2月3日(月)/節分

★節分寺裏山までも清められ   正子
季節の節目、特に冬を送って春を迎える節分は気分が新たになります。節分にあたり、寺域を清められたお寺の清々しいたたずまいが目に浮かびます。 (多田有花)

○今日の俳句
朝霜に木を切る音の響きおり/多田有花
朝の霜がまだあるうちから、木を切る仕事が始まっている。霜に響く木を切る音が力強い。(高橋正子)

○柊挿す(ひいらぎさす)・柊鰯

[柊/横浜日吉本町]               [柊鰯/ネットより]

★かきけむりけり節分の櫟原/石田波郷
★節分の火の粉を散らす孤独の手/鈴木六林男
★節分の豆がひしめく子の拳/高橋信之
★柊さすはてしや外の浜びさし 蕪村
★柊をさすや築地の崩れまで 蝶夢
★猫の子のざれなくしけりさし柊 一茶
★古りし宿柊挿すをわすれざり/水原秋桜子
★烈風の戸に柊のさしてあり 石橋秀野

★宵闇のどこかが匂い豆を撒く/高橋正子
★節分寺五色の幕が風孕み/高橋正子

午後、スニーカーを買いに日吉駅あたりへ出かけた。スニーカーは、同じものばかり履くので、1年半ぐらいで破れてしまう。アーバントラッドという、オーソドックスなのを一足買った。日吉まで歩いて出かけたが、途中日吉2丁目の金蔵寺の境内を通り抜けていった。お寺には節分のためか、五色の幕が張り巡らされていた。豆撒きがあるにかなとも思ったがしずかだった。日吉からの帰り、また境内を通ったが、4時半ごろ、五色の幕は外されて、いつもの寺になっていた。豆撒きをした気配はなかった。

 昔は四季の移り目をそれぞれ節分といったが、今は立春の前日だけが節分と呼ばれる。冬の節から春の節に移る分岐点。この夜。寺社では悪魔を追い払い、春を迎える意味で追儺が行われる。民間でも豆を撒いたり、鰯の頭や柊を戸口に飾ったりする。
節分の夜の豆まきは、特に幼い子どもたちにとっては楽しい行事。なんしろ、悪い鬼を豆をぶつけてやっつけるのだから。「福は内、鬼は外」の「鬼は外」は、大人には闇にひそむ姿の見えない鬼へ向かっての礫投げ。戸口に飾る鰯の頭、柊も庶民らしい追儺のしつらい。「鰯の頭も信心から」ということわざもあるが、これはどこから出てきたのか。
 柊挿す(ひいらぎさす)は、節分の夜、魔除(まよ)けのために、焼いた鰯(いわし)の頭を付けたヒイラギの枝を門口に挿し、臭いものや鋭くとがったもので悪魔払いをする風習。この、焼いた鰯の魔除けを「やいかがし」と言い、「焼き嗅し」が語原と言われている。

◇生活する花たち「満作・立寒椿・蝋梅」(大船フラワーセンター)

2月3日-4日

2月4日

●小口泰與
荒ぶれる坂東太郎太郎月★★★★
太郎月は1月の異称。長男は太郎と名付けられるが、1月も最初の月だから太郎月と呼ばれて、人間味を帯びてくる。利根川の坂東太郎も坂東の雄者ぶってくる。繰り返す「太郎」によいリズムが生まれている。(高橋正子)

蕗の芽や利根の支流のごうごうと★★★
病院の暗き廊下や春嵐★★★

●下地鉄
しっかりと親子の絆郁子の花★★★★
郁子の花は、古風で品のある感じだ。そこからも優しさや「親子の絆」の麗しさが思われる。(高橋正子)

他に早く森を彩る島桜★★★★
梅園より野に咲くそれの色香かな★★★

●多田有花
立春の東の空の明けてくる★★★
立春の冷たき風の中歩く★★★立春の青空に風ごうごうと★★★

●桑本栄太郎
スキップして少女散歩の春隣り★★★★
土堤に沿い黒きうねりや畦火跡★★★
ちろちろと土管の音の春の水★★★

●小西 宏
クレヨンで面太く描き鬼は外★★★★
クレヨンでぐいぐいと太い線で描かれた鬼の面は愉快で強そうだ。「鬼は外」の声も高らかで鬼も即刻退散したであろう。

熱き湯を注ぎ立春のミルクティー★★★
立春の雨まだ寒き楢林★★★

2月3日

●小口泰與
大いなる雪の浅間や風の道★★★★
どっしりと坐った雪の浅間山。その浅間山に向かい行けば、浅間山から風が吹き下ろす。それを「風の道」と解釈した。(高橋正子)

寒明けやチワワ食卓とび降りし★★★
起重機の春満月を上げにけり★★★

●多田有花
頂に立つ春近き靄の中★★★★
気温の上昇で、靄が立ち込めた日であったが、山の頂の靄はなおさら濃く立ち込めたことであろう。春がそこまで来ているのだ。(高橋正子)

山靴で電車に揺られ冬尽きぬ★★★
節分の午後は静かに雨となり★★★

●桑本栄太郎
馥郁と枇杷の花咲く垣根坂★★★★
垣根の続く坂沿いを歩いていて不意に枇杷の花に出会ったのだろう。冬の引き締まった空気のなかに、枇杷の花の香り高い匂いには惹かれる。
ちなみに枇杷は、バラ科である。(高橋正子)

寒ゆるむ南茶屋とや辻看板★★★
一羽翔び皆とび去りぬ寒すずめ★★★