2月12日(金)

★梅の花いつもきれいな青空に   正子
梅の開花を迎える今の時季は気候も定まらず、風がよく吹き、まさに吸い込まれそうな青空の事が多いようです。寒梅の折に見上げる空は、先ずきれいな青空があって、その青空を背景に梅見です。きれいな青空と梅の花の情景がよく想われ、寒梅を楽しまれた事でしょう。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
ぱつちりと土手にちらばり犬ふぐり/桑本栄太郎
犬ふぐりの花は、ぱっちりと開いた小さな青い瞳のようだ。土手に散らばって咲く姿がまた可憐である。(高橋正子)

○紅梅

[紅梅/横浜・四季の森公園]

★紅梅や見ぬ恋つくる玉すだれ 芭蕉
★紅梅や入日の襲ふ松かしは 蕪村
★紅梅や照日降日の中一日 暁台
★紅梅や大きな弥陀に光さす 太祇
★紅梅にほしておくなり洗ひ猫  一茶
★紅梅や雨のふりたるぬり盥 成美
★梅の中に紅梅咲くや上根岸 子規
★紅梅や文箱差出す高蒔絵 漱石
★紅梅や日和の影を雲の上/長谷川櫂
★坂下はすぐに汀や薄紅梅/小澤克己
★紅梅や湯上りの香の厨ごと/岡本眸
★紅梅に空あをくなれ青くなれ/林翔
★紅梅や庭に富士見の丘築き/宮津昭彦
★紅梅のつめたき枝をさしかはし/高田正子

四季の森公園へ行った帰り道、辛夷が無数に蕾を付ける街路樹のある歩道を脇に入ったところ。紅梅の匂いがした。紅梅のあることを知らなかった場所にこれも無数の蕾を付けた紅梅の木が立っている。二本。ふくよかな匂いがする。かすかに薔薇のような匂いがする。まじまじと見れば童女のようにあどけない。

★おしばなの紅梅円形にて匂う/高橋正子

 日記帳にひそかに挟み、忘れたころに見つかる。押し花になってもいい匂いがする。自分の、誰に見せるわけでもない小さな宝物である。

★紅梅咲く隣家に黒衣の人出入り/高橋正子
うららかな紅梅日和、法事があるのだろう。黒衣が日にきらめいていた。

 梅 (うめ、学名:Prunus mume)は、薔薇(ばら)科。開花時期は、1月中旬頃から咲き出すもの、3月中旬頃から咲き出すものなど、さまざま。漢名でもある「梅」の字音の「め」が変化して「うめ」になった。中国原産。奈良時代の遣隋使(けんずいし)または遣唐使(けんとうし)が中国から持ち帰ったらしい。「万葉集」の頃は白梅が、平安時代になると紅梅がもてはやされた。万葉集では梅について百首以上が詠まれており、植物の中では「萩」に次いで多い。別名は「好文木」(こうぶんぼく)、「木の花」(このはな)、「春告草」(はるつげぐさ)、「風待草」(かぜまちぐさ)。1月1日、2月3日の誕生花。花言葉は「厳しい美しさ、あでやかさ」
 ウメにまつわる言葉
 「桜伐(き)る馬鹿、梅伐らぬ馬鹿」 春先に咲く代表的な花である桜と梅のふたつを対比しつつ、栽培上の注意を示したもの。桜はむやみに伐ると切り口から腐敗しがちであり、剪定には注意が必要。一方、梅の樹は剪定に強く、むしろかなり切り詰めないと徒枝が伸びて樹形が雑然となって台無しになるばかりでなく、実の付き方も悪くなる。花芽は年々枝先へと移動する結果、実が付く枝は通常数年で枯れ込んでしまう。実の収穫を目的とするのであれば、定期的に枝の更新を図る必要があるからである。
 「東風(こち)吹かば にほひおこせよ梅の花 主なしとて 春な忘れそ」
 菅原道真が大宰府に左遷されるとき、道真の愛した庭の梅の花に別れを惜しんで詠んだ歌。後に庭の梅木が道真を追って大宰府に飛んできた、という「飛梅伝説」がある。
 「桃栗三年、柿八年、柚(ゆず)の馬鹿野郎十八年、梅はすいすい十六年」
 種を植えてから実を収穫できるまでの期間を指す俚謡。本来は「桃栗三年柿八年」で一つの諺。「物事は簡単にうまくいくものではなく、一人前になるには地道な努力と忍耐が必要だ」という教訓である。

◇生活する花たち「シナマンサク・マンサク・ハヤザキマンサク」(東大・小石川植物園)

●自由な投句箱/2月11日~20日●


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今日の秀句/2月11日-20日


[2月20日]

★ほっこりと野の香の立ちて蓬餅/佃 康水
「ほっこりと」に、なごまされる。蓬餅の蓬の香りは、春の野の香りといってよい。蓬餅もまるまるとして、手作りの良さが見えておいしそう。(高橋正子)

[2月19日]

★沈みゆく日を見送りて春の橋/祝恵子
「沈みゆく日」には人はどこか感傷的な気持ちを持つが、この句はもっと自然体で、沈む日を心に収めつつ見送っているのがいい。日が永くなった春の橋は、沈む日の始終をよく見せてくれる。(高橋正子)

★さまざまの花芽蕾に春の朝/川名ますみ
さまざまな花芽が気づくと蕾になって、膨らんでいる。朝なので、「一夜にして蕾になった」ような気持もするのだろう。うれしいことだ。(高橋正子)

[2月18日]

※該当作品なし

[2月17日]

★日脚伸ぶ鳥は枯木の懐に/河野啓一
枯木には日が暖かそうに差し込んで、その中に鳥が遊んでいるのがよく見える。枯木のふところに居て、鳥は自由だ。(高橋正子)

[2月16日]

★飛び発ちて何処へ消えし春の鳥/河野啓一
枝移りする春の鳥を眺めていたら、飛び発ってしまった。何処へ消えてしまったのだろう。春の鳥へ慈しみ。(高橋正子)

★ごつごつと触れ合う船や春の潮/古田敬二
ゆったりと流れる春の潮もあるけれど、春一番などの風が吹くと潮が荒れる。繋いである船が船体と船体をぶつけて「ごつごつ」という音を立てる。それがリアルに詠まれている。(高橋正子)

[2月15日]

★青麦や光り弾くる鳩の胸/小口泰與
鳩の胸は丸く出っ張って、光りを虹色に弾いていることがある。麦はあおあおと光りを反射させ、風は寒くとも、光りは強く春本番へと近づいている。(高橋正子)

[2月14日]

★神護寺へ長き石段春淡し/多田有花
「神護寺」に私は参ったことはないが、その奥の方には栂尾「高山寺」があって、一度は行ってみたい寺である。京都高雄山の中腹にある紅葉の名所と知られ、日本寺院の中でもの重要な寺とされる。長い石段に覆いかぶさるような紅葉の写真からみると、古びた長い石段を上りつつ「春淡し」が身に感じられてくる。(高橋正子)

[2月13日]

★広い野に膨らみかけた蕗の薹/迫田和代
蕗の薹は山水のしみ出るところ、庭の片隅、野原にも蕗の薹がある。広い野に膨らみかけた蕗の薹は、空に憧れて花を咲かせようとしている風にも見える。心が広々となる句。(高橋正子)

★春泥をき踏み散らし来る孫二人/河野啓一
男のお孫さんの、中学生か、高校生を想像する。二人が元気よく、春泥も厭わず、春泥を踏み散らしてやってくる。飾り気がなくて、溌剌とした行動が頼もしい。(高橋正子)

[2月12日]

★テレビには雪山窓に梅蕾/河野啓一
テレビには凛とした雪山が映し出され春は遠いと見えるが、私の傍近くの窓には、梅の蕾が膨らんで、咲きそうである。日本列島、こうも季節が違うものか。(高橋正子)

[2月11日]

★茎立や菜園それぞれ仕切らるる/桑本栄太郎
菜園のに蕪やあぶら菜の薹が立って、あちこちにすっくと茎が伸びている。その茎立った様子を見れば、一目瞭然菜園が仕切られているのが分かる。早春の景色。(橋正子)

2月11日~20日


2月20日(6名)

●小口泰與
たらの芽や淵に佇むてんから師★★★
釣人の魚籠あふれけり蕗の薹★★★★
安曇野の畦の雪間に蕗の薹★★★

●小川和子
日当たれば幹温かき欅かな★★★★
日の少し差し込む藪の紅椿★★★
長閑さに莟ほのぼの枝だれ梅★★★

●多田有花
小綬鶏に呼ばれて窓を開けにけり★★★★
春眠をたっぷりとって風邪癒す★★★
春の雨更地となりし河川敷★★★

●古田敬二
ランナーの足音梅の咲き初むる★★★
豊かなり地にイヌフグリ枝に梅花★★★
蜜を吸うメジロとしばし遊びけり★★★★

●佃 康水
河原鶸零れて葦に啼きたつる★★★
ほっこりと野の香の立ちて蓬餅★★★★
「ほっこりと」に、なごまされる。蓬餅の蓬の香りは、春の野の香りといってよい。蓬餅もまるまるとして、手作りの良さが見えておいしそう。(高橋正子)

車窓より火事丸見へに冴え返る★★★

●上島祥子
梅枝の二心無く青空へ★★★
雪残る天満宮への路静か★★★
御嶽に向き合い座る春テラス★★★★

2月19日(4名)

●小口泰與
耕やダックスフント駆け抜けし★★★
犬ふぐりプラネタリウム出づる吾子★★★
鳥交る芝にあまねく日の差しぬ★★★★

●祝恵子
薄氷やバケツのヒシャク持てば割れ★★★
沈みゆく日を見送りて春の橋★★★★
「沈みゆく日」には人はどこか感傷的な気持ちを持つが、この句はもっと自然体で、沈む日を心に収めつつ見送っているのがいい。日が永くなった春の橋は、沈む日の始終をよく見せてくれる。(高橋正子)

春の鳥尾をひくひくと切り株に★★★

●古田敬二
春野行く故郷の夢見し朝★★★
春風の音せぬほどに梢揺れ★★★★
春の海三角波に風遊ぶ★★★

●川名ますみ
さまざまの花芽蕾に春の朝★★★★(正子添削)
さまざまな花芽が気づくと蕾になって、膨らんでいる。朝なので、「一夜にして蕾になった」ような気持もするのだろう。うれしいことだ。(高橋正子)

川縁の小さき梅苑白満つる★★★
しだれ梅萼の裏にも蕾あり★★★

2月18日(2名)

●小口泰與
川風のいまだ硬しや牡丹の芽★★★★
産土の砂利懐かしき蜆汁★★★
噴煙の先の細きや冴返る★★★

●多田有花
快晴の明石海峡春早し★★★
春の野を朝日に向かい新幹線★★★
春朝日白鷺城を薔薇色に★★★★

2月17日(4名)

●河野啓一
日脚伸ぶ鳥は枯木の懐に★★★★
枯木には日が暖かそうに差し込んで、その中に鳥が遊んでいるのがよく見える。枯木のふところに居て、鳥は自由だ。(高橋正子)

春昼の枯れ木に遊ぶ鳥の影★★★
梅が香や南部(みなべ)紀の国海青し★★★

●小口泰與
産土の鍋割山(なべわり)雪消鳥の声★★★
畑打や猫の足跡点点と★★★
下萌や里は寒風なお残り★★★★

●多田有花
廃屋の取り壊されて春寒し★★★★
春あられ年金引き出す人の列★★★
春の風邪鼻炎カプセル服用す★★★

●谷口博望 (満天星)
肩に触れ被爆柳や千羽鶴
肩に触る被爆の柳千羽鶴★★★★(正子添削)
ピーヒャラと鳶舞いたる日永かな★★★
手をつけば鯉の旋回水温む★★★

2月16日(4名)

●小口泰與
噴煙の見ゆる溶岩道すみれ咲く★★★★(正子添削)
朝晩の御勤めの如蜆汁★★★
摘草や子のスカートの揺れかすか★★★

●河野啓一
飛び発ちて何処へ消えし春の鳥★★★★
枝移りする春の鳥を眺めていたら、飛び発ってしまった。何処へ消えてしまったのだろう。春の鳥へ慈しみ。(高橋正子)

冴えかえる朝の生駒のあざやかに★★★
チューリップ伸び来る若葉やわらかに★★★

●桑本栄太郎
春眠の目覚め夢追い又ゆめに★★★
雲奔り雲影走る春の嶺★★★
目刺焼きひとり夕餉や妻の留守★★★★

●古田敬二
ごつごつと触れ合う船や春の潮★★★★
ゆったりと流れる春の潮もあるけれど、春一番などの風が吹くと潮が荒れる。繋いである船が船体と船体をぶつけて「ごつごつ」という音を立てる。それがリアルに詠まれている。(高橋正子)

立春や過る小鳥の羽透ける★★★
枝渡る鳥影多し春立つ日★★★

2月15日(3名)

●小口泰與
青麦や光り弾くる鳩の胸★★★★
鳩の胸は丸く出っ張って、光りを虹色に弾いていることがある。麦はあおあおと光りを反射させ、風は寒くとも、光りは強く春本番へと近づいている。(高橋正子)

前向ける尾長の嘴や春の土★★★
春の日や会釈なき子へ手を振りぬ★★★

●河野啓一
青年の合格を喜びて
大和なる明日香の里の初音かな★★★★
薄日さす二月はもはや半ば過ぎ★★★
冴えかえる池の氷の鈍き色★★★

●桑本栄太郎
姦しき田面の天(そら)や揚ひばり★★★★
屈みこみ一頻り愛づ犬ふぐり★★★
止まりて春の楽聞く小川かな★★★

2月14日(5名)

●古田敬二
反芻の黒牛の背に春陽濃し★★★
青き踏み放牧牛ののしのしと★★★
木蓮の蕾の向こうの空広し★★★★

●小口泰與
梢より落ち来るものよ牡丹雪★★★★
春の暮採餌に尾長来りける★★★
噴煙の先や真鳥の春の山★★★

●多田有花
神護寺へ長き石段春淡し★★★★
「神護寺」に私は参ったことはないが、その奥の方には栂尾「高山寺」があって、一度は行ってみたい寺である。京都高雄山の中腹にある紅葉の名所と知られ、日本寺院の中でもの重要な寺とされる。長い石段に覆いかぶさるような紅葉の写真からみると、古びた長い石段を上りつつ「春淡し」が身に感じられてくる。(高橋正子)

春の空錦雲渓の底に光る★★★
バレンタインデー終日風の音高し★★★

●桑本栄太郎
山裾の里のけぶりて揚ひばり★★★★
あるが儘咲いて競える野梅かな★★★
バレンタインデー愛は誤解と知りつつも★★★

●谷口博望(満天星)
梅見茶屋水琴窟の音を聴き★★★
梅咲いて久々に聞く孫の声★★★★
春一番からす毅然と橋の上★★★

2月13日(4名)

●小口泰與
春の鳥句会仲間と居るごとし★★★★
眠ぶさたの昼や畦道揚ひばり★★★
のったりと横たわりたる春の昼★★★

●迫田和代
広い野に膨らみかけた蕗の薹★★★★
蕗の薹は山水のしみ出るところ、庭の片隅、野原にも蕗の薹がある。広い野に膨らみかけた蕗の薹は、空に憧れて花を咲かせようとしている風にも見える。心が広々となる句。(高橋正子)

雨の中負けるものかと鶯や★★★
梅の花香りしらじら花も白★★★

●河野啓一
春泥をき踏み散らし来る孫二人★★★★
男のお孫さんの、中学生か、高校生を想像する。二人が元気よく、春泥も厭わず、春泥を踏み散らしてやってくる。飾り気がなくて、溌剌とした行動が頼もしい。(高橋正子)

春衣着せてマネキン若くなり★★★
春昼やどら焼きを手に舟を漕ぐ★★★

●桑本栄太郎
さみどりも赤きもありぬ新芽立つ★★★
野梅咲き遠きふるさと想い見る★★★★
野に立つや高き天なる揚ひばり★★★

2月12日(5名)

●河野啓一
テレビには雪山窓に梅蕾★★★★(正子添削)
テレビには凛とした雪山が映し出され春は遠いと見えるが、私の傍近くの窓には、梅の蕾が膨らんで、咲きそうである。日本列島、こうも季節が違うものか。(高橋正子)

杯を挙ぐ建国日なり青山河★★★
樹の洞に小鳥連れ立ち水を飲む★★★

●谷口博望 (満天星)
下萌や落ちて朽ちたる金鈴子★★★
春の風朽ちて破れし朴落葉★★★★
朽ちつつも二月の空の茨の実★★★

●小口泰與
払いてもとび来る虻ぞ浮子沈む★★★
小座布団ならぶ茶店や梅の花★★★
紅梅やほっと茶柱立ちにける★★★★

●多田有花
早春の人影まばらな高山寺★★★
お抹茶をいただく余寒の高山寺★★★
トレイルを歩き二月の池に出る★★★★

●桑本栄太郎
芽柳の青き枝垂れや小畑川★★★★
まんさくの青き空へと見上げ居り★★★
うらうらと歩む街道菜の花忌★★★

2月11日(5名)

●小口泰與
境内の一隅照らす梅の花★★★
隠れ沼へ一目散の雉子かな★★★
亀鳴くや非通知電話かかり来る★★★

●谷口博望(満天星)
春きざす猿の手温め確かなり★★★
春淡しさざ波光る被爆川★★★
川面照り顔ぶれ変る今日の鴨★★★★

●河野啓一
春温し縄文土偶のほほえみて★★★★
杯を挙げて談笑春の午後★★★
せせらぎは春を流れて水車へと★★★

●祝恵子
広き空求めて凧は高くあり★★★★
婆の木という椿の札に苦笑する★★★
降雪機子らにそそぎて春広場★★★

●桑本栄太郎
茎立や菜園それぞれ仕切らるる★★★★
菜園のに蕪やあぶら菜の薹が立って、あちこちにすっくと茎が伸びている。その茎立った様子を見れば、一目瞭然菜園が仕切られているのが分かる。早春の景色。(橋正子)

春禽の見えざる枝を探しけり★★★
紅梅のいつも青空丘の梅★★★