6月13日(金)

★額あじさい雪崩れてついに水に触る   正子

○今日の俳句
緑陰の途切れるところ頂に/多田有花
山の登り始めは木々が茂りあう道から始まる。体も緑に染まりそうなくらいの緑陰となって、延々と道は続くのだが、その緑陰がとぎれるところに出た。そこが頂上だったわけで、頂上を目指すというのではなく、登り至れば頂上だった、というのがさっぱりしている。(高橋正子)

○かたばみ

[かたばみ/横浜日吉本町]_[芋かたばみ/横浜日吉本町]

カタバミ(酢漿草、片喰、学名: Oxalis corniculata)は、カタバミ科カタバミ属の多年草。花言葉は「輝く心」である。葉は、ハート型の3枚がとがった先端を寄せあわせた形。三出複葉だが、頂小葉と側小葉の区別はつきづらい。地下に球根を持ち、さらにその下に大根の様な根を下ろす。葉は球根の先端から束に出る。この他、匍匐茎をよく伸ばし、地表に広がる。このため、繁殖が早く、しかも根が深いので駆除に困る雑草である。春から秋にかけ黄色の花を咲かせる。花びらは5弁。果実は円柱状で先がとがり、真っ直ぐに上を向いてつく。成熟時には動物などが触れると、自ら赤い種子を勢いよく弾き出す。最大1m程度までの周囲に飛ばすことができることも繁殖に有利となっている。葉や茎は、シュウ酸水素ナトリウムなどの水溶性シュウ酸塩を含んでいるため、咬むと酸っぱい。シュウ酸は英語で oxalic acid というが、カタバミ属 (Oxalis) の葉から単離されたことに由来する。また、葉にはクエン酸、酒石酸も含まれる。カタバミ属の植物をヒツジが食べると腎臓障害を起こすとの報告がある。ヤマトシジミの幼虫が食草とする。

◇生活する花たち「蛍袋・時計草・紫陽花」(横浜日吉本町)

6月11日-13日

6月13日

●小口泰與
郭公や水面にぎわす雲と風★★★★
郭公の声があたりに響き、とりどりの形や色の雲が映り、風が起こす漣で水面はにぎやか。そんな静かで明るい景色が素晴らしい。(高橋正子)

白樺とみつばつつじや雨後の池★★★
山つつじ囲む白樺林かな★★★

●祝恵子
茹でながら摘みきし紫蘇を刻みおり★★★
初なりの胡瓜まずは吾手のひら★★★★
挨拶をすれば持たされ花菖蒲★★★

●桑本栄太郎
帰り来て木蔭の風に涼みけり★★★
吹き抜ける風のささやく木下闇★★★
暮れなずむ闇に明るき沙羅の花★★★★

●多田有花
夕立の雲に夕日の当たりけり★★★
梅雨満月雲より出でて光増す★★★★
山々のくっきり青し梅雨晴間★★★

●佃 康水
朝の陽へ白光放つ沙羅の花★★★
舟待たせ鶴亀島の草を刈る★★★★
花田牛角にたっぷり清め塩★★★

●河野啓一
木下闇ゆれ動くものありヒヨの巣か★★★
緑陰に鳥の巣ありて子が二匹★★★★
同病の友に会いたり梅雨晴間★★★

●小西 宏
この叢(むら)に遊びし昨夜(よべ)の蛍かな★★★
夕方の濃き太陽の翠蔭★★★
家壁に夕日の淡し梅雨晴間★★★★

●川名ますみ
高架走り植田に映る空と雲★★★★
高架となっている道路を走っていると植田に出会う。植田には空と雲が映り、晴々とした眺め。高架より一望できる植田の眺めは、遠く見渡せまた格別。(高橋正子)

迷わずに常磐木落葉壕へ散る★★★
夏落葉さらさらさらり壕へ散る★★★

6月12日

●小口泰與
衣ぬぐ浅間や佐久の青田波★★★
万緑や八千穂高原つくも折★★★
谷蟇や浅間は夕日近づけず★★★★

●多田有花
夏の風本のページをすべて繰る★★★★
開いておいた本に一陣の涼風が吹き、ページをぱらぱらとめくった。数ページでなく、すべてのページを繰る風の遊び心が面白い。涼しい句だ。(高橋正子)

はや雲の影に失せたり梅雨の月★★★
夏の蝶無数に乱舞森の道★★★

●桑本栄太郎
のうぜんの花や垣根に今年又★★★
沙羅の花部活帰りの女子高生★★★★
艶めいて深き眠りや合歓の花★★★

●小西 宏
雨止んで頂き照れる椎の花★★★★
雨があがると椎の花の咲く頂が明るく照っている。ことに頂に日があたって、柔らかな椎の花を見せている。「照る」がいい。(高橋正子)

夜の風に車の音す網戸より★★★
谷戸深き己が光や額の花★★★

●川名ますみ
風薫る丘より木々の揺れはじめ★★★
額の花中学校の開校日★★★
鉄線の雨をふくみし濃紫★★★★

6月11日

●小口泰與
雷鳴や小犬扉に爪をたて★★★
十薬や眠りの覚めし浅間山★★★
代掻きや利根本流の滔々と★★★★

●河野啓一
夏潮を一またぎして淡路島★★★
夏草を分けて釣舟こぎ出でぬ★★★★
鮎の宿四万十川の沈下橋★★★

●迫田和代
植田まだ青くて深い空映す★★★★
田植を終えて一か月ほどは、水田に苗の整然とした影と空が映る。美しい水田の景色だが、すぐにも青田となって、水が見えなくなってくる。「まだ」に植田の美しさを惜しみ、青田の緑を待つ心情が読み取れる。(高橋正子)

梅雨晴れに水の溜りに子ら集う★★★
山陰に沿う道のあり菫咲く★★★

●桑本栄太郎
梅雨闇やみどりときめくバス通り★★★★
梅雨闇のほの暗さに、バス通りの街路樹が生き生きと明るい緑を見せている。その思いがけぬ明るさに「みどりときめく」気持ちとなった。梅雨の曇りがちな気持ちが一度に明るくなる緑だ。(高橋正子)

夏蝶のためらい渡る車道かな★★★
朽ち来れば坂を散りばめ山法師★★★

●祝恵子
茄子・トマト地場産売りに群がりぬ★★★★
イベントに集まる市民猛暑なり★★★
ボート待つ救命具付け子の体験★★★

●小西 宏
声もなく烏飛びゆく梅雨曇り★★★★
紫陽花の遠きより照る崖の陰★★★
雨の輪に睡蓮の黄の光りあり★★★

●黒谷光子
紀の国は木の国車窓に緑さす★★★
海の辺の街は湯の街風涼し★★★★
集い来て受講す涼しき大広間★★★

●高橋秀之
夏木立を横目に走る高架線★★★
雲間から差す陽に蒼き夏の海★★★★
夏の日の下に遠くの山がある★★★