12月11日(水)

★散ればすぐ桜冬芽の鋭がりたり  正子
桜は比較的早く落葉を終え、その枝にはもう来春の花芽が準備されているのが目につきます。冬きたりなば春遠からじ、その感覚を強くします。(多田有花)

○今日の俳句
ふかふかと落葉に埋もれ下りけり/多田有花
山の路はすっかり落葉に埋もれてしまった。山路を下れば落葉がふかふかとして足を埋めるほどだ。山路もすっかり冬になった。(高橋正子)

○錦木の実

[錦木の実/横浜・四季の森公園]         [錦木の紅葉/横浜日吉本町]

★啄木鳥の来て錦木を倒しけり/正岡子規
★錦木や鳥語いよいよ滑らかに/福永耕二
★袖ふれて錦木紅葉こぼれけり/富安風生
★錦木のほむら磐梯虹消ゆる/角川源義
★われ稀に来て錦木を立去らず/後藤夜半
★錦木の実も葉も赤くなりにけり/芝滋

★錦木の葉と実の少し違う赤/高橋正子

 小鳥に食べられることなく、もうしなびかかった赤い実が、有るなとは思ったが余り気にとめることも無かった。ところが夕日の光が差し込むと、しなびた実が一転光り輝きだした。あわててシャッターを切ったがみるみる陽は落ちて後にはまたしなびた実が残った。光の魔術というものを改めて実感した。
 今年は妙に小鳥たちの姿を見かけないと、鳥好きのある方がブログに書いてみえたが、せっかく実を付けた草木たちも、種の運び屋がいなくては困るだろうね。(小鳥の姿が少ないというのもちょっと気がかりな話だ)
 ニシキギの枝に付いた「翼」はいったい何のためなのか?見た目カミソリのようで(そういえば子どもの頃これをカミソリの木と呼んでいた)、小鳥たちがとまるのを拒んでいるような?実を食べられたくないのか、食べて欲しいのか、いったいどっちなんだろう?(ブログ「野の四季」より)

 ニシキギ(錦木、学名:Euonymus alatus)とはニシキギ科ニシキギ属の落葉低木。庭木や生垣、盆栽にされることが多い。日本、中国に自生する。紅葉が見事で、モミジ・スズランノキと共に世界三大紅葉樹に数えられる。若い枝では表皮を突き破ってコルク質の2~4枚の翼(ヨク)が伸長するので識別しやすい。なお、翼が出ないもの品種もあり、コマユミ(E. alatus f. ciliatodentatus、シノニムE. alatus f. striatus他)と呼ばれる。葉は対生で細かい鋸歯があり、マユミやツリバナよりも小さい。枝葉は密に茂る。 初夏に、緑色で小さな四弁の花が多数つく。あまり目立たない。 果実は楕円形で、熟すと果皮が割れて、中から赤い仮種皮に覆われた小さい種子が露出する。これを果実食の鳥が摂食し、仮種皮を消化吸収したあと、種子を糞として排泄し、種子散布が行われる。

◇生活する花たち「柊・茶の花・錦木紅葉」(横浜日吉本町)

12月11日

●川名ますみ
ドアマンの指の向こうに冬青空★★★
ドアマンの手は冬晴を指しており★★★★
出入口で客の送り迎えをしてくれるドアマンは、印象も心遣いも大事。冬晴れのよい天気を指してくれる心遣いがもうれしい。(高橋正子)

師も友も小春の窓へ笑うたり★★★

●小口泰與
大沼に白波はしる暖炉かな★★★
皹や温泉の沸く水の星★★★
また一人寒鮒釣に加わりぬ★★★★

●多田有花
<姫路城・修理見学施設「天空の白鷺」二句>
菰巻かれ城囲む松冬最中★★★
天空の白鷺に見る冬の虹★★★

風音が山眠らせる子守唄★★★★(信之添削)
風音も子守唄に。山を眠らせるには、このくらい大きく広く吹く風でなければならない。風が歌って山は眠りにつく。(高橋正子)

●桑本栄太郎
日溜まりの猫の親子や漱石忌★★★
しがみつく残る葉ありぬ冬紅葉★★★
冬ざれの鉄塔あまたや天王山★★★★
古跡も残る天王山ではあるが、冬ざれて鉄塔があらわに見える。たくさんの鉄塔が並ぶ様は、また逆に冬ざれを強く感じさせるものである。(高橋正子)

●古田敬二
厚き雲主翼が切り裂き冬の旅★★★
冬雲の間に海の白い波★★★
冠雪の富士山遠く旅の空★★★★
冠雪の富士山を遠くに見て、いよいよ日本を離れる旅の空にいる。海外の旅に出るとき、富士山を目に収めたいのは大方の人であろう。(高橋正子)