2月2日(金)

曇り
一寒燈きびしき風を得て光る  正子
●今日は、寒さがもと戻り。まだ寒中なので寒さが戻るというのも変だが、冷え込んでいる。
●愛媛新聞の小田記者から昨日の私からのお礼のメールに返信メール。記事スペース小ささを気にしておられたので、「記事スペースの大きい小さいに拘わらず、要を得て掲載頂いたことが大事なので掲載には感謝です。」とメールしていた。それに応えての貴重な文面があったので、一部記録しておく。
<この度は句集を読みながら、私も楽しませていただきました。 すてきな句集をありがとうございました。 愛媛関連の刊行物は弊社に日々たくさん届くためすべてを紹介していくのは難し いですが、 皆さんが労力を割き、考え悩みながら生み出した刊行物を少しでも多く紙面で紹 介していきたいと思っております。 朝刊の文化面にて月刊や季刊発行の俳句雑誌を(短文ではありますが)紹介して いるのは、 それぞれの刊行に関わってきた方々の足跡を歴史に残したいという思いがありま す。 情報はたとえ年月がたってもずっと新聞の中で生き続けますから。>

2月1日(木)

晴れ
●愛媛新聞より、合同句集『泉』の紹介記事(刊行フラッシュ欄)のある1月27日付の新聞が2部、記事執筆の小田記者から送られてくる。出版物刊行の小さい記事で掲載新聞が送られてきたのは、初めてのこと。名刺と手紙が添えてあったので、小田記者にお礼のメールを出した。
●角川俳句1月号を読んで知ったのだが、若者は俳句より短歌に流れている、ということだった。これは、SNSの機能に拠る短歌への発信のしやすさと言っているが、そうだろうか。
●一日、本気で2月号の編集をする。考えながらするので、なかなか進まないが、集中してやっている。今日もアマゾンが本を推薦してきたが、その本は初めて聞く名前で、検索したこともない。が本屋の棚を見るようで刺激的。今日推してきたのは
『地霊・パンドラの箱ーールル二部作』(岩波文庫)
『チャンドス卿の手紙/アンドレアス』(光文社古典新訳文庫)。

自由な投句箱/2月1日~2月10日

※当季雑詠3句(冬の句・春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。

今日の秀句/2月1日~2月10日

2月10日(1句)

★木々の枝の剪り口白く春寒し/桑本栄太郎
剪定したばかりの木々の切り口が白い。白い切り口を見れば、まだまだ春ながら、寒そうだ。(髙橋正子)
2月9日(1句)

★投函の新聞かんと春浅し/弓削和人
「春浅し」と「かん」と言う音がよく響き合って、早春の空気の感じが伝わる。余計な表現がなく、すっきりしていい。(髙橋正子)

2月8日(1句)

★雲海に聳ゆる富士や春の旅/廣田洋一
春の旅の麗らかさがよく詠めている。雲海に聳える富士は雪を冠っているだろうが、その雄姿を眺めての春の旅。(髙橋正子)

2月7日(1句)

★北方に白き山見ゆ春景色/多田有花
在所は梅が咲きはじめたり、草が萌えたり春らしくなってきているのに、北方は冠雪の山々が見えている。冬と春が行きつ戻りつするのが、春の訪れと言える。それが春景色。(髙橋正子)
2月6日(3句)

★雪に濡れさくらの枝のほの赤き/川名ますみ
雪に濡れた桜の枝は、ほんのり赤らんでいる。咲くときが近づくと桜はほの赤い樹液が巡るという。人の指が冷たさで赤らんだように、桜もほの赤くなっていると思える。(髙橋正子)

★戸に出づや溢れ迫りし雪の量/小口泰與
上州は大雪に見舞われたようだ。戸を開けて出ると、目の前には雪が迫ってくるように高々と積もっている。その迫力に圧倒される。(髙橋正子)

★木の実植う狭庭の隅に子の未来/廣田洋一
木の実を植えたのは子供であろう。家の庭の隅に踏まれないように木の実を植えた。春がくると木の実は芽生え、子供の未来と重なるように、次第に生長していく。それが子の未来。(髙橋正子)

2月5日(3句)

★冬空に負けぬ青色るりびたき/小口泰與
「負けぬ」が力強い。冬空の力強い青さにも負けない、るりびたきの青い羽の色。冬空の青とるりびたきの青。せめぎ合って美しい。(髙橋正子)

★夕日受け在処知らせる桜貝/廣田洋一
砂浜に転がっている桜貝。夕日が差すまでは、桜貝かどうかわかない単なる石のような感じだったが、夕日が差すと、はっきりと明るく桜貝が浮かび上がった。(髙橋正子)

★早春の田の一画に供養塔/多田有花
供養塔は、災害などで亡くなった人たちや、遠い昔に亡くなった人たちを供養する塔。早春の田の一画に供養塔があるのは、かつて洪水などがあったのかと想像するが、多くの命が消えたあとの早春の田には、新しい春の息吹さえ感じられる。(髙橋正子)
2月4日(1句)

★立春の遠出をおもう陽射しかな/桑本栄太郎
立春の日差しに遠出したい思いが湧く。暦の上だけでなく、立春の日差しが実際うららかに差したのだ。暖冬と言われているが、それを頷かせる立春の日差しだったのだ。(髙橋正子)

2月3日(1句)

★塩釜の湯気立ち昇り寒椿/廣田洋一
「塩釜」は、魚などを塩に包み、蒸し焼きにする釜のこと。塩釜は野外の小屋などで焚かれることがあるが、湯気が立ち昇っている塩釜の近くに寒椿がほっこりと咲いている。寒いなかにも暖かさを思うとき。塩や湯気の白、椿の赤のイメージが重なって色彩的にも美しい。(髙橋正子)

2月2日(2句)

★眦に鳥は居りけり冬入日/小口泰與
「眦」は「まなじり」と読む。眼の耳に近い方の端。めじり。
入日が今日最後の輝きを放って落ちようとしている。その落暉のかがやきのなか、眼の端のどこかにいつも鳥が見えているというのだ。うまい詠みぶり。(髙橋正子)

★節分の妻の出掛ける壬生寺に/桑本栄太郎
京都の壬生寺は節分会で有名。壬生狂言も行われる。妻はそれを楽しみに、いそいそと壬生寺へ出かけた。(髙橋正子)

2月1日(1句)

★午後からは一月送る雨となる/多田有花
午後から雨になって、静かに一月を振り返りつつ送る思いになった。一月は往に、二月は逃げると言われているが、寒い寒いと言っている間に月日が過ぎていく。(髙橋正子)

2月1日~2月10日

2月10日(名)

小口泰與
鳥も見ぬ静寂の中の雪の郷★★★
春の雪枝に残りて怪獣ぞ★★★
雪の庭ぽつぽつ足跡鳥の声★★★

廣田洋一
春浅しサウナ風呂にて砂時計★★★
飲みかけのお茶を零して冴え返る★★★
老ひたるも男子やバレンタインデー★★★

桑本栄太郎
日当たりと翳り交互に春日かな★★★
木々の枝の剪り口白く春寒し★★★★
あおぞらの梢色めき春きざす★★★

多田有花
旧正月気持ちを再度新たにす★★★
春大根ステーキにして食すかな★★★
紅梅や坂の途中の家の庭★★★
2月9日(4名)

小口泰與
餌撒くやからだ震わせ冬目高★★★
春近し森は俄かに賑賑し★★★
春立つや東の空の燃えたてり★★★

弓削和人
公園の親子の声や春近し★★★
春寒や御在所岳に朝ぼらけ★★★
投函の新聞かんと春浅し★★★★

桑本栄太郎
ベランダに鉢植え並べ春日かな★★★
濯ぎもの干せば春光眩しけり★★★
あおぞらの風の田道や犬ふぐり★★★

廣田洋一
春の日や空地の周り測量す★★★★
園児らの群がる広場春日かな★★★
自転車で走る野原や風光る★★★

2月8日(4名)

小口泰與
道の辺の池に寒雁来ておりぬ★★★
土割りてむんず水仙暁の世へ★★★
道すがら見し雪の浅間の雄姿かな★★★

廣田洋一
薄氷の白く光れる潦★★★★
雲海に聳ゆる富士や春の旅★★★★
富士の峯白さいや増し春の雪★★★

多田有花
乗用車がっちり凍てし余寒かな★★★
二月早や十指にネイル輝かせ★★★★
北よりの雲がもたらす春しぐれ★★★

桑本栄太郎
早春の日差し明るきバス車内★★★
あおぞらの梢きらめく春の朝★★★★
アウアウと歯科の治療や春寒し★★★
2月7日(4名)

小口泰與
雪の庭ぽつぽつ足跡鳥の声★★★
枯葉落つ真白き庭の目印に★★★
目の前を雪の塊落ちにけり★★★

廣田洋一
公園をゆっくり巡り暖かし★★★
被災地の惨を覆へる春の雪★★★
沖波の攫い損ねし桜貝★★★★

多田有花
旧正月近づく確かに春の声★★★
北方に白き山見ゆ春景色★★★★
春風や洗濯物を片寄せし★★★

桑本栄太郎
濯ぎもの干せば眩しき春日さす★★★
春寒のさざ波立つやにわたずみ★★★
春寒のあおぞら背ナに遠嶺かな★★★
2月6日(5名)

川名ますみ
雪に濡れさくらの枝のほの赤き★★★★
大粒の春雪を受くボンネット★★★★
会えば皆雪を知らせる御茶ノ水★★★★

小口泰與
戸に出づや溢れ迫りし雪の量★★★★
百本の庭の薔薇の木雪纏う★★★★
スリップ音塀に積もりし雪の量★★★

廣田洋一
海苔を食む魚の増えて富津港★★★
雨混じりぺちゃぺちゃはねる雪解道★★★
木の実植う狭庭の隅に子の未来★★★★

多田有花
風に揺れ地に咲き初めしいぬふぐり★★★★
カレンダー見て驚きぬ二月早や★★★
陽のさすや山の微笑を誘うべく★★★

桑本栄太郎
春寒の鴉窺い翔び立たず★★★
木々の枝の若枝すいすい伸びにけり★★★★
しつとりと在所湿りぬ春しぐれ★★★
2月5日(5名)

小口泰與
冬空に負けぬ青色るりびたき★★★★
眼裏へ鴛鴦焼き付けり忘れじと★★★
浅間山雪を被りて悠然と★★★★

廣田洋一
集団で研修受ける新社員★★★
夕日受け在処知らせる桜貝★★★★
春寒や今日一日引きこもり★★★

多田有花
春来る名のみの風の冷たさに★★★
東京は大雪警報春の雨★★★
早春の田の一画に供養塔★★★★

桑本栄太郎
選挙終え今朝の静寂や春しぐれ★★★
春雨や今朝は鴉も鳴かざりぬ★★★
<テレビ報道より>
近江なる花菜明かりや滋賀の里★★★

弓削和人
立春の風吹かれおり電話口
寒明や悲喜こもごもの投開票
寒明や口笛かすかに聞こえたり
2月4日(4名)

小口泰與
寒林に我のみ居りて鳥の声★★★
末黒野や犬は尾を垂れ吠えにける★★★
クロッカス二匹の犬の戯れあいて★★★

廣田洋一
雨に濡れ畑黒々春立ちぬ★★★
花時計図柄変へたり春立つ日★★★★
面接は午後になりたる入学試験★★★

多田有花
立春や目覚めの朝の日の光★★★
立春祭知らせる朝の町内放送★★★★
珈琲粕を寒明の陽に干せり★★★

桑本栄太郎
<2月4日京都市長選挙>
春立つや日差し明るき投票所★★★
うすらひや旅出はいつも風任せ★★★
立春の遠出をおもう陽射しかな★★★★
 
2月3日(4名)

小口泰與
白樺の斜めに生えし冬の宿★★★
汀より咲くかの如く雪降れる★★★
「咲く」の比喩はどうでしょうか。(髙橋正子)
雪の日の沼の野鳥をみそなわす★★★

多田有花
古楽器のやさしき音色冬終わる★★★
節分や豆まきするかと人に問う★★★
持ち家のリフォーム終了冬尽きぬ★★★

廣田洋一
咲きてなほ背丈競へる水仙かな★★★
頭下げ客を迎へる寒椿★★★
塩釜の湯気立ち昇り寒椿★★★★

桑本栄太郎
木々の枝の小枝伸び居り春隣★★★
「木々の枝の小枝伸び居り」が季語「春隣」の説明になっています。こういうのは、避けたいです。(髙橋正子)
蠟梅の狭庭の日差し占めにけり★★★
クレーン車の集い駐車や日脚伸ぶ★★★

弓削和人
節分の夕餉を映ゆる鰯かな(原句)
節分の夕餉に映ゆる鰯かな(正子添削①)
節分の夕餉を映えさす鰯かな(正子添削②)
文法に従えば、①の「夕餉に」にするか、⓶の「夕餉を」にするかです。(髙橋正子)

節分ややさしき鬼に子らの笑み★★★
まさおなる空にこぼるる寒椿★★★
2月2日(4名)

小口泰與
待ち侘びし二羽の鴛鴦眼間に★★★
山風の間遠となりし鳰(原句)
山風の間遠となりぬ鳰(正子添削)
眦に鳥は居りけり冬入日★★★★

桑本栄太郎
節分の妻の出掛ける壬生寺に★★★★
壬生寺に妻の出掛くや節分会(正子添削例)

節分や神楽太鼓のどんどこどん★★★
節分や鬼より怖い山の神★★★

廣田洋一
あれこれと防具比べる寒の朝★★★
大寒やこむら返りに目覚めたり★★★
 こむら返り、痛いですね。ふくらはぎのこむら返りは、ゆっくりと脚をのばすといいと聞きました。先日なって試しましたが痛みがほとんどとれました。(髙橋正子)
一番星寒夕焼けのさめ易し★★★★

多田有花
晩冬に協奏曲を聴き比べ★★★
街角に彩り添えて冬の梅★★★
冬帝を送り出さむと風荒れる★★★
2月1日(3名)

小口泰與
機関車の雪巻き上げて喘ぎおり★★★
冬薔薇の咲くに満満力あり★★★
積読の本を枕に冬籠り★★★

多田有花
飛ぶが如く翔るが如く一月ゆく★★★
午後からは一月送る雨となる★★★★
静かな雨に一月を振り返る★★★

桑本栄太郎
二ン月と想う朝日の煌めける★★★
窓開けて結露少なし寒ゆるむ★★★
嶺の端のうねり連なる寒明忌★★★