11月30日(土)

★鴨の池映れるものはみな映り  正子
寒い国から飛来した鴨たちで池が賑わっています。映れるものはみな映っていますので、池を囲む木々や草や花、空、或いはビルなど高い建物も映って居るかも知れません。晴れ渡った青空に池の水面も澄み、伸び伸びと泳ぐ鴨池の情景が見えて参ります。(佃 康水)

○今日の俳句
萩は実になりて山路の豊かさよ/佃 康水
山路を花で飾った萩は、いまはすっかり実になっている。萩の花ではなく、実に着目し、それを「豊かさ」と見たのは、それこそ落ち着いた心の豊かさである。(高橋正子)

○パンパスグラス

[パンパスグラス/東京大学・小石川植物園]

★広々と白銀葭(しろがねよし)の空ありぬ/819maker
★パンパスグラスを描く少女の影伸びぬ/819maker

○シロガネヨシ(パンパスグラス)
 シロガネヨシ(学名: Cortaderia selloana)は、イネ科シロガネヨシ属の多年生植物。英名からパンパスグラスとも呼ばれる。高さ2-3m程度と大きく成長し、細長い葉が根元から密生して伸びる。葉は縁が鋭い。8-10月にかけて、垂直に立ち上がった茎に長さ50-70cmの羽毛のような花穂をつける。雄株と雌株があり、雄株の花穂は細長いのに対し、雌株は幅広く綿毛を持つ。色はややピンクがかった白銀色である。種類によっては矮性のものや、穂の色が紫色のものもある。
 原産地はブラジル、アルゼンチン、チリなどの南米大陸の草原(パンパス)。各国で観賞用に栽培され、日本には明治時代に入ってきた。大きく成長し、花穂をつけた姿は見栄えがするので、公園・花壇の植栽や道路分離帯の緑化などに用いられる。また、花穂は活花やドライフラワーに使われる。栽培には日当たりのよい場所を選ぶ。葉はススキと同様に皮膚を切りやすく、手入れや伐採時には手足を保護できる服装が望ましい。育成には手間がかからないが、寒さにはやや弱く、葉が茶色になる。ただし、関東地方までなら全体が枯れることはまずなく、翌春に新しい葉が出てくる。主に株分けで増やす。これは、穂の形状に個体差が出やすいので、同じ株から増やしたほうが群生したときに揃うためでもある。

◇生活する花たち「椿・野葡萄・くこ」(横浜市都筑区東山田)

11月30日

●迫田和代
空からの風も避けるか薔薇園を★★★
今だから色も冴えてる冬紅葉★★★

足湯して輝く空には星月夜★★★★
夜気の寒さを忘れるほどの足湯のぬくもり。いつまでも見上げて居たい、星月夜である。(高橋正子)

●小口泰與
冬の日の山に落ちけり川に落つ★★★★
漠然とはや夕暮れや懐手★★★
息白し雨にカーテン替えており★★★

●祝恵子
渡り越し冬の海橋仰ぎ見る★★★
フグ刺の薄さと美味さを小倉にて★★★
炬燵には兄妹と居る嬉しさよ★★★★
炬燵を囲み、暖かさにくつろいで兄妹といるうれしさ。いつまでも兄の下の妹でいる幸せがある。(高橋正子)

●井上治代
 四国八十八カ所86番札所志度寺
九輪塔高くそびえて冬の鵙★★★★
志度寺は香川県にある札所。五重塔の九輪がそびえ、冬の空に鵙がけたたましく鳴く。鵙の小さな命の声が広い境内を圧するようだ。(高橋正子)

紅葉黄葉いけばな展に色あふれ★★★
風の中蜜を求めて冬の蝶★★★

●桑本栄太郎
風吹けば銀杏落葉の道を往く★★★
釣り人の独りの黙や枯尾花★★★
節々の骨のきしみや嵐雪忌★★★

●多田有花
木枯しを踏む心地する山路かな★★★
凩や海金色に輝きぬ★★★★
鵯(ひよ)の声明るく響く霜の朝★★★

●高橋秀之
残る葉はわずかばかりの冬木立★★★
冬木立の上には広く青き空★★★
どこまでも途切れぬ落葉並木道★★★★

●小西 宏
樹をめぐり銀杏落葉の明るい円(まる)★★★★
地に落ちて子ら伸び伸びと銀杏黄葉★★★
風明るし木の葉踊れる大通り★★★

●河野啓一
橙の早やも切られし今朝の庭★★★
焼き芋の香り漂う厨口★★★
白波の海に太刀魚釣り来る★★★★