★水掛けて春水かがやく仏なる 正子
温かい春の日、観音様をお訪ねになられ、柄杓で水を掛けお参りなされたのでしょうか。観音様は水に濡れる度に益々春の光りに輝きを増されて来ます。私達のこころまで洗われる様な光り輝くお姿を想像致します。(佃 康水)
○今日の俳句
野に覚めし淡きみどりや蕗のとう/佃 康水
「野に覚めし」によって、淡い蕗のとうのみどりが目に強く焼きつく。初めて見つけた蕗の董であろう。驚きと嬉しさを隠せない。(高橋正子)
○蕗の薹
[蕗の薹/横浜日吉本町]
★莟とはなれもしらずよ蕗のたう 蕪村
★ほろ苦き恋の味なり蕗の薹/杉田久女
★蕗の薹おもひおもひの夕汽笛/中村汀女
★猪を炙り蕗の薹まぶしかな/長谷川櫂
蕗は菊科の多年草で山野に自生する。早春、新葉が出る前に根茎から卵の形をした緑色の花茎を出す。花茎は数枚の大きな鱗のような葉で包まれ、特有の香気とほろ苦い風味が喜ばれる。花がほうけたものを蕗の姑(ふきのしゅうとめ)という。 学名:Petasites japonicus、Petasites(ペタシテス)は、ギリシャ語の「petasos(つば広の帽子)」が語源で、葉が広く大きいところから。
蕗の薹(ふきのとうは、蕗の花芽のことで、天ぷらにするとおいしい。花が咲く前の柔らかいうちがベスト(地面から出てきた直後ぐらいの状態のもの)。春の代表的な山菜。花が咲いてから、地下茎を通じてつながっている葉が大きく伸びて広がってくる。(花と葉が別々につく)。この”葉柄”(葉の茎の部分)がいわゆる「フキ」として食用になる。市販されているものはほとんどが「秋田フキ」と呼ばれる、葉柄2mほどの大型のもの。葉自体は円形。
◇生活する花たち「福寿草・節分草・榛の花」(東京白金台・自然教育園)

ご挨拶(高橋正子/主宰)
立春ネット句会にご参加ありがとうございました。21名の方が参加され、63句ご投句ありました。入賞の皆様おめでとうございます。正月句会から1か月経ちましたが、日常生活も新しい年に馴染んで、落ち着いて来、寒いながらもよい季節と思えます。ご投句からは随分春めいて来たのだと実感できました。少しずつ変わる季節がうまく俳句に詠まれていて、俳句の妙味を味わうことができました。節分には四月のような暖かさになったかと思うと、立春には雪が舞うという天候には驚かされましたが、このような変化を繰り返しながら本格的な春になってゆくのでしょう。日脚が伸びてゆくのが嬉しくなる日々です。句会の管理運営は信之先生、集計は洋子さんにお願いいたしました。いつも大変ありがとうございます。これで立春ネット句会を終わります。来月の句会を楽しみに、ご健吟ください。
ご挨拶 (藤田洋子/スタッフ)
立春ネット句会ご参加の皆様、お世話になりありがとうございました。立春を迎えた昨日、松山も時おり霰が降り、厚い雲に覆われた一日でした。その中で、皆さんご投句の、寒いながらも春の到来を敏感に感じ、季節の変わりめならではの俳句に、たくさん出会うことができました。皆さんと共に季節の喜びを感じ合えることに感謝して、新しく始まる季節も明るく過ごしていきたいと思います。いつも楽しい句会を開催していただく信之先生、正子先生に心よりお礼申しあげます。また、選句、コメントを寄せていただいた皆様、ありがとうございました。
b2月6日
●小口泰與
下萌や牧舎の牛の高き声★★★★
蕗の芽や利根の支流に毛鉤打つ★★★★
蕗の芽が出はじめ、利根川の支流の愛着の川だろうが、春を待ちかねて毛鉤を打った。川の水にも蕗の芽にもある早春の息吹が何よりも嬉しい。(高橋正子)
早春の風を呼びたる黒き雲★★★
●多田有花
春早しブログ始めて十周年★★★
春の雪日当たりながら降ってくる★★★★
寒戻る冷たき頬に触れてみる★★★
●河野啓一
雪山に遊ぶ雷鳥銀世界★★★
北摂の野を飾りたる牡丹雪★★★★
「北摂」を静かで明るい眼差しで詠んでいる。北摂に降る牡丹雪がはなやかだ。(高橋正子)
霜の下芽生え逞し春田かな★★★
●桑本栄太郎
雨だれの紅のしずくや梅一輪★★★
西山の峰の雲晴れ春の虹★★★
土手に群れ線路華やぐ野水仙★★★★
野水仙の咲き乱れる土手に線路が通っている。線路も、電車も、その乗客も野水仙に飾られて絵になっている。楚々とした中にも華やぎが
ある。(高橋正子)
●小西 宏
ほつほつと梅開きいて谷戸澄めり★★★★
「谷戸澄めり」に実感があって、読み手にも景色が鮮明に浮かぶ。梅の開きはじめは、あたりの空気も冷たさのなかに清潔さが感じられる。(高橋正子)
紅梅と白梅並ぶ畑の道★★★
迷子猫探すポスター春浅し★★★
2月5日
●小口泰與
春時雨農婦に道問う夕べかな★★★
春なれやシャッター音の快し★★★★
シャッターを上げ下げする音も、春の暖かさで滑りがよくなったのか、快い音を立てる。生活のこんなところも春が来ている。(高橋正子)
菜の花や羽音高らか群雀★★★
●多田有花
早春の霰の中へ歩きだす★★★★
灰色の雲飛ぶ空よ冴返る★★★
春北風に木の軋みあう音響く★★★
●桑本栄太郎
春雪の山河一気に覆いけり★★★
【原句】風花の日射す青空ちりばめて
【添削】青空に風花ちりばめ日射したり★★★★
元の句は、「ちりばめ」(他動詞)の使い方に問題があります。
ひるがえる干し物入れるしまき雲★★★
●古田敬二
五弁という約束守りて梅開花★★★
梅開花花弁に薄き蕊の影★★★
数えられる程の開花や白梅林★★★