自由な投句箱/11月11日~11月20日

投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)

※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/11月11日~11月20日

11月20日(1句)
★子等も来て暖炉の前の紅茶かな/小口泰與
普段は一緒に住まない子供といっしょに、暖炉を囲んでゆっくりと紅茶を飲む。まどいの安らぎの時間。情景がすぐイメージできる。紅茶の香りに包まれた安らぎのひとときが、句全体を上品に仕上げている。(髙橋正子)

11月19日(1句)
★一反の苅田となって豊かな香/上島祥子
一反といえば、10アール。かなり広いが、苅田となっては、「豊かな香」を放っている。「豊かな香」は苅田の土の匂い、切株の藁の匂いなど、複雑にまざり、苅田の匂いとなって豊かなのだ。言い難いこの独特な匂いに、秋の深まりを感じる人も多いだろう。(髙橋正子)

11月18日(1句)
★落葉風旅荷の隅の力餅/土橋みよ
句の言葉を説明すると、「落葉風」は落葉を誘う風。「力餅」は、基本的には食べると力がつく餅。旅人が山越えや、旅の途中で体力を補うために茶屋などで食べた餅。筑波山の弁慶餅、鎌倉の権五郎力餅などが名物となっているものもある。それを踏まえて読むと、
木々の落葉が風に散っている中、名物の力餅を買い、旅鞄の隅に土産として入れたのであろう。力餅は昔をしのび、旅情を募らせるものである。「落葉風」が効いている。(髙橋正子)

11月17日(1句)
★朝日浴び薄き粉ふく吊し柿/土橋みよ
吊し柿が、しだいに出来上がってきつつある。朝日を浴びて、表面に薄く粉ふいておいしそうになってきている。「吊し柿」は、季語としては晩秋であるが、粉をふいてくるころは初冬となる。明るくしずかな光景に心が落ち着く。(髙橋正子)

11月16日(1句)
★讃美歌の声の小窓に冬の朝/桑本栄太郎
讃美歌が聞こえてくるが、どこからかと言えば、小さい窓。教会の小さい窓のある横の方を通りかかったのであろう。寒さが募る冬の朝のきよらかな声に、心を洗われる。「小窓」が日常らしい。(髙橋正子)

11月15日(句)
★じょうびたきの鳴き声響く浅き冬/多田有花
冬鳥のじょうびたきがやってきて、鳴き声を響かせている。色鮮やかなじょうびたきに、「浅き冬」が効果的に使われている。(髙橋正子)

11月14日(1句)
貰いたる蜜柑に里の日の温み/小口泰與
もいだばかりの蜜柑を貰ったのだろう。蜜柑には、里の日の温みが残っている。蜜柑を通しての人の交流にも里の日のような暖かさがあるのが、いい。(髙橋正子)

11月13日(1句)
  茨城空港
★降り立てば牛糞の匂い秋の風/土橋みよ
秋風の空港に降り立って、思わず牛糞の匂いをかぐことになった。空港のある近くに大きな牛舎があるのか、畑にまかれた肥料の牛糞が匂うのか。その土地柄を感じるとき。これも旅ならは、はっと気づくこと。(髙橋正子)

11月12日
※該当句無し

11月11日(1句)
★橡の葉の枯葉踏みゆく朝(あした)かな
元の句は、「橡の葉の枯葉踏みゆく散歩かな」。「踏みゆく」があるので、「散歩」は省くとよい。
橡の大きな枯葉が落ちている。落ちているままの枯葉を踏みゆくのだ。自然の有り様をしずかに認めつつ歩く朝の散歩だ。(髙橋正子)

11月11日~11月20日

11月20日(4名)
多田 有花
白壁の塀の上より実南天★★★
昇りくる朝日が照らす冬紅葉★★★
鴨浮かべ光の波のゆるやかに★★★★

廣田洋一
銀杏落葉今盛りなる並木道★★★
小春日や庭の手入れに余念なし★★★
ぽつぽつと白き躑躅の返り花★★★

小口泰與
日の落ちる速さや鴨は水中へ★★★
子等も来て暖炉の前の紅茶かな★★★★
凍星や闇路の果てのひと明かり★★★★

桑本栄太郎
坂道を下る垣根やお茶の花★★★
ぎんなんも添えて銀杏の落葉かな★★★
冬うらら日当たりながら爪を切る★★★

11月19日(6名)
多田 有花
小春日や庭木手入れの鋏音★★★
冬の柿つるりと光返しおり★★★
前山にいま盛りなり冬紅葉★★★

小口泰與
山の辺の冬鳴く鳥の僅かにて★★★
表札もやや古びたり空っ風★★★
上州や落葉うながす山の風★★★

桑本栄太郎
勇忌の落葉敷く高瀬川★★★
しぐるるや太陽鈍く雲の間に★★★
黄落やバスの過ぎれば舞い上がる★★★

廣田洋一
冬天に咲き残りたる鶏頭花★★★
山茶花の艶やかに咲くひとところ★★★
赤き実と見えし蕾や寒椿★★★

土橋みよ
 東北自動車道3句
落葉跳ね魚影の如く眩しけり★★★

弧を描き紅葉の山に分け行けり
「弧を描き」は、弧を描いている山道を車で分け行ったのだと想像できますが、
分かりにくいです。(髙橋正子)

寒昴街薄くして富士の峰
「寒昴」と「富士の峰」の二つが同じ強さで詠まれています。(髙橋正子)

上島祥子
冬薔薇の巻緩やかに解く朝★★★
冬晴れに飛行機雲のとける朝★★★
一反の苅田となって香豊か(原句)
一反の苅田となって豊かな香(か)(正子添削)
リズムを整えると、落ち着いた句になるので、添削した。(髙橋正子)

11月18日(5名)
多田 有花
鶺鴒の冬青空を背に立ちぬ★★★
冬紅葉薄き日差しを浴びており★★★
冬浅き菜園に柚子黄色なり★★★

小口泰與
冬翡翠の背に朝日射す山の沼★★★
釣人の駄弁になりし冬の宿★★★
花八手少年野球溌溂と★★★

廣田洋一
水底に木の葉光れる小春川★★★
帰り咲く薬局前の躑躅かな★★★
山茶花や笑顔で人を出迎えり★★★

桑本栄太郎
木枯や風の色づき葉の散りぬ★★★
日の射せど風の強きや冬紅葉★★★
あでやかに階(きざわし)埋め落葉かな★★★

土橋みよ
青りんご碓氷峠を越えて来し★★★
初冬や膳に長野の半生蕎麦★★★
落葉風旅荷の隅の力餅★★★★

11月17日(4名)
土橋みよ
朝日浴び白粉薄き吊るし柿(原句)
朝日浴び薄き粉ふく吊し柿(正子添削)
季語としての表記は「吊し柿」が一般的です。(髙橋正子)

風の音悴む手で編む大根束(原句)
風音や悴む手で編む大根束(正子添削①)
風音に悴む手で編む大根束(正子添削②)

冬晴れの富士の見ゆるや50号線★★★

桑本栄太郎
三婆のベンチに座り日向ぼこ★★★
小春日の母の匂いや幼き日★★★
さくさくと音軽ろやかに落葉道★★★

廣田洋一
ぬかづきて神の名唱え神の留守★★★
隣近所声かけ合いて落葉掃き★★★
雪脚の少し伸びたり富士の山★★★

多田 有花
一葉を残し桜の散り果てる★★★
玄関に人を迎える冬紅葉★★★
吊るし柿揺れることなき小六月★★★

11月16日(5名)
多田 有花
きんもくせい残り香のある冬はじめ★★★
冬浅し郵便局で柿もらう★★★
ビデンスや小春日和に咲いており★★★

高橋 秀之
昼下がり園児が落ち葉掃き集め★★★
客船に差し込む陽ざし冬の海★★★
展望台遠くに見ゆる冬の富士★★★

廣田洋一
由比ヶ浜富士を仰ぎて小六月★★★
人影の見えざる街に冬の月★★★
口開けて鯉浮き来たる冬の池★★★

小口泰與
安けくて炬燵の熟寝(うまい)仏の間 ★★★
山祇へ参拝せしやスキー場★★★
鶴啼きて大和島根の空に舞う★★★

桑本栄太郎
讃美歌の声の小窓に冬の朝★★★★
落葉掃く人のあとより落葉かな★★★
あおぞらに冬の紅葉の楓かな★★★

11月15日(5名)
友田修
朝日差す今は明るき枯野かな(原句)
朝日差す今ぞ明るき枯野かな(正子添削)

日差し受け透けて交わる紅葉かな(原句)
日差し受け透けて交わる紅葉の枝(え)(正子添削)

柔らかき日差しもらいて散る紅葉★★★★

多田 有花
ひつじ穂をつけて並べる十一月★★★
冬紅葉煙らせ雨の降りしきる★★★
じょうびたきの鳴き声響く浅き冬★★★★

小口泰與
透き通る空の蒼さや冬の朝★★★
裾長き赤城の嶺や雪催★★★
空っ風風の呼び名の大八洲★★★

桑本栄太郎
綿虫の浮かぶ日差しや風のなく★★★
橡の葉のガサと踏み行く落葉かな(原句)
元の句は、日本語の文法にあわせると、意味が通じません。(髙橋正子)
橡の葉の落葉をガサと踏み行けり(正子添削)

沈み込むような蒼空冬日さす★★★

廣田洋一
切干や一人の酒の進みおり★★★
小春日や半袖着たる異国人★★★
デフリンピック競技始まる小春かな★★★

11月14日(3名)
桑本栄太郎
さくさくと又もくもくと落葉踏む★★★
学校の始業チャイムや小春日に★★★
上枝(ほつえ)より冬の紅葉の楓かな★★★

小口泰與
冬なれど利根の流れのふとぶとし★★★
貰いたる蜜柑に里の日の温み★★★★
赤城嶺の忠治の声の空つ風★★★

多田 有花
陽を受けているばかりなり冬紅葉★★★★
冬の散歩盗人萩を連れ帰る★★★
柿いまだたっぷり初冬の枝にあり★★★

11月13日(5名)

多田 有花
冬の薔薇ポケットパークの一画に★★★
南天の赤さ深まる頃となる★★★
「頃となる」にはやさしい抒情的なひびきがあります。もう少し句をふかくするには、「頃となる」に工夫がいるでしょう。(髙橋正子)
南天の赤さ深まる時が来ぬ(正子添削例)

小春日の畑にぽつぽつ人の影★★★

廣田洋一
真夜覚めて窓越しに見る冬の星(原句)
「見る」を工夫するといいと思います。(髙橋正子)
真夜覚めて窓越しにある冬の星(正子添削)

冬耕の終わるを待ちて群れ雀★★★
風除けの樹の囲みたる大農家★★★

桑本栄太郎
あご髭の堅くとがりぬ冬の朝★★★
時雨れ降る窓の明かりの庭木かな(原句)
「窓の明かりの庭木」がわかりにくいです。(髙橋正子)
時雨降る窓の明かりに庭木かな(正子添削)

冬ざれやテレビ付け食う妻の留守★★★

土橋みよ
 茨城空港3句
降り立てば牛糞の匂い秋の風★★★★
秋夕焼温室群の光りだす★★★
行く秋や乗客の列に機影差し★★★

小口泰與
忽然と地震(ない)の起こるや冬の夜★★★
冬紅葉散るを促す風の中★★★
競走馬の肉は硬しや雪催い★★★★

11月12日(2名)
小口泰與
里の冬もろもろの影躍動す★★★
寒雀もんどり打って樋の中★★★
百とせの利根の流れや寒の声★★★

桑本栄太郎
川べりの色づき来たる草もみじ★★★
穂すすきやパンパグラスと云う白に★★★
金柑の色づき来たる垣根かな★★★

11月11日(1名)
桑本栄太郎
梢より裸となりぬ銀杏黄葉★★★
遠山の日差し明かりや冬紅葉★★★
橡の葉の枯葉踏みゆく散歩かな(原句)
橡の葉の枯葉踏みゆく朝(あした)かな(正子添削)
「踏みゆく」があるので、「散歩」は省くのがいいと思います。(髙橋正子)

11月11日(火)

曇り
わが歌に喃語歌めく冬の部屋     正子
短日の肉じゃがほっくり煮えており  正子

●午前中、11月句会のコメントを入賞発表に貼り付ける。
自由な徳箱、秀句のコメントをきのう分まで書き込む。

●午後、句美子の家へ手伝いに行く。ゆうまくんは、きょうは「大きなくりの木の下で」を歌うと、「あーあーあー」と歌い、手をふったりする。歌がすきな子のようである。7か月なので言葉にはならないが、歌っている。「大きなくりの木の下で」が好きなようなのだ。「あ」の発音がはっきりしている。

●夜、発行所ブログを見やすくするために、記事の順序を入れ替える。