4月22日(月)

小雨、のち曇り
大樹みな若葉となりて暗がりに  正子
きんらんの黄が目をうばう春の森   正子
金髪の母と子若葉に遊びたる   正子

●住んでいる日吉3丁目の東の突き当りは60段ほどの急な階段があり、日吉の丘公園に続いている。きょうはこの階段をのぼり、日吉の丘公園へ出た。雨の後の公園は地面はしっかり湿り、コナラやクヌギ、ムクの大木の新緑が上からかぶささるようにふさふさと葉を増やしてうす暗い。桜は葉桜になっているが、種類は御衣黄、大島桜、一葉、山桜など。一葉は葉桜となっても花をつけ、花は手で触るとすぐ散る。


はじめ、十羽ばかりの烏がコナラの若葉に集まって鳴いているだけだったが、そのうち、母と子供二人、みんな金髪の親子が来た。何語が話していたが、英語でもフランス語でもなく、ほかの言葉に聞こえた。帰りに女の子のそばを通ったので、「ハロー」と声をかけると、にこにこして「ハロー、コンニチハ」と返してくれた。「この公園がすきなの?」と聞くと好きだという。母親が「コンニチワ」と遠くから手を振ってくれる。これと言った遊びをしているわけではないが、木の中を走ったり、隠れたり。帰り道、入口辺りに、「金蘭」を見つけた。まさかと思ったが、間違いない。もとは里山なので、こういった植物が残っている。

自由な投句箱/4月21日~4月30日

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
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※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/4月21日~4月30日

4月30日(1句)

★何もかも散りて仕舞いぬ四月尽く/桑本栄太郎
三月、四月とたくさんの花が咲いた季節だったが、四月が終わると、桜は葉桜になるというように、緑が美しい新緑の季節に変わっていく。「何もかも散り」には、自然界だけでなく、気持ちにも、そういう感じがしているのかもしれない。(髙橋正子)
4月29日(1句)

★咲き枝垂るもっこう薔薇や珈琲館/桑本栄太郎
もっこう薔薇と珈琲館の取り合わせによる景色の良さ。おそらく黄色のもっこう薔薇と、コーヒーの匂いが、色と匂いは別の物ながら、一つ混じり合っている感じが捨てがたい。(髙橋正子)
4月28日(1句)
★点描のように一気に木の芽張る/川名ますみ
芽立ち始めた木の芽は小さく、枝枝に小さな緑として、「点描画」のような景色を見せてくれる。緑のさわやかな「点描画」は見るものの気持ちを晴れやかにしてくれる。(髙橋正子)
4月27日(1句)

★僚友と一宿一飯さくら餅/弓削和人
僚友とは、同僚のなかでも特に友人のように親しい人。二人は一宿一飯を共にした。食後に出されたさくら餅であろうか、親しくくつろいでさくら餅を食べた。「さくら餅」が効いている。(髙橋正子)
4月26日(2句)

★鴬の声強風によく通る/小口泰與
鴬もすっかり鳴き慣れて、声もたくましくなってきた。強い風の中にはっきりと鴬の声が通ってくる。春もいよいよ闌けてきた。(髙橋正子)

★桜散る吾が身に触れて行きにけり/廣田洋一

桜が散る下を通ると、花びらが「吾が身」に触れて散りすぎてゆく。花びらの軽い優しさは、あたかも、時が「身」をやさしく包むように過ぎてゆく感じだ。(髙橋正子)
4月25日(2句)

★ちるさくら舞い上がりてや天へ消ゆ/弓削和人
「舞い上がりてや」の切字の「や」が句に古い感じを与えているのが、惜しい。桜が散り、舞い上がって天に消える。花びらの行方は気になるものだが、天へ消える花びらに儚さを思う。(髙橋正子)

★竹の子のもう手に追えぬ丈に伸び/桑本栄太郎

竹の子は目にあきらかな生長を見せる。もう、手に届かない高さまで生長したのだ。「手に追えぬ」は、「手で追うことができない」と解釈した。(髙橋正子)
4月24日(1句)

★カーテンを開けて眼下に花みずき/桑本栄太郎
カーテンを開けると明るい花みずきの花が咲いている。さわやかな明るい景色に、心が和む。(髙橋正子)
4月23日(1句)

★眼間の梢にいこう春の星/小口泰與
春の星をまるで小鳥のように思って、「梢にいこう」と言った。無生物に「いこう」気持ちを読み取るのは、穏やかな気持ちが見る側にあるとき。おだやかで、未来に明るさが見える句。(髙橋正子)
4月22日(1句)

★囀りやこの一週間は恙なく/小口泰與
鳥たちも盛んに囀っているこの一週間。体のどこも痛んだりしなくて、体調もいい。心を悩ますこともない。「恙なく」過ごせる一週間は何よりの幸せ。(髙橋正子)
4月21日(2句)

★次つぎに水が水押し春の雷(らい)/小口泰與
水が水をつぎつぎの押す、というのは、押し流れる水。そこに春雷が鳴り響く。春という季節にもこんなダイナミックな景色がある。(髙橋正子)

★蛙鳴く池のほとりに生まれいて/廣田洋一
蛙は、池のほとりに生まれ、そこを離れずにけろけろと鳴く。両生類の蛙には池のほとりがふさわしい。蛙の性とはいえ、かわいい。(髙橋正子)

4月21日~4月30日

4月30日(5名)

小口泰與
翡翠の目の爛爛と日を弾き★★★
卓袱台のいたく古びし菜種梅雨★★★
卓袱台に集う祖父母や木の芽和★★★

多田有花
春長けて珈琲ゆっくり淹れる午後★★★
洗濯す春禽いろいろ鳴く中に★★★
荷風忌や独り気ままの楽しさよ★★★

廣田洋一
花弁の八重に積りて並木道★★★
休耕の畑にそよぐ蓬かな★★★
採血の順番待ちや春惜しむ★★★

桑本栄太郎
小雨降り憂いの色の紫蘭かな★★★
花びらの撒くかに散りぬ花みずき★★★
何もかも散りて仕舞いぬ四月尽く★★★★

弓削和人
苗代の塵泥(ちりひじ)浄く映しけり★★★
かたまりて蝌蚪の解くまでちからため★★★
踏み入れぬ湖畔の樹陰紅つばき★★★
4月29日(4名)

小口泰與
雪代や水路かけ行くいささ舟★★★
給食の肉は勇魚や遠き春★★★
山桜へいざなう道や鳥の声★★★

多田有花
頂に沈む夕陽や春深し★★★
春の朝父は子の手を引き散歩★★★
少しずつ遠くなりけり昭和の日★★★

廣田洋一
蜂を飼う巣箱置きたりビルの庭★★★
花に酔い次々来たる熊ン蜂★★★
夏近し多摩川の水きらめける★★★ 

桑本栄太郎
小手鞠の茂み明るく点しけり★★★
咲き枝垂るもっこう薔薇や珈琲館★★★★
午後よりの雨の予報や花うばら★★★
4月28日(4名)

小口泰與
諍いの野鳥や森は若葉にて★★★
晩春の鳥もいさかう梢かな★★★
あけぼののいさごの上の花弁かな★★★

多田有花
人も蝶もそこに集めし芝桜★★★
快晴の黄金週間庭仕事★★★
ベビーカー押して父ゆく長閑さを★★★

桑本栄太郎
<京都四条大橋界隈散策>
鴨川の堰水光り夏近し★★★
外つ人の浴衣姿のリュックかな★★★
春惜しむ花びら流れ高瀬川★★★

川名ますみ
点描のように一気に木の芽張る★★★★
さやさやと姫檜扇の白光る★★★
  湯島聖堂
銀杏の芽粒立つごとし聖堂前★★★
4月27日(4名)

小口泰與
水温む沼に集いし野鳥かな★★★
岩の間を魚影駆けし春の渓(原句)
「駆けし」の「し」は連体形なので、「春の渓」に直接かかります。一句には、一か所切れがあるほうが、奥行きのある句になります。「駆けり」と切りました。(髙橋正子)
岩の間を魚影駆けり春の渓(正子添削)
新緑や十色の鳥語盛んなり★★★

多田有花
人憩う咲き初めし藤棚の下に★★★
うぐいす谷渡り永遠を思う★★★
晩春の雨は明るく降りにけり★★★

桑本栄太郎
小雨降る箱根卯木の紅の濃し★★★
ジャスミンの白花開く香りかな★★★
妍競う学校花壇や春の園★★★

弓削和人
桜餅暮れゆく景を硝子越し★★★
僚友と一宿一飯さくら餅★★★★
湖を巻く大とぐろかな夕霞★★★

4月26日(4名)
小口泰與
鳥声の千差万別春の森★★★
鶯や強風の中声通る(原句)
鴬の声強風によく通る(正子添削)
春の野や同じ鳥声おちこちに★★★
多田有花
芝桜たどりて歩く人数多★★★
芝桜につぎつぎ現れ揚羽蝶★★★
芝桜山の斜面を彩りぬ★★★
桑本栄太郎
田舎より糠も入れあり竹の子届く★★★★
一度茹で筋皮剥くや蕗を炊く★★★
恥ずかしき匂いのままに筍剥く★★★
廣田洋一
富士山の農鳥出でて春たける★★★
桜散る吾が身に触れて行きにけり★★★★
枝垂れ桜咲き残りたる古き家★★★
4月25日(5名)
小口泰與
曙や春を囃せる鳥数多★★★
満緑の中春翡翠の声豊か★★★
鶯やピィーツピィーツと囀れり★★★

弓削和人
ちるさくら舞い上がりてや天へ消ゆ★★★★
野の墓の一本桜やしだれつつ★★★
紅枝垂一本一本彩りて★★★

多田有花
<福原京跡三句>
君子蘭氷室神社へ向かう道★★★
神戸厳島神社に桜蘂降る★★★
藤咲くを見上げハイキングの終わり★★★

桑本栄太郎
白藤のしだれ一木被いけり★★★
風吹けば早やも薫ると思い居り★★★
竹の子のもう手に追えぬ背伸びかな(原句)
竹の子のもう手に追えぬ丈に伸び(正子添削)

廣田洋一
ウコン桜咲き零れたる啄木碑★★★
八重桜並木をなして華やかに★★★
ごうごうと音立て流れ春の川★★★
4月24日(5名)

弓削和人
ひさかたの湖の紺松の花★★★
遠足や女教師の手につながりて★★★
春蝶の谷の岩間や三途川
蝶は春の季語なので、「春蝶」はどうでしょうか。(髙橋正子)

小口泰與
鶯や世を囃したる高き声★★★
渦巻きて顔へ迫りし落花かな★★★
次つぎに水輪あらわる春の沼★★★

多田有花
<福原京跡三句>
水族館になった学校春暑し★★★
清盛の雪見御所跡春深し★★★
春たけなわ電動自転車行き交えり★★★

廣田洋一
花筏空を見上げる八重桜★★★
句碑の文字白く浮き立つ春の雨★★★
鈴蘭や鐘を鳴らすかに揺れており★★★

桑本栄太郎
カーテンを開けて眼下に花みずき★★★★
塵出しの朝の静寂や紫蘭咲く★★★
春陰や降るも止まぬも小糠雨★★★
4月23日(4名)

小口泰與
眼間の梢にいこう春の星★★★★
いざ行かむ春翡翠の里の沼★★★
静寂なる沼へ奇声や春の鳥★★★

多田有花
<福原京跡三句>
ひたすらに長き石段登る春★★★
春深し御祈祷受ける人のあり★★★
春の海は街の彼方に見えるかも★★★

廣田洋一
葉桜のトンネル抜ける風やわら★★★
艶やかに躑躅の並木段葛★★★
藤の花ゆったり垂れて鯉はねる★★★

桑本栄太郎
目覚めても又同じ夢朝寝人★★★
子雀の羽を振るいぬ小雨かな★★★
山吹の黄花垂れ居り水車小屋(原句)
景色が止まってしまって、生き生きした面白みに欠けます。水車が落とす水で山吹の黄色い花が揺れいる景色にしてみました。(髙橋正子)
山吹の黄花揺れ居り水車小屋(正子添削)
4月22日(5名)

小口泰與
囀りやこの一週間は恙なく★★★★
沼の面をかすめし燕反転す★★★
里の宿いつも小鮎の宿とせり★★★

多田有花
<福原京跡三句>
木香薔薇春の屋根より雪崩咲く★★★
清盛の栄華は遠き春の夢★★★
春の坂道登れば祇園遺跡★★★

桑本栄太郎
植込みの中に初めてリラの花★★★
小雨降り筍梅雨となりにけり★★★
藤棚の爆音なりぬ虻の昼★★★

廣田洋一
飛ばす子と追いかける子やしゃぼん玉★★★
良き風と歩みたり藤棚の下★★★★
風に揺れ地に触れそうな藤の花★★★

弓削和人
漂泊の雲やかたかご紫(し)は立てり★★★
湿原の道一筋やかごの花★★★
かたかごのたゆたう花穂や水鏡 ★★★
4月21日(4名)

多田有花
春闌花嫁を待つ赤絨毯★★★
春深む楠公さんの楠に★★★
軒先のバターイエロー春の薔薇★★★

桑本栄太郎
<京都四条大橋界隈散策>
見晴るかす筍流しの比叡かな★★★
花みずき雨の木屋町歩きけり★★★
川べりの里ざくら散る高瀬川★★★

小口泰與
次つぎに水が水押す春雷(原句)
次つぎに水が水押し春の雷(らい)(正子添削)

如何ともし難き梅の花咲かず★★★
草むらを二羽の雉の歩むなり★★★

廣田洋一
生まれたる池のほとりや蛙鳴く(原句)
蛙鳴く池のほとりに生まれいて(正子添削)

長々と藤棚続く神の庭★★★
友来たる浅蜊飯にて乾杯す★★★