7月6日(土)

★明け易き時をラジオのミサ合唱  正子
夜明けが早くなってきた今朝、ラジオからミサの合唱曲が聞こえてきました。厳かな美しい歌声に心が洗われるようです。一日の始まりが、とても澄みきった爽やか気持ちになられたことと思います。(藤田裕子)

○今日の俳句
★この地なれば太き絹皮茄子の紺/藤田裕子
この地に住めばこそ食べられる「絹皮茄子」を絶賛する。絹のような肌理といい、太さといい、色といい、茄子として申し分ないのだ。(高橋正子)

○夕菅(ゆうすげ)

[夕菅/大船植物園]

★天が下万のきすげは我をつつむ/阿波野青畝
★夕菅は胸の高さに遠き日も/川崎展宏
★厩までユフスゲの黄のとびとびに/大野林火
★遠きほど夕菅の黄の満つる色/広瀬直人
★夕菅は實になってゐし花野かな/上野一考
★坪庭の暮れのはじめを花黄菅/本田日出登
★ゆうすげに月まだ淡くありにけり/高橋正子

 「ゆうすげ」という名前に惹かれる人も多い。夏のまだ明るい夕方の空を背景に開花する黄色いの花は、人を少なからずロマンティックな想いにさせる。花の姿が野かんぞうにも似ているが、野かんぞうの赤みがかった黄色ではなく、レモンに近い黄色である。遠くまで、はかなげなレモン色のゆうすげが咲く高原は、乙女でなくとも魅惑的な風景と思う。
夕菅(ゆうすげ)は、ユリ科ワスレグサ属の種の一つ。山野などに生える。夏の夕方に開花し、翌朝にしぼむ。くっきりしたきれいなレモン色の花。香りあり。別名、黄菅(きすげ)。学名(Hemerocallis citrina var. vespertina)の由来は、Hemerocallisは、ワスレグサ属(ヘメロカリス属)、citrinaは、レモン色、vespertinaは、夕方の、西の、Hemerocallis(ヘメロカリス)は、ギリシャ語の「hemera(一日)+ callos(美)」が語源で、美しい花が一日でしぼむところから、といわれる。

7月5日(金)

★青田みな青嶺へ靡き吹かれける  正子
 七月となり、稲が青く育ち風に吹かれるさまを見るのは気持ちのいいものです。その先に緑濃い山々があるならば、なおさらです。日本の夏の美しい光景を詠まれた御句です。 (多田有花)

○今日の俳句
★子を抱いて浴衣の父の祭かな/多田有花(姫路ゆかたまつり)
男の祭でも、村の祭でもない「父の祭」がいい。子を抱き、浴衣に寛いでささやかな祭を楽しんでいる父の姿さっぱりとして、涼しそうだ。(高橋正子)

○百日草

[百日草/横浜・四季の森公園]

★物陰や百日草の今もさく/正岡子規
★百日草ごうごう海は鳴くばかり/三橋鷹女
★心濁りて何もせぬ日の百日草/草間時彦
★百日草芯よごれたり凡詩人/草間時彦
★ああ今日が百日草の一日目/櫂未知子
★あかあかと百日草が百日を/高橋信之

百日草は百日も咲き続けるという意味だが、夏の間中咲き続いている。キク科の花なので、切り花にしても真夏の暑さに負けず花もちがいい。仏壇に立てる花がないとき、庭の百日草を立てていたが、花色もたくさんあって、全く庶民的な花だと思う。最近は花壇用に、丈が低く、小ぶりな花を付けるものが作成されている。そういう花は、呼び方もジニアと呼ばれることが多いが、私はあえてそれも「百日草」と呼んでいる。昔懐かしんだ花の呼び方がそうそう変えられてたまるか、という気持ちなのだ。向日葵、朝顔、松葉牡丹などと並んで百日草も誰でもが知っている夏の代表的な花が今も健在であるのがうれしい。

★供花に切る百日草の五六本/高橋正子

ヒャクニチソウ属(ヒャクニチソウぞく、学名:Zinnia)は、キク科の属。学名よりジニアとも呼ばれる。分布の中心はメキシコ。1769年にスペインのマドリードのマドリード植物園にもたらされたのがヨーロッパでの最初の紹介であった。この時には淡紫の一重咲きの花がついた。その後1829年に赤が、1832年に白が開花した。八重咲きはフランスで作り出された。一代交配種が作られたのは1963年にアメリカで作られた品種「ファイアー・クラッカー」が最初。属の学名はドイツ・ゲッティンゲン大学の植物学教授だったヨハン・ゴットフリート・ツィン(Johann Gottfried Xinn、1727 – 1759)に因んだものである。同属植物は20種近くあり、一年草・多年草と亜灌木のものがあるが、日本で作られているものは総て一年草である。草丈はヒャクニチソウでは60cmから1mくらいになるが、ホソバヒャクニチソウでは30cm足らずである。茎は直立し、葉は紡錘形で対生する。頭花は単生し、花色は非常に豊富で、赤・オレンジ・黄色・白・ピンク・藤色などがあり、複色花もある。