入賞発表/新年ネット句会


■2016年新年ネット句会■
■入賞発表/2016年1月3日

【金賞】
★澄み渡る大空青き初詣/高橋秀之
今年は晴天の暖かい元旦で、正月とは思えない陽気だった。澄み渡る空、それも「大空」であるのがいい。気持ちがおおらかで、晴れやかな初詣だ。よい正月。(高橋正子)

【銀賞】
★東(ひんがし)の大きな星よ除夜詣/ 佃 康水
大晦日の夜からお参りに出かけ、そのまま新年となる。年改まった空を見上がれば、東に輝く大きな星が目に入る。早くも明けの明星なのであろうか。なにか願いを叶えてくれそうな大きな星である。(高橋正子)

【銅賞2句】
★実南天活けて障子の初明り/小川和子
真っ赤な南天の実を障子のある部屋に活けた。朝が来て障子に初明かりが差し、部屋は淑気に満ちた部屋となっている。日本の正月の良き光景だ。(高橋正子)

★石鎚の嶺くっきりと初景色/柳原美知子
石鎚山は、四国の霊峰。中四国では一番高い山で、松山市の郊外からも眺められる。新年の朝、その特徴ある嶺がくっきりと目に入ると、なにか勇気づけられる気がする。初景色ならば、なおさらだろう。(高橋正子)

【高橋信之特選/5句】
★新年に着信音が鳴り続く/高橋秀之
携帯電話のメールでの新年の祝詞が飛び交う若い世代。時代の移り変わりが思われます。(柳原美知子)

★年用意身に付いてきし割烹着/小川和子
まなうらに浮かぶ母のかいがいしい割烹着姿。年齢を少しずつ重ね、自身もようやく割烹着が身に付いてきたようだ。来し方への感慨と今後への意気が感じられます。(柳原美知子)

★銀翼の浮きたる二日の空の碧/高橋正子
冬晴れの澄み切った青空に浮かぶ銀翼、大空高く飛行機雲が伸びてゆく様子が鮮やかに目に浮かび、祥雲を仰ぐようです。(柳原美知子)

★初売りの声は大きく高らかに/高橋秀之
初売りの明るさは、まず売る人の声から。大きく高らかな声はめでたさの表れ。この声にひかれて立ち寄る人も多いだろう。(高橋正子)

★石鎚の嶺くっきりと初景色/柳原美知子
石鎚山は、四国の霊峰。中四国では一番高い山で、松山市の郊外からも眺められる。新年の朝、その特徴ある嶺がくっきりと目に入ると、なにか勇気づけられる気がする。初景色ならば、なおさらだろう。(高橋正子)

【高橋正子特選/5句】
★実南天活けて障子の初明り/小川和子
実南天をお正月花として高々と活けられました。艶やかな赤い実が座敷に明かりを灯した様に映えているのが見えて参ります。(佃 康水)

★石鎚の嶺くっきりと初景色/柳原美知子
身近に山を仰ぐ生活の清々しさを、御句により思い出させていただきました。よく晴れた元日の石鎚山の神々しさがまっすぐに伝わってきます。(小川和子)

★澄み渡る大空青き初詣/高橋秀之
上5 中7 下5のすべてが心晴れ晴れとする言葉が並び大変晴れやかさを感じます。快晴に恵まれ、今年も壮健な良い年を予見出来そうなそんな初詣だった事でしょう。 (佃 康水)

★年明くや北鎌倉に寺多き/高橋信之
鎌倉は海と山に囲まれた美しい古都鎌倉、昔は知識階級や権力者が多く住まわれて居たとか。そこへ多数の宗派がお寺を構えたためにお寺が多いのだと浅い知識では有りますが理解しています。お寺は自然環境も豊かでも有り、まして蒼天に恵まれたお元日。淑気の満ち満ちた北鎌倉の様子が見えて参ります。(佃 康水)

★東(ひんがし)の大きな星よ除夜詣/佃 康水
大晦日の夜からお参りに出かけ、そのまま新年となる。年改まった空を見上がれば、東に輝く大きな星が目に入る。早くも明けの明星なのであろうか。なにか願いを叶えてくれそうな大きな星である。(高橋正子)

【入選/4句】
★瀬音響く祠に小さき鏡餅/柳原美知子
瀬音響くとあれば屹度しっかりした小川でしょうね。まわりが大きく感じられます。可愛い鏡餅も温かいですね。 (迫田和代)

★境内の真夜に溢るる御慶かな/佃 康水
二年参りで初詣に出かけられているのでしょう。真夜中にもかかわらず新年を祝う人たちで活気のある境内が浮かびます。(高橋秀之)

★広い海茜の空から初日の出/迫田和代
海からの初日の出。空を茜に染め、海から昇る初日に神々しさ、晴れやかさが見られ、新年の喜びが読み取れる。(高橋正子)

★初詣絵馬奉納し幸祈る/河野啓一
初詣で祈るのは、家族の、大きくは世界の幸せ。絵馬を奉納し、幸を祈る。営々と受け継がれている絵馬の奉納。(高橋正子)

■選者詠/高橋信之
★新春の鳩の土産を玄関に
土産にもらった鳩の置物を玄関に飾ってみた。今年1年の平和を祈念するささやかな作者のお気持ちがつたわってきます。(河野啓一)

★年明くや北鎌倉に寺多き
鎌倉は海と山に囲まれた美しい古都鎌倉、昔は知識階級や権力者が多く住まわれて居たとか。そこへ多数の宗派がお寺を構えたためにお寺が多いのだと浅い知識では有りますが理解しています。お寺は自然環境も豊かでも有り、まして蒼天に恵まれたお元日。淑気の満ち満ちた北鎌倉の様子が見えて参ります。(佃 康水)

★卓上の皿の蜜柑の明るき色
お正月と言えば炬燵の上の蜜柑が思われます。蜜柑の色の明るさは、故郷瀬戸内の空や海の明るさに繋がるものなのでしょうか。お健やかに新年を迎えられお喜び申し上げます。(柳原美知子)

■選者詠/高橋正子
★坂の上に鈴振り鳴らす初詣
初空を見上げながら坂の上の神社への初詣。振り鳴らす鈴の音も晴れ晴れとした大空へひろがってゆき、今年を明るく迎えられた喜びが感じられます。ご清福をお祈り致します。 (柳原美知子)

★元旦の布巾を干せば鵯の声
元旦に布巾を綺麗に洗い干していると何処からか鵯の声が聞こえた。
鵯の鳴く自然豊かな環境の中に干された真っ白な布巾を大きくイメージ致します。主婦としても清潔な日頃の暮らし振りまでもが見えて来るようです。(佃 康水)

★銀翼の浮きたる二日の空の碧
冬晴れの澄み切った青空に浮かぶ銀翼、大空高く飛行機雲が伸びてゆく様子が鮮やかに目に浮かび、祥雲を仰ぐようです。(柳原美知子)

■互選高点句
●最高点(4点/同点2句)
★実南天活けて障子の初明り/小川和子
★瀬音響く祠に小さき鏡餅/柳原美知子

※集計は、互選句をすべて一点としています。選者特選句も加算されています。
(集計/藤田洋子)
※コメントのない句にコメントをお願いします。

◆新年ネット句会清記◆


■新年ネット句会清記
8名24句

01.広い海茜の空から初日の出
02.青い空緑緑の初詣
03.慌ただし年の暮れの顔つきに
04.元日の一献酒は福寿かな
05,去年今年カミオカンデに幸あれと
06.初詣絵馬奉納し幸祈る
07.東(ひんがし)の大きな星よ除夜詣
08.境内の真夜に溢るる御慶かな
09.絵手紙の笑う猿見て初笑い
10.新年に着信音が鳴り続く

11.初売りの声は大きく高らかに
12.澄み渡る大空青き初詣
13.実南天活けて障子の初明り
14.御持たせの逸品受けて雑煮膳
15.年用意身に付いてきし割烹着
16.坂の上の鈴振り鳴らす初詣
17.銀翼の浮きたる二日の空の碧
18.元旦の布巾を干せば鵯の声
19.年明くや北鎌倉に寺多き
20.新春の鳩の土産を玄関に

21.卓上の皿の蜜柑の明るき色
22.石鎚の嶺くっきりと初景色
23.飼い猫に初の正月晴れ晴れと
24.瀬音響く祠に小さき鏡餅

※互選を開始してください。

◆新年ネット句会(2016)のご案内◆


●新年ネット句会(2016)投句案内●
①投句:当季雑詠(新年か、冬の句)3句
②投句期間:2015年12月30日(水)午前0時~2016年1月2日(土)午後6時
③投句は、下の<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。

▼互選・入賞・伝言
①互選期間:1月2日(土)午後7時~午後10時
②入賞発表:1月3日(日)正午
③伝言・お礼等の投稿は、1月3日(日)正午~1月4日(月)午後6時

○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

今日の秀句/1月1日~10日


[1月10日]

★朝の日に門辺賑わす寒椿/河野啓一
中七の「門辺賑わす」がこの寒い季節を明るくしている。(高橋正子)

 京都
★竹林の木漏れ日青き淑気かな/佃 康水
「竹林の木漏れ日」が京都らしい雅な「淑気」を漂わせている。(高橋正子)

★オリオンと向き合う時は一人なり/上島祥子
オリオン星座のはっきりとした形と自分と対峙させていてよい。(高橋正子)

[1月9日]

★霜強し尾灯定かな山の駅/小口泰與
「山の駅」でこの句に詩情が出た。山の駅で、次々過ぎ去る車の尾灯を眺めていると、尾灯は定かに澄んで赤い。強霜の夜の山の冷えを思う。(高橋正子)

★青い空映して輝く氷柱かな/迫田和代
氷柱に青い空が移っている。夜が凍ててただけに空は快晴であろう。空の青と氷柱の輝く白が若々しい感覚で捉えられている。(高橋正子)

[1月8日]

★水仙や水の響のすぐそばに/多田有花
「水の響」に水仙がますます清らかに生きいきとした。水の響きに水仙の花が揺れそうだ。(高橋正子)

[1月7日]

★夕餉には男の料理大根買う/古田敬二
大根が一番おいしい季節。夕餉にはそのおいしい大根を使った料理を楽しもうという男子の意気込み。(高橋正子)

[1月6日]

★丘の辺に梅の蕾を見て歩く/河野啓一
楽しそうな探梅行。丘の梅林の蕾が早やも膨らみ、見て歩くのも愉快な気持ちだ。(高橋正子)

★青空へ早やも蝋梅咲き揃う/佃 康水
青空に蝋梅の澄んだ黄色が映えて、すっきりと晴れやかな気持ちになる。今年は暖かく、正月には早くも蝋梅が咲きそろったようだ(高橋正子)

[1月5日]

★山稜も見えず靄濃き奥丹波/河野啓一
奥丹波は、独特の地形を持つ京都の穀倉地帯ともよばれる肥沃な土地。ここに瀬戸内海からの暖かい風と、日本海からの雪国の冷たい風が混じり、霧が発生しやすいと聞く。周囲を囲む山稜も見えないほどの深い「靄」。早やも春の気配のする奥丹波である。(高橋正子)

[1月4日]

★裏白の反り返り居り四日かな/桑本栄太郎
四日ともなれば、正月飾りの裏白も乾燥して反り返ってくる。人にあっては、正月気分も抜けかけて、しらしらとした気持になる。反り返った裏白に人の気持ちが重なる。(高橋正子)

[1月3日]

★冬昴美濃山塊の黒々と/古田敬二
美濃は敬二さんの故郷。美濃の山々が黒くせまり、空には昴がきらめく。星のきれいな、心に沁みる美濃の夜。(高橋正子)

[1月2日]

★日記買う午後いっぱいを費やして/上島祥子
日記は毎日手にして書くもの。私のための毎日のものは、丁寧に選びたい。いろんな角度から見て納得のものでありたい。午後いっぱいを楽しみつつ選ぶのだ。(高橋正子)

[1月1日]

★あけぼのの赤城の裾野淑気満つ/小口泰與
空が明け初め、赤城山が裾野を広げ、悠然と姿を現した。裾野は淑気に満ちて、すっかり新しい赤城山となった。(高橋正子)

1月1日~10日


1月10日(8名)

●小口泰與
冬晴の美し赤城山(あかぎ)よ鳥の声★★★★
仰ぎ見る観音像へ冬日かな★★★
シャンソンを聴く足組みや夜の暖炉★★★

●河野啓一
八ヶ岳雪なかりしと孫の言う★★★
池干して何処へ行くや浮寝鳥★★★
朝の日に門辺賑わす寒椿★★★★
中七の「門辺賑わす」がこの寒い季節を明るくしている。(高橋正子)

●古田敬二
冬雲の黒影げ動く紀伊の山★★★
寒空へメタセコイアの尖り立ち★★★
風あるらし離れた角の枇杷の花★★★★

●多田有花
寒の梅空どこまでも透きとおり★★★★
穏やかに冬の光や播磨灘★★★
羊羹を食べ茶をすすり寒茜★★★

●桑本栄太郎
つまみ見る葉の柔らかし今朝の霜★★★
寒釣や水面を見つめ背なの黙★★★
バイパスの高架工事や日脚伸ぶ★★★★

●佃 康水
 京都嵐山
嵐山映す川面に鴨遊ぶ★★★
初春や高々さやぐ嵯峨の竹★★★
竹林の木漏れ日青き淑気かな★★★★
「竹林の木漏れ日」が京都らしい雅な「淑気」を漂わせている。(高橋正子)

●上島祥子
夕闇の鋭さ増して冬木立★★★
オリオンと向き合う時は一人なり★★★★
オリオン星座のはっきりとした形と自分と対峙させていてよい。(高橋正子)

手を合わす墓石の向こうに初御空★★★

●川名ますみ
七草に粥が青いという驚き★★★★
寒梅に往きは気づかず喪の路を★★★
優しかりし人の遺稿の手に冷た★★★

●高橋正子
砂粒のわれを思いて寒夜寝る★★★
寒雀一羽も見えず桜の木★★★
ブロッコリーと卵を茹でる湯気白し★★★★

1月9日(6名)

●小口泰與
霜強し尾灯定かな山の駅★★★★
「山の駅」でこの句に詩情が出た。山の駅で、次々過ぎ去る車の尾灯を眺めていると、尾灯は定かに澄んで赤い。強霜の夜の山の冷えを思う。(高橋正子)

早梅や熱海七湯めぐりける★★★
我が影の田を横切りし冬菫★★★

●迫田和代
霜焼けの手をいたわった子供の日★★★
踏まれても緑青々冬の草★★★

青い空映して輝く氷柱かな★★★★
氷柱に青い空が移っている。夜が凍ててただけに空は快晴であろう。空の青と氷柱の輝く白が若々しい感覚で捉えられている。(高橋正子)

●谷口博望 (満天星)
ビル間の光芒眩し冬茜★★★
寒雀ちょこちょこ傍へ寄ってくる★★★★
冬空へメタセコイヤの透き通る★★★

●桑本栄太郎
しらじらと明ける寝床や寒鴉★★★
初戎商売繁盛笹持来★★★
冬入日枝の背にある嶺の影★★★★

●多田有花
葱刻む冷凍保存するために★★★
自家製の切干大根やわらかし★★★
寒落暉に向かい車を走らせる★★★★

●高橋正子
寒中の目覚め淡くて喜遊曲
打撲せし右手の冷えしとも凍てしとも
誕生日の冬薔薇今朝もよく水吸い

自由な投句箱 (小口泰與)2016-01-09 09:25:25★霜強し尾灯定かな山の駅
★早梅や熱海七湯めぐりける
★我が影の田を横切りし冬菫
自由な投句箱 (迫田和代)2016-01-09 10:49:25★霜焼けの手をいたわった子供の日
★踏まれても緑青々冬の草
★青い空映して輝く氷柱かな
自由な投句箱 (満天星)2016-01-09 18:01:05◇ビル間の光芒眩し冬茜
◇寒雀ちょこちょこ傍へ寄ってくる
◇冬空へメタセコイヤの透き通る

自由な投句箱 (桑本栄太郎)2016-01-09 19:03:05★しらじらと明ける寝床や寒鴉
★初戎商売繁盛笹持来
★冬入日枝の背にある嶺の影
自由な投句箱 (多田有花)2016-01-09 22:43:22葱刻む冷凍保存するために
自家製の切干大根やわらかし
寒落暉に向かい車を走らせる

1月8日(7名)

●小口泰與
笹鳴や携帯電話置忘れ★★★
冬木立飛行機雲の交差なり★★★
煎餅を割るや轍の蝉氷★★★★

●古田敬二
鍬先を光らせ冬の落暉かな★★★★
鈴鹿峰益々黒絵冬落暉★★★
ドウダンの冬芽万朶の尖りかな★★★

●河野啓一
成人の日祝儀を送る祖父と祖母★★★
雲割って朝日注げや新成人★★★★
寒稽古道具抱えし少女行く★★★

●多田有花
春永のガラスの窓にさす夕陽★★★
水仙や水の響のすぐそばに★★★★
「水の響」に水仙がますます清らかに生きいきとした。水の響きに水仙の花が揺れそうだ。(高橋正子)

葉をつけしままのかぶらをいただきぬ★★★

●川名ますみ
 主治医の葬儀に
喪のショール羽織りて顎をくっと上げ★★★
力込め冬の喪服のしわ伸ばす★★★
抹香の膝のショールに零れけり★★★★

●桑本栄太郎
ぶつぶつと電気ストーブつぶやける★★★
日溜りのサッカー遊びや良寛忌★★★
葱きざみきつねうどんの出来ました★★★★

●谷口博望 (満天星)
チェロの音も人も優しき冬の会★★★★
遙かなる瀬戸は小寒日矢の下★★★
裸木や高々と舞ふ鳶二羽★★★

●高橋正子
松明けの深夜を流るレクイエム
陽だまりのように伊予柑積み売られ
小寒に入りて林檎のあかあかと

1月7日(7名)

●河野啓一
七草の香りうれしき厨かな★★★★
七草の名を数えつつ粥を食ぶ★★★
申の字のごとく湯のなか年男★★★

●谷口博望(満天星)
寒木瓜や朴訥といふ五十余年★★★★
子守柿厭な記憶のなつかしき★★★
楸の莢垂れ下る枯木立★★★

●小口泰與
水仙や風通りゆく雑木山★★★
ハーレーの枯葉巻き込む峠かな★★★
福寿草はらから集う広間なか★★★★

●古田敬二
Sの字に紀ノ川光る冬温し★★★
夕餉には男の料理大根買う★★★★
大根が一番おいしい季節。夕餉にはそのおいしい大根を使った料理を楽しもうという男子の意気込み。(高橋正子)

夕暮れて黒き線画や冬木立★★★

●多田有花
はくれんの花芽の光り寒の空★★★★
()山茶花の坂道のぼり奥の院★★★
人日や宅配荷物に判子押す★★★

●桑本栄太郎
鞍馬より下り来たるやしぐれ雲★★★
めでたさや渦淡々とミニ葉牡丹★★★★
七日正月厨の妻の鍋用意★★★

●高橋正子
七草の粥のはこべが匂い立ち
 1月3日
誕生日のブーケに混じる青き羊歯
注連飾りはずす星の出でし夜

1月6日(7名)

●古田敬二
三河路は高きに鷹群れ小六月★★★
谷渡る一羽遅れて四十雀★★★
 奥三河花祭り
花祭り月面走る雲早し★★★★

●小口泰與
利根川へ風花落とす空たいら★★★★
爆音を上げて群翔つ寒雀★★★
ずかずかと髪膚に沁むや寒の入★★★

●多田有花
初打ちの球を受けたる新ガット★★★★
護摩焚きの香の流れ来る寒の入り★★★
小寒の播磨の山の遠霞★★★

●河野啓一
靄晴れてうれしき朝や箕面山★★★
祝い酒開けて検査値懸念あり★★★

丘の辺に梅の蕾を見て歩く★★★★
楽しそうな探梅行。丘の梅林の蕾が早やも膨らみ、見て歩くのも愉快な気持ちだ。(高橋正子)

●谷口博望 (満天星)
夕暮れの裸木寂し百日紅★★★★
蝋梅の匂う今年も主なく★★★
冬灯栴檀の実の金色に★★★

●桑本栄太郎
小寒と思えば水の痛くあり★★★
静もりて水脈曳くばかり冬の池★★★★
赤き実の乾ぶる風や冬日燦★★★

●佃 康水
初みくじ夫に言わざるまま結び★★★
青空へ早やも蝋梅咲き揃う★★★★
青空に蝋梅の澄んだ黄色が映えて、すっきりと晴れやかな気持ちになる。今年は暖かく、正月には早くも蝋梅が咲きそろったようだ(高橋正子)

傘寿祝ぎ友らと囲む牡蠣御膳★★★
傘寿おめでとうございます。お元気でご健吟ください。(信之・正子)

1月5日(5名)

●河野啓一
山稜も見えず靄濃き奥丹波★★★★
奥丹波は、独特の地形を持つ京都の穀倉地帯ともよばれる肥沃な土地。ここに瀬戸内海からの暖かい風と、日本海からの雪国の冷たい風が混じり、霧が発生しやすいと聞く。周囲を囲む山稜も見えないほどの深い「靄」。早やも春の気配のする奥丹波である。(高橋正子)

水音の絶えて箕面の山眠る★★★
兄弟のメール句会や年初め★★★

●小口泰與
パソコンの埃払いて初仕事★★★★
寄鍋や会津漆器の夫婦箸★★★
冬の夜や家神吹かれ唸り立つ★★★

●谷口博望 (満天星)
産土の満州遠く鴨いとし★★★★
ほのかなる安芸の小富士や初霞★★★
唐楓季節遅れの黄落期★★★

●多田有花
買初にホールケーキを求めけり★★★★
申年は騒ぐ下落の大発会★★★
ひとまわり小さくなりし門松よ★★★

●桑本栄太郎
歩み行く眼前に落つや寒椿★★★
もくれんの冬芽の凜と青空に★★★★
実をつけて風に乾ぶる枯木かな★★★

1月4日(6名)

●小口泰與
蒼天へ欅大樹よ年新た★★★★
三日はや脱兎の如く都へと★★★
御節とや皿の右側手綺麗に★★★

●河野啓一
水仙に宝珠掲げて実南天★★★
初受診双方交わす御慶かな★★★
迎春の古寺の門前風もなし★★★★

●多田有花
新しき破魔矢おさまるいつもの位置★★★
拍手が四日の山に響きけり★★★★
干支の絵馬求めて戻る四日かな★★★

●古田敬二
散り切って姿勢正しく冬木立★★★
蒼天へ尖る辛夷の冬芽かな★★★★
後ろ手に歩めば落ち葉の道優し★★★

●谷口博望(満天星)
九人の新年祝ふ我が家族★★★
冬霞赤い太陽沈みたる★★★★
いとしきや栴檀の下鴨八羽★★★

●桑本栄太郎
其々のそれぞれへ行く正月会★★★
信貴生駒嶺なだらかに淑気満つ★★★
裏白の反り返り居り四日かな★★★★
四日ともなれば、正月飾りの裏白も乾燥して反り返ってくる。人にあっては、正月気分も抜けかけて、しらしらとした気持になる。反り返った裏白に人の気持ちが重なる。(高橋正子)

1月3日(5名)

●小口泰與
初詣のっと山巓現れし★★★
初鏡帯結う妻に手をかしぬ★★★
日の出浴び大根の葉の瑞々し★★★★

●多田有花
八重紅梅はや咲き初めしお正月★★★
初春の山路にこだまする梵鐘★★★★
播磨灘沖の島々初霞★★★

●満天星
正月や楽しきころのなにもかも★★★★
注連飾雀の食べるもののなく★★★
ノロのこと恐る恐るに牡蠣を喰ひ★★★

●桑本栄太郎
青空につんつんつのる冬木かな★★★
葉牡丹の渦の淡きや淑気満つ★★★★
三日果て山並み淡く暮れゆけり★★★

●古田敬二
冬昴美濃山塊の黒々と★★★★
美濃は敬二さんの故郷。美濃の山々が黒くせまり、空には昴がきらめく。星のきれいな、心に沁みる美濃の夜。(高橋正子)

ひそかなり久女旧居の水の音★★★
霜囲い亡き父植えし花なれば★★★

1月2日(7名)

●谷口博望(満天星)
浜田道寒鰤買いの三世代★★★★
神々し遠い記憶の初日の出★★★
屠蘇の香や俳句人生彷徨うて★★★

●小口泰與
初浅間詩心乏しき一私人★★★★
去年今年不動の赤城裾美し★★★
境内を行き交う人と御慶かな★★★

●高橋秀之
お年玉もらう笑顔でありがとう★★★
新年はどの番組も同じよう★★★
新年の挨拶交わすご近所と★★★

●多田有花
凧揚げの子ら新春の河川敷★★★★
初風が翻らせる日章旗★★★
初めての電子書籍を読む二日★★★

●桑本栄太郎
尖り立つ小枝の空に淑気満つ★★★
吾が影のホームに長き冬の駅★★★
二日早や山河暮れゆく茜かな★★★★

●上島祥子
日記買う午後いっぱいを費やして★★★★
日記は毎日手にして書くもの。私のための毎日のものは、丁寧に選びたい。いろんな角度から見て納得のものでありたい。午後いっぱいを楽しみつつ選ぶのだ。(高橋正子)

墨書する年賀の文字も書きなれん★★★
静けさや年をまたいで慈姑煮る★★★

●古田敬二
ハヤブサⅡ宇宙の冬へカーブする★★★
落葉期森ふんわりと柔らかく★★★
鴨潜る同心円の水輪広げ★★★★

1月1日(4名)

●小口泰與
十峰を初日に染めた榛名かな★★★
去年今年坂東太郎滔滔と★★★

あけぼのの赤城の裾野淑気満つ★★★★
空が明け初め、赤城山が裾野を広げ、悠然と姿を現した。裾野は淑気に満ちて、すっかり新しい赤城山となった。(高橋正子)

●多田有花
新しきパソコン届く大晦日★★★
パソコンの設定しおれば除夜の鐘★★★★
丹波黒つやつやとして節料理★★★

●桑本栄太郎
ひと夜さの起きて山河の淑気満つ★★★★
お雑煮は妻の伝承ぜんざいに★★★
とととととあゆみ集えり寒すずめ★★★

●古田敬二
初日の出見んと薄明の坂を行く★★★
はらからも故郷も遠し枇杷の花★★★
冬朝陽竹林まっすぐ影伸びる
冬朝陽竹林まっすぐ影伸ばす★★★★(正子添削)

1月2日(土)

★木賊生う地より突き立つ濃き緑/高橋正子
山中の湿地に自生しているが観賞用に庭園などにも植えている。地下茎は力強く横に生え、地上茎は直立し、枝分かれせず70センチ位の高さで深緑の縦溝が新年の青空に力強く立っている素晴らしい景ですね。 (小口泰與)

○今日の俳句
大らかな雪の浅間の二日かな/小口泰與
よい天気続きの正月。二日も雪を冠った浅間山が大らかに坐っている。浅間山を「大らか」と捉えた度量がよい。(高橋正子)

○水仙

[水仙/横浜日吉本町]

★水仙やホテル住ひに隣なく/久保田万太郎
★水仙やすでに東風吹く波がしら/水原秋櫻子
★あるだけ剪りあるだけ挿して水仙花/大橋敦子
★水仙や日本の詩の潔し/瀧春一
★水仙に昃り易さの日射なる/鈴鹿野風呂
★潮の香を海に返しぬ野水仙/稲畑汀子
★水仙や潮砕け散る烏帽子岩/朝妻力
★上げ潮や水仙のよく匂ふ街/今瀬剛一
★自画像の芙美子に会へり水仙花/神蔵器
★水仙や向き合ふ暮し取り戻す/井内佳代子

★向き合えば吾に水仙のみずみずし/高橋信之
水仙の花を「古鏡」といった俳人もいたが、向き合うことができる花である。向かうと、以外にもみずみずしい花である。(高橋正子)

★水仙の枯れし終わりを折りて捨つ/高橋正子
庭に咲いているのでしょうか、可憐な水仙花、でもいのちあるものには最後があるのです。ありがとうの気持ちでしょうか。(祝恵子)

★水仙の一花二花咲き正月へ/高橋正子

 スイセン属(スイセンぞく、学名:Narcissus)は、ヒガンバナ科(クロンキスト体系ではユリ科)の属のひとつ。この属にはラッパスイセンやニホンズイセンなど色や形の異なる種や品種が多くあるが、この属に含まれるものを総称してスイセンと呼んでいる。多年草で、冬から春にかけて白や黄の花を咲かせるものが多い。狭義には学名Narcissus tazettaや、その変種であるニホンズイセン(Narcissus tazetta var. chinensis)をスイセンということも多い。
 原産地は主にスペイン、ポルトガルを中心に地中海沿岸地域、アフリカ北部まで広がり、原種は30種類ほど知られている。また、園芸用に品種改良されたものが広く栽培されている。日本においては、ニホンズイセンが古くに中国を経由して渡来したといわれている。分布は、本州以南の比較的暖かい海岸近くで野生化し、群生が見られる。越前海岸の群落が有名であり、福井県の県花ともなっている。

◇生活する花たち「アッサムチヤ・グランサム椿・からたちの実」(東京・小石川植物園)
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