7月2日(月)

★松林に白百合まばら富士裾野  正子
富士の裾野なので、松林も広々としたところなのでしょう。その広々としたところにまばらに咲く白百合。大きな自然と小さな自然の共生がそこにあると感じます。(高橋秀之)

○今日の俳句
せせらぎの木陰のめだか動かずに/高橋秀之
せせらぎの木陰はすずしそうだ。涼しさを喜んで、目高が活発に泳ぐかと思えばそうではない。じっとして、木陰の水の涼しさを体で享受しているようだ。(高橋正子)

○夾竹桃

[夾竹桃/横浜日吉本町]          [夾竹桃/大船植物園]

★引き寄せし記憶夾竹桃咲きぬ/稲畑汀子
★安房の海夾竹桃の燃ゆる上に/瀧春一
★何か炒める音して夾竹桃咲けり/岡本眸
★夾竹桃散る三叉路に雀の子/松崎鉄之介
★夾竹桃爆風めける風受けて/片山由美子
★持ち前の強さ明るさ夾竹桃/小澤克己
★夾竹桃高きに白し仰ぎ見る/高橋信之

 じりじりとした暑さがやってくる。海を見ればどぼんと飛び込んで泳ぎたくなる。ちりんちりんと鐘を鳴らしてアイスキャンデー売りが自転車にアイスボックスを載せてやってくる。ボンネットバスが埃を巻きあげて通る。夏休みに精一杯遊んでいると、夾竹桃が校庭の隅で赤い花を咲かせる。ブランコの鎖の鉄の匂いが汗ばんだ手に移る。そうこうするうちに原爆忌やお盆が来る。戦没兵士の慰霊祭が校庭でとり行われる。夾竹桃はそのころ必ず咲いている。6月ごろからぽつぽつ咲き始め、9月、夏休みの宿題を抱えて登校するころまで咲く。 その葉で笹舟のように舟をつくったこともあるが、水に浮くわけではない。一花一花は可愛いが、強靭な花である。夾竹桃と言えば、暑さときらめく海と戦死者たちを思うのが私の常だ。

★わたくしのぶらんこ夾竹桃にふれ/高橋正子

キョウチクトウ(夾竹桃、学名: Nerium oleander var. indicum)とは、キョウチクトウ科キョウチクトウ属の常緑低木もしくは常緑小高木である。和名は、葉がタケに似ていること、花がモモに似ていることから。インド原産。日本へは、中国を経て江戸時代中期に伝来したという。葉は長楕円形で、両端がとがった形。やや薄くて固い。葉の裏面には細かいくぼみがあり、気孔はその内側に開く。花は、およそ6月より残暑の頃である9月まで開花する。花弁は基部が筒状、その先端で平らに開いて五弁に分かれ、それぞれがややプロペラ状に曲がる。ピンク、黄色、白など多数の園芸品種があり、八重咲き種もある。日本では適切な花粉媒介者がいなかったり、挿し木で繁殖したクローンばかりということもあって、受粉に成功して果実が実ることはあまりないが、ごくまれに果実が実る。果実は細長いツノ状で、熟すると縦に割れ、中からは長い褐色の綿毛を持った種子が出てくる。

◇生活する花たち「のうぜんかづら・月見草・百日紅」(横浜・四季の森公園)

自由な投句箱/7月1日~10日


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今日の秀句/7月1日~10日


7月10日(1句)

★鳴くものの一斉に出で梅雨明ける/桑本栄太郎
梅雨の雨が降っている間は、小鳥も鳴かない。鳴くものの声が聞こえない。梅雨が明けたとたん、小鳥も、早々と虫も鳴き出す。山鳩が鳴いたり涼しい朝がくる。快活な日が戻って、嬉しいことだ。(高橋正子)

7月9日(1句)

★石に分かる清水の綾の数多かな/小口泰與
清水が流れきて、石のところで別れ、静かなさざ波となり、涼しげな水の綾ができる。涼しさが身をぬけるような景色。(高橋正子)

7月8日(2句)

★燕の子くつつき並ぶ空を見て/廣田洋一
原句の「並び空を向く」では、単に物事の描写に終わっているきらいがありますので、添削しました。
燕の子は巣からこぼれそうなくらい。くっついて並んで、早くも飛びたいのか、空を見ている。そのあどけなさ。(高橋正子)

★何処からか山鳩鳴きぬ梅雨晴間/桑本栄太郎
梅雨の晴間に、どこからか山鳩の声が聞こえてきた。「ででぽぽー」の山鳩の声に一度に明るい夏が来た気持ちになる。(高橋正子)

7月7日(1句)

★七夕や宇宙の旅を願ふ子ら/廣田洋一
七夕は今やロマンを願う行事となったようだ。宇宙への一般の人々の旅も現実になりそうだ。それを願う子らの未来がさらに素敵に思える。(高橋正子)

7月6日(1句)

★何処からかサイレン聞こゆ梅雨出水/桑本栄太郎
梅雨出水は川の水が増水しすざましい勢いの濁流となることがしばしば。サイレンの警報がどこかに鳴り、落ち着かず不安が募る。今回の大雨で中国地方や近畿地方では、川が氾濫寸前のところもある。くれぐれも気を付けてお過ごしいただきたい。(高橋正子)

7月5日(1句)

★初蝉や嵐の去りし森の道/多田有花
嵐の去った安心の森の道。耳に初蝉の声。明るい夏の登場に気持ちが改まる。(高橋正子)

7月4日(1句)

★凌霄花の紅の零るる歩道かな/桑本栄太郎
凌霄花は鮮やかなオレンジ色の花をおびただしいほど落とす。歩道にあれば、花を撒かれた、しあわせの道を歩くかのような気持ちになる。(高橋正子)

7月3日(1句)

★麦飯のとろろ掛けたる昼餉かな/桑本栄太郎
麦飯は質素な食事を言い表していたのはかつてのこと。暑い時期、麦飯にとろろ汁をかけて食べる昼餉に、野趣味を感じられたであろう。(高橋正子)

7月2日(1句)

★青柿のめっぽう落ちし朝かな/小口泰與
夕べは風が強かったか。青柿が「めっぽう」落ちていたのだ。鮮やかな青柿の落実を驚き惜しむ気持ち。(高橋正子)

7月1日(2句)

★夏大根の太きを二本いただきぬ/多田有花
夏大根はその辛味が好まれる。あまり太くないのが大方だが、有花さんがいただいたのは、太かった。それも二本いただいた。それが驚きで、句になった。(高橋正子)

★背の伸びし娘(こ)にぴったりの藍浴衣/廣田洋一
藍の浴衣に初々しさを感じたのだ。背がすらりと伸びた娘が来てこそ匂やかな藍の浴衣である。(高橋正子)

7月1日~10日


7月10日(4名)

多田有花
梅雨明けの風吹き抜ける四畳半★★★★
梅雨明けや不用家電を処分する★★★
梅雨明けの眩しき空を仰ぎけり★★★

小口泰與
夕映えの浅間や妖し新樹光★★★
浮いて来る時過たぬ目高かな★★★
あけぼのの薔薇の雫を浴びにけり★★★★

廣田洋一
羅を召して銀ブラ女子会かな★★★
軽羅召し白衣の透ける僧侶かな★★★★
自慢げに羅羽織る客の有り★★★

桑本栄太郎
青空の風に乗り居り夏茜★★★
天辺に咲き尽くしたり立葵★★★
鳴くものの一斉に出で梅雨明ける★★★★
梅雨の雨が降っている間は、小鳥も鳴かない。鳴くものの声が聞こえない。梅雨が明けたとたん、小鳥も、早々と虫も鳴き出す。山鳩が鳴いたり涼しい朝がくる。快活な日が戻って、嬉しいことだ。(高橋正子)

7月9日(4名)

多田有花
梅雨豪雨治まり現る河川敷★★★
紫陽花を切る音ようやくの晴れに★★★★
七月の空へ久々干し物を★★★

小口泰與
夕映えの利根川(とね)走りけり夏座敷★★★
天土の曇天の日よ蟻の列★★★

石を分く清水の綾の数多かな(原句)
石に分かる清水の綾の数多かな★★★★(正子添削)
原句の「石を分く水」というのは、かなり勢いを感じます。「清水の綾」ができるのであれば、「石に分かれる」が適切ではないかと、思います。
清水が流れきて、石のところで別れ、静かなさざ波となり、涼しげな水の綾ができる。涼しさが身をぬけるような景色。(高橋正子)

廣田洋一
バス降りてむつと巻きつく暑さかな(原句)
バス降りて巻きつく暑さわが家まで★★★★(正子添削)
「巻きつく暑さ」は実感があって、いい捉え方と思います。

蒲焼の幟はためく暑さかな★★★
食卓の小蠅うるさき暑さかな★★★

桑本栄太郎
一斉に鳴くもの出でぬ梅雨の明★★★
花びらの赤く垂れ居り額の花★★★
朱の色の火炎畑にグラジオラス★★★★

7月8日(3名)

小口泰與
カレー粉の煮え蕩けるや梅の雨★★★
境内のひょうたん池や竹落葉★★★
中腹へ雲の棚引くばらの朝★★★★

廣田洋一
二番子か四羽並びたる燕の子★★★
子燕のこぼれ落ちさう頭出し★★★
燕の子くつつき並び空を向く(原句)
燕の子くつつき並ぶ空を見て★★★★(正子添削)
原句の「並び空を向く」では、単に物事の描写に終わっているきらいがありますので、添削しました。
燕の子は巣からこぼれそうなくらい。くっついて並んで、早くも飛びたいのか、空を見ている。そのあどけなさ。(高橋正子)

桑本栄太郎
何処からか山鳩鳴きぬ梅雨晴間★★★★
梅雨の晴間に、どこからか山鳩の声が聞こえてきた。「ででぽぽー」の山鳩の声に一度に明るい夏が来た気持ちになる。(高橋正子

夏草の車窓つづくや阪急線★★★
花びらの赤くうなだれ額の花★★★

7月7日(4名)

小口泰與
天ずたう赤城山(あかぎ)の風や雨蛙★★★
眼間の滝やわが目にあまないて★★★
大利根の水をあまねく青田かな★★★★

廣田洋一
地下広場平和を願ふ七夕飾り★★★
七夕や宇宙の旅を願ふ子ら★★★★
七夕は今やロマンを願う行事となったようだ。宇宙への一般の人々の旅も現実になりそうだ。それを願う子らの未来がさらに素敵に思える。(高橋正子)

七夕や天の洪水地を崩す★★★

多田有花
さみだれや増水の川を幾度見る★★★★
梅雨の川じわり浸食河川敷★★★
梅雨冷に風を交えて雨続く★★★

桑本栄太郎
暁烏鳴かぬ朝や梅雨荒るる★★★
峰の間を雲駆け昇る梅雨晴間★★★★
くねりつつ蚯蚓出で来る歩道かな★★★

7月6日(4名)

小口泰與
荒梅雨にあえて行きけり赤城山★★★
雨の利根川(とね)あえなき夏のつばくらめ★★★
木下闇遺賢の声の溢れける★★★

廣田洋一
ハンカチを拡げて拭きし昼日中★★★
ハンカチや四つに折りたるカバンの中★★★
ホームにて順番確保汗ぬぐふ★★★

桑本栄太郎
一夜中警報メールや梅雨の穴★★★
荒梅雨の雨音叩く夜もすがら★★★
何処からかサイレン聞こゆ梅雨出水★★★★
梅雨出水は川の水が増水しすざましい勢いの濁流となることがしばしば。サイレンの警報がどこかに鳴り、落ち着かず不安が募る。今回の大雨で中国地方や近畿地方では、川が氾濫寸前のところもある。くれぐれも気を付けてお過ごしいただきたい。(高橋正子)

7月5日(4名)

小口泰與
青芝へ枝よりふわり雀かな★★★
蒼天の映ゆる白雲立あおい★★★★
青空を刷きたる雲や時鳥★★★

多田有花
閉めきって梅雨台風の過ぐを待つ★★★
梅雨嵐去りて残りし濁川★★★
初蝉や嵐の去りし森の道★★★★
嵐の去った安心の森の道。耳に初蝉の声。明るい夏の登場に気持ちが改まる。(高橋正子)

廣田洋一
汗雫肌に張り付く下着かな★★★
インドカレー胃袋熱く汗を拭く★★★
とも角もシュートを打ちて汗光る★★★★

桑本栄太郎
荒梅雨や避難警報つぎつぎに★★★
子供等の下校の声に昼寝覚★★★★
戸を揺らす音に慄き梅雨荒るる★★★

7月4日(3名)

小口泰與
煽らるる夏帽押えへ利根川(とね)を見ず★★★
雨の中紅ばらの容くずれけり★★★
青梅や分教場の暴れ牛★★★

廣田洋一
席に着き腕まくりして団扇かな★★★
駅前の配りし団扇天狗の絵★★★★
休日も机を飾る団扇かな★★★

桑本栄太郎
凌霄花の紅の零るる歩道かな★★★★
凌霄花は鮮やかなオレンジ色の花をおびただしいほど落とす。歩道にあれば、花を撒かれた、しあわせの道を歩くかのような気持ちになる。(高橋正子)

咲き昇り天に至るや立葵★★★
風あれど鈍き日射しや驟雨あと★★★

7月3日(3名)

廣田 洋一
体操の掛け声高し朝曇★★★★
朝曇り庭の草花匂やかに★★★
朝曇り気にせず回す洗濯機★★★

小口泰與
捩花を煽って雀の親子かな★★★★
仰向けにはや落ちにけり夏の蝉★★★
ゆくりなく逢魔が時の鹿の子かな★★★

桑本栄太郎
もう降らぬと誰が決めしか梅雨きのこ★★★
麦飯のとろろ掛けたる昼餉かな★★★★
麦飯は質素な食事を言い表していたのはかつてのこと。暑い時期、麦飯にとろろ汁をかけて食べる昼餉に、野趣味を感じられたであろう。(高橋正子)

雷鳴をガラス戸越しに見ていたり★★★

7月2日(4名)

小口泰與
水槽の濁りし中の目高かな★★★
捩花や風あわあわと吹きにける★★★
青柿のめっぽう落ちし朝かな★★★★
夕べは風が強かったか。青柿が「めっぽう」落ちていたのだ。鮮やかな青柿の落実を驚き惜しむ気持ち。(高橋正子)

多田有花
梅雨の夜に解きたり連立方程式★★★
さみだれや小さきカフェに集い来し★★★★
明易し残る蚊遣の煙かな★★★

桑本栄太郎
窓よりの夜気ひんやりと明早し★★★★
雨上がり又も鳴りたり梅雨の雷★★★
屋根蔽うブルーシートや七月に★★★

廣田洋一
とんとんと打音検査や西瓜買ふ★★★
店先に並べる西瓜赤々と★★★
赤の勝四つ切西瓜一つ買ふ★★★★

7月1日(4名)

多田有花
静かなり真昼の白雨に囲まれて★★★
梅雨深し幾夜か月の顔を見ず★★★
夏大根の太きを二本いただきぬ★★★★
夏大根はその辛味が好まれる。あまり太くないのが大方だが、有花さんがいただいたのは、太かった。それも二本いただいた。それが驚きで、句になった。(高橋正子)

小口泰與
落陽を一顧だにせず鮎釣師★★★
夏燕水田波立て反転す★★★
雨後のばら剪るや雨水浴びにける(原句)
雨後のばら剪るや雨水返り浴び★★★★(正子添削)

廣田洋一
夕べの街そぞろ歩きの浴衣の娘(こ)★★★
浴衣の娘今日のイベント何かしら★★★
背伸びし娘(こ)にぴったりの藍浴衣(原句)
背の伸びし娘(こ)にぴったりの藍浴衣★★★★(正子添削)
藍の浴衣に初々しさを感じたのだ。背がすらりと伸びた娘が来てこそ匂やかな藍の浴衣である。(高橋正子)

桑本栄太郎
さらさらと葉擦れ涼しき風の道★★★
炎昼の京の町家となりにけり★★★
BGMの祇園囃子や河原町(原句)
祇園囃子のBGMや河原町★★★★(正子添削)