自由な投句箱/9月11日~9月20日

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※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/9月11日~9月20日

9月20日(1句)

★雲の色白曼殊沙華にうつりけり/弓削和人
白曼殊沙華の色が、雲の色がそのまま「うつった」ような柔和で清純な印象だというのだ。「うつる」は。「映る」「移る」の意味を含んでいる。(髙橋正子)

9月19日(1句)

★田が暮れて藁塚の影失えり/弓削和人
田んぼに立っている藁塚は、昼間はまだ日差しもつよく、影ができている。ところが日が暮れ、田んぼが暮れてくると、藁塚の影が無くなった、という。目の付け所が面白い。(髙橋正子)

9月18日(1句)

★黒雲の至り来る下胡麻叩く/小口泰與
胡麻の実が乾いたので、叩いて実をとろうとすると、黒雲が向こうからやってきた。今にも雨が降りそうだ。急いで胡麻を叩いて実をとらねば。「胡麻叩く」ころの天気の変わりようがリアルだで彫り深い。(髙橋正子)

9月17日(2句)

★雨脚の駈け寄り来るや松手入/小口泰與
松の手入れをしていると、向こうから雨脚は駆け足で近づいてくるのが見える。松の青さ、雨脚の白さが印象付けられ、動きのある光景が季節をよく洗わしている。(髙橋正子)

★薄紅のわが目を引きぬ新生姜/廣田洋一
新生姜はみずみずしさは、薄紅の色をもってみずみずしさが増していることである。買うときもその薄紅色に惹かれてかうことになる。(髙橋正子)

9月16日(1句)

★天高し団地の庭に草刈り機/桑本栄太郎
空が高く晴れ渡って、団地の庭では、草刈り機が音を立てて、草の葉を飛ばしている。夏の間に伸びた草が刈られ、団地の庭がさっぱりとして気持ち良い。
(髙橋正子)

9月15日(1句)

★威し銃未明の空気ふくみ鳴る/桑本栄太郎
威し銃は、朝早くから鳥を威して鳴る。未明の空気を含み、いかにも朝の威し銃らしい音である。稔田の朝模様がいい。(髙橋正子)

9月14日(1句)

★溝そばや流れと云えぬ溝川に/桑本栄太郎
流れと言えそうにないくらいの細い溝川。それを覆うように茂る溝そば。花は可憐ながら、たくましくもある。自然体の詠みかた、その景色に好感がもてる。(髙橋正子)

9月13日(1句)

★陸橋を渡ればとんぼ集い来る/桑本栄太郎
陸橋を渡り、違う場所へ移ると、とんぼが集まってくる。陸橋の幅の距離だから、それほど場所を移動したわけではないのに、とんぼが集まってくる。陸橋を渡ったところは、風までが違って思える。(髙橋正子)

9月12日(句)

★きちこうや五つの角のぴんと張り/弓削和人
「きちこう」は桔梗(ききょう)のこと。桔梗の蕾はふくらむと五角形になる。きっちりとした形は、角がはっきりして、ぴんと張った形だ。自然界の形に面白さを見た。(髙橋正子)

9月11日(1句)

★我が膝へ蜻蛉とまりぬ暁の沼/小口泰與
暁の沼のほとりに座っていると、人とも思わず蜻蛉が膝にとまった。沼のほとりで、何かをまって座っているときは、自然に同化していると言えるのだろう。蜻蛉がそれを教えている。(髙橋正子)

9月11日~9月20日

9月20日(4名)

小口泰與
幾十の水輪生まれる秋の沼★★★
露天湯に声つつしむや石叩★★★
つつましく白き菊咲く狭庭かな★★★

多田有花
忙しく検査の続く秋の昼★★★
秋の夕心エコーへと滑り込む★★★
治療方針説明を受く秋彼岸★★★

桑本栄太郎
曇り居て雨の予報や秋暑し★★★
秋雨の降りて止んでは又降りぬ★★★
汀女忌の麻婆茄子の夕餉かな★★★

弓削和人
落花生ざらつく皮をはぎいたり★★★
皮むけば落花生の実世にあらわ★★★
雲の色白曼珠沙華にうつしけり(原句)
「うつす」と「うつる」の違いですが、おわかりでしょうか。
雲の色白曼殊沙華にうつりけり(正子添削)

9月19日(5名)

小口泰與
全容の山を映して秋の沼★★★
小魚の水輪数多や秋の暁★★★
暁の沼秋翡翠の声つたな★★★

多田有花
<近大病院三句>
敬老の日は赤飯と松花堂★★★
採血を四本済ませ秋の朝★★★
秋暑き三連休の終わりけり★★★

廣田洋一
子規庵に糸瓜飾られ子規忌かな★★★★
健康診断無事に終へ子規忌かな★★★
広き田の稔り豊かに河川敷★★★

桑本栄太郎
うそ寒のかいなを抱き目覚めけり★★★
温かきコーヒー未だ秋暑し★★★
ベランダの片付け終わり天高し★★★★

弓削和人
親戚を介し新米譲り受け★★★
新米を運ぶ車両のやや急きて★★★★
畦暮れて藁塚の陰失なえり(原句)
情景がつかみにくいです。「畦」「陰」の持っている意味で、情景を想像しにくくなっています。(髙橋正子)
田が暮れて藁塚の影失えり(正子添削)

9月18日(4名)

小口泰與
黒雲の至るや里は胡麻叩く(原句)
「里」はない方がいいです。(髙橋正子)
黒雲の至り来る下胡麻叩く(正子添削)

長き夜や得体の知れぬ豪雨にて★★★
恙なき身を誇りける菊日和★★★

廣田洋一
仲秋の雨に煙れる異人墓地★★★
仲秋や月を見むとて街角へ★★★★
花野ゆく子らの歓声絶え間なし★★★

多田有花
<近大病院三句>
爽やかに清拭タオルの熱さかな★★★★
秋の夕夜勤看護師巡回す★★★
秋茄子のそぼろ煮とろりやわらかし★★★

桑本栄太郎
秋雨の未明の窓に響きけり★★★★
新酒酌み歯に入み通る牧水忌★★★
愕然と齢数える敬老日★★★

9月17日(4名)

小口泰與
蜻蛉の水輪は鯉の如きかな★★★
仲秋や生暖かき雨意の風★★★
雨脚の駈け寄り来るや松手入★★★★

廣田洋一
薄紅の人を引き付け新生姜(原句)
「人を引き付け」は、他人事、一般的なことになっていますので、自分のこととすると、読者の共感を得られと思います。(髙橋正子)
薄紅のわが目を引きぬ新生姜(正子添削)

子供らの夢を育む花野かな★★★
川風の白く渡れり花野かな★★★

多田有花
<近大病院三句>
長き夜の静けさ訪れ病棟に★★★★
洗髪に身を任せおり秋の昼★★★
仲秋やおくのほそ道読了す★★★

桑本栄太郎
愛告げる為に歌いぬ小鳥かな★★★
日向より日蔭色濃く秋の暮★★★
さやけしや夜の国政報告会★★★

9月16日(4名)

小口泰與
しおからの羽音微かに吾顔へ(原句)
しおからの吾顔近く寄り来る(正子添削)

鬼灯や婆の袂に五つ六つ★★★
青蜜柑犬は木陰を離れざる★★★
 
多田有花
<近大病院三句>
秋澄むや車椅子から見る世界★★★
秋茄子のとろける味わい病院食★★★
デザートに梨の二切れ病院食★★★

桑本栄太郎
あおぞらの雲の動かず秋気澄む★★★
天高し団地の庭に草刈り機★★★★
友人と会いて戸外へ秋暑し★★★

廣田洋一
仲秋や巡り来たれる子の忌日★★★
吹き出せる霧の棚引く商店街★★★
芝大神宮生姜を祀りだらだらと★★★

9月15日(5名)

小口泰與
椎の実やひと休みせる峠道★★★
葦苅の音に逃げたる野鳥かな★★★
蜻蛉のつかまる草を探しけり★★★

多田有花
<近大病院三句>
秋の朝MRIに向かいおり★★★
コーヒーの香り漂う娑婆の秋★★★
秋半ばここに虫の音なけれども★★★

桑本栄太郎
未明なる空気ふくみ威し銃(原句)
「未明なる」の「なる」が気になります。
威し銃未明の空気ふくみ鳴る(正子添削)

草萩の背たけ小さく花盛り★★★
秋蝉の入日茜を惜しみけり★★★★

廣田洋一
底紅の天を仰げる墓原かな★★★
白々と傘を広げし茸かな★★★
高僧の墓前に落ちし団栗かな★★★

弓削和人
遠足や黄色の帽はちりじりに★★★
秋の人ばかり列車へ豪雨過ぐ★★★
漫画家の原画や滲む秋の筆★★★

9月14日(4名)

廣田洋一
大蒜の袋忘れず案山子かな★★★
晩酌の止まらなくなる夜長かな★★★
蟷螂の斧をかざして動かざる★★★

小口泰與
秋風や背骨の軋む我が髪膚★★★
鵙高音つとに鳴き出す沼の波★★★
噴煙の捩れねじれて秋の声★★★

桑本栄太郎
溝川の流れやさしく豊の秋★★★
溝そばや流れと云えぬ溝川に★★★★
流れと言えそうにないくらいの細い溝川。それを覆うように茂る溝そば。花は可憐ながら、たくましくもある。自然体の詠みかた、その景色に好感がもてる。(髙橋正子)

曇り居て降らぬ気配や秋の雨★★★

多田有花
<近大病院三句>
丘陵に陽を浴び葡萄畑かな★★★
清秋遠くあべのハルカスの影★★★
足首の神経採られている九月★★★

9月13日(5名)

小口泰與
秋暑しささら波立つ小沼かな★★★
夕暮の木木の色鳥数多翔ち★★★
山鳥や喨と鳴きけり秋の沼★★★

廣田洋一
天高し白線引きたる運動場★★★
天高し飛び交ふ鳥の声澄みて★★★
庭木刈るなりかけの実を落としけり★★★

多田有花
殉死という言葉の遠し希典忌★★★
<近大病院二句>
秋晴の金剛山を望む朝★★★
秋の日や二泊三日で退院す★★★

桑本栄太郎
陸橋を渡りとんぼう集い来る(原句)
陸橋を渡ればとんぼ集い来る(正子添削)

赤とんぼ知人と出会う橋のうえ★★★
秋しぐれ雲の途切れの青きかな★★★

弓削和人
山手線スマホを離す秋日和★★★
池袋朝のラッシュや秋日影★★★
雑踏の駅真上なる秋日澄む★★★

9月12日(5名)

小口泰與
雨上がり沼の岸辺の蜻蛉かな★★★
高原の暁の蜻蛉や我が膝へ★★★
忽然と上がりし雨の蜻蛉かな★★★★

多田有花
<近大病院三句>
病室のベッドに聞くや秋の声★★★
食欲の秋を楽しむ病棟に★★★
病院の湯より見下ろす秋灯★★★★

桑本栄太郎
秋めくや薬缶の蒸気白く吹く★★★★
身に入むや友の認知の病聞く★★★
チャイム鳴り放課後なりぬ秋気かな★★★

廣田洋一
資格試験近づく日々や夜食とる★★★
握飯一つむすびて夜食かな★★★★
秋高し高層ビルの瑠璃光り★★★

弓削和人
きちこうや五つの角のぴんと張り★★★★
新調の背広の朝や牽牛花★★★
すれ違う車は秋の西日連れ★★★★

9月11日(5名)

廣田洋一
画帳広げ座り込みたり草の花★★★★
土手の道消えかかりをり草の花★★★
竜胆の白き風呼ぶ墓前かな★★★★

桑本栄太郎
あかときの秋冷いたる窓辺かな★★★
午後よりの雨の予報や秋涼し★★★
一日に秋の驟雨の幾たびも★★★★

多田有花
<近大病院三句>
村雨が秋の山々隠しけり★★★
知らぬ間に通り過ぎたり秋の村雨★★★
病棟の湯にひとり入る秋の夜★★★★

小口泰與
秋星や我もなりたき梵天に★★★

我が膝へとまりし蜻蛉暁の沼(原句)
我が膝へ蜻蛉とまりぬ暁の沼(正子添削)

「我が膝へとまりし蜻蛉」と「暁の沼」はどちらも名詞でただ二つを並べただけで、「それがどうした」ということになります。言いたいことが伝わりません。実際は、膝に蜻蛉がとまったことが驚きであり、嬉しさではありませんか。添削との違いがお判りでしょうか。(髙橋正子)

鶺鴒や変化激しき山の雲★★★

弓削和人
蚯蚓鳴く闇夜の漆黒深まれり★★★

逝く風にひびける水や女郎花(原句)
行く風にひびける水や女郎花(正子添削)
「逝く」は、「風」に重要な意味をもたせます。また「ひびける水」「女郎花」にも十分に意味があります。一句に意味が盛り込まれすぎです。せめて
「逝く」を「行く」にしてはどうでしょうか。(髙橋正子)

人去りて秋声かすかや夕の湖★★★

9月12日(火)

晴れ
●残暑はあるが、秋らしくなった。
●音楽スタジオに13時に予約をしていたので、行ったが、予約が入っていないという。そんなはずが。でもそれは確か。電子ピアノの部屋なら空いているという。迷ったが、そこでもいいかと。譜面を置くところが遠すぎて、眼鏡なしでは加線が二重に見えて困りはしたが、少し覚えて弾いてみたので、適当ながら、楽めた。
●鎌倉の成就院、紫陽花で有名だが、紫陽花を刈り取って減らしたという。その代わり萩を植えたのだと。9月下旬には見ごろになるだろうか。17日はどうだろう。

9月11日(月)

晴れ、どきどき曇り
●9月月例ネット句会入賞発表
正午発表予定には、30分ほど遅れたが、予定通りに発表。
●今日は9・11。誰も言っていない。世界はウクライナ戦争、モロッコ地震と災厄つづき。
●野球のU-18で、日本が台湾に勝って優勝したニュース。丸太君は、甲子園とU-18で優勝して、奇跡に近い。
●四時ごろセンター北のアカデミアへ。今度七里ガ浜へ行くので、旅行雑誌の「鎌倉」をめくる。アンナ・ハーレントの伝記が漫画になっているのが目に入った。それが3600円。『浄瑠璃寺の365日』。めくると「花は仏の姿」という言葉が目にはいった。菊なんかは特にそんな感じがする。
井筒俊彦の本が並んでいる。『意識と本質』の著者だったかなと著書一覧の見ると、そうだった。文庫で買って付箋だらけだが、臥風先生の俳句についての話にずばり嵌っているところがある。
帰宅は6時半ごろ。部屋は真っ暗。仏間に小さい灯をつけて行くべきだった。