6月12日(土)

 東京幡ヶ谷
下町の空に乾ける子の白シャツ  正子
6月の晴れた下町の空、ベランダにであろうか、子の白シャツが風に吹かれて干されている。「子の」とあるのでご子息の住居であろう。親から離れ、確かな生活をしているわが子に思いを馳せる母親の俳句である。昔イタリアのアッシジを訪れた時、狭い路地を挟んで張った綱の上に、干された洗濯物が青空に美しかったことを思い出した。(古田敬二)

○今日の俳句
露天湯と白樺若葉と青空と/古田敬二
露天湯から見える白樺の若葉、それに青空。ただそれの並列であるが、作為がなく、さわやかである。(高橋正子)

6月11日(金)

バスの後ろ揺らし入りゆく青山河  正子
山も河もしたたる青さの大きな景観の中、一点のバスの動きが見て取れるようです。「揺らし入りゆく」リズムの心地よさに、青葉満つ季節の喜びをことさら感じます。(藤田洋子)

○今日の俳句
夏兆す田毎に水の落ちる音/藤田洋子
どの田にも水が入り、水音がしている。涼感を呼ぶ水音と、水の入った田の明るさに、「夏の兆し」をことさらに感じる。(高橋正子)