

★夏の夕新しい道を歩いてみる/髙橋句美子
夏の夕暮れ夕日が沈む太陽に向かって新しい事に向かって進む作者の力強い決心のあふれる信念が感じられます。素敵な力強い句です。(小口泰與)

★連山を映し色濃き青田かな/桑本栄太郎
★風鈴や明けの静けさ深まりて/弓削和人
★石鎚に向き後ずさりつつ田植え/柳原美知子
★夏の風切りしばかりの前髪に/多田有花

【入選/16句】
★また晴れし十三回忌青葉風/川名ますみ
ご両親の忌日でしょうか。大切な日にいつも晴れた大空を仰げるのは嬉しいですね。青葉風に吹かれて、在りし日の良い思い出が蘇られたことでしょう。 (柳原美知子)

★水彩の青の刷られしサンドレス/川名ますみ
夏らしい爽やかな句です。 (髙橋句美子)

★向日葵よ天地を結ぶように咲け/弓削和人
この悲惨なウクライナ戦争のさなかです。有名な映画「ひまわり」はウクライナの向日葵畑を撮影したものと云われ、向日葵は今やウクライナを支援する為の象徴の花といわれて居ります。その向日葵に平和を託し暗喩として感じられます。 (桑本栄太郎)

★枇杷熟れし空より遮断機下り始む/吉田 晃
遮断機によって、青空に映える枇杷の実の熟した色がクローズアップされ、季節が実感されます。 (柳原美知子)

★吊橋の揺らぐ白波岩燕/小口泰與
★河骨や風の中なる鈴の音よ/小口泰與
★命日の夕べざくざくきゃべつ切る/川名ますみ
★背伸びして灯りを消して夏布団/高橋秀之
★生まれたよ朝の楽しみ子のメダカ/祝 恵子
★青空に紅く色付く実梅かな/廣田洋一

★鵜は潜りかがり火囃す鵜飼かな/廣田洋一
★星空の果てなきしじま蛍の火/柳原美知子
★遠雷や出発前の旅の宿/西村友宏
★バス停に連なる傘と雨蛙/西村友宏
★梅雨入りの窓辺が陰りひんやりと/髙橋句美子
★ほととぎす鳴く繰り返し繰り返し/多田有花
■選者詠/髙橋信之
★夏めくと畳の上に座すことも
我が家は居間がフローリングになっているが、くつろぎの場はやはり畳がいい。夏の暑さを感じるようになり、汗ばんだ体が畳に触れると、サラッとして気持ちがいい。フローリングでは味わえない感触だ。湿度の多い日本の夏は畳がいい。畳に座して寛いでおられる先生の元気なお姿を想像する。」畳に座り憩っておられる先生の元気なお姿を想像する。(吉田晃)

★梅雨入のネット句会の畳の間
★夏兆すことを喜び子供たち

■選者詠/髙橋正子
★麦秋の魚焼きけり塩光り
麦が熟す初夏、季節の魚を塩焼きに。焼き上がりは、振られた塩の一粒ずつが光り、いっそう美味しそうです。味、匂い、光、自然とともにある生活が実感をもって伝わります。 (川名ますみ)

★力あるかぎり羽ばたき揚雲雀
★豆腐屋のラッパ響けり走り梅雨

■互選高点句
●最高点(同点2句/5点)
★連山を映し色濃き青田かな/桑本栄太郎
★風鈴や明けの静けさ深まりて/弓削和人
集計:髙橋正子

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今日の秀句/6月11日~6月20日

6月20日(2句)
★乗る波を待ちたる浜や南吹く/廣田洋一
湘南の海だろうが、サーファーが乗る波を待っている。折しも南風が吹いて、波乗りができる好機。夏を待つ気持ちが騒ぐ。(髙橋正子)
  吉野・吉水神社
★ささゆりやただかりそめの宿に咲く/多田有花
吉野の宿に泊まった。宿の山ぎわとでもいうようなところにささゆりが咲いていたのだろう。ささゆりの清楚さとかりそめと思わせるような宿の雰囲気がよく溶け合って印象深い旅の句となっている。(髙橋正子)
6月19日(2句)
  金峰山寺蔵王堂
★蔵王堂へさみだれ傘を借りてゆく/多田有花
「蔵王堂へ」もさることながら、「さみだれ傘を借りてゆく」が魅力。それが詩になっている。(髙橋正子)
★夏木立仰げば空に天守あり/弓削和人
5-7-5の定型をしっかり捉えた句で無理がない。目に青が染みる夏木立を仰ぐと、空に天守が高々と聳えている。晴れ晴れとして天守を見上げる気持ちが爽やかでよい。(髙橋正子)
6月18日(1句)
★さざ波の植田や木木の影揺るる/小口泰與
早苗もしっかり根付き、植田にさざ波立つようになった。周りの木々の影も水に揺れて、本格的な夏へ向けて、稲の生長がたのしみである。植田の心安らぐ風景がいい。(髙橋正子)
6月17日(2句)
★客散れば静かや梅雨の吉野駅/多田有花
桜の名所の吉野。梅雨となれば、桜は葉が青々と茂り、全山の青葉が目に染む。そんな吉野駅は客が降りて散って行けば、実に静かな駅となる。桜の季節と対比される梅雨の吉野駅の静けさに思わぬ発見がある。(髙橋正子)
★蜘蛛の囲の明日は晴れるや紡ぎ居り/桑本栄太郎
蜘蛛が網を張るのは晴れの日に限られるのかどうか知らないが、網を張っている蜘蛛に出くわすと、明日はきっと晴れると思える。小動物の動きで天気を見るのが面白い。(髙橋正子)
6月16日(1句)
★アマリリス雲梯に寄り人を待つ/弓削和人
アマリリスが明るく、雲梯に寄りかかって人を待つことがどこか楽しい。情景が若々しい句。(髙橋正子)
6月15日(1句)
★雨粒を残す南瓜の花のあり/小口泰與
南瓜の黄色い花は土に近く咲いていることが多く、雨粒が残っているのがすがすがしい。(髙橋正子)
6月14日(1句)
★瓶に入れ梅の実赤く漬けらるる/桑本栄太郎
瓶に漬けられた梅が漬けられたとは言え、生きている。赤い丸い実がかわいい。(髙橋正子)
6月13日(1句)
★卯波寄すふるさと遠き日本海/桑本栄太郎
栄太郎さんのふるさとは日本海の海鳴りが聞こえるところ。今ふるさとは卯波が白く寄せているだろうとの想像。「ふるさと遠き」に故郷への変わらぬ思いがある。(髙橋正子)
6月12日(1句)
★蜜豆や庭の木木の太りける/小口泰與
蜜豆を食べながら、庭の木々をじっくり見ると、太っているのに気づいた。毎日見ている庭木であるが、夏を迎えていっそう茂り、幹回りも太ったようだ。緑陰が家内までとどいているような、すずやかな景色。(髙橋正子)
6月11日(1句)
★走り梅雨山の彼方は照り初めし/弓削和人
走り梅雨らしい雨の降り方。こちらは雨が降っているが、山の彼方は日が差し始めている。走り梅雨の捉え方に新しさがある。(髙橋正子)

6月11日~6月20日

6月20日(5名)
小口泰與
放置田の隣植田の青青と★★★
かかずらう日日の赤城の夕立かな★★★
緋目高の腹をくねらせ水面へと★★★
廣田洋一
旧友と酒酌み交はす梅雨最中★★★
鳥の声竹林抜ける南風の中★★★
乗る波を待ちたる浜や南吹く★★★★
湘南の海だろうが、サーファーが乗る波を待っている。折しも南風が吹いて、波乗りができる好機。夏を待つ気持ちが騒ぐ。(髙橋正子)
桑本栄太郎
更の花咲いて地に落つ苔の上(原句)
「地に落つ」と「苔の上」が意味の上で重複しています。
沙羅咲くや落ちたる花の苔の上★★★★(正子添削)
曇りても溽暑の夕となりにけり★★★
妻帰る日の支度せり豆ご飯★★★
多田有花
<吉野・吉水神社三句>
梅雨に入る後醍醐天皇玉座かな★★★
ささゆりやただかりそめの宿に咲く★★★★
吉野の宿に泊まった。宿の山ぎわとでもいうようなところにささゆりが咲いていたのだろう。ささゆりの清楚さとかりそめと思わせるような宿の雰囲気がよく溶け合って印象ふかい旅の句となっている。(髙橋正子)
梅雨の水集めてししおどし躍る★★★★
弓削和人
花びらの落ちつつ四葩暮れゆきぬ(原句)
意味としては、「落ちる」より、「散る」に動きが出ると思います。
花びらの散りつつ四葩暮れゆきぬ★★★★(正子添削)
億年の夏を生き継ぐカブトエビ★★★
咲き騒めく花菜のなかや波斯菊★★★
6月19日(5名)
小口泰與
優曇華や三代続く店稀に★★★
雷鳴や湖傾けて魚ライズ★★★
笹薮を分け入り忽と滝飛沫★★★
廣田洋一
万緑や水湧き出でる法の池★★★★
苺乗せショートケーキのあでやかに★★★
波静かな海を眺めて苺摘む★★★
桑本栄太郎
曇り居て日差しなけれど溽暑かな★★★
生垣の山梔子匂う雨催い★★★
父の日の独り夕餉や妻の留守★★★
多田有花
<金峰山寺蔵王堂二句>
蔵王堂へさみだれ傘を借りてゆく★★★★
「蔵王堂へ」もさることながら、「さみだれ傘を借りてゆく」が魅力。それが詩になっている。(髙橋正子)
蔵王堂閉じられ梅雨入の風激し★★★
梅雨入りの吉野で食べるペカンパイ★★★
弓削和人
夏木立仰げば空に天守あり★★★★
5-7-5の定型をしっかり捉えた句で無理がない。目に青が染みる夏木立を仰ぐと、空に天守が高々と聳えている。晴れ晴れとして天守を見上げる気持ちが爽やかでよい。(髙橋正子)
夏草の種おろし地へ選らず咲く★★★
陸橋の夏の向こうや紀伊の海(原句)
「陸橋の夏」があいまいです。(髙橋正子)
陸橋の向こうや紀伊の夏の海★★★★(正子添削)
6月18日(5名)
小口泰與
行人の暑に抗するや赤信号★★★
さざ波の植田や木木の影揺るる★★★★
早苗もしっかり根付き、植田にさざ波立つようになった。周りの木々の影も水に揺れて、本格的な夏へ向けて、稲の生長がたのしみである。植田の心安らぐ風景がいい。(髙橋正子)
かかずらう滝の飛沫や一張羅★★★
廣田洋一
新四葩長谷の祈りと名札立て★★★
古き家の取り壊されて茄子の花★★★
小さき実を見下ろしながら茄子の花★★★
桑本栄太郎
目覚めても二度寝となりぬ夏の朝★★★
心太をすする昼餉や妻の留守★★★★
曇りても雲の茜や梅雨夕焼け★★★
多田有花
吉野に入るまず紫陽花に迎えられ★★★★
さみだれの吉野の寺宝めぐりかな★★★
<金峯山寺・銅(かね)鳥居>
銅鳥居さみだれ雲を背景に★★★
弓削和人
蜘蛛の子のうてなに乗るや水たいら★★★
小海老草夏の夜風に苞揺らし★★★
遠山に朱を流したる夕立雲★★★
6月17日(5名)
小口泰與
山女釣岩の間合を垣間見し★★★★
空蝉や日日疎かに過ごしける★★★
夕さりの庭の山梔子錆にけり★★★
多田有花
<観光列車・青の交響曲>
うきうきと仲夏の列車を探検す★★★
大都会うしろに青葉の懐へ★★★
客散れば静かや梅雨の吉野駅★★★★
廣田洋一
青き田に我が影写り目高散る★★★★
苔むせる枝の茂りや大銀杏★★★
供花のごと墓前に青き四葩かな★★★
桑本栄太郎
目覚めいて又眠ろうか梅雨激し★★★
蜘蛛の囲の明日は晴れるや紡ぎ居り★★★★
曇りても雲の茜や梅雨夕焼け★★★
弓削和人
紫陽花の房や淀みに留め居たり★★★
夏の虫灯りへ這いてすすみけり★★★
日の高き路に毛虫の何処ゆく(原句)
日の高き路に毛虫の何処へゆく★★★★(正子添削)
6月16日(5名)
小口泰與
一合の米もなき日や夾竹桃★★★
今朝咲きし雨後の山梔子香り立つ★★★★
押しに押す川の流れや五月晴★★★
廣田洋一
青き瓶故郷の味や冷し酒(原句)
「青き瓶/故郷の味や/冷し酒」のような切れ方は、避けてください。(髙橋正子)
青き瓶に故郷の味冷やし酒★★★★(正子添削)
白き手にグラスを持ちて冷し酒★★★
辛口の銘柄選び冷し酒★★★
多田有花
梅雨入りの吉野の里に寛げる★★★
青葉する吉野へBlue Symphony★★★
六月のシートに深く身をあずけ★★★★
桑本栄太郎
稜線のくつきり青く梅雨の山★★★★
濯ぎものを曇りの空に梅雨寒し★★★
曇りつつ梅雨夕焼の嶺の奥★★★
弓削和人
アマリリス雲梯に寄り人を待つ★★★★
アマリリスが明るく、雲梯に寄りかかって人を待つことがどこか楽しい。情景が若々しい句。(髙橋正子)
天牛のつかまる草や揺れて居り★★★
紫陽花のつぼみを映す田水かな★★★★
6月15日(3名)
小口泰與
投網の輪瀬尻の鮎を包み込み★★★
週一の花剪る今朝は薔薇を剪り★★★
雨粒を残す南瓜の花のあり★★★★
南瓜の黄色い花は土に近く咲いていることが多く、雨粒が残っているのがすがすがしい。(髙橋正子)
桑本栄太郎
つる薔薇の赤き門扉や雨の朝★★★
みみず出でくねる鋪道や梅雨の冷え★★★
稜線のくつきり青く梅雨の山★★★★
弓削和人
揚羽蝶屋根を越えむと舞い立ちぬ★★★
松かさを水面に浮かべ夏の夕★★★
明烏の鳴きてや町の動き出づ★★★
6月14日(4名)
小口泰與
短夜や利根へ翔け行く禽の数★★★
乾杯のビールを飲みておくびして★★★
おりおりに瀬尻瀬頭山女釣★★★
廣田洋一
一段毎に色変はりたる紫陽花かな★★★
取敢へず目高放てる硝子鉢★★★
南風吹く子らの集へる丸太小屋★★★
桑本栄太郎
梅雨入りや木々の枝揺るる窓の雨★★★
瓶に入れ梅の実赤く漬けらるる★★★★
瓶に漬けられた梅が漬けられたとは言え、生きている。赤い丸い実がかわいい。(髙橋正子)
小糠雨降りて暗きや梅雨寒し★★★
弓削和人
たまねぎの軒端に吊りて夜更けたり(原句)
もとの句は、主語がよじれています。「たまねぎの(たまねぎが)…吊りて」はおかしいわけです。「たまねぎの(たまねぎが)…吊られ」にします。
あるいは、「たまねぎを…吊りて」とします。この場合の主語は、書き表していませんが、現代俳句では作者となります。
たまねぎの軒端に吊られ夜更けたり(正子添削①)
たまねぎを軒端に吊りて夜更けたり★★★★(正子添削②)
②のほうが、能動的で、意味が鮮明です。
たまねぎを剥くや在所の汁の味
剣道の掛け声聞こゆ夏の坂
6月13日(4名)
小口泰與
見上げたる吾の眼間えごの花★★★
百年の人生今や柿の花★★★
杜若手漕ぎボートの二人連★★★
廣田洋一
葉の陰に三つ寄り添う実梅かな★★★
七変化長谷の祈りと名付けられ★★★
紫陽花に目を細めたる和み地蔵★★★
桑本栄太郎
大悟とう先は自死とも桜桃忌★★★
ブランドのエリザベスとやメロン着く★★★
卯波寄すふるさと遠き日本海★★★★
弓削和人
夏陰の庭へ走れリ雀二羽★★★
夏の夕駅から人のささ走り★★★
風吹くや露台の服を取り込みて★★★★

6月12日(4名)
小口泰與
杣道の敦盛草へ夕日かな★★★
蜜豆や庭の木木の太りける★★★★
いちはつの和紙の如くや雨後の朝★★★
廣田洋一
雨上がりしっとり並ぶ紫陽花かな★★★
役終へし鵜を乗せて去る鵜飼舟★★★
網持ちて目高追ひたる兄いもと★★★
桑本栄太郎
朝からの風のおだまく青嵐★★★
犬を抱き媼散歩や朝涼し★★★
梔子の花のうそぶく朱色かな★★★
弓削和人
陽炎や知らぬ路地へと誘われ★★★
炎昼に昼寝を欲りし勤めかな★★★★
うぶすなの鮎は早瀬を好みけり★★★
6月11日(4名)
小口泰與
ボート降る湖畔の木木の夜涼かな(原句)
ボートに降る湖畔の木々の夜涼かな★★★★(正子添削)
青嵐池の魚の泳ぎにて★★★
明早し利根へ向かう禽の群★★★
廣田洋一
黒薔薇の名前を持ちて濃紫★★★
梅雨晴間雫零せる松ぼくり★★★★
倒れしも上を向きたる百合の花★★★
桑本栄太郎
庭先の濃あじさい見て通る★★★
梔子の花の香りや雨催い★★★
立葵咲いて認可の保育園★★★
弓削和人
夏の虫花ちるかげに鳴りをひそめ★★★
走り梅雨山の彼方は照り初めし★★★★
火取虫つらき闇夜の耐え難し★★★