1月21日(火)

 早稲田大学
★学生喫茶ジャズと会話と暖房と  正子
早稲田大学には五十数年以上も経つ大変有名なジャズクラブがあり、嘗て学園祭にて訪れ、ステージでジャズを演奏をした経験があります。早稲田界隈は学生が溢れ、活気に満ちた庶民的な街並みです。学生喫茶にたむろする若者達の賑やかな光景が想われ、青春時代の熱い記憶がよみがえります。(桑本栄太郎)

○今日の俳句
送電線少し垂れいて山眠る/桑本栄太郎
送電線の弛みの曲線は微妙で、計算された弛みなのであろうが、眠る山と呼応して、眠りを深めているようだ。(高橋正子)

○寒菊

[寒菊/横浜日吉本町] 

★寒菊や粉糠のかかる臼の端 芭蕉
★寒菊や古風ののこる硯箱 其角
★霜の菊杖がなければおきふしも 嵐雪
★寒菊やしづがもとなる冬座敷 土芳
★寒菊や村あたたかき南受 子規
★寒菊の小菊を抱いて今日ありぬ 亞浪
★寒菊やつながれあるく鴨一つ 水巴
★寒菊にいぢけて居ればきりもなし みどり女
★寒菊は白き一輪狸汁 青邨
★わが手向け冬菊の朱を地に点ず 多佳子
★寒菊に憐みよりて剪りにけり 虚子
★冬菊のまとふはおのがひかりのみ 秋櫻子
★我に返り見直す隅に寒菊赤し 汀女
★弱りつつ当りゐる日や冬の菊 草城
★寒菊にふれし箒をかるく引き 立子
★寒菊に文字生きしまま灰の紙 静塔
★寒菊の臙脂は海の紺に勝つ 風生
★寒菊の雪をはらふも別かな 犀星

 大辞林 第三版の解説では、寒菊は、冬に咲く菊の総称。霜に強く,花は小輪で観賞用に栽培される。冬菊。
 デジタル大辞泉の解説では、寒菊は、菊の一品種。花も葉も小形。霜に強く、12月から翌年1月にかけて黄色い花を咲かせる。こがねめぬき。しもみぐさ。
 web茶花歳時記の解説では、キク科の多年草。菊の一品種。中国原産。開花期によって春菊、夏菊、秋菊、寒菊とわけ、一般的に12月から1月に咲くものを寒菊と呼ぶ。花期が他のキクの仲間に比べて遅く、寒くなってから咲くので寒菊の名があり、秋咲きのコギクを改良したもので、丈も低く、花つきも少ない。霜にあって葉が色づいたものを照葉(てりは)といい、葉が紅葉した寒菊を、照寒菊(てりかんぎく)といい、風情があるのでその時を好んで使われる。 ただ、永禄7年(1564)に堺の茶人 直松斎春渓が筆録した 『分類草人木』 には 「花ニ不生花アリ、太山樒ナドノ様ナル盛リ久シキ花嫌也。花柘榴モ不入。寒菊ノ葉ノ紅葉シタル不入。」、貝原益軒の元禄7年(1694)『花譜』に「寒菊 葉も花も常の菊より細なり。十月に黄花を開きて、臘月に至る。花なきときひらく故、花賞するに堪たり。京都は寒き故、其葉もみぢして、葉もみるに堪たり。菊と同類なれども、花の時節かはる故に、別に記す。」とある。

◇生活する花たち「蝋梅・冬菊・さんしゅゆの実」(横横浜・四季の森公園)

1月21日

●小口泰與
うらうらと煙り昇りしどんどかな★★★
欄干に火の温もりのどんどかな★★★
寒梅やうやうやしけれ浅間山★★★

●下地鉄
さざ波をさざ波崩す初日の出★★★★
「さざ波をさざ波崩す」の観察がよい。希望の年が静かに明けた気持ちが爽やかに表現されている。(高橋正子)

甘蔗(キビ)の穂の刈られてあわれ風の途★★★
巡る秒針一瞬の寒光★★★

●桑本栄太郎
水のなき川の中州や真菰枯る★★★★
涸川のしろき蛇行のさざれかな★★★
枯草のあまた下流へしなりけり★★★

●小西 宏
梢なる三寒四温小鳥鳴く★★★

桜立ち固き冬芽を青空へ★★★★
葉をすっかり落とした桜は、「桜立ち」というイメージだ。そんな季節には、冬芽がしっかりと枝について、青空の中に突き出ている。「青空へ」で、はやも満開の桜を想像してしまう。(高橋正子)

探梅や枝に粒する淡き紅★★★

●佃康水
日々白く膨らみ増せる寒椿★★★
蠟梅や枝奔放に黄を満たし★★★★
蝋梅の枝は、定かな形とならないで、意外と奔放に伸びている。それに付く花も枝枝に黄色の花をたくさん咲かせている。まさに「黄を満たし」である。(高橋正子)

寒鯉や水面へあぶく二つ三つ★★★

●多田有花
冬川の河口にかかる橋三本★★★
寒中の沖の霞める上天気★★★
冷たさの中に日差しの明るさよ★★★

●高橋秀之
街灯の白き光を寒椿★★★
寒風に潮の香りも流れ去る★★★

街路樹に固き冬芽の見え始む★★★★
通りすがりに街路樹を見れば、冬芽が付き始めている。冬芽はまだ固い。この固さが頼もしいのだ。どんな芽吹きをしてくれるのか。(高橋正子)

●古田敬二
初句会円座に明るき陽の射して★★★
初手前真綿のごとき菓子添えて★★★
初旅や木曽三川をひとまたぎ★★★