1月28日(火)

★クロッカス塊り咲けば日が集う   正子

○今日の俳句
汽笛鳴るフェリーの後にゆりかもめ/高橋秀之
フェリーが汽笛を鳴らし港を出てゆく、その後を追って、真白なゆりかもめが飛んでゆく。ゆっくりとした明るい景色がよい。(高橋正子)

○楓の実(楓の種)

[楓の実(冬枯れ)/横浜・四季の森公園(2012年1月26日)]_[楓の花/横浜日吉(2011年4月13日)]

★花楓こまかこぼるる又こまか/皆吉爽雨
★苔あをし更に影置く若楓/水原秋櫻子
★沼楓色さす水の古りにけり/臼田亜浪
★花楓日の行く所はなやかに/小野房子
★通行手形持たずに通る花楓/御崎敏江
★池の面に梢ひろごる楓の実/加藤暢一
★楓の実みどりの風に乗る構へ/桐一葉
★楓の実寒禽の胸見えており/高橋正子

楓の実は、楓の花が咲くからこそ付けるものであるが、楓の花も、楓の実も見過ごされがちではないだろうか。若葉の色の中に紅暗色の小さな花をつける。若葉と花の色の対比が美しい。その実は、プロペラのようで、これもまた可愛らしい。落ちるときを目撃したことはないが、くるくる回りながら落ちるなら、まるで竹とんぼではないか。

カエデ(槭、槭樹、楓)とはカエデ科カエデ属 (Acer) の木の総称。モミジ(紅葉、椛)とも呼ばれるが、その場合は様々な樹木の紅葉を総称している場合もある。主に童、謡などで愛でられるものはそれである。赤・黄・緑など様々な色合いを持つ為、童謡では色を錦と表現している。日本のカエデとして代表されるのは、イロハモミジ (A. palmatum) である。福島県以南の山野に自生しているほか、古くから栽培も行われている。園芸種として複数の栽培品種があり、葉が緑色から赤に紅葉するものや最初から紫色に近い葉を持ったものもある。一般に高木になる。落葉樹が多く落葉広葉樹林の主要構成種であるが、沖縄に自生するクスノハカエデのように常緑樹もある。葉は対生し、葉の形は掌状に切れ込んだものが多く、カエデの名称もこれに由来する。しかし、三出複葉(メグスリノキ)や単葉(ヒトツバカエデ、チドリノキ、クスノハカエデ)のものもある。花は風媒花で、花弁は目立たなく小さい。果実は二つの種子が密着した姿で、それぞれから翼が伸びる翼果である。脱落するときは翼があるので、風に乗ってくるくる回って落ちる。

◇生活する花たち「寒牡丹」(鎌倉・鶴岡八幡宮)

1月28日

●小口泰與
探梅や風を生みたる山の嶺★★★

湖までの道真っ直ぐの落葉かな★★★★
落葉のことを言いながら、春の兆しが感じられる句だ。湖まで続く落葉の道は、木々がすっかり葉を落とし、空を透かせ、太陽の光を通している。木々の芽吹きももうすぐだ。(高橋正子)

冬すみれ我が影川を越えにけり★★★

●多田有花
朝霜に木を切る音の響きおり★★★★
朝の霜がまだあるうちから、木を切る仕事が始まっている。霜に響く木を切る音が力強い。(高橋正子)

鐘鳴らし自転車ゆくよ寒の森★★★
山茶花の散りこぼれつつ陽に咲けり★★★

●古田敬二
霜の土つかんで草の根の深し★★★★
ふきのとう庭に残して孤老逝く★★★
孤老逝く庭に芽生えし蕗の薹★★★

●桑本栄太郎
山茶花のこぼれ紅敷く坂の土堤★★★
水禽のつがいづつ浮く川面かな★★★
山肌の日射す明かりや春近し★★★★

●小西 宏
水鳥や連理の誓い四十年★★★
凛凛と空青みたり枯木立★★★★
枯が進めば進むほど、空は青を極めるようだ。「凛凛と」がそれを語っている。(高橋正子)

深酒の切符の薄し冬の星★★★