自由な投句箱/7月21日~7月31日

※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

7月21日~7月31日

7月31日(4名)
小口泰與
翡翠の番いや木木を震わせて★★★
さもなくば庭の薔薇見て帰られよ★★★
翡翠や魚を雌に届けける★★★
廣田洋一
炎天下背広の上着手に抱え★★★
炎天に木の葉のアーチ段葛★★★
浴衣着て連立ち散歩古都暮色★★★
多田有花
夏の朝腰赤燕の巣を出でぬ★★★
暁や日の出を呼びぬほととぎす★★★★
入道雲育ち盛りの午後の空★★★★
桑本栄太郎
 <JR嵯峨野線を京都より亀岡へ>
亀岡へ西日の中を嵯峨野線★★★
嵯峨野線の夕日の中を嵐山★★★
涼風の部屋吹き抜ける今日の朝★★★
7月30日(5名)

小口泰與
雨蛙奇岩の妙義さまよえる★★★
勝糸に蚯蚓を付けて置鈎に★★★
夕焼の覚めて終えば鳥の夜★★★

桑本栄太郎
朝五時の鳴り響き居り威し銃★★★
さるすべりあの日あの時想い居り★★★
日を合わせ逢う約束も帰省かな★★★★

廣田洋一
厄払うかわらけ投げて晩夏光★★★★
神鈴に心を浄め夏の果★★★
水馬結界もなくはね廻り★★★

多田有花
夏の朝下弦の月が中天に★★★
かなかなや夜明けの街に響きおり★★★
ボランティア夏の花壇を手入れする★★★

弓削和人
夏朝や一湖と吾のほかになし(原句)
「夏朝」は「夏の朝」とするべきです。一句の流れからすれば、切字「や」は欲しいですね。それを生かして添削しました。(髙橋正子)
朝涼や一湖と吾のほかになし(正子添削)

じーじーと蟲の浄める夏夜かな★★★
背表紙のやわくしおれり女梅雨★★★
7月29日(3名)

小口泰與
翡翠や終の楽しみ見つけたる★★★
老犬の昼寝さまたぐ昼雷★★★
芝刈られ虫の出で来る夏の朝★★★
いい目の付け所ですが、あと少しです。(髙橋正子)

廣田洋一
からからと氷鳴らして夜の秋★★★★
駅出でて雨に深まる夜の秋★★★★
突然に泳ぎ出したる媼かな★★★

多田有花
冷房の通勤電車の静けさよ★★★
女子大前駅夏服の女学生★★★
武庫川駅ホームは夏の川の上★★★
そうですよね。惜しい句ですね。(髙橋正子)
7月28日(4名)

多田有花
月鈍くぼやけて上がる熱帯夜★★★
蚊取線香きれいな渦を崩す朝★★★
「崩す」が、句を平凡にしているのが惜しいです。むしろ、「崩す」前の「残る」とかの方がいいと思います。(髙橋正子)

花火の音遠き夜空に響きおり★★★★

廣田洋一
生垣の上に鮮やか凌霄花★★
二階より流れ落ちたる凌霄花★★★
 見方が面白いです。(髙橋正子)
木から木へ移りて行ける蝉の声★★★
 この句も目の付け所がいいと思います。(髙橋正子)

桑本栄太郎
ぎらぎらと京の町屋に極暑来る★★★
南座の大屋根灼ける酷暑かな★★★
鴨川の河に迫り出す川床料理★★★

小口泰與
銀鱗を日に晒したる夏の沼★★★
両岸で鳴き合う蝦蟇の声高し★★★
忽然と夕立ちありて木木の色★★★
7月27日(3名)
廣田洋一
七変化緑色にて締めにけり
句意はとてもいいです。「締めにけり」がおしいです。(髙橋正子)
七変化緑色にて花を終ゆ(正子添削例)

茄子の紺そのまま生かしすまし汁
この句も句意はとてもいいです。「生かし」が気になります。写生の方向で。(髙橋正子)

胡瓜一本おやつにしたる小学生(原句)
小学生の様子が分かるとさらにいいと思います。(髙橋正子)
胡瓜一本おやつに齧る小学生(正子添削例)

多田有花
泉州が沖に横たう夏の海★★★
青信号横断歩道を日傘の波★★★
空蝉のきれいに割れし背中かな★★★
桑本栄太郎
短夜や新聞受けの音に起き★★★★
朝仕事終えて玉なす汗しずく★★★
ぎらぎらと枝葉透きたる極暑かな★★★ 
 
7月26日(5名)

小口泰與
さまざまな形のありて雲の峰★★★★
大鯰髭を振り上げ沼覚ます★★★
夏の朝沼を賑わす野鳥達★★★

多田有花
夏休みの朝はラジオ体操に★★★
ひと皿の激辛カレー炎暑かな★★★
日が昇るやがて熊蝉大合唱★★★

廣田洋一
走り根や大きく育つ夏茸★★★★
蟬飛び来たり一声もなく飛び去りぬ★★★
三河産鰻を食べる家族連れ★★★

桑本栄太郎
朝五時の早や競い合う蝉しぐれ★★★
刻々と梅雨出水なるニュースかな★★★
地ぼてりや餌曳く蟻の木蔭道★★★

弓削和人
涼しさや雨つぶふくむ葉の揺れに★★★
「ふくむ」が正確さに欠けるように思います。写生が大事です。(髙橋正子)

隣る世へ長針わずかの昼寝覚★★★
炎天を遠ざかりたるは吾の影 ★★★
7月25日(4名)
小口泰與
弓なりの竿に山女や女の子★★★
翡翠の飛び立つ構え蒼き空★★★
蜥蜴出で九十九折をばさ迷えり★★★

廣田洋一
さわさわとそよげる木の葉晩夏光★★★★
公園の木椅子に二人夕涼み★★★
県境一つ越えれば旱川★★★

多田有花
片陰に休む巣立ちの燕たち★★★
土用丑うなぎたっぷり売られおり★★★
日焼けせし少年の髪つややかに★★★★

桑本栄太郎
ゲリラなる雷雨のありや黒き雲★★★
日盛りや予報疑い傘を持つ★★★
一瞬の途絶えのありぬ蝉しぐれ★★★
7月24日(5名)
小口泰與
一天に比ぶ榛名と夏赤城★★★
鮎釣りの長竿収む雨もよい★★★
赤赤の百日紅へ夕日かな★★★

多田有花
救難訓練猛暑の河川敷★★★
朝焼やいくつ飛び交う鳥の影★★★
朝の雨街に打水のごとし★★★★

廣田洋一
蝉の声気温と共に高まりぬ★★★
公園のベンチに座り蝉時雨★★★
陽は西に項垂れている大向日葵★★★

桑本栄太郎
河童忌や虚実のしれぬ人の世に★★★
激雷や天の壊れたかと思う★★★
染みる眼を閉じつつ流し髪洗う★★★

弓削和人
真夏日といえども樹の根動かざる★★★
アスファルト白き夏野を貫けり
「白き夏野」の「白き」はどんな様子なのでしょうか。(髙橋正子)
アラームのさきゆく蝉の時雨かな★★★
7月23日(5名)

小口泰與
魚咥え川蝉喜々と木木の中★★★
落選や悔し涙の夏の夕★★★
翡翠や森の暗みに光差す★★★

多田有花
梅雨明けの風吹き抜ける部屋に寝る★★★
耐えるべきやり過ごすべき酷暑来る★★★
朝夕の活動さかん夏つばめ★★★

廣田洋一
水替えてゆらりと動く金魚かな★★★★
一杯のジントニックや夕晩夏★★★
庭の草みな丈高く晩夏かな★★★

桑本栄太郎
冷房の効き過ぎいたるバス車内★★★
午後からは棲み分けしたるあぶら蝉★★★
嶺の端のくつきり赤く西日落つ★★★

弓削和人
打水の跡のわずかへ車輪過ぎ★★★
動かざる嶺より来る大暑かな★★★★
犬が下影を求める大暑かな★★★
7月22日(5名)

小口泰與
尺物の鮎つり上げし小学生★★★
翡翠の組する枝や夕間暮れ★★★
夕立ちや葉裏に隠くる野鳥達★★★

廣田洋一
雲の無き大暑の空を仰ぎたり★★★★
べたべたとまといつきたる大暑かな★★★
風死してじっと耐えたる道の草★★★

多田有花
川波を光らせ月の涼しかり★★★★
南海に嵐生まれたる大暑★★★
さて大暑掃除洗濯さっぱりと★★★★

桑本栄太郎
ベランダに高く設え古すだれ★★★★
梅雨明けの京の町家の日射しかな★★★
西山の入日茜や大西日★★★

弓削和人
ピーマンやみどりのどこか照りびかり(原句)
「照りびかり」の合成語に無理があると思います。(髙橋正子)
ビーマンやみどりのどこか照りひかり(正子添削①)

桃の実の剥きたる指にゆだねたり(原句)
桃の実を剝きたる指にゆだねたり(正子添削)

向日葵のこの世を見渡すばかりかな ★★★
7月21日(4名)
廣田洋一
長雨の終わりし高さ立葵★★★
打水や開店前の一仕事★★★
打水や風匂い立つ花舗の前★★★★

小口泰與
目の前の薔薇くずおれし雨の中★★★
小魚を咥え翡翠枝に来し★★★
川蝉の日を受け羽のきららなる★★★

多田有花
ピアノ弾くことは瞑想夏の朝★★★
盛夏早暁世の極楽と思うなり★★★
遠くまで行った心地の昼寝覚め★★★★

桑本栄太郎
干乾びてのの字に果つる蚯蚓かな★★★
かなかなや夢見哀しき幼き日★★★
同調のうねりとなりぬ蝉しぐれ ★★★

今日の秀句/7月21日~7月31日

7月31日(1句)

★入道雲育ち盛りの午後の空/多田有花
「育ち盛り」がユーモラス。育ち盛りの男の子のような入道雲が、午後の空にむくむくと湧いている。「午後の空」の大づかみな把握が入道雲の姿をはっきりさせて効果的。(髙橋正子)

7月30日(1句)

★朝涼や一湖と吾のほかになし/弓削和人
吾と湖だけの朝の時。夏の朝の涼しさを一人占めした時間がすばらしい。(髙橋正子)
7月29日(1句)

★からからと氷鳴らして夜の秋/廣田洋一
「からから」の音が軽やか。昼間の暑さから少し解放されて、夜は涼しくなってきた。そのとき飲み物に入れた氷であろう、グラスをゆすると軽やかな音を立てるので、心楽しい気持ちになる。(髙橋正子)

7月28日(1句)

★花火の音遠き夜空に響きおり/多田有花
空に開く花火を見るのもいいが、花火の揚がる音だけを聞くもの、違った情趣があっていいものだ。遠い夜空から聞こえる花火の音にしみじみとしたものを感じる。(髙橋正子)
7月27日(1句)

★短夜や新聞受けの音に起き/桑本栄太郎
寝苦しい短夜。熟睡した感じのないまま、朝刊が新聞受けに落とされる音で目が覚める。はや、朝かと。(髙橋正子)
7月26日(1句)

★さまざまな形のありて雲の峰/小口泰與
雲の峰も一言では言えない、さまざまな形がある。ぐるっと見まわして空にはあちこちに雲の峰が出来ているのであろう。たくましく、変わり続ける夏の景色である。(髙橋正子)
7月25日(1句)

★日焼けせし少年の髪つややかに/多田有花
日焼けした少年の健やかな清潔感が詠まれて、読んで、さっぱりとした気持ちになる。(髙橋正子)
7月24日(1句)

★朝の雨街に打水のごとし/多田有花
朝の一降りの雨。街が打水されたように、涼しくなって、爽やかな気持ちになれた。うれしい朝の雨である。(髙橋正子)
7月23日(2句)

★水替えてゆらりと動く金魚かな/廣田洋一
水を替えて金魚が喜び、動きが自由に、大きくなっている様子が「ゆらり」の表現で感じ取れる。こうした金魚の動きときれいな水が辺りを涼しく差せている。(髙橋正子)

★動かざる嶺より来る大暑かな/弓削和人
暑いと思いながら、動じない山に対峙しているのだろう。その山の嶺から逃れようのない暑さが押し寄せて来る。「大暑」は暦の上の呼び方であるが、この句では、大変な暑さをも擬人的に指している。(髙橋正子)
7月22日(1句)

★川波を光らせ月の涼しかり/多田有花
川波に月の光がさし、視覚的な涼しさが呼び起こされる。蒸し暑い夜も川近くは風が吹いて、涼しさがうれしい。(髙橋正子)
7月21日(2句)

★打水や風匂い立つ花舗の前/廣田洋一
打水に「風匂い立つ」で十分に詩情がある上に、それが花屋の前だったことがくわわり、いっそう、匂い立つ風になったのだろう。思わず涼しさを感じる句。(髙橋正子)

★遠くまで行った心地の昼寝覚め/多田有花
昼寝から目覚めたときに心地。夢心地とはいうけれど、暑い時の昼寝から覚めたときは、「遠くまで行った」心地になる。共感できる。(髙橋正子)

7月21日(日)望月

晴れ
空に住む暮らしのマンション百日紅 正子
人を待つバス開け放たれて蝉時雨 正子
小さき町の小さき花火原色に    正子

●朝、朝食前に花冠371号(7月号)を、駅前と、郵便局のポストに投函。晴美さん分は家のポストにいれる。

●センター北へ野菜を買いに。暑いので酢豚を作る。たけのこの代わりに新蓮根を入れた。夕方句美子が来て、きのうは目黒川が氾濫したという。そういえば、夜七時過ぎ、雷と雨がひどかった。そのとき都内もすごい雨だったようだ。

●句美子が帰ったあと、花火の音がするので、外に出てみた。駒林小学校の校庭から打ち上げているようだ。小さい花火が20発もなかったろう、箔のような色の赤と青の菊、黄色い柳、最後は5発ぐらいの柳を華やかに打ち上げて終わり。町内会と商店街が共催して打ち上げた花火だろうが、ささやかな花火が郷愁をさそった。小さな花火が揚がった空の大きな夜の余白。これも魅力に思われる

●モリスの『アイスランドへの旅』。ネットで今のアイスランドの景色など見る。今が一番いい季節のようだ。暑い盛り、アイスランドの旅行記を借りたのは、正解と言えそう。モリスの旅日記では、度々、寒いと言う言葉が出てくる。そして、度々、コーヒーを農家の人にふるまってもらっている。川と河の呼び方の違い、敷地内の牧草地と敷地外の牧草地の呼び方の違いなどアイスランド語が散らばっている。

花冠371号(7月号)発送


●暑中お見舞い申し上げます。
大変暑い日が続いております。いかがお過ごしですか。
花冠371号(7月号)を7月21日午前発送いたしました。
今号はスマートレターを利用し、直接ポストに投函しました。

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花冠代表 髙橋正子
2024年7月21日