5月21日(水)

晴れ、風が強し

●午前病院へ。薬代を払おうとすると請求額がいつもの倍なのだ。4月に薬価の改正があって、私の薬は先発薬なので値上がったようだ。それに、いつもの薬がなくてジェネリックならあるという。「どうしますか」と言うのだ。どうします?と聞かれても心臓が止まるリスクを考えれば、「はい」というしかない。病院の帰りは1キロほどを歩いて帰った。バイパス沿いの歩道わきにブラックベリーが熟れていた。初め山桑の実と思っていたのだ。

●いつも行くスーパーに隣接したパーキングに生のオレンジジュースの販売機が出来ているのに驚いた。自動販売機の中に生のオレンジがたくさん入れてある。コインをいれるとオレンジをその場で絞って提供してくれるようになっている。1杯350円。
この自販機一つにしても、このところの物価上昇や米が店頭で品薄なのは、社会がはっきりと変わってきたのだ思わざると得ない。ウクライナの戦争が長引いてパンやケーキの値段はたしかに以前の物価感覚に比べれば倍になっている。戦争が社会を変えているのか、それともほかのなにが変えているのか。

自由な投句箱/5月21日~5月31日

 
※当季雑詠3句(春の句・夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/5月21日~5月31日

5月31日(1句)

★天深く光り輝く夏の星/小口泰與
「天深く光り輝く」星に強く魅かれた。「空」でなく「天」としたところにその強い気持ちがよく出ている。(髙橋正子)

5月30日(2句)

★杉苔のつんつん伸びる森の朝/小口泰與
杉苔は、苔のなかでも美しい。杉の葉のように「つんつん」として、特に水気を含んだ杉苔は生き生きしている。夏の森の朝の空気感まで伝わってくる気持ちの良い句。(髙橋正子)
    <桜島>
★火の島を巡れるバスへ夏めきぬ/多田有花
観光でめぐる「火の島」。「火の島」を巡るのにふさわしいバスにまるごと仕立てようと、気候も「夏めきぬ」なのだ。(髙橋正子)

5月29日(2句)

★水筒を肩に子どもら夏の土手/土橋みよ
夏の土手は、芝草も青々と茂って、バッタや小さな虫なども隠れていよう。水筒を肩に子どもらが夏の土手にいる楽しそうな光景だ。(髙橋正子)
★老鶯の竹林ふかくひびきけり/桑本栄太郎
この句の老鶯は「竹林ふかく」に声を響かせている。京の竹林となれば、その声も臈長けて聞こえる。(髙橋正子)

5月28日(3句)

★夏空へ続く噴煙桜島/多田有花
夏空へ「続く」噴煙に、噴煙の勢いが知れる。男性的な桜島をすっきりと詠んでいる。(髙橋正子)

★水鏡空に親しく花菖蒲/上島祥子
水に映った空と花菖蒲が美しい。水に映っているので、空と花菖蒲が同じ平面で、「空に親しく」、つまり空の中にあるようなのだ。「空に親しく」はやさしい。(髙橋正子)

★縁側のガラスを白く海芋咲く/廣田洋一
「縁側のガラスを白く花海芋(正子添削)」でも、いいかも知れない。縁側のガラスを透かして白い海芋(カラー)が見えるのがいい。「縁側」からリラックスした気持ちで見る「~越し」の風情。(髙橋正子)

5月27日

   仙厳園
★石橋の袂にはやも花菖蒲/多田有花
花菖蒲は石橋に似合う。石橋の袂に、石橋の景色を締めまとめるように、花菖蒲が咲いている。ただその景色だけだが、「袂」が効いている。(髙橋正子)

5月26日(1句)

 仙厳園
★緑陰にどっしりありぬ山燈籠/多田有花

山燈籠は、自然石を使った燈籠で、火袋は加工されていることが多く、鹿児島の仙厳園がとくに知られている。庭に自然に溶け込み、桜島を借景に据えられている場所もある。明快な句だが、「どっしり」が山燈籠の風情をよく表している。(髙橋正子)

5月25日(1句)

★泰山木見上げる枝に咲き始む/上島祥子
元の句は、「泰山木見上げる枝から咲き始む」だったが、散文ならば、原句のように「枝から」として経過を表現することがある。俳句は「今」を読むので、眼前の今の事とし、添削した。
泰山木の根方に立って見あげると、ちょうどその枝に、咲き始めた花を見た。花が「今」咲き始めるのを見留めた。その確実さがいい。(髙橋正子)

5月24日(1句)

★ヒメジョオン僅な土に立ち上がり/上島祥子
ヒメジョオンはやさしい印象の野草であるが、強い繁殖力をもつ帰化植物であり、若い個体は比較的浅く根を張るが、わずかな土があれば生育する。「僅かな土に立ち上がり」の観察と視点がいい。(髙橋正子)

5月23日(2句)

★新緑に間近く噴煙桜島/多田有花
桜島は現在も爆発を繰り返している。日によって違うこともあるだろうが、新緑となった山のすぐ間近で噴煙があがっている。新緑も噴煙も共に眼前の景色として生々しい。(髙橋正子)
★青麦や日はかんばせを射しにける/小口泰與
群馬県の小麦の生産は日本でも有数と聞いている。麦が青々と育つころ、日差しは強く眩しくなってくる。日を受けた「かんばせ」がクローズアップされて、印象的である。(髙橋正子)

5月22日(2句)

★夜明け前卯の花白く目覚めおり/廣田洋一
夏の夜明けを待たず作者は目が覚めたのであろう。卯の花を見ると、卯の花も目覚めている。「白く目覚めおり」が卯の花の白のみずみずしい感覚がよく出ていて素晴らしい。(髙橋正子)
★切り戻す薔薇より浮ぶ泡一つ/上島祥子
活けていた薔薇の茎を切り戻す。水上げをよくするため。水の中で切ると切ったところの茎から呼吸をしているように、泡が一つ浮かび出た。観察が鋭い句で、透き通った水、銀色の一粒の泡が、薔薇の美しさを引き立てている。(髙橋正子)

5月21日(2句)

★一斉に穂が揺れ茅花流しかな/桑本栄太郎
秀句として取り上げたが、この句は季語とその他の関係が近すぎるという問題がある。つまり、「一斉に穂が揺れ」は、「茅花流し」の情景の説明になっている。説明がかならずしも悪いわけではないが、情景は美しいが、もう少し離す必要がある。(髙橋正子)
★白薔薇に朱を纏わせる朝陽かな/上島祥子
この句の良さは、「朝陽」が能動的に「朱を纏わせる」と働いている。主体は「朝陽」なのだ。白薔薇を朱に染める力強い朝陽に主眼を置いいる。ヨーロッパの詩には、このような視点が見られるが、俳句ではユニークと言えよう。(髙橋正子)

5月21日~5月31日

5月31日(3名)

小口泰與
初夏の日を浴び伸びる庭の木木★★★
雨の中木木に生えたる苔の森★★★
天深く光り輝く夏の星★★★★
廣田洋一
雨上がり新樹の雨滴光りおり★★★
盛り合わせ忘れず入れる烏賊刺身★★★
五月雨や木の葉を強く揺らしおり★★★
多田有花
<桜島二句>噴
煙を背後に薄暑の絶景を★★★
桜島に五月の波を残し去る★★★
屋久杉の器に盛られ夏料理★★★

5月30日(4名)

小口泰與
新緑の葉にぽつぽつと昼の雨★★★
杉苔のつんつん伸びる森の朝★★★★
安らかな湖畔の風や早苗月★★★
多田有花
<桜島三句>
火の島を巡れるバスへ夏めきぬ★★★★
神の山の噴煙仰ぐ夏はじめ★★★
錦江湾夏の光のなか静か★★★
桑本栄太郎
園児らの駆けて遊びぬ五月晴れ★★★
鉢植えの紫陽花咲きぬ塀の上★★★
泰山木の花の開くや妖艶に★★★
廣田洋一
黒南風に逆らい歩む通学路★★★
麻暖簾ふわり掲げて老舗かな★★★
「老舗」が惜しいです。(髙橋正子)
五月雨や小止みを待ちて出かけたり★★★

5月29日(5名)

廣田洋一
ひらひらと二頭並びて夏の蝶★★★
畑一面唐黍の花穂光りおり★★★★
珊瑚樹の花高校生の夢乗せて★★★
多田有花
<桜島三句>
夏浅き錦江湾をフェリー来る★★★★
初夏の噴煙は大隅半島へ★★★
はつなつの風に吹かれてバスを待つ★★★
小口泰與
きららかな利根の流れや風薫る★★★
翡翠の鳴く鳴く飛ぶよ沼の上(原句)
翡翠の鳴く鳴く飛ぶよ水の上(正子添削)
「沼」では、漠然すぎますので、添削しました。写真と同じく、焦点を当ててください。(髙橋正子)
あけぼのの蝦夷春蝉のにぎにぎし★★★
土橋みよ
行く春や葉にカタツムリ跡曳いて★★★
鍬持てば急かす鳶舞う夏野かな★★★
水筒を肩に子どもら夏の土手★★★★
桑本栄太郎
葛さきの何かを狙う走り梅雨★★★
老鶯の竹林ふかくひびきけり★★★★
枇杷の実の色づき来たる雨あがり★★★★

5月28日(5名)

小口泰與
きわやかな朝日差し込む夏の湖★★★
翡翠の羽音厳しく浮きあがり★★★
白波のき向かう沼や時鳥★★★★
多田有花
<仙厳園二句>
噴煙の高し正門夏めきて★★★
庭園を巡りて後のソフトクリーム★★★
夏空へ続く噴煙桜島★★★★
上島祥子
杜若真っ直ぐ立てる水鏡★★★
萬葉の歌碑有る池や花菖蒲★★★
水鏡空に親しく花菖蒲★★★★
桑本栄太郎
緑蔭の風の小径の散歩かな★★★
あおぞらにかざす朱色は花ざくろ★★★★
夏日さす外より戻ればうす暗く★★★
廣田洋一
公園のマリーゴールド賑々し★★★
縁側のガラスを白く海芋咲く★★★★
しもつけやぱっと顔出す朝の庭★★★

5月27日(4名)

小口泰與
面談の際まで使う扇子かな★★★
翡翠の羽色きわむ水の上★★★
それぞれの木木の若葉や雨の中★★★
多田有花
<仙厳園三句>
石橋の袂にはやも花菖蒲★★★★
桜島の噴煙近し金宝樹★★★
松すっと立ちぬ薄暑の仙厳園★★★
廣田洋一
雨浴びて下を向きたる額の花★★★
曇天に膨らみ来たる実梅かな★★★
茉莉花の八重に咲きたるプランター★★★
桑本栄太郎
信号を待つ間も入りぬ片かげり★★★
つまみ食べほろ苦きかな桜の実★★★
つる薔薇の垣根いろどる美容院★★★★

5月26日(3名)

小口泰與

燗酒をまた聞し召す白絣
この句の「白絣」は、「白絣を着た人」を表すことはできません。(髙橋正子)
繰り返し畑鍛え居るサングラス
この句の「サングラス」は、「サングラスをかけた人」を表すことはできません。(髙橋正子
我が庭の薔薇咲く朝を吉日と★★★
多田有花
<仙厳園三句>
薫風のど真ん中なる桜島★★★
若葉風屏風の鷹も羽ばたかん★★★
緑陰にどっしりありぬ山燈籠★★★★
桑本栄太郎
青枇杷や忌日近づくもの想い★★★
閉校の門に掲示や若葉寒む(原句)
閉校を門に掲示や若葉寒む(正子添削)
「閉校の門に」何を掲示しているのかわかりません。閉校することを門に貼り付けて掲示している場合は、添削句のようになります。(髙橋正子)
憂きことのこの頃多し新樹冷ゆ★★★

月25日(5名)

多田有花

<仙厳園御殿三句>
鎌倉より続く島津や夏浅し★★★
風薫る池に八角形の池★★★
釘隠しの遊び心に緑さす★★★
廣田洋一
紫陽花の光増しけり雨上がり★★★
雨浴びてみどり透きたる柿若葉★★★
十薬や家の周りを取り囲み★★★
小口泰與
梢より翡翠忽と水面へ★★★
老鶯や赤城榛名の競い立つ
翡翠の雌雄競いて水面へと★★★
桑本栄太郎
雨あがり峰に日差しや青葉山★★★

叡山の峰に日矢さす青葉風★★★
屋根昼被う昼餉時とや川床座敷
「屋根被う昼餉時とや川床座敷」とすべきでしょうね。(髙橋正子)
上島祥子
花びらに気泡生まるる薔薇湯かな★★★★
盛り過ぐ花瓶の薔薇は白を増し★★★
泰山木見上げる枝から咲き始む(原句)
泰山木見上げる枝に咲き始む(正子添削)
散文ならば、原句のように「枝から」として経過を表現することがありますが、俳句は「今」を読みますので、眼前の事に焦点を当てるのが賢明と思います。(髙橋正子)

5月24日(4名)

桑本栄太郎
草刈りの音のひびきや団地の庭★★★
木々の葉の色濃くなりぬ走り梅雨★★★
しのび寄る冷えの卯の花腐しかな★★★
小口泰與
甘酒や昨日の体重はや超える★★★
若葉風赤城榛名の優美なり★★★
翡翠の鳴き鳴き飛ぶよ水の上★★★★
多田有花
<仙厳園御殿三句>
五月こそ思無邪の頃と思いけり★★★
天清和壷はロシアに今もあり★★★
薫風が謁見の間を抜けていく★★★
上島祥子
ヒメジョオン僅な土に立ち上がり★★★★
小満や無住の家に庭師来る★★★
尺取り虫今日一番の大声に★★★

5月23日(名)

作業中

多田有花
新緑に間近く噴煙桜島★★★★
はつなつの噴火始まる桜島★★★
獅子が飛ぶ大燈籠や夏浅し★★★
廣田洋一
道挟み青と紅色七変化★★★
石楠花や白綿のごと咲き誇り★★★
街路樹の根元取り巻く昼顔かな★★★
小口泰與
初夏の日を浴びて輝く庭の木木★★★
安らかな湖畔の風や早苗月★★★
青麦や日はかんばせを射しにける★★★★
桑本栄太郎
木洩れ日の木蔭伝いや夏日さす★★★
若竹の天に至るや万歳を★★★
きらきらと煌めき降りぬ竹落葉★★★
(この句も付き過ぎなのです。髙橋正子)

5月22日(4名)

廣田洋一
夜明け前卯の花白く目覚めおり★★★★
夏の蜂香りに惹かれ群がりぬ★★★
錦鶏菊揺れる土手道鳥の声★★★
多田有花
夏きざす新幹線にて鹿児島へ★★★
仙厳園はや紫陽花の色増して★★★
両棒(ぢゃんぼ)食ぶ仙厳園の夏はじめ★★★
桑本栄太郎
ルピナスの毛に被われて豆となる★★★
うつむいて蛍袋の色の濃し★★★
真夏日や木蔭に入りてひと休み★★★
上島祥子
ミニ薔薇の蕾上向く雨の朝★★★
切り戻す薔薇より浮ぶ泡一つ★★★★
青空と社を繋ぐ楠若葉★★★★

5月21日(6名)

小口泰與
崖の巣へ餌持ち帰る翡翠よ★★★
初夏や利根の流れは神代より★★★★
かろうじて辿り着きたる石清水★★★
廣田洋一
青々と色づきたるや七変化★★★
土手道に昼顔咲きて薄明り★★★★
通学の女子高生や姫女苑★★★
多田有花
午後の晴れ風ごうごうと石竹に★★★
五月晴れ広がる花々の上に★★★
夏浅し今年二歳の秋田犬★★★★
土橋みよ
  エアプラント2句
冬咲いて夏枯れ行くを見届けり★★★
花枯れて子株生まれる夏の朝★★★
朝の門黍抱く友の笑顔あり★★★★
桑本栄太郎
小満の風に湿り気ありにけり★★★
あじさいのつぼみつぶつぶ咲きそうに★★★
一斉に穂が揺れ茅花流しかな★★★★
上島祥子
白薔薇に朱を纏わせる朝陽かな★★★★
十薬の帯を境に無住庭★★★
初燕自由に飛んで近き二羽★★★
溌溂とした情景を捉えていますが、「近き二羽」の情景が曖昧なのが残念です。(髙橋正子)

■芍薬忌/信之忌(5月24日)ネット句会ご案内■

■芍薬忌/信之忌(5月24日)ネット句会ご案内■

名誉主宰の髙橋信之先生は2023年5月24日に亡くなられました。今年は3周忌を迎えます。つきましては以下の通り、芍薬忌(信之忌)ネット句会を開催いたします。ご参加くださいますよう、ご案内いたします。

※芍薬忌の忌日名は、信之先生が亡くなられたのが、芍薬の咲く時期でもあり、また5月28日の誕生日ごろ咲く花でしたので、好んでおりました。愛媛の砥部の庭には一重の昔ながらの芍薬を植えて、咲くのを楽しみにしていたことから「芍薬忌」としました。
(花冠代表 髙橋正子)

 記
①投句:献句1句と当季雑詠3句
 5月19日(月)午前6時~5月24日(土)午後5時
②投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:5月24日(土)午後6時~午後10時
②入賞発表:5月25日(日)正午(予定)
      献句については選をいたしません。
③伝言・お礼等の投稿は、5月25日(日)正午~5月29日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:髙橋句美子・西村友宏