5月20日(水)


白靴にばらの服召し医学女史 正子

●諏訪内晶子さんのラジオでのトーク。世界的なバイオリンにストは、小学校、5,6年生ごろからチャイコフスキーのバイオリン協奏曲を練習するらしい。江藤俊哉先生につく前にもチャイコフスキーのバイオリン協奏曲を弾いていたとのことだが、江藤先生に「チャイコフスキーは、モスクワの人ではなくて、サンクトペテルブルク の人ですよ。」と言われたという。その違いは、「気品」があるかないかのことで、初めから、江藤先生が教えてあげます、と言われたそうだ。

サンクトペテルブルクは、私が学校で習ったときは、レニングラード。ソ連が崩壊したとき、レニングラードから サンクトペテルブルクに名前を変えた。モスクワから600キロほど離れていて、文化の都。それに比べてモスクワは田舎の街。

「気品」というのは、文化とか、芸術にとっては一番大事なことではないかと思う。夾雑なことがないことが気品だという気がする。 気品は言語化できないのだろうから、言語に頼る最近の俳句には、気品がないのだろうと思う。「気品」というとお高い感じがするが、「品位」と言ってもいいかもしれないが、少し違うかも。能には、到達度の位があると読んだことがある。歌舞伎はマッカーサーの歌舞伎好きによって残された。さもありなむ。

自由な投句箱/5月21日~31日

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今日の秀句/5月21日~31日

5月31日(2句)
★雨雲の峰肌昇る走り梅雨/桑本栄太郎
峰を添うように昇る雨雲の動きは、走り梅雨を思わせて、墨絵のような景色を見せる。心静かに眺めれば神秘的にも。(高橋正子)
★峠越え細道下る麦の秋/多田有花
この句は景色がいい。峠を越えると道は細くなり、眼下には畑や町が広がっている。麦の秋が郷愁を誘う。(高橋正子)
5月30日(2句)
★亡き息子甘党なりし柏餅/廣田洋一
子に先立たれることはよほどに悲しい。柏餅を、まさに男児の柏餅を見るにつけ、亡き子がうれしそうに食べていた顔を思い出す。そんな思いが、俳句となってよかったと思う。(高橋正子)
★風五月ふうせんかづらの種をまく/川名ますみ
風は五月。真夏には風船のような緑の実が膨らむふうせんかずら。そんな風に膨らんだようなふうせんかずらは、五月の風の中に播くのがふさわしい。(高橋正子)
5月29日(2句)
★銭湯の灯りともされ夏の雨/廣田洋一
銭湯に灯りが灯っているとうれしいものだ。夏は汗を流しにみんなが寄って来る。雨もつかの間の涼しさとも、また蒸し暑さともなる。これも日本の夏の情緒で捨てがたい。(高橋正子)
★風一夜フロントガラスにおうち散る/多田有花
おうちは栴檀の古い呼び方で、薄紫の花のかたまりも、「おうち」の音も優しい印象だ。おうちの木陰に車を止めたりすると、風や雨があると、花が落ちたり葉が散ったり、その有様にも風情がある。(高橋正子)
5月28日(2句)
★夏の川空を映して流れゆく/多田有花
夏の空をぴったりと映して流れてゆく川は、すっきりとして見た目にも夏らしい。(高橋正子)

★薫風の買物かごに子犬かな/桑本栄太郎
買い物かごに入れられた子犬は、気持ちよさそうに薫風に吹かれている。ふわふわとした子犬のかわいらしさが詠まれている。(高橋正子)
5月27日(1句)
★田の隅に肩を寄せ合う余り苗/桑本栄太郎
余り苗は田の隅に置かれて、植えた苗が、枯れたり傷んだりしたときは、補充に使われる。植えられなかった苗は、肩を寄せ合うように、田の隅で育っている。その苗に思思いを入れた句。(高橋正子)
5月26日(1句)
★石楠花や峰々雲を生みにける/小口泰與
石楠花と峰々から生まれる雲の取り合わせが柔らかくて、いい。山へ行きたくなる。(高橋正子)
5月25日(1句)
★青空の甘さ蓄へさくらんぼ/廣田洋一
青空に甘さがあるかは、主観によるが、輝くばかりのさくらんぼを見れば、青空の甘さが蓄えられたようにも思う。青空とさくらんぼのイメージが明るい。(高橋正子)
5月24日(1句)
★河川工事のクレーン高々時鳥/廣田洋一
河川工事をするクレーンが高々と伸びて、その上の方を時鳥が鳴きつつ飛んでゆく。
工事のクレーンと時鳥の取り合わせが新鮮で、広々とした空を思う。(高橋正子)
5月23日(2句)
★薔薇清し路地に遊べる子らの声/多田有花
薔薇を咲かせている住宅地の路地。車が来ない路地なのか、子供たちが楽しく遊んでいる。そこに咲く薔薇は、「美し」ではなく、「清し」。「清し」が遊ぶ子の純真さをあらわしているように思える。(高橋正子)
★畦に沿い早苗の曲がる棚田かな/桑本栄太郎
棚田に植えられた早苗は、まさにこの様子。畦なりに、畦に沿って植えられた早苗の列は曲がっている。その曲線が美しい。棚田を育てる人々の暮らしも美しいと言えようか。(高橋正子)
5月22日(2句)
整然と田の一画に早苗あり/多田有花
田の一画で稲の苗を育てている。育ってくれば田に植え付けるが、今はまだ田植前。
整然とした姿で早苗が育っているのを見るにつけ、田植の時が待たれる。(高橋正子)
★梔子にあたらしき白咲ける朝/川名ますみ
咲いたばかりの新しい梔子のは、純白で、朝の新しさを強く印象付けてくれる。甘く強い匂いが湿っぽい空気に花の存在を知らせている。(高橋正子)
5月21日(2句)
★夏の灯や小舟の櫂の音聞ゆ/小口泰與
時代劇にでもありそうな場面。夏の灯が灯る川辺に小舟を操る櫂の音が聞こえる。
(髙橋正子)
★山影の映る植田や日暮れ居り/桑本栄太郎
山影が映る植田は、山の陰の植田で、その田にも日暮れが押し寄せる。日暮れは寂しいけれど、山の植田の日暮れはなお寂しい。(高橋正子)

5月21日~31日

5月31日(日)
小口泰與
垂涎の魚拓見せらる山女かな★★★
我が影の寄れば寄りくる目高かな★★★★
風絶ゆる池にあきとう金魚かな★★★
廣田洋一
草むしり取るのが惜しき花もあり★★★
ここまでと思ひつつまた草むしる★★★
草むしる根元の虫の目覚めけり★★★★

桑本栄太郎

コロナ禍の失せよ風吹く五月尽★★★
風抜ける木蔭の径や筒あじさい★★★
雨雲の峰肌昇る走り梅雨★★★★
峰を添うように昇る雨雲の動きは、走り梅雨を思わせて、墨絵のような景色を見せる。心静かに眺めれば神秘的にも。(高橋正子)
多田有花
峠越え細道下る麦の秋★★★★
この句は景色がいい。峠を越えると道は細くなり、眼下には畑や町が広がっている。麦の秋が郷愁を誘う。(高橋正子)
森の気を深呼吸して夏の山★★★
自転車を停め大緑陰にくつろぎぬ★★★
5月30日(4名)
小口泰與
風鈴や芝の醜草数多生ゆ★★★★
次次に堰き飛ぶ鮎や雲一朶★★★
釣糸をぴんぴん鳴らす岩魚かな★★★
廣田洋一
老舗前幟はためく柏餅★★★
亡き息子甘党なりし柏餅★★★★
子に先立たれることはよほどに悲しい。柏餅を、まさに男児の柏餅を見るにつけ、亡き子がうれしそうに食べていた顔を思い出す。そんな思いが、俳句となってよかったと思う。(高橋正子)
柏餅みそ餡も良し茶を汲みぬ★★★
桑本栄太郎
泰山木の花の甘き香抓みみる★★★
心地良き風の小径や青葉闇★★★
桑の実や想い出遠き故郷へ★★★★
川名ますみ
花も葉も梅花空木の丸きこと★★★
風五月ふうせんかづらの種をまく★★★★
風は五月。真夏には風船のような緑の実が膨らむふうせんかずら。そんなふうせんかずらは、心地よい風の中に播くのがふさわしい。(高橋正子)
新緑の夢見ヶ崎の果てに富士★★★
5月29日(4名)
廣田洋一
大丈夫かと声かけられし夏の雨★★★
銭湯の灯りともされ夏の雨★★★★
銭湯に灯りが灯っているとうれしいものだ。夏は汗を流しにみんなが寄って来る。雨もつかの間の涼しさとも、また蒸し暑さともなる。これも日本の夏の情緒で捨てがたい。(高橋正子)
コーヒーを飲む間に止みし夕立かな★★★
小口泰與
上州は鶴のかたちや麦の波★★★
夏燕棚田の空を袈裟斬りに★★★★
忙しく蜜から蜜へ目白かな★★★
多田有花
駐車場の上に広がり花楝★★★
風一夜フロントガラスにおうち散る★★★★
おうちは栴檀の古い呼び方で、薄紫の花のかたまりも、「おうち」の音も優しい印象だ。おうちの木陰に車を止めたりすると、風や雨があると、花が落ちたり葉が散ったり、その有様にも風情がある。(高橋正子)
競い合い竹皮を脱ぎ空目指す★★★

桑本栄太郎

吾立てば緋鯉寄り来る朝の池★★★★
緑陰の影の揺るるや枝の風★★★
晶子忌の歌碑の堺やみだれ髪★★★
5月28日(4名)
小口泰與
つつがなく浮島に沿う浮巣かな★★★★
青鷺や利根の大岩微動だに★★★
白鷺や棚田へ夕日差しにける★★★
廣田洋一
木々の葉の重たげに揺れ梅雨兆す★★★
不惑をば一つ越えし子豆の飯★★★★
川べりの畑の匂ひ豆の飯★★★
多田有花
夏の川空を映して流れゆく★★★★
夏の空をぴったりと映して流れてゆく川は、すっきりとして見た目にも夏らしい。(高橋正子)
紋黄揚羽横断歩道を渡りおり★★★
退院のお迎え薔薇咲く病院へ★★★

桑本栄太郎

薫風の買物かごに子犬かな★★★★
買い物かごに入れられた子犬は、気持ちよさそうに薫風に吹かれている。ふわふわとした子犬のかわいらしさが詠まれている。(高橋正子)
一天の放れ雲のみ五月晴れ★★★
夕日透く窓の若葉や風に揺れ★★★
5月27日(3名)
小口泰與
老鶯や山のホテルのコック帽★★★
翡翠や釣人川を渡渉せる★★★
老鶯や清き流れの分水界★★★
廣田洋一
門前に三個百円玉葱かな★★★
サクサクと赤玉葱のサラダかな★★★★
玉葱を隠し味とすカレーかな★★★
桑本栄太郎
緑陰のつづく木蔭やバス通り★★★
田の隅に肩を寄せ合う余り苗★★★★
余り苗は田の隅に置かれて、植えた苗が、枯れたり傷んだりしたときは、補充に使われる。植えられなかった苗は、肩を寄せ合うように、田の隅で育っている。その苗に思思いを入れた句。(高橋正子)
あはあはと嗤う鴉や梅雨寒し★★★
5月26日(3名)
小口泰與
朝刊の解除の文字や閑古鳥★★★
馴染みたるテレワークとや鳥巣立つ★★★
石楠花や峰峰より雲を生みにける(原句)
石楠花や峰々雲を生みにける★★★★(正子添削)
石楠花と峰々から生まれる雲の取り合わせが柔らかくて、いい。山へ行きたくなる。(高橋正子)
廣田洋一
ガーナにて出会ひし鯖缶かな★★★
黒々と焦げ目付きたる鯖二匹★★★
竹林の荒れたるままに落葉せり★★★
桑本栄太郎
青梅の古木矜持や二つ三つ★★★
若竹の三日見ぬ間の背丈かな★★★
天に向き気勢上げたり山法師★★★
5月25日(4名)
小口泰與
蟾出づや夜の湖畔の赤提灯★★★
遊学の友の下宿に守宮かな★★★★
あけぼのの八千穂の里の時鳥★★★
廣田洋一
自粛てふ難行続く若葉寒★★★
公園の日差し陰りて若葉寒★★★
青空の甘さ蓄へさくらんぼ★★★★
青空に甘さがあるかは、主観によるが、輝くばかりのさくらんぼを見れば、青空の甘さが蓄えられたようにも思う。青空とさくらんぼのイメージが明るい。(高橋正子)

桑本栄太郎

十薬の木蔭となりぬ十字花★★★
うす日射す狐の雨や走り梅雨★★★
サンバイザー光るふたりの川辺行く★★★★
多田有花
パイナップル舌痛みしは幼き日★★★
紺青に晴れて雲なし夏夜明け★★★
夏の庭とりどりの花いっぱいに★★★★
5月24日(4名)
小口泰與
助手席に脚投げ出して昼寝かな★★★
亀の子や末は乞食か成金か★★★
奥利根の渓を震わす河鹿かな★★★★
多田有花
マーガレット農家の隅の畑にあり★★★
溝浚えの音の始まる午前九時★★★★
角曲がる風に吹かれてカラー咲く★★★

廣田洋一

夏風邪や次々なめる浅田飴★★★
杜鵑竹の奥より聞こえけり★★★
河川工事のクレーン高々時鳥★★★★
河川工事をするクレーンが高々と伸びて、その上の方を時鳥が鳴きつつ飛んでゆく。
工事のクレーンと時鳥の取り合わせが新鮮で、広々とした空を思う。(高橋正子)

桑本栄太郎

十薬の地に落つ星の木蔭かな★★★
プロペラのうす紅ありぬ若楓★★★
早苗田に水張り農夫立ちつくす★★★★
5月23日(4名)
小口泰與
鯉釣の鈴の鳴りたる夜釣かな★★★
桷の花ルアー持つ手に魚信かな★★★
土合駅尾根縦走の日焼かな★★★★
廣田洋一
きっちりと四隅固めし額の花★★★★
垣根越し真白く咲きし額の花★★★
夏めくや海軍カレー特売日★★★★
多田有花
薔薇清し路地に遊べる子らの声★★★★
薔薇を咲かせている住宅地の路地。車が来ない路地なのか、子供たちが楽しく遊んでいる。そこに咲く薔薇は、「美し」ではなく、「清し」。「清し」が遊ぶ子の純真さをあらわしているように思える。(高橋正子)
明易き空にはや鶯の声★★★
外に出てみれば良きこと石竹咲く★★★

桑本栄太郎

畦に沿い早苗の曲がる棚田かな★★★★
棚田に植えられた早苗は、まさにこの様子。畦なりに、畦に沿って植えられた早苗の列は曲がっている。その曲線が美しい。棚田を育てる人々の暮らしも美しいと言えようか。(高橋正子)
出番無き事を願えり余り苗★★★
夏蝶の数多のもつれ舞いにけり★★★
5月22日(4名)
小口泰與
頑固なる蕎麦屋の主麻のれん★★★
香水やサイドカーより湖畔へと★★★
風鈴はかんかん石の風奏で★★★★
多田有花
整然と田の一画に早苗あり★★★★
田の一画で稲の苗を育てている。育ってくれば田に植え付けるが、今はまだ田植前。
整然とした姿で早苗が育っているのを見るにつけ、田植の時が待たれる。(高橋正子)
生垣のさつき鮮やか遠目にも★★★
柿の花人声近く咲きにけり★★★★

桑本栄太郎

川風に沿いて地道や草茂る★★★
流れ来し今の在所やえごの花★★★
ででっぽと山鳩遠く夕薄暑★★★★
川名ますみ
梔子にぎゅっとしぼりし蕾立つ★★★
梔子の碧きつぼみの裂け目より★★★
梔子にあたらしき白咲ける朝★★★★
咲いたばかりの新しい梔子のは、純白で、朝の新しさを強く印象付けてくれる。甘く強い匂いが湿っぽい空気に花の存在を知らせている。(高橋正子)
5月21日(4名)
小口泰與
夕日差すレトロな窓や夏館★★★
夏の灯や小舟の櫂の音聞ゆ★★★★
時代劇にでもありそうな場面。夏の灯が灯る川辺に小舟を操る櫂の音が聞こえる。
(髙橋正子)
三山の風を賜わる夏座敷★★★
廣田洋一
十薬や読み始めたる「ペスト」かな★★★★
ちらほらと川に落ちたる桜の実★★★
鯖一匹持て余したる独り者★★★
多田有花
芍薬咲く空き家となりし庭の隅★★★
草を刈る音遠くより夏の朝★★★★
上流へ今朝も一羽の白鷺飛ぶ★★★

桑本栄太郎

紫陽花の蕾つぶつぶ控えけり★★★
雨雲の晴れて明るき若葉谷★★★★
山影の映る植田や日暮れ居り★★★★
山影が映る植田は、山の陰の植田で、その田にも日暮れが押し寄せる。日暮れは寂しいけれど、山の植田の日暮れはなお寂しい。(高橋正子)