■1月月例ネット句会清記■
2024年1月14日
39句(13名)
01.初霜や子犬のふっと居なくなる
02.期し方を思い起こせし雪眼鏡
03.霜防ぐ藁ぎょうさんや幼稚園
04.ともがらと火の粉を払うとんどかな
05.湖の霧立つ朝や浮寝鳥
06.日の暮れしまぎわに農婦夕焚火
07.倒壊の家屋あまたや寒の雨
08.白き実のナンキン櫨や冬日燦
09.寒風の田面駆けゆく田道かな
10.早梅の香りに惹かれ女学生
11.新年の龍頭の水や水琴窟
12.定刻に集へる笑顔初句会
13.初乗車若葉マークの子の運転
14.一望す阿蘇の山々冬の空
15.門松が二つ迎える別府の宿
16.背を起こし睫毛に眩し初日影
17.初笑い静かな男のヘルパーと
18.豚汁のレシピ書き足し初雪に
19.霜溶けてゆく陽の当たるところより
20.日差し明るし寒風の強けれど
21.中天に三日月浮かべ寒茜
22.鴨の声水にひびきてほのかなり
23.水鳥の流れその影流れける
24.オオバンの群れて黒々冬萌に
24.酢飯切る甘き桶音冬の夜
26.七種の粥のほのかなうす緑
27.蝋梅の活けられ花屋の大き甕
28.家族増え動画見ながらお正月
29.屠蘇器しまう丁寧に包み込み
30.久々に大根の葉を刻む音
31.解体さる鮪取り合う尾の部分
32,新年の部屋に朝日と篳篥の音
33.四分の三世紀生く寒の入り
34.冬銀河ピアノの音色の軽くなる
35.七草の緑鮮やか巡る日々
36.マフラーを幾度も試す誕生日
37.真新しきマフラー巻いて参拝す
38.数の子を噛む音やめば静かな夜
39.味染みた煮大根のやわらかき
※互選をはじめてください。5句選をし、その中の一句にコメントをお書きください。
晴れ
●1月月例ネット句会
●正子投句
オオバンの群れて黒々冬萌に 正子
鴨流る映れる影も流れけり 正子
鴨の声水にひびきてほのかなり 正子
●暮れからこの正月明けにかけて、鶴見川に3度出かけた。はじめは矢上川に鴨を見に行くだけのつもりが、ついに矢上川と鶴見川の出合まで川沿いに歩いて面白かったので、3度来ることとなった。多分、こんどは河口のほうへ行くと思うが。
合同句集を送って、そのお礼状にいろいろな励ましの言葉をいただいた。これに応えなくてはと思い、鶴見川が面白いし、「鶴見川雑記」を書こうと言う気になった。しかし、夜になり冷え込んで、この意気込みは失せた。
最近、何を読むにも、読み込みに集中力を欠いているのは確か。ついつい読み流す。お礼状も一度はさっと読んでしまうが、文面が目に残っているので、二日後ぐらいに、はっと言葉の本意は違うところだったと気づく。申し訳なくもお礼を書く方向を間違えたという自己嫌悪に陥る。
晴れ
●12時45分の、この前と同じバスで鶴見川へ出かける。バス停を降りて歩く道も、綱島北ポンプ場の手前を右に折れて鶴見川の土手に上るのも同じ。送水管のある人道橋があるところから、右手の土手を芭蕉の句碑がある方へ歩く。川にはオオバンもヒドリ鴨もいない。矢上川のほうに行っているのかとも思ったが、今日は芭蕉の句碑まで歩くのが目的なので、そのまま1キロほどあるくと陸にオオバンの群れが餌を啄んでいる。そばを通り過ぎるときよく見ると、ヒドリ鴨が混じって餌を食べている。川の浅瀬らしいところに、その姿が鵜に見える黒い鳥が四羽。四羽そろって川向こうに首を向けている。ハクセキレイも、カモメも飛んでくる。さらに歩くとこの地点は河口から8kmだという鉄の立杭がある。新幹線の鉄橋は土手を横切り、そこより先に行くには土手を下らないといけない。
ここまで来て、空が曇ってきた。天気予報を思い出したが、午後は雨か、雪かと。リュックから傘を取り出す。傘に雨が当たる音がぱらぱらとするが、アスファルトを舗装した土手下の道はそれほども濡れない。
新横浜駅からの新幹線が鉄橋をひっきりなしに通る。新幹線が通るたび見送るが、郷愁のようなさびしさが湧く。遠くへ連れて行ったもらいたいような気持になる。向こうの鉄橋を東横線や相鉄線がことこと渡るのはただそのままの眺めであるのに、新幹線の起こす風の音はなんだというのか。
新幹線の過ぎし音さえ冬深む 正子
鴨の声水にびびきてこちらまで 正子
鷭の群黒ぞろぞろと冬萌に 正子
2キロほど川上へのぼったところに変電所がある。変電所をすぎると、新綱島駅に近い感じだったので、土手を下り、芭蕉句碑を探す。旧家の近くにあると地図で見たが、句碑のありそうなあたりは、道路や調整池の工事中で旧家の近くへはいけない。工事柵から旧家の方を見ると、旧家の門から入ってすぐのところに句碑らしい石碑があり、板の看板がある。遠くからスマホに写真をとって後で拡大して句を読むつもりであったが、読めなかった。これが地図の芭蕉句碑なのだろうと思う。このお屋敷のすぐ近くが新綱島ビルだった。このビルに上がり、下を見ると東急バスが止まっている。すぐ下りて行って乗ったが、発車間際だった。行く先はほとんどが、日吉駅東口。このバスもそうだった。バスは、はじめての通りを通って東口まで。歩数計で歩いた距離をみると3.4キロ。
帰宅してオオバン、ヒドリガモ、鵜についてネットで検索。オオバンは水鶏の仲間で、季語「鷭」は夏。だたし、冬は群れをつくる、とある。この冬見たオオバンは、いつも群れをつくっていた。ならば、群れのオオバンは季感としては冬か。ヒドリガモはシベリアからの冬鳥。他の鳥に混じるらしい。この情報も目で確認している。鵜は河鵜らしく、鵜飼に使われるのは海鵜で、河鵜は数が少ないらしい。
思い出して、この前矢上川沿いの民家の雑木に来たジョウビタキについても調べた。一瞬山雀かと思った鳥だが、羽に白い班があるので、紋付鳥とも呼ばれるジョウビタキに違いない。このところのひとり歩きに、いろんな鳥が舞い込んで楽しみが増えた。