3月21日(金)

晴れ
濃き色の桜が咲いて犬がおり    正子
プランターを耕し青菜の種蒔く 正子

●今日から急速に暖かくなる予報。あさっての日曜日はお寺で彼岸法会がある。今回は子供たちは予定が詰まっているので一人で出かける。お墓参り用の線香を売っていると息子が言うので、スーパーで白檀の香りのを買った。指くらいの束が4つ入っていた。

●花冠の372号に花冠の俳句の本質的なことについての貴重な文章を書いていただいた。その記事の肝心なところへの反応を会員の皆さんから、発行して3か月になるのに、はっきりと聞くことができていなので、気になっている。先日会員の一人と電話で話すことがあったので、雑談の中で聞いてみた。「花冠の俳句はモーツァルトのようだと言う記事に誰も反応しなかったのだけれど。どうなんでしょうかね。」と言うと「ベートーベンは知っているがモーツァルトは知らないから、言いようがない。」と話す。想像もしていない返事だった。私は、クラッシックが好きで普段何気なく聞いているが、モーツァルトを知らない俳人も多いのかも知れないと、思い直した。多様であっていい。そうは思うものの、俳句と言う短い詩で、読者に読まれて成立する詩型で、感情や感覚の共有が難しいというのは、句会が成り立たないのではと思うほど、今日は落ち込んでいる。
Tilling the soil in the planter,
 I sow the seeds 
of green vegetables.  
                          ― Masako       ※Tilling and cultivation are  spring season words.
The day after tomorrow, I will attend the Euinox Buddhist service at the temple alone. After that, I will visit my husband's grave with flowers and joss sticks. I'm looking forward to seeing which blossoms are blooming in the graveyard. Maybe cherry blossoms, and in some parts,camellias or spring flowers.
     Übermorgen werde ich alleine an der buddhistischen Tagundnachtgleiche-Zeremonie im Tempel teilnehmen. Danach werde ich das Grab meines Mannes mit Blumen und Räucherstäbchen besuchen.

自由な投句箱/3月21日~3月31日

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。 
    
       🍃   🍃   🍃   🍃   🍃   🍃
      今日の俳句『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著)より
   右端に🌸の印が付いている句は、(現)または(元)花冠会員の句
   名前の右端に🍁の印が付いている句は、花冠に縁の深い方の句
3月31日
★春の夢みてゐて瞼ぬれにけり       三橋 鷹女(みつはし たかじょ)
3月30日
★春の雪青菜を茹でていたる間も      細見 綾子(ほそみ あやこ)
3月29日
★梨咲くと葛飾の野はとの曇り       水原 秋櫻子(みずはら しゅうおうし)
3月28日
★わが背丈以上は空や初雲雀        中村 草田男(なかむら くさたお)
3月27日
★イースター青い卵の贈り物        髙橋 句美子(たかはし くみこ)🌸
3月26日
★村中に水流れ出しつばめ来る       澤井  渥(さわい あつし) 🌸
3月25日
★一点より縦横の道卒業す         大石 和堂(おおいし わどう)🌸
3月24日
★産声を待つ部屋の窓白木蓮        高橋 秀之(たかはし ひでゆき)🌸
3月23日
★物の種にぎればいのちひしめける     日野 草城(ひの そうじょう)
3月22
★バスを待ち大路の春をうたがはず     石田 波郷(いしだ はきょう)
3月21日
★チューリップ喜びだけを持ってゐる    細見 綾子(ほそみ あやこ)

今日の秀句/3月21日~3月31日

3月31日(1句)

★白蝶の低く舞いけり庭真中/小口泰與
白蝶が、庭の中心に低く下りて来て、ひらひらと舞っている。庭の中心に浮いたような感じで、舞姿をみせてくれて、なにか伝えているようでもある。(髙橋正子)
3月30日(1句)

★白れんの咲くや人無き校庭に/多田有花
白れんが咲くころは、学校は春休みで校庭に誰もいない。そんな校庭にも白れんは、白い花をみずみずしく咲かせている。周囲に関係なく、自らが精いっぱい花を開く姿に、人の行為を見るような思いになる。(髙橋正子)
3月29日(1句)

★早々と花冷え来たる今朝の空/桑本栄太郎
桜が咲き始めたばかりの今朝の空。日本人の繊細な感受性が「花冷え」と言う美しい季語を生んでいるが、作者も繊細に季節を感じている。「早々」に、季節の移ろいの早やさが読み取れる。(髙橋正子)
3月28日(1句)

★青年にコロンの香り春の宵/多田有花
青年から匂うコロンの香りは、青春の爽やかさやみずみずしさを感じさせてくれる。それが春の宵なので、ロマンティックで、儚い気分にもなる。(髙橋正子)
3月27日(1句)

★白れんの傷つき来たる空の青/桑本栄太郎
「白れんが傷つく」は一般に俳句によく詠まれているが、この句の良さは、「傷づき来たる」と、白れんが傷ついていく経過を詠んでいるところ。毎日見上げていると、なかには傷つくものも出て来る。その経過に「もののあはれ」の心情が働いている。(髙橋正子)
3月26日(1句)

★夕空に黒線引きて鶴帰る/廣田洋一 
地上の鶴が舞い上がり北へ帰るとき、列を作るが、それが高くあがって、ついには、黒い線に見えた。白い鶴も天上たかく影のように黒く見えるところに感慨がある。
私は、最初この句を読んだよき、空に「黒線引きて」で少し不安な不気味な気持ちになり、「一線引きて」ではと提案しました。そうしたら、作者から、「一線」という音感が良いと返事をもらいました。私の添削の主眼はそこ(音感)ではなかったので、考えなおしました。作者の言いたいのは、「黒線」だとわかりました。それで元の句をよし、としました。(髙橋正子)
3月25日(1句)

★うたた寝の夢の中なる大試験/小口泰與
試験は人の心に重荷をかけている。特に大試験ともなれば、その緊張の記憶は、生涯の記憶として残る人もいる。うたた寝にも若き日のその夢を見るとは。(髙橋正子)

★菜の花の黄色よ遠くに輝くは/多田有花
菜の花の黄色は、やさしい色でありながら、遠目にも輝いて印象深い。(髙橋正子)
3月24日(1句)

★散らばりて青き輝きいぬふぐり/多田有花
いぬふぐりは、小さい花が群生しているようで、それぞれの花は散らばったように咲いている。素直にさっぱりと詠んでいて、いぬふぐりの青い色に清潔感がある。(髙橋正子)
3月23日(1句)

★菜の花の高々咲きし空の青/廣田洋一
菜の花が高々と咲いているのが特に目に入ったのだろう。その菜の花は空の青色に染まらず、くっきりとした姿だった。それがとても美しい。(髙橋正子)

3月22日(2句)

★朝日浴ぶ開花の近き山桜/多田有花
朝日は山に一番に届くように思える。染井吉野ができるまでは、古来より詠われたのは山桜である。朝日と山桜のみずみずしい出会いがいい。(髙橋正子)

★春の日の匂いをつけて猫戻る/上島祥子
暖かい春の日のなかで、飼い猫は、自由に遊んだのだろう。帰ってきた猫は、春の日のほっこりした匂いがしている。ほのぼのとした気持ちになる句。(髙橋正子)
3月21日(1句)

★駒返る草のみどりや堰の水/桑本栄太郎
「駒返る草」は、若返る草、枯草の中から、新しい草が芽生えてくる情景を象徴的に言った言葉で春の季語となっている。詩的な情緒を醸す効果があるが、この句でも草のがみどりが生き生きと目に映る。川土手の草であろう、堰の水がかがやいている。(髙橋正子)

3月21日~3月31日

3月31日(3名)
多田有花
夕刻の空に舞いおり初つばめ(原句)
「舞いおり」の部分に、観察したこと、感じたことを入れると、特別な初つばめになります。(髙橋正子)
夕刻の空にいきいき初つばめ(正子添削例)

染井吉野つぼみ綻び初む午後に★★★
折れてなお花は蕾をほころばせ★★★

小口泰與
それぞれの鳴き声盛ん森の春★★★
白蝶の低く舞けり庭真中★★★★
ばらの芽のほぐれて赤き雨の中★★★

桑本栄太郎
送電線の峰より里へ山笑う★★★
校門のさくら七分や式を待つ★★★
さざ波のわらわら走る残り鴨★★★
3月30日(3名)

小口泰與
立ち話言葉奪わる春疾風★★★
白蓮の高貴な色に目を染し★★★
産土の風ういういしくも夜の梅★★★

多田有花
すみれ咲くコンクリートの隙間より★★★
刻々と前山さくらを点しおり★★★
白れんの咲くや人無き校庭に★★★★

桑本栄太郎
とめどなく雲の奔りぬ春疾風★★★
足もとに忽と落ちたる椿かな★★★
廃校となりぬ校門さくら咲く★★★
3月29日(4名)
廣田洋一
どう見ても白く咲きたる桜かな★★★
川沿いの桜のために廻り道★★★
雨の日は口を閉ざしてチューリップ★★★

小口泰與
鳥鳴いて花の噂を届けたり★★★
閉店の噂広まる春嵐★★★
魚跳ねし沼の岸辺の蕗の薹★★★

桑本栄太郎
早々と花冷え来たる今朝の空★★★★
ことさらに空の青さよ春の風★★★
白れんの傷つき散りぬ舗道かな★★★
上島祥子
猫の躰かいても届かず春の蚤★★★
真剣に語るほどの春の蚤★★★
春の雷出迎えの猫戸口まで★★★

3月28日(4名)
小口泰與
納豆を百回交ぜて春の暮★★★
手のひらを台とせるや春山雀★★★
あけぼのの梅の台の風に揺れ★★★

多田有花
青年にコロンの香り春の宵★★★★
道の辺の初ざくら愛で歩きおり★★★
雨あがり今朝咲き初めし山桜★★★

廣田洋一
霾りし木々を洗える雨となり★★★
降る雨に逆らい開く桜かな★★★
雨浴びて半ば閉じたるチューリップ★★★

桑本栄太郎
おだおだと時には強く春の風★★★
急かされて遂に咲き出す桜かな★★★
大風に揺れて躍りぬ雪やなぎ★★★

3月27日(5句)
小口泰與
美しき山のすそ野や春の鴨★★★
霾るや嫌いなものの多かりき★★★
手のひらの餌に舞い来る春山雀★★★

廣田洋一
ようやくに淡紅色の花咲けり★★★
桜咲く葉も青々と開きけり★★★★
チューリップ前へ倣えと赤き色★★★

多田有花
新しきカフェオープンの春なかば★★★
いぬふぐり畔にさざめく小さき星★★★
朗らかに春の小川は流れおり★★★★

桑本栄太郎
石垣に張り付き咲きぬ菫かな★★★
山茱萸の浮かぶようなり青き空★★★
白れんの傷つき来たる空の青★★★★

上島祥子
夕方の光に白増す雪柳★★★
アネモネの香の慎ましく北廊下★★★
蝶番う静けさの勝つ史跡奥★★★★
3月26日(4名)

小口泰與
大太鼓連打したるや春祭★★★
山里の鳥声交る春の川★★★
うちつけに鴉鳴きたり冴返る★★★

廣田洋一
夕空に黒線引きて鶴帰る(原句)
夕空に一線引きて鶴帰る(正子添削例) 
「黒線」ではなく、「一線」ではどうでしょうか。句意から、いわゆる「~と一線を引く」の意味と間違えることはないと思います。(髙橋正子)

紫の躑躅咲きたる庭の隅★★★
桜咲く待ち人の顔ほころびぬ★★★

多田有花
来る燕今宵はいずこの空の下★★★★
清少納言よ春は確かにあけぼのよ★★★
天気と開花比べ花見の計画を★★★

桑本栄太郎
雪やなぎ風の行方の定まらず★★★
ふるさとの遠くをおもう犀星忌★★★
誓子忌の海のあかねや日本海★★★
3月25日(4名)
小口泰與
明け六つの春の寒さに身を切られ★★★
丑三つの犬の遠吠え春の火事★★★
うたた寝の夢の中なる大試験★★★★

廣田洋一
八重椿花弁一つ零しけり★★★
囀りや右に左に並木道★★★
車椅子開花を待ちて停まりおり★★★

多田有花
菜の花の黄色よ遠くに輝くは★★★★
春休み少年らはゆく自転車で★★★
憧れの色春宵の空の色★★★

桑本栄太郎
剥がすよに上衣脱ぎたり春暑し★★★
胡沙降るや母の忌日の近づきぬ★★★
見渡せば在所いずこも霾ぐもり★★★

3月24日(5名)
小口泰與
鳥交るうすすく頃の川の色★★★
足からの寒さ伝わる梅見月★★★
歓声を上げる園児や春の沼★★★

廣田洋一
陽光てふ(ちょう)桜光れる明日かな
「陽光てふ(ちょう)桜光れる朝かな」 でしょうか。

桜の芽大きくふふみて時を待つ★★★
ひっそりと下を向きたる花馬酔木★★★

多田有花
はや日陰選んで歩く彼岸過ぎ★★★
春の昼異国の歌を聴いている★★★

散りばめて青き輝きいぬふぐり(原句)
散らばりて青き輝きいぬふぐり(正子添削)

土橋みよ
春の日を浴びて花芽のこちら向く★★★
オステオを植える彼岸の藤の園★★★
シクラメン花咲く傍に温度計★★★
桑本栄太郎
日輪の滲みて居りぬ霾ぐもり★★★
白れんのにつと微笑み咲き初むる★★★
稚けなきものの哀れやすみれ咲く ★★★
3月23日(4名)
小口泰與
浅間嶺のいよよ雪解や朝の風★★★
残りたる一羽の鴨や沼の淵★★★
残りしか残されしかか鴨一羽★★★

廣田洋一
空の色分けて貰いていぬふぐり★★★
菜の花の高々咲きし空の青★★★★
丹沢の稜線きりり風光る★★★★

多田有花
起床してまず洗濯の彼岸明★★★
春宵にダンスステップ踏みにけり★★★
窓開けて昼餉の用意春暑し★★★

桑本栄太郎
水底の日の斑ゆらぐや蘆の角★★★
咲き分けの梅の花咲く狭庭かな★★★
豆の花ツタンカーメンてう(ちょう)名まえ★★★
3月22日(5名)
桑本栄太郎
まんさくの陽光集め紡ぎ居り★★★★
春の夜やまた読み返す太平記★★★
褒めらるる事のなけれど暖かし★★★

多田有花
快晴の春の窓辺にすずめ来る★★★
朝日浴ぶ開花の近き山桜★★★★
春なれば音楽流し踊りけり★★★

小口泰與
子雀の足を滑らせ水瓶へ★★★★
かたかごの花咲き競う斜面かな★★★★
ひこばえや長き梢に鳥の数★★★

廣田洋一
鮮やかに咲き揃いたるシクラメン★★★
シクラメン鉢より花の溢れおり★★★
雪柳法面白く揺らしおり★★★★
上島祥子
春の日の匂いをつけて猫戻る★★★★
眼薬の手早く点して花粉症★★★
春夕日キャッチボールはリズム良く★★★
3月21日(4名)
小口泰與
大利根の流れい行くは雪解水★★★
色めきて日の出の湖や百千鳥★★★
彩雲の浮かぶ榛名や春の雁★★★

多田有花
春分や豆苗すっと立ち上がる★★★
春寒の中で確かむ開花予想★★★
盛大に花粉流るる彼岸かな★★★

桑本栄太郎
霾天(ばいてん)のうす紫の在所かな★★★
駒返る草のみどりや堰の水★★★★
まんさくの去年の葉あれど結びけり★★★
土橋みよ
        足利フラワーパーク
藤の芽のトンネルくぐる夕陽背に★★★
「魔笛」鳴るチューリップの径軽やかに ★★★