12月17日-18日

12月18日

●小口泰與
終バスや冬夕焼のあかあかと★★★★
朝戸出の我を襲いし空っ風★★★
参道の銀杏落葉やあさぼらけ★★★

●古田敬二
 ウイーン市庁舎前クリスマスマーケット
ガラス玉に雪の降り来るマーケット★★★★
クリスマスツリーや部屋飾りに使う色んな色や絵の書かれたガラスボールは、オーストリアやドイツのクリスマスを象徴するようなもの。雪の降るクリスマスマーケットが詩的に思える。 (高橋正子)

市庁舎の尖塔聖樹となり高し★★★
旅真中聖樹の下のホットワイン★★★

●小川和子
眼差しを交わし嬰児笑むクリスマス★★★
新しき聖樹光れり児をあやす★★★★
冬空に軌跡描けり飛行機雲★★★

●多田有花
頂に沢庵漬を回す昼★★★
順々に山下りてくる冬帽子★★★★
冬の雨聞きつつどこへもいかぬ日★★★

●祝恵子
客を待つ冬の菜少し摘みながら★★★★
「冬菜摘み」も日常生活のことだが、「客を待つ」であれば、詩となる。「いい生活からいい俳句」が生まれる。 (高橋信之)

冬耕や深めに堀りてくわい畑★★★
冬河原腹這って撮るタンポポ★★★

●桑本栄太郎
冬麗の電車の窓の日射しかな★★★
パソコンを膝に眠る娘(こ)冬うらら★★★
階段を走りバスへとしぐれ雲★★★

12月17日

●小口泰與
夕映えを浴びし我が影冬田かな★★★
水洟や長き地下道土合駅★★★

寒菊や赤むらさきの明けの空★★★★
寒菊も花や葉が寒さに焼けて赤紫を帯びることがある。明けの空も、寒々と赤むらさきになる。菊も雲もである。(高橋正子)

●迫田和代
時ならぬ時雨に濡れし車椅子★★★★
外出の車椅子が、時ならぬ時雨に濡れてしまった。時雨の降り方は時としてこのように、急に降ることがある。時雨の本質をいい得ている。(高橋正子)

枯草の中の緑の生き生きと★★★
白い息吐きつつ歩く山影を★★★

●桑本栄太郎
木枯しや枝の烏の踏ん張りぬ★★★
大鍋の南無息災や大根焚き★★★

冬萌えや高槻平野のさみどりに★★★★
高槻平野は大阪のその地域の平野。生活のある平野である。その平野が冬萌えにさみどり色になり、明るく美しいことである。(高橋正子)

●多田有花
雲低く裏六甲の冬ざるる★★★★
「裏六甲」が珍しく、訪ねてみたい気持ちになる。「裏」と「冬ざるる」が微妙なところで付き過ぎでないのがよい。(高橋正子)

足音に親しく寄り来る緋鳥鴨★★★
山下りて炭火囲炉裏の牡丹鍋★★★