現代俳句一日一句鑑賞/8月23日

8月23日

新涼や重ねし絹に鋏音  河 ひろこ(かわ ひろこ)

 新涼のさわやかさの中で、布を断つよろこび。しなやかな絹を断つ鋏の音は、また絹の音とも感じられる。重ねた絹に鋏を入れるには、よほど布に慣れた人でないと勇気がいるものだが、それを自然にこなす腕のすばらしさも伺える。
『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著/水煙ネット/2005年発行)より

8月22日(木)処暑

朝立ち、のち曇り

つゆ草の雨に灯れる花の青    正子
つゆ草や父母名もなく死ににけり 正子
萩の枝すっぱり刈られ処暑迎う  正子

●自由な投句箱を昨日から夏休み。代わりに『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著/水煙ネット発行2005年)から毎日の句を掲載したら、訪問者が減るとことを想定したが、それどころか倍になっていた。西垣脩、谷野予志の句が、新鮮に思えたのだと思う。

●句集『水の音』のお礼の手紙を出す。ポストへ行く途中、近所の奥さんにつかまり、立ち話。普段挨拶程度なのだが、今日は若いころ登山が趣味で、尾瀬には20回以上行ったという話をした。1回しか行ったことがない私にはうらやましい話だが、今度高尾山に行こうと誘われた。高尾山には何種類も桜を植えているところがあり、桜のころは、いつ行ってもどれかの桜が咲いているとのこと。まだ先の春のことだから、忘れるかも知れない。

現代俳句一日一句鑑賞/8月22日

8月22日

葡萄園影にまみれて幹並ぶ  谷野 予志(たにの よし)
 葡萄園に秋の日が差して、ちらちらと影と日向の班ら模様が出来ている。しかし、幹は影の部分となって立ち並んでいる。「影にまみれて」は葡萄棚の茂りを確固とした幹に着目し、葡萄園に生まれる影の美しさを余すところなく伝えている。
『現代俳句一日一句鑑賞』(髙橋正子著/水煙ネット/2005年発行)より