花冠2月号投句

冬鵙
高橋正子

落葉ふる空の青さのどこまでも
夕寒き街のはずれに花屋の燈
朝市の柚子あるところが灯るなり
門土をうっすら窪ませ亥の子石
亥の子の子らまた坂道を上の家へ
落葉踏み階踏みてわが家の燈
ユトリロの絵に似て雨の花梨の実
純白の苺の花も十二月
冬鵙の囃すは水照る向こう岸
冬鶺鴒せきれいほどの影を連れ

俳句メモ11月~12月

冬鵙の囃すは水照る向こう岸
冬鶺鴒せきれいほどの影を連れ
芒原風得てそよぎ茫々と
彫り跡のような漣冬日燦
冬日燦姉さんかぶりをして歩く
冬雲の浮かべば南の空濁る
純白の苺の花も十二月
雨に暮れる小住宅に花梨の実
ユトリロの絵に似て雨の花梨の実
一冬燈残し花屋の閉店す
夕寒き街のはずれに花屋の燈
一冬燈残したままの朝の花屋
冬はじめでびらカレーをこんがりと
落葉踏み階踏みてわが家の燈
植えられてパンジー苗のすぐそよぎ
パンジー苗どれも一花をつけており
室内の壁の白さに室の花
柚子刻み柚子の香つんと立ちにけり
朝市の柚子あるところが灯るなり
朝市に時雨あやしく降り来たり
上手より家を巡りて亥の子の子ら
門土をうっすら窪ませ亥の子石
亥の子の子らまた坂道を上の家へ
金桶の水澄めるまで菜を洗い
洗われてなおほうれん草の深みどり
落葉ふる空の青さのどこまでも

12月13日(日)

俳句
冬鵙の囃すは水照る向こう岸
冬鶺鴒せきれいほどの影を連れ
芒原風得てそよぎ茫々と
彫り跡のような漣冬日燦
冬日燦姉さんかぶりをして歩く
冬雲の浮かべば南の空濁る

晴れときどき曇り

○花冠2月号編集。巻頭抄、選後に、正子の俳句日記、正子作品10句。

○越前さんが花冠に入会を希望される。越前さんをご存知の方も少なくなったかもしれない。

○俳句四季から、『花の歳時記』(4800円)が贈呈された、のうぜんの花の句とエッセイが掲載されている。当時の方では、退会や逝去されたかたもいて、30名のうち残るのは、信之、正子以外には7名の方ののうぜんの花の句が掲載されている。それにしても、人の世の移り変わりの激しいこと。

○妹たちにヘイチンロウの飲茶セットを送る。冷凍で届けてくれる。