冬鵙
高橋正子
落葉ふる空の青さのどこまでも
夕寒き街のはずれに花屋の燈
朝市の柚子あるところが灯るなり
門土をうっすら窪ませ亥の子石
亥の子の子らまた坂道を上の家へ
落葉踏み階踏みてわが家の燈
ユトリロの絵に似て雨の花梨の実
純白の苺の花も十二月
冬鵙の囃すは水照る向こう岸
冬鶺鴒せきれいほどの影を連れ
明るくて深い 現代語による俳句を。よい生活から よい俳句を。
冬鵙
高橋正子
落葉ふる空の青さのどこまでも
夕寒き街のはずれに花屋の燈
朝市の柚子あるところが灯るなり
門土をうっすら窪ませ亥の子石
亥の子の子らまた坂道を上の家へ
落葉踏み階踏みてわが家の燈
ユトリロの絵に似て雨の花梨の実
純白の苺の花も十二月
冬鵙の囃すは水照る向こう岸
冬鶺鴒せきれいほどの影を連れ
冬鵙の囃すは水照る向こう岸
冬鶺鴒せきれいほどの影を連れ
芒原風得てそよぎ茫々と
彫り跡のような漣冬日燦
冬日燦姉さんかぶりをして歩く
冬雲の浮かべば南の空濁る
純白の苺の花も十二月
雨に暮れる小住宅に花梨の実
ユトリロの絵に似て雨の花梨の実
一冬燈残し花屋の閉店す
夕寒き街のはずれに花屋の燈
一冬燈残したままの朝の花屋
冬はじめでびらカレーをこんがりと
落葉踏み階踏みてわが家の燈
植えられてパンジー苗のすぐそよぎ
パンジー苗どれも一花をつけており
室内の壁の白さに室の花
柚子刻み柚子の香つんと立ちにけり
朝市の柚子あるところが灯るなり
朝市に時雨あやしく降り来たり
上手より家を巡りて亥の子の子ら
門土をうっすら窪ませ亥の子石
亥の子の子らまた坂道を上の家へ
金桶の水澄めるまで菜を洗い
洗われてなおほうれん草の深みどり
落葉ふる空の青さのどこまでも
俳句
冬鵙の囃すは水照る向こう岸
冬鶺鴒せきれいほどの影を連れ
芒原風得てそよぎ茫々と
彫り跡のような漣冬日燦
冬日燦姉さんかぶりをして歩く
冬雲の浮かべば南の空濁る
晴れときどき曇り
○花冠2月号編集。巻頭抄、選後に、正子の俳句日記、正子作品10句。
○越前さんが花冠に入会を希望される。越前さんをご存知の方も少なくなったかもしれない。
○俳句四季から、『花の歳時記』(4800円)が贈呈された、のうぜんの花の句とエッセイが掲載されている。当時の方では、退会や逝去されたかたもいて、30名のうち残るのは、信之、正子以外には7名の方ののうぜんの花の句が掲載されている。それにしても、人の世の移り変わりの激しいこと。
○妹たちにヘイチンロウの飲茶セットを送る。冷凍で届けてくれる。