6月12日(日)
■6月月例ネット句会/入賞発表
■2022年6月月例ネット句会■
■入賞発表/2022年6月13日
【金賞】
★連山を映し色濃き青田かな/桑本栄太郎
田植からそれほど経っていないのに苗はすくすく育ち青々としてきた。まだ田面に水が見えて堂々と連山が映っている。日本の原風景と言える景色が素晴らしい。(髙橋正子)
【銀賞/2句】
★石鎚に向き後ずさりつつ田植え/柳原美知子
四国の霊峰石鎚山が見える田での田植。人は石鎚が見える方を正面とするのだろうか。手植えするとき、石鎚を見て後ずさりしながら植えていく。石鎚を朝夕仰ぐ農家の人たちならではの田植の光景。(髙橋正子)
★夏の風切りしばかりの前髪に/多田有花
「前髪に」が涼しそうで、可愛さがある。前髪を切ると額に当たる風が涼しくて、夏の風が特にさわやかに感じられる。(髙橋正子)
【銅賞/3句】
★風鈴や明けの静けさ深まりて/弓削和人
「明けの静けさ深まりて」は、実感が強い。明けの深く静かな一時を、「風鈴」と取り合わせることで、見事に句に詠んでいる。初心者とは思えない詠みぶり。(髙橋正子)
★露涼し草履に濡れる指の先/吉田 晃
朝早く、靴でもサンダルでもなく、草履で畦道や庭の草の生えているような所を歩くと、指の先が知らず露に濡れていることがある。それも涼しいことなのである。(髙橋正子)
★夏の夕新しい道を歩いてみる/髙橋句美子
夏の夕は、日が永くなって涼しい。たとえ新しい、見知らぬ道を歩いたとしても、暗くなってしまうことはないだろう。新しい道を歩く少しの冒険心と楽しみを夏の夕がもたらしてくれる。(髙橋正子)
★連山を映し色濃き青田かな/桑本栄太郎
景が良く見える。田植えを終えたばかりの青田の水に新緑の連山が映って、青が一層濃くなった初夏らしい一句。(廣田洋一)
★風鈴や明けの静けさ深まりて/弓削和人
夏めいてきた日。窓辺の風鈴。ちりんちりんという音が静けさを際立たせて静けさの深まりを感じさせてくれる。そんな夏の日の明けのひとときが垣間見えます。 (高橋秀之)
★石鎚に向き後ずさりつつ田植え/柳原美知子
これは手植えの光景だなとおもいつつ、石鎚山からあとずさりするというのが、面白いなと思います。 (祝恵子)
★人集い花壇に植える夏の花/多田有花
夏の花はみな色彩豊かで、見ているだけで元気がでそうです。人々が集まって、賑やかに、それらの花を植えていく光景はほほえましく、活気に満ちていて、コロナ禍を吹き飛ばしてくれるようです。 (柳原美知子)
★露涼し草履に濡れる指の先/吉田 晃
★夕立の雨雲流れ来甥に会う/髙橋句美子
★麦秋の魚焼きけり塩光り/高橋正子
【髙橋正子特選/7句】
★植え終えて山田蛙の声に暮れ/吉田 晃
山田ということは、山際の田あるいは機械も入れないような棚田でしょうか。一日がかりで苗を植え、長い一日がようやく暮れ、田は蛙の声に溢れています。仕事を終えた充実感と安堵感が伝わってきます。 (多田有花)
★夏の富士友と並びの座席から/高橋秀之
新幹線の座席でしょうか。気の置けない友人と並んで一緒に車窓から眺める清々しく美しい富士山。思い出深い楽しい旅が想像されます。 (柳原美知子)
★夏の夕新しい道を歩いてみる/髙橋句美子
夏の夕暮れ夕日が沈む太陽に向かって新しい事に向かって進む作者の力強い決心のあふれる信念が感じられます。素敵な力強い句です。(小口泰與)
★連山を映し色濃き青田かな/桑本栄太郎
★風鈴や明けの静けさ深まりて/弓削和人
★石鎚に向き後ずさりつつ田植え/柳原美知子
★夏の風切りしばかりの前髪に/多田有花
【入選/16句】
★また晴れし十三回忌青葉風/川名ますみ
ご両親の忌日でしょうか。大切な日にいつも晴れた大空を仰げるのは嬉しいですね。青葉風に吹かれて、在りし日の良い思い出が蘇られたことでしょう。 (柳原美知子)
★水彩の青の刷られしサンドレス/川名ますみ
夏らしい爽やかな句です。 (髙橋句美子)
★向日葵よ天地を結ぶように咲け/弓削和人
この悲惨なウクライナ戦争のさなかです。有名な映画「ひまわり」はウクライナの向日葵畑を撮影したものと云われ、向日葵は今やウクライナを支援する為の象徴の花といわれて居ります。その向日葵に平和を託し暗喩として感じられます。 (桑本栄太郎)
★枇杷熟れし空より遮断機下り始む/吉田 晃
遮断機によって、青空に映える枇杷の実の熟した色がクローズアップされ、季節が実感されます。 (柳原美知子)
★吊橋の揺らぐ白波岩燕/小口泰與
★河骨や風の中なる鈴の音よ/小口泰與
★命日の夕べざくざくきゃべつ切る/川名ますみ
★背伸びして灯りを消して夏布団/高橋秀之
★生まれたよ朝の楽しみ子のメダカ/祝 恵子
★青空に紅く色付く実梅かな/廣田洋一
★星空の果てなきしじま蛍の火/柳原美知子
★遠雷や出発前の旅の宿/西村友宏
★バス停に連なる傘と雨蛙/西村友宏
★梅雨入りの窓辺が陰りひんやりと/髙橋句美子
★ほととぎす鳴く繰り返し繰り返し/多田有花
★夏めくと畳の上に座すことも
我が家は居間がフローリングになっているが、くつろぎの場はやはり畳がいい。夏の暑さを感じるようになり、汗ばんだ体が畳に触れると、サラッとして気持ちがいい。フローリングでは味わえない感触だ。湿度の多い日本の夏は畳がいい。畳に座して寛いでおられる先生の元気なお姿を想像する。」畳に座り憩っておられる先生の元気なお姿を想像する。(吉田晃)
★梅雨入のネット句会の畳の間
★夏兆すことを喜び子供たち
■選者詠/髙橋正子
★麦秋の魚焼きけり塩光り
麦が熟す初夏、季節の魚を塩焼きに。焼き上がりは、振られた塩の一粒ずつが光り、いっそう美味しそうです。味、匂い、光、自然とともにある生活が実感をもって伝わります。 (川名ますみ)
★豆腐屋のラッパ響けり走り梅雨
■互選高点句
●最高点(同点2句/5点)
★連山を映し色濃き青田かな/桑本栄太郎
★風鈴や明けの静けさ深まりて/弓削和人
集計:髙橋正子
自由な投句箱/6月11日~6月20日
今日の秀句/6月11日~6月20日
★ささゆりやただかりそめの宿に咲く/多田有花
★蔵王堂へさみだれ傘を借りてゆく/多田有花
6月11日~6月20日
かかずらう日日の赤城の夕立かな★★★
緋目高の腹をくねらせ水面へと★★★
鳥の声竹林抜ける南風の中★★★
乗る波を待ちたる浜や南吹く★★★★
妻帰る日の支度せり豆ご飯★★★
梅雨に入る後醍醐天皇玉座かな★★★
ささゆりやただかりそめの宿に咲く★★★★
花びらの落ちつつ四葩暮れゆきぬ(原句)
咲き騒めく花菜のなかや波斯菊★★★
雷鳴や湖傾けて魚ライズ★★★
笹薮を分け入り忽と滝飛沫★★★
苺乗せショートケーキのあでやかに★★★
波静かな海を眺めて苺摘む★★★
生垣の山梔子匂う雨催い★★★
父の日の独り夕餉や妻の留守★★★
蔵王堂へさみだれ傘を借りてゆく★★★★
梅雨入りの吉野で食べるペカンパイ★★★
夏木立仰げば空に天守あり★★★★
陸橋の夏の向こうや紀伊の海(原句)
さざ波の植田や木木の影揺るる★★★★
古き家の取り壊されて茄子の花★★★
小さき実を見下ろしながら茄子の花★★★
心太をすする昼餉や妻の留守★★★★
曇りても雲の茜や梅雨夕焼け★★★
さみだれの吉野の寺宝めぐりかな★★★
<金峯山寺・銅(かね)鳥居>
銅鳥居さみだれ雲を背景に★★★
蜘蛛の子のうてなに乗るや水たいら★★★
小海老草夏の夜風に苞揺らし★★★
遠山に朱を流したる夕立雲★★★
山女釣岩の間合を垣間見し★★★★
空蝉や日日疎かに過ごしける★★★
夕さりの庭の山梔子錆にけり★★★
うきうきと仲夏の列車を探検す★★★
大都会うしろに青葉の懐へ★★★
客散れば静かや梅雨の吉野駅★★★★
苔むせる枝の茂りや大銀杏★★★
供花のごと墓前に青き四葩かな★★★
蜘蛛の囲の明日は晴れるや紡ぎ居り★★★★
曇りても雲の茜や梅雨夕焼け★★★
紫陽花の房や淀みに留め居たり★★★
夏の虫灯りへ這いてすすみけり★★★
日の高き路に毛虫の何処ゆく(原句)
今朝咲きし雨後の山梔子香り立つ★★★★
押しに押す川の流れや五月晴★★★
白き手にグラスを持ちて冷し酒★★★
辛口の銘柄選び冷し酒★★★
青葉する吉野へBlue Symphony★★★
六月のシートに深く身をあずけ★★★★
濯ぎものを曇りの空に梅雨寒し★★★
曇りつつ梅雨夕焼の嶺の奥★★★
紫陽花のつぼみを映す田水かな★★★★
週一の花剪る今朝は薔薇を剪り★★★
雨粒を残す南瓜の花のあり★★★★
みみず出でくねる鋪道や梅雨の冷え★★★
稜線のくつきり青く梅雨の山★★★★
揚羽蝶屋根を越えむと舞い立ちぬ★★★
松かさを水面に浮かべ夏の夕★★★
明烏の鳴きてや町の動き出づ★★★
乾杯のビールを飲みておくびして★★★
おりおりに瀬尻瀬頭山女釣★★★
取敢へず目高放てる硝子鉢★★★
南風吹く子らの集へる丸太小屋★★★
瓶に入れ梅の実赤く漬けらるる★★★★
小糠雨降りて暗きや梅雨寒し★★★
たまねぎの軒端に吊りて夜更けたり(原句)
剣道の掛け声聞こゆ夏の坂
百年の人生今や柿の花★★★
杜若手漕ぎボートの二人連★★★
七変化長谷の祈りと名付けられ★★★
紫陽花に目を細めたる和み地蔵★★★
ブランドのエリザベスとやメロン着く★★★
卯波寄すふるさと遠き日本海★★★★
夏陰の庭へ走れリ雀二羽★★★
夏の夕駅から人のささ走り★★★
風吹くや露台の服を取り込みて★★★★
蜜豆や庭の木木の太りける★★★★
いちはつの和紙の如くや雨後の朝★★★
役終へし鵜を乗せて去る鵜飼舟★★★
網持ちて目高追ひたる兄いもと★★★
犬を抱き媼散歩や朝涼し★★★
梔子の花のうそぶく朱色かな★★★
陽炎や知らぬ路地へと誘われ★★★
炎昼に昼寝を欲りし勤めかな★★★★
うぶすなの鮎は早瀬を好みけり★★★
ボート降る湖畔の木木の夜涼かな(原句)
青嵐池の魚の泳ぎにて★★★
明早し利根へ向かう禽の群★★★
梅雨晴間雫零せる松ぼくり★★★★
倒れしも上を向きたる百合の花★★★
梔子の花の香りや雨催い★★★
立葵咲いて認可の保育園★★★
夏の虫花ちるかげに鳴りをひそめ★★★
走り梅雨山の彼方は照り初めし★★★★
火取虫つらき闇夜の耐え難し★★★