2月1日(金)


真闇下りきらりきらりと霙降る  正子
霙降り手袋無き手の骨とがる   正子
北窓の朝のあかりに春隣     正子
一部屋に九時の明るさ春隣    正子

昨日は夕方6時ごろから雨。よく見れば霙。今朝はよく晴れて、冷え込む。

年賀はがき1枚、切手シートが当たる。年賀状も年々減るが、切手シートは毎年当たる。今年も運がいいんだとする。

自由な投句箱/2月1日~10日


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今日の秀句/2月1日~10日


2月10日(3句)

★黄梅を活ける立居の和室かな/小口泰與
黄梅を活けてある和室。そこに日常を立ったり、座ったりして過ごす。穏やかで、きちんとした生活が見える。(高橋正子)

★赤き実の数多光りて冴返る/多田有花
春が来るかと思えば、まだまだ。冴え返る日がある。南天や、もちの実の赤さが目に染む。光が強くなった証拠だ。(高橋正子)

★駅を出で大橋行くや春の雪/桑本栄太郎
駅を出て四条大橋を行く。そこは春の雪が降り、絵画のような世界がある。(高橋正子)

2月9日(1句)

★紅梅の蕾ふくらみ上京す/桑本栄太郎
庭の紅梅を日々見ていて、蕾がいよいよふくらんできた。その日は、故郷を離れて上京する日だ。(高橋正子)

2月8日(2句)

★梅が香のすでに満ちたり陽の中に/多田有花
「すでに満ちたり陽の中に」で馥郁と香る梅の香りに酔いそうだ。(高橋正子)

★ふかふかの芝生に絡み蓬萌ゆ/桑本栄太郎
ふかふかの芝生に混じって萌える蓬。「絡む」ように萌えてきたのだ。身近なところに萌える蓬に春がきたい嬉しさが読める。(高橋正子)

2月7日(2句)

★釣り上げし公魚の腹薄桜/廣田洋一
釣り上げた公魚は、きらきらと輝いて、腹は、薄桜色。いかにも淡水魚の公魚に相応しい色だ。「薄桜色」と見たのがすばらしい。(高橋正子)

★窓磨く朝に小さき梅一輪/川名ますみ
少し暖かくなったから窓を磨きたくなったのだろう。窓を磨く朝。小さな一輪の梅が、咲いているのに気付いた。嬉しくなる梅の開花だ。(高橋正子)

2月6日(3句)

★あけぼのの長き裾野や冴返る/小口泰與
おそらく赤城山の裾野であろう。赤城山は富士山に次いで裾野が長いと聞いている。曙光に見え始めた長い長い裾野からくる冴え返る空気。晴は遠からじ。(高橋正子)

★青き湖挿されしえりの林立す/廣田洋一
琵琶湖の伝統的な漁法のえり漁。幾何学的な、古代の遺跡のような図形に見える。「青き湖」がその印象を強めている。(高橋正子)

★梅が香の窓より来たる礼拝中/桑本栄太郎
礼拝中に、ふと窓から匂う梅の香り。きよらかな思いが深まる。(高橋正子)

2月5日(2句)

★点々と薄氷光る日の出かな/廣田洋一
早朝、外に出ると、地の小さい窪みに張った薄氷がきらっと光る。点々とある窪みを光らせて日が昇ったのだ。大地の緊張感が感じられる。(高橋正子)

★上り来て空の青さや梅香る/桑本栄太郎 
空の青さを本当に実感するときは、どんなときか。丘を上って来て、良い香りに梅の花が咲いているの二である。見上げる空は真っ青。梅の白さ、梅の香りによって空がすっきりとした青空になった。(高橋正子)

2月4日(1句)

★榛名湖へ道真直ぐや春来る/小口泰與
榛名湖へ道が真直ぐなのが、「確かに」春が来ていることを思わせてくれる。(高橋正子)

2月3日(1句)

★冬の梅空の高きに風の音/多田有花
まだ冬ながら梅が一輪二輪と花をつけている。耳をそばだてれば高いところでは、風の吹く音がしている。梅が咲きながらもまだまだ冬の中にいるのだ。(高橋正子)

2月2日(2句)

★鳥影の窓に映るや春近し/小口泰與
日差しが春めいてくると、窓も明るくなり、つい目が窓に向く。窓に鳥の影が映る。長閑な春の日がそこまできている。(高橋正子)

★子を送り冬の星座を見上げけり/古田敬二
夜、子を見送って、家にそそくさと入らず、しばし星空を見上げる。凍てついた冬の星座の輝きに子を送り出したあとの親の気持ちが伝わる。(高橋正子)

2月1日(1句)

★松山の遥か暮れゆく寒明忌/桑本栄太郎
寒明忌は、虚子と並び、子規門下の双璧と言われた革新俳句の河東碧梧桐の忌日で、2月1日。忌日は必ずしも多くの俳人に共有されていると、私は思わないが、「松山の遥か暮れゆく」で、松山と関係ある俳人だろうと推測できる。寒明の近いほのと暮れゆく空を見れば、遥か松山の碧梧桐のことが偲ばれる。(高橋正子)

2月1日~10日


2月10日(4名)

廣田洋一
会合の予定取消し春の雪★★★
空中で消えたる花や春の雪★★★★
プランターのうっすら白き春の雪★★★

小口泰與
黄梅を活ける立居の和室かな★★★★
春耕や風に乗りたる鳶の笛★★★
打ち寄する波刻みおり猫柳★★★★

多田有花
赤き実の数多光りて冴返る★★★★
余寒なお開山堂の鬼瓦★★★
護摩焚きの用意整い寒戻る★★★

桑本栄太郎
駅を出で大橋行くや春の雪★★★★
淡雪の四条大橋自撮りかな★★★
鴨川の水に消えゆく春の雪★★★

2月9日(3名)

小口泰與
春塵や猫は廊下の日当りへ★★★
露天湯のよき湯加減や春の雨★★★★
朝日差し雪解の庭の雀かな★★★

廣田洋一
道端の草うち萎れ冴え返る★★★
会議室へ渡る廊下の冴え返る★★★
ケーブルカー降りたる駅の冴え返る★★★★

桑本栄太郎
紅梅の蕾ふくらみ上京す★★★★
日の射すを待つて撮りたり梅ひらく★★★
写メールに添付したるや梅一輪★★★

2月8日(4名)

多田有花
ヘリコプター霞の彼方へ去りにけり★★★
梅が香のすでに満ちたり陽の中に★★★★
紅梅を見上げておれば鵯飛ぶ★★★

小口泰與
ふわふわに湖を染めたり春落暉★★★
名湖の春光つつむ水面かな★★★
朝東風や利根上流へ釣のぼる★★★★

廣田洋一
春寒し琵琶湖巡りの船の上★★★★
宝物殿客は一人や春寒し★★★
生検の予約定まり春寒し★★★

桑本栄太郎
ふかふかの芝生に絡み蓬萌ゆ★★★★
紅梅と云えど緋色や丘の上★★★
パンジーの顔の数多や鉢並ぶ★★★

2月7日(5名)

小口泰與
パソコンの画面かたまり冴返る★★★
上諏訪の酒と公魚届きけり★★★★
起こりたる狭窄症や木の芽時★★★

多田有花
旧正月シフォンケーキに苺添え★★★★
春なれや晴雨短く入れ替わる★★★
夕霞城の影のみ残りけり★★★

桑本栄太郎
水色の空に日差しや春淡し★★★
採り跡の白き乱れや春の畑★★★★
春睡や目覚めて暗き窓の空★★★

廣田洋一
公魚や釣り人こもる白テント★★★
釣り上げし公魚の腹薄桜★★★★
公魚や横に並びて凍りたり★★★★

川名ますみ
掃除梅咲きそうな日を選ぶ★★★
窓磨く朝に小さき梅一輪★★★★
ふりむけば三つ目の梅ひらきおり★★★

2月6日(4名)

小口泰與
あけぼのの長き裾野や冴返る★★★★
鳥声や赤城の裾野うす霞★★★
夕映えの雲起ちあがる余寒かな★★★

多田有花
大鍋からよそわれ熱々ぼたん汁★★★
白菜漬沢庵漬をお土産に★★★★
寒明の正午の頂に座る★★★★

廣田洋一
浮御堂右に左にえり(魚偏に入)望む★★★
青き湖挿されしえりの林立す★★★★
えりの網整える舟留まれり★★★

桑本栄太郎
陽光の丘上にあふれ梅二月★★★
枝先の一輪二輪梅古木★★★
梅が香の窓より来たる礼拝中★★★★

2月5日(4名)

多田有花
山下りて食べるゆずとろろすき焼★★★
冬送る笑顔を自撮り棒で撮る★★★
寒明の正午の頂に座る★★★★

小口泰與
寒明や傘寿の髪膚ぎごつなし★★★
山風の波の秀刻む二月かな★★★
春立つや赤城の風のいまだ尚★★★★

廣田洋一
点々と薄氷光る日の出かな★★★★
薄氷や一歩滑りて通り過ぐ★★★
薄氷を透けて見えたる鯉の口★★★

桑本栄太郎
上り来て空の青さや梅香る★★★★
丘上の日差し明るく梅開く★★★
紅梅の古木矜持や一二輪★★★

2月4日(6名)

川名ますみ
初笑昨日と同じ人と居て★★★
制服にマフラー鼻まで巻き上げる★★★
隣人の持ちし豚汁春隣★★★★

多田有花
播磨灘沖の光りて春隣★★★
旧友と滝を見に行く冬尽く日★★★★
冬送る雨が降るなり野に山に★★★

小口泰與
春浅し風の刻みし利根の波★★★
榛名湖へ道真直ぐや春来る★★★★
囀りや体重計の針の先★★★

廣田洋一
立春や頬を撫でたる風優し★★★★
夜明け前雨の上がりて春立ちぬ★★★
立春や柔らかくさす日の光★★★

桑本栄太郎
日当たりの峰に一条雪残る★★★
鴨川に浮かぶ鴎や鴨の群★★★
二月早や靄に隠るる奥比叡★★★★

古田敬二
春立てり体重グラフ上向きに★★★★
それぞれに男三人豆をまく★★★
春の音竹に耳当て貰いけり★★★

2月3日(4名)

多田有花
冬の梅空の高きで風の音(原句)
冬の梅空の高きに風の音★★★★(正子添削)
まだ冬ながら梅が一輪二輪と花をつけている。耳をそばだてれば高いところでは、風の吹く音がしている。梅が咲きながらもまだまだ冬の中にいるのだ。(高橋正子)

冠雪の六甲見える頂に★★★
花びらに少し傷持ち寒椿★★★

廣田洋一
味付きの福豆一つ買ひにけり★★★
年取りて数へる気失せ年の豆★★★
帽子かざし豆受けてをり節分会★★★

小口泰與
春隣榛名山(はるな)へ持する雲一朶★★★★
鬼は出づ福は出でずや節分会★★★
恵方巻き廃棄処分の節分の夜★★★

桑本栄太郎
夕方の雨の予報や追儺の日★★★★
息子来て黙の夕餉や恵方巻★★★
鬼を追ふ闇の深さよ窓の外★★★

2月2日(5名)

多田有花
寒中の護摩焚の音響きおり★★★★
日脚伸ぶ頂に立つ影法師★★★
蝋梅の香の領域にいま入る★★★

小口泰與
日脚伸ぶ下校の鞄いろ定か(原句)
日脚伸ぶ下校の鞄のいろ定か★★★★

鳥影の窓に映るや春近し★★★
隠れ沼の黙や岸辺の寒紅梅★★★

廣田洋一
冬空に黄色き灯り柑橘類★★★★
庭の葱つんと尖りて立ちっぱなし★★★
採らぬ間に一皮むけし庭の葱★★★

桑本栄太郎
遠き日の二度寝の夢に春隣★★★
雨滴垂れ凛と咲きたり薮つばき★★★★
淀川の空の茜や寒暮るる★★★

古田敬二
中天にオリオン動き座を占める★★★
子を送り冬の星座を見上げけり★★★★
シリウスも一点冬の三角形★★★

2月1日(4名)

多田有花
寒椿添えられている手水鉢★★★★
倒れ伏しつつも咲きおり水仙花★★★
寒の陽が姫路平野に降り注ぐ★★★

小口泰與
冬晴へアイスバブルの耀けり★★★★
寒暁や耳騒がしき雀達★★★
しかすがに赤城颪にときめけり★★★

廣田洋一
粉雪の舞ひたる家路急ぎ足★★★
夜半覚めて雪しんしんと舞ひてをり★★★★
雪降りて潦のみ残りけり★★★

桑本栄太郎
二月早や水色の空の明るかり★★★
水色の空の彼方や寒暮るる★★★

松山の遥か暮れゆく寒明忌★★★★
寒明忌は、虚子と並び、子規門下の双璧と言われた革新俳句の河東碧梧桐の忌日で、2月1日。忌日は必ずしも多くの俳人に共有されていると、私は思わないが、「松山の遥か暮れゆく」で、松山と関係ある俳人だろうと推測できる。寒明の近いほのと暮れゆく空を見れば、遥か松山の碧梧桐のことが偲ばれる。(高橋正子)