3月15日
●迫田和代
蓬摘み日除けの帽子籠になり★★★★
あたたかい日差しに誘われて野原や川土手にでかけたのだろう。萌え出た蓬を見つけて思わず積みたくなり、冠っていた帽子を籠代わりに使った。たのしいことだっただろう。(高橋正子)
山歩き崖下に咲く菫かな★★★
何となく春色探して街歩く★★★
●小口泰與
紅梅の白梅よりも際やかに★★★
行くほどにきざはし急ぞ梅の宿★★★
流れ行く水を見つめし柳の芽★★★
●小川和子
中学校同期会(欠席に添えて)
友等みな大志抱きて卒業す★★★
東風光る紅顔の子等古稀となり★★★
春なかばあの頃のこと師よ友よ★★★
●桑本栄太郎
料峭の日差しの雲に傘備う★★★
春ざれやチケットショップの長き列★★★
春眠の想い出つづり夢に会う★★★
●黒谷光子
涅槃図の釈迦に一年ぶりの風★★★
涅槃会に供う霰の色いろいろ★★★★
涅槃会には霰が供えられる。子供のころ、この霰をお寺の奥さんから頂いたことを思い出した。ようやく寒さとも別れらる彼岸、五色の霰はうららかさを誘う。(高橋正子)
足もとに縋る老人涅槃絵図★★★
3月14日
●小口泰與
春霰や日の出の際の山の畑★★★★
春とはいえ、日の出間際の山の畑はさぞ寒いことだろう。霰も転がり降ってくる。春めいてはいるが、わびしい山の畑だ。(高橋正子)
山茱萸の黄や雨粒はじきおり★★★
風光るカメラ精密極まれり★★★
●桑本栄太郎
春雪の風の行方に迷いおり★★★
真青なる空よ甍の梅の花★★★
子供等の走り遊びし日永かな
【添削】子供等の走り遊べる日永かな★★★★
「遊びし」は口語訳すれば「遊んだ」となって過去形。今目の前の子どもたちが遊んでいるほうが、生き生きとして、「日永」の子どもの光景をよく表現できる。(高橋正子)
●河野啓一
いつの間に咲きしや庭の花あしび★★★
小松菜の青葉大きく店先に★★★★
葉物野菜も春になると急に葉っぱが育つようになる。店頭にもこうした青々と大きい葉の小松菜が並ぶ。これも暖かくなってきた証拠。(高橋正子)
春の雨雑木に光る水の珠★★★
★真っすぐな日の差すところ蕗のとう 正子
寒さが残るころ、日の差す方に蕗の薹が見えている。蕗の薹を見つけて春がそこに来ていることを喜んでいる詠者です。(祝恵子)
○今日の俳句
初摘みの土筆を持ちて病室へ/祝恵子
入院していれば、季節のもの、戸外のものがうれしい。初摘みの土筆に春が来たことが共に喜べることであろう。(高橋正子)
○オキザリス(カタバミ科カタバミ属)

[オキザリス/横浜日吉本町(2013年3月10日)]_[かたばみ/横浜日吉本町(2011年5月13日)]
★オキザリス雨の茶房に人在らず/中谷朔風
★オキザリス野生育ちの強きこと/豊岡重翁
★石垣の裾に朝日のオキザリス/高橋正子
★雨降りのオキザリスなりみな蕾/高橋正子
★掘り起こされ芋きらめかすオギザリス/高橋正子
オキザリス(学名:Oxalis corymbosa(紫カタバミ)、Oxalis articulata(芋カタバミ))は、カタバミ科カタバミ属。世界中に800種類以上が分布する植物です。日本にもクローバーとよく間違われるカタバミ〔O.corniculata〕をはじめ、5種ほどが自生しています。花を咲かせて枯れてしまう一年草と、毎年花を咲かせる多年草があります。 球根を作るものや、低木になる種も知られています。世界中の色々な地域に分布しているだけに、地域によって様々な形態や性質をとり、開花期、草姿、花色、大きさなどは様々です。オキザリスだけで一年を途切れさせずに季節ごとに花を楽しむことができそうな気がします。花は筒状で、先端が数枚の花びらに分かれています。花は温度や光に敏感で、つぼみは日が射しているときは開きますが、天気の悪い日や夜は閉じています。また、日が当たっても温度の低いときは開きません。オキザリスの名前はギリシア語で「酸性」を意味するオクシス(oxys)に由来し、葉や茎にシュウ酸を含み酸っぱいところにちなみます。カタバミの葉っぱで10円玉をこすると黒ずみがとれてぴかぴかになるのは、このシュウ酸のせいです。園芸では地中に球根を作る種が主に栽培されており、球根植物として扱われることが多いです。特に南アフリカ原産種が多いです。栽培上は「春植え」と「夏・秋植え」に分けることもあります。
よく見かけるのは「紫カタバミ」と「芋カタバミ」だが、両者区別しにくい。両者ともピンク色の花びらで、紫カタバミは、花びらの中央がうすいピンク、芋カタバミは、花びらの中央が濃いピンク。花言葉は「喜び、母親の優しさ」。似ている花は、現の証拠、酢漿草(かたばみ)。似ている葉は、白詰草(クローバー)。
◇生活する花たち「桃の花蕾・藪椿・梅」(横浜日吉本町)
