4月11日~20日


4月20日(4名)

多田有花
楓の芽ほぐれゆくほど輝きて★★★★
楓は小さな芽からほぐれて、若緑の美しい葉を広げるようになる。芽がつやつやと輝くものもあるが、楓は、ほぐれゆくほど輝く新緑がうつくしい。(高橋正子)

はや木陰恋しきはなみずき咲けば★★★
木の芽風駅前書店閉店す★★★

小口泰與
あえかなるばらの新芽や風の中★★★
雲も無き山家に干さる蕨かな★★★★
名にし負う大和島根の櫻かな★★★

廣田洋一
富士を背に炭火赤々栄螺かな★★★★
炭火を真っ赤に熾して焼き栄螺を楽しむ。香ばしい匂いが漂う。背景には富士の山があり、長閑な景色に美味しい栄螺。うらやましい。(高橋正子)

壺焼きや香り撒きつつ食卓に★★★
江の島の風の香りや焼栄螺★★★

桑本栄太郎
田道行く田面吹きぬけ風光る★★★
ゆつたりと発電プロペラ春闌くる★★★★
天よりの声吹き下ろし揚ひばり★★★

4月19日(3名)

廣田洋一
そこだけは紫光る藤の棚★★★★
藤垂れて亀は甲羅を干しにけり★★★
口開ける鯉に枝垂れる藤の花★★★

小口泰與
雨後の朝ことに華やぐ眠花★★★
夕さりのやわき落花に包まれし★★★
たんぽぽや榛名に昼の月宿す★★★★

桑本栄太郎
花虻の唸り声聞く異郷かな★★★★
異郷に佇めば、耳も敏くなる。花々が咲き乱れる中、花虻が唸るような大きな羽音を立てる。春爛漫のなか暴れ者のような虻ではあるが、あたりが皆いきいきとしている証拠に思える。(高橋正子)

藤棚の風のむらさき昼下がり★★★
花びらの名前も知らず春惜しむ★★★

4月18日(3名)

古田敬二
  兄、四十九日法要
若葉山超えて涅槃に至るらん★★★
納骨す遅き桜のふるさとに★★★★
「遅き桜のふるさと」にすべての思いが込められている。しみじみと心に染みる句だ。(高橋正子)
納骨の墓石の傍に濃き菫★★★

小口泰與
うぐいすやページをめくる手の遅れ★★★
蜥蜴出てはや奥つ城へ遁走す★★★
榛名嶺にかしずく雲や花蘇芳★★★★

廣田洋一
只管徒歩見れども見えず遍路かな★★★
通学路遍路宿への道しるべ★★★★
一斉に金剛杖持つバス遍路★★★

桑本栄太郎
眠気来る棚に佇む虻の昼★★★
藤棚の風むらさきや昼下がり★★★★
昼下がり、藤房が風にさらさら揺れ、風をむらさきに染めている。昼下がりの眠くなるような心静かで」明るいときが優美だ。(高橋正子)

縄跳びの少女等集う春の夕★★★

4月17日(2名)

廣田洋一
結び目をゆつくりほどき花水木★★★
歩道橋を見上げて揺れる花水木★★★★
病院のシャトルバス待つ花水木★★★

小口泰與
円墳の百千の落花あびており★★★
青麦や利根の流れは荒れ催い★★★★
青麦に風が出てきたのだろうか。利根川の流れは荒れそうだ。青麦と利根川の荒れそうな流れの取り合わせ。この季節は強い風がよく吹くということでもあろう。(高橋正子)

木の芽時諸刃の剣の酒を飲★★★

4月16日(3名)

川名ますみ
石楠花の嵐の中を咲き初むる★★★★
花びらの風に乗り行くチューリップ★★★
春嵐ピンクの花弁ころげゆく★★★

小口泰與
退職の人を囲みし花筵★★★
夕さりの風の物言う落花かな★★★
ちる櫻犬の骨壷妻が抱きむ★★★★
可愛がってともに暮らしていた犬が桜が散る季節に亡くなった。骨壺を抱く妻は、いとし子の骨を抱くよう。桜の季節に逝ったのがせめてもの慰みと言えるだろうか。(高橋正子)

廣田洋一
舐められてゆらり立ちける仔馬かな★★★
仔馬はね光ばら撒く牧の朝★★★★
春の朝の牧場がいきいきとしているのは、全身を光らせて跳ねまわる仔馬の姿。眩いばかりの牧場の朝の仔馬と作者の喜びが感じられる。(高橋正子)

親譲り白き星持つ仔馬かな★★★

4月15日(3名)

多田有花
にぎやかに木の芽の山の緑色★★★
地下を出る東西線や風光る★★★★
東西線は東京メトロの東京・中野から千葉・西船橋の東西を走る路線。地下から地上の線路に出たときの明るさは、なにげなく嬉しいものだ。外の景色を見れば、明るい。都会の中で、「風光る」を強く感じる時だ。(高橋正子)

家並みが途切れ車窓に春の海★★★

小口泰與
夕暮の古墳もとおる櫻かな★★★
利根川の流れもとより雪解かな★★★★
もの憂きは妻の催促春の雷★★★

廣田洋一
地を這ふ根浮き上がりける竹の秋★★★
公園の裏山抜ける竹の秋★★★★
竹とんぼ追いかける子や竹の秋★★★

4月14日(3名)

小口泰與
あけぼののしだれ柳の凭れあう★★★
舞いもつる蝶や山風吹きにける★★★★
山風の荒さを蝶の舞に見た。「舞いもつる」蝶の翅が破れはしないかと思うほどの山風。虚子の句に「山風の蝶を荒しと思はずや」がある。時に蝶は激しく舞うものだ。(高橋正子)

★初蛙森の沼地に響きおり/多田有花
初蛙の声を聞くと、心がより自然へと向き、活力が湧く気持ちになる。情景がよい。(高橋正子)訪ね来る友をもてなす君子蘭★★★

多田有花
オーベルジュ芽吹きの山の真ん中に★★★
八重桜影に憩いし車あり★★★

初蛙森の沼地に響きおり★★★★
初蛙の声を聞くと、心がより自然へと向き、活力が湧く気持ちになる。情景がよい。(高橋正子)

廣田洋一
チューリップ許可なく首を落とされぬ★★★
白つつじ日毎濃くなる桜色★★★

川縁のなだれ咲きたる躑躅かな(原句)
川縁のなだれ溢るる躑躅かな★★★★(正子添削)
「咲きたる」は、この句の場合言わなくても分かるので、その4音を使いましょう。

4月13日(4名)

廣田洋一
落椿八重の姿を失はず★★★
落椿掃くには惜しき色香かな★★★★
落椿天を仰ぎて静まれり★★★

小口泰與
うぐいすや朝の散歩の距離伸ばす★★★★
うぐいすの長閑な声。朝の散歩もつい遠くまで歩いてしまう。心も体ものびのびとなる。(高橋正子)

次次に雀飛び来る花楓★★★
散る花を追う子の帽子ふわりかな★★★

川名ますみ
小さき葉を揺らしてやさし木の芽風★★★
風光る萌えしばかりの葉もひかる★★★★
「風光る」は見えるかぎりの世界一面。萌えたばかりの葉も日に風に輝いている。すべてに風光る季節だ。(高橋正子)
木の芽風双子つぎつぎ滑り台★★★

多田有花
腹見せてゆっくりと飛ぶ燕かな★★★★
花終わりしあとは静かな午後の雨★★★
八重桜ここより山へ登る道★★★

4月12日(4名)

廣田洋一
山吹の土手になだるるお濠端★★★★
金網をはみ出し咲きし濃山吹★★★
日を浴びてこんもり揺れる八重山吹★★★

小口泰與
花万朶利根濁りたる流れなり★★★★
大屋根を覆う櫻や風の中★★★
見上げたる花に疾風や丘の上★★★

川名ますみ
花屑にまみれアルパカ草を食む★★★
ゾウガメの背より落花の滑り落つ★★★
花々の白に重なり木の芽張る★★★★

多田有花
山下りて浸かる日永の露天風呂★★★
山あいの町いちめんの桜かな★★★★
山あいの小さな町。町はいちめんの桜に埋め尽くされた、桜花爛漫の満ちて静かな風景を見せている。(高橋正子)
稜線は芽吹きの影に覆われる★★★

4月11日(2名)

小口泰與
昇る日に斑の襞の雪解山★★★★
鶯や暁の畑の尼法師★★★
蒼穹をいろどるおかめ櫻かな★★★

廣田洋一
胸元の華やぐ色や春ストール★★★★
洋服の胸元にきれいな色のスカーフやストールをもってくると、華やかな雰囲気が漂う。擦れ違いざまに、そのきれいな色に、はっと春を感じさせられるのだ。(高橋正子)

お出かけは揃いの色の春セーター★★★
若さ自慢若草色の春セーター★★★

自由な投句箱/4月1日~10日


生き生きと、みずみずしい俳句を期待しています。

※当季雑詠3句(春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
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今日の秀句/4月1日~10日


4月15日(1句)

★地下を出る東西線や風光る/多田有花
東西線は東京メトロの東京・中野から千葉・西船橋の東西を走る路線。地下から地上の線路に出たときの明るさは、なにげなく嬉しいものだ。外の景色を見れば、明るい。都会の中で、「風光る」を強く感じる時だ。(高橋正子)

4月14日(2句)

★舞いもつる蝶や山風吹きにける/小口泰與
山風の荒さを蝶の舞に見た。「舞いもつる」蝶の翅が破れはしないかと思うほどの山風。虚子の句に「山風の蝶を荒しと思はずや」がある。時に蝶は激しく舞うものだ。(高橋正子)

★初蛙森の沼地に響きおり/多田有花
初蛙の声を聞くと、心がより自然へと向き、活力が湧く気持ちになる。情景がよい。(高橋正子)

4月13日(2句)

★うぐいすや朝の散歩の距離伸ばす/小口泰與
うぐいすの長閑な声。朝の散歩もつい遠くまで歩いてしまう。心も体ものびのびとなる。(高橋正子)

★風光る萌えしばかりの葉もひかる/川名ますみ
「風光る」は見えるかぎりの世界一面。萌えたばかりの葉も日に風に輝いている。すべてに風光る季節だ。(高橋正子)

4月12日(1句)

★山あいの町いちめんの桜かな/多田有花
山あいの小さな町。町はいちめんの桜に埋め尽くされた、桜花爛漫の満ちて静かな風景を見せている。(高橋正子)

4月11日(1句)

★元の華やぐ色や春ストール/廣田洋一
洋服の胸元にきれいな色のスカーフやストールをもってくると、華やかな雰囲気が漂う。擦れ違いざまに、そのきれいな色に、はっと春を感じさせられるのだ。(高橋正子)

4月10日(1句)

★隣席の真白き紙に桜餅/廣田洋一
例えば、句会などで、隣り合わせの席に座る。桜餅がまず隣の人の白い紙に置かれ、配れていく。白い紙と桜餅の淡い桜色、塩漬けした葉のうすうすとした茶色。上品に白い紙とよく似合うのだ。この美がいい。(高橋正子)

4月9日(2句)

★おおかたの花散りしあと花冷えに/多田有花
花がさいているころのひんやりとした寒さを花冷えという。花がほとんど散ったころに、花冷えがする。言葉と実際の齟齬(そご)。今年の早い桜にこういう事態にもなったのだ。(高橋正子)

★門燈に紫透けり木蓮は/廣田洋一
庭の門燈に触れるように木蓮が咲いている。門燈に紫がほのかに透けているのだ。ガレのランプのような紫色に魅かれる。(高橋正子)

4月8日(1句)

★山寺の静けさに花の散るばかり/多田有花
桜が散る季節になった。静かな山寺も散る花にいっそう静かになり、春が惜しまれる。来る夏へと変わる静かな時である。(高橋正子)

4月7日(1句)

★風車風通し良き角の店/廣田洋一
建物の角はどちらから吹く風もよく通る。風車を売る店が角にあって、通りを吹く風に風車がよく回るのだ。売られている風車が色とりどりに回る。楽しい光景だ。(高橋正子)

4月6日(1句)

★靴紐を峠にむすぶ名草の芽/小口泰與
峠まで歩いて来たのか。緩んだ靴紐を結びなおすと、足元には知れた草の芽。これから生長する草の芽に春たけなわの季節が思われる。良い季節。どんどん歩いて行けそうだ。(高橋正子)

4月5日(1句)

★清明のサランラップをぴんと張る/廣田洋一
サランラップを使うのは、台所のごくごく日常のこと。清明を迎えて、ぴんと張り伸ばしたサランラップが透き通って、空気の明るいすがすがしさを見せていると思った。よい生活句。(高橋正子)

4月4日(1句)

★本堂の扉を満開の花へ/多田有花
春の日の寺の本堂は外の明るさのせいもあって、ほの暗い。その本堂の重い扉を開けると満開の花が目にはいった。花の瑞々しさ、ゆたかさ、清潔さなどが一度に身に迫るような感じだった。(高橋正子)

4月3日(1句)

★散り初むる花街道を路線バス/桑本栄太郎
路線バスが走るいつもの道。絢爛とした花街道の桜がちらちらと散り始め、行く春を窓越しに知ることになった。(高橋正子)

4月2日(1句)

万愚節その日生まれの孫五歳/桑本栄太郎
万愚節に生まれた命の存在の真実。エイプリルフールではあるまいかという命に対する思い。五歳の誕生日を健やかに迎えた喜びは貴重。(高橋正子)

4月1日(1句)

★楓の芽煙の如く出で空に/多田有花
楓の芽はごくごく小さく萌え出る。「煙の如く」と思えるのは、無数の芽の出始め。やがて美しい若楓の季節を迎える。「煙の如く」と捉えたのが新しい。(高橋正子)

4月1日~10日


4月10日(3名)

多田有花
<御祓山登山三句>
登りゆく三葉つつじの回廊を★★★★
林間にみづめ桜の白き影★★★
頂に残雪の氷ノ山間近★★★

廣田洋一
隣席の真白き紙に桜餅★★★★
例えば、句会などで、隣り合わせの席に座る。桜餅がまず隣の人の白い紙に置かれ、配れていく。白い紙と桜餅の淡い桜色、塩漬けした葉のうすうすとした茶色。上品に白い紙とよく似合うのだ。この美がいい。(高橋正子)

道明寺共に買ひたる桜餅★★★
独り居の昆布茶の香り桜餅★★★

小口泰與
利休忌や磁器となる土ならぬ土★★★★
眼つむりて雪解の川を呼び覚ます★★★
花の下女の子のおかき呉れたまえ★★★

4月9日(3名)

小口泰與
山桜鳥にめざとき童かな★★★★
絵をめずる妻や朝の白躑躅★★★
青柳の広瀬川へとしだれけり★★★

多田有花
椿落つ音の響きし静かな午後★★★
ひとり座し桜大樹と向き合えり★★★
おおかたの花散りしあと花冷えに★★★★
花がさいているころのひんやりとした寒さを花冷えという。花がほとんど散ったころに、花冷えがする。言葉と実際の齟齬(そご)。今年の早い桜にこういう事態にもなったのだ。(高橋正子)

廣田洋一
伸びあがり手を広げましょう紫木蓮★★★
紫木蓮畝を立てたる黒き土★★★
門燈に紫透ける木蓮かな(原句)
門燈に紫透けり木蓮は★★★★(正子添削)
下五の落ち着きが悪いので、添削しました。
庭の門燈に触れるように木蓮が咲いている。門燈に紫がほのかに透けているのだ。ガレのランプのような紫色に魅かれる。(高橋正子)

4月8日(3名)

小口泰與
往年の写真出るや春の宵★★★
茜雲無為に榛名へ鼓草★★★
青空へ雲雀ひかれり川みつる(原句)
「ひかれり」「みつる」とあり、主題が二つになっています。二物衝撃という手法の取り合わせはテレビ等で流行っていますが、取り合わすものの間には不即不離の関係がなければいけません。
青空へ雲雀ひかれり川満々(正子添削例)

廣田洋一
ここは赤あそこは黄色春深し★★★
春の野や早咲きの花とりどりに★★★★
もう咲きし白き躑躅の紅模様★★★

多田有花
山寺の静けさに花の散るばかり★★★★
桜が散る季節になった。静かな山寺も散る花にいっそう静かになり、春が惜しまれる。来る夏へと変わる静かな時である。(高橋正子)

頂を囲み躑躅の垣となる★★★
前山の桜の色の失せにけり★★★

4月7日(3名)

多田有花
花散らす風雨を思う城の日に★★★★
重きほど花つけている藪椿★★★
池の面は散る花びらに覆われる★★★

小口泰與
嬬恋の瀬瀬を越え行く帰雁かな★★★
観音の花みそなわす朝かな★★★★
蕗味噌を白身魚へ酒ふくむ★★★

廣田洋一
風車風通し良き角の店★★★★
建物の角はどちらから吹く風もよく通る。風車を売る店が角にあって、通りを吹く風に風車がよく回るのだ。売られている風車が色とりどりに回る。楽しい光景だ。(高橋正子)

児の目覚め誰かが吹かむ風車★★★
風車一吹きして子に渡す★★★

4月6日(3名)

多田有花
桜から芽吹きの色に変わる山★★★
天空から舞う花びらを両手で受ける★★★
桜大樹沸き立つ如く空へ★★★★

小口泰與
靴紐を峠にむすぶ名草の芽★★★★
峠まで歩いて来たのか。緩んだ靴紐を結びなおすと、足元には知れた草の芽。これから生長する草の芽に春たけなわの季節が思われる。良い季節。どんどん歩いて行けそうだ。(高橋正子)

山と川むつむ上州百千鳥★★★
一叢の土筆へ駆ける園児達★★★

廣田洋一
チューリップ花弁一つ外れけり★★★
蒲公英や夫婦のごとく道の端★★★
たんぽぽに明るくなりぬ道の端★★★★

4月5日(3名)

小口泰與
一羽来て三羽飛び散る枝垂梅★★★
我老いぬカメラ背負いて花の朝★★★
白光の利根の流れや雪解風★★★★

廣田洋一
清明のサランラップをぴんと張る★★★★
サランラップを使うのは、台所のごくごく日常のこと。清明を迎えて、ぴんと張り伸ばしたサランラップが透き通って、空気の明るいすがすがしさを見せていると思った。よい生活句。(高橋正子)

朝風呂の湯気の薄かり清明の日★★★
清明や緑の覆ふ捨畑★★★

多田有花
大島桜正午の日輪やや暑く★★★
湧き起こる桜吹雪を浴び走る★★★★
川べりの夜桜見つつ帰宅する★★★

4月4日(4名)

小口泰與
星と星交差の光り朧かな★★★★
餌台を取り合う鳥や春の朝★★★
あけぼのの鳥語かしまし落椿★★★

廣田洋一
空見上げ川を覗きて花疲れ★★★
昆布茶淹れほつと一息花疲★★★
帽子脱ぎ一片散らす花疲れ★★★★

多田有花
頂上へ桜吹雪を浴びつ行く★★★
いずこにも花びらの舞う山路かな★★★
本堂の扉を満開の花へ★★★★
春の日の寺の本堂は外の明るさのせいもあって、ほの暗い。その本堂の重い扉を開けると満開の花が目にはいった。花の瑞々しさ、ゆたかさ、清潔さなどが一度に身に迫るような感じだった。(高橋正子)

4月3日(4名)

廣田洋一
西の空ほのかに赤き春の暮★★★
鍬の跡くつきり残り春の暮★★★★
何となく海を見つめる春の暮★★★

多田有花
青鷺が何かを狙う花の下★★★
南の陽受け続々と躑躅かな★★★
山路いま三葉躑躅の色に染め★★★★

小口泰與
春暁や富士と見まがう榛名富士★★★
酔うままに見やる青磁や春の闇★★★
名にし負う箕郷の郷の梅の花★★★★

桑本栄太郎
行く人の後に道有り連翹忌★★★
大正の母の着物か紫木蓮★★★
散り初むる花街道や路線バス(原句)
散り初むる花街道を路線バス★★★★(正子添削)
路線バスが走るいつもの道。絢爛とした花街道の桜がちらちらと散り始め、行く春を窓越しに知ることになった。(高橋正子)

4月2日(4名)

多田有花
開き初む染井吉野に甍かな★★★★
開山堂に淡き紅色姫こぶし★★★
いずこにも花見の人の繰り出しぬ★★★

小口泰與
葦焼くや白鳥北へ帰りける★★★
岩燕利根の源流見てみたし★★★★
酒は今見ぬちをめぐる朧かな★★★

廣田洋一
木霊をば抜き取り飛ばす柳絮かな★★★
池の水白く光りて柳絮飛ぶ★★★
柳絮飛ぶ三重塔の高き丘★★★★

桑本栄太郎
万愚節その日生まれの孫五歳★★★★
万愚節に生まれた命の存在の真実。エイプリルフールではあるまいかという命に対する思い。五歳の誕生日を健やかに迎えた喜びは貴重。(高橋正子)

鴨川の土手にカップル花の昼★★★
昇降機降りて咲き居り庭さくら★★★

4月1日(3名)

小口泰與
同胞の通夜の座敷や木の芽和★★★★
雨後の木の瑞瑞しきや雉の声★★★
みどり子に添い寝の小犬花の昼★★★

廣田洋一
葉の出でて青みがかりし桜かな★★★
風無くも静心なき桜かな★★★
一片づつ光放ちて桜散る★★★★

多田有花
楓の芽煙の如く出で空に★★★★
楓の芽はごくごく小さく萌え出る。「煙の如く」と思えるのは、無数の芽の出始め。やがて美しい若楓の季節を迎える。「煙の如く」と捉えたのが新しい。(高橋正子)

風吹けば梅花吹雪と成りて散る★★★
手水舎の水音枝垂れ桜かな★★★

自由な投句箱/3月21日~31日


生き生きと、みずみずしい俳句を期待しています。

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主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
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今日の秀句/3月21日~31日


3月31日(2句)
木陰はや快きかな白椿/多田有花
白椿が咲いている頃なのに、はや木陰が快い。白椿がぼってりと色あせて思える。気温が目まぐるしく変わるときの気持ちのありどころを正直に詠んだ。(高橋正子)

何処見ても芽吹きのみどり通院路/川名ますみ
久しぶりの通院という外出ながら、弾むこころ。目にする何処も木木が芽吹き。芽吹きのみどりに心が弾んだのだ。(高橋正子)

3月30日(2句)

★水際へ光集まる蝶の昼/小口泰與
蝶が水際を飛んでいる。蝶がいることで水際に光が集まっていっそう明るくなっている。詩的な句。(高橋正子)

★筏とはならず流れる落花かな/廣田洋一
「花筏」とはよく言う。落花は繋がらないで、一枚一枚ひとつずつ流れていく。花びらの形がありありとして、それに心が働いている。これもいい風情だ。(高橋正子)

3月29日(句)

★咲き初めて良きは我が家の桜かな/多田有花
我が家に桜が咲く。どこにも行かずごく近く、親しく桜が楽しめる。句に詠まれ、風情ある我が家の良き桜となった。(高橋正子)

3月28日(2句)

★つばくらめ嘴より泥を落としけり/小口泰與
燕は泥が好き。巣作りに忙しい燕は泥を嘴より落とすこともある。そんな瞬間を見た。せっせと働く燕の姿だ。(高橋正子)

★若蓬の田舎みやげを天麩羅に/桑本栄太郎
田舎で摘んだまだ若い蓬の土産。まずは天麩羅に。懐かしい故郷の野を思い出されたことだろう。野や山のものが食べられる春の嬉しい時期だ。(高橋正子)

3月27日(3句)

★初燕フロントガラスを横切りぬ/多田有花
初燕とフロントガラスの取り合わせが新鮮だ。初燕が来る頃はまた、桜の咲く季節でもある。どこかに桜のイメージが湧く句だ。(高橋正子)

★平城京小川に沿いてつくし摘む/河野啓一
平城京と言われた奈良には、小川に沿えば土筆が摘めるのどかな野辺が残っている。土筆を摘むにも古都のゆかしさを思う。(高橋正子)

★十階の窓から夜桜姉は癌/古田敬二
癌の姉を見舞う病棟の十階からは、上から見る夜桜が哀しくも美しい。姉を思う心が繊細。(高橋正子)

3月26日(1句)

★春の野の香りかぎつつ寝転べり/廣田洋一
「寝転んで香りをかぐ」。青春が戻ったような気分だ。(高橋正子)

3月25日(2句)

★屋根替えやお茶の時間の長きこと/廣田洋一
「屋根替」は冬の間の積雪などで傷んだ萱や藁の屋根を春に葺き替えたので、春の季語となっている。暖かい春の日に屋根をはぎ取って葺き替える。作業の間のお茶の時間ものんびりと長い。春の日の悠長さ。(高橋正子)

★春夕焼出窓の写真にぎやかに/川名ますみ
春の夕焼けに照らされた出窓は、思い出の品などいろんなものが飾られてにぎやかになった。昼間はむしろしんとしている出窓なのだ。明日が楽しい日となる予感のする春夕焼けだ。(高橋正子)

3月24日(1句)

★初ざくら居間の花瓶に咲き白し/川名ますみ
居間の花瓶を満たす桜の白さが初初しい。「白し」がいい。(高橋正子)

3月23日(1句)

★辛夷咲く榛名の空は青充たす/小口泰與
空が「青充たす」と積極的に働いたのがいい。辛夷の咲く空が動いている。(高橋正子)

3月22日(2句)

★春雨や共に濡れ行く友の居て/廣田洋一
濡れるのをいとわない春雨であるが、「共に濡れゆく友」がいて、春雨の情感が深まった句。(高橋正子)

降りしきる雨に明るき花菜道/桑本栄太郎
菜の花は雨が降ると、黄色の花色がますますはっきりとしてくる。降りしきる雨のわずらわしさを明るく楽しませてくれる菜の花の色だ。雨脚の白さが目に見える。(高橋正子)

3月21日(1句)

★春分や朝刊の文字清々し/小口泰與
春分の朝の清々しに、朝刊の文字が鮮やかに眼に入る。清々しく思えた。今年の春分は昼頃から雪となったが、雪ながらも空が高く光は春分と思えた。(高橋正子)

3月21日~31日


3月31日(4名)

小口泰與
春の日や牛舎の木木へ鳥の数★★★
「木木へ鳥の数」は「木木の鳥の数」ではないでしょうか。

巻き初めるてんから毛鉤花辛夷★★★
フロントへ斜めの雨や白木蓮★★★★

多田有花
頂に三葉躑躅の咲き初めし★★★
木陰はや快きかな白椿★★★★
白椿が咲いている頃なのに、はや木陰が快い。白椿がぼってりと色あせて思える。気温が目まぐるしく変わるときの気持ちのありどころを正直に詠んだ。(高橋正子)
鶯の日ごと盛んに鳴く山路★★★

川名ますみ
何処見ても芽吹きのみどり通院路★★★★
久しぶりの通院という外出ながら、弾むこころ。目にする何処も木木が芽吹き。芽吹きのみどりに心が弾んだのだ。(高橋正子)

雲の影映し濠辺の春の芝★★★
花曇ブラウスの色ほめらるる★★★★

廣田洋一
癌検査念入りに終へ三月尽★★★
引越しのトラック去りて三月尽★★★★
庭中の日差し柔らか三月尽★★★

3月30日(3名)

小口泰與
水際へ光集めし蝶の昼(原句)
水際へ光集まる蝶の昼★★★★(正子添削)
蝶が水際を飛んでいる。蝶がいることで水際に光が集まっていっそう明るくなっている。詩的な句。(高橋正子)

雨後の朝水口にいる田螺かな★★★
烈風や丘の櫻と鳥の羽根★★★

多田有花
上り下りする人を見し山桜★★★
山桜傾き初めし陽のなかに★★★
花影の下をくぐりて外出す★★★★

廣田洋一
爺婆が乳母車押す花見かな★★★
通勤の橋の上から花見かな★★★
筏とはならず流れる落花かな★★★★
「花筏」とはよく言う。落花は繋がらないで、一枚一枚ひとつずつ流れていく。花びらの形がありありとして、それに心が働いている。これもいい風情だ。(高橋正子)

3月29日(3名)

多田有花
夕暮れて四方の山々春霞★★★
傾ける陽は遅々として梅林に★★★
咲き初めて良きは我が家の桜かな★★★★
我が家に桜が咲く。どこにも行かずごく近く、親しく桜が楽しめる。句に詠まれ、風情ある我が家の良き桜となった。(高橋正子)

小口泰與
強風の梢の床や花の冷★★★
さえずりや挿絵あせたる初版本★★★★
水漬きたる田の醜草や揚雲雀★★★

廣田洋一
桜咲き三日目にして桜色★★★
早乙女の手ずから田植え御神田★★★★
海の幸山の幸詰め花見かな★★★

3月28日(5名)

小口泰與
土を割るチューリップの芽のとびとびに★★★
雨上がり梅の下枝に朝日かな★★★
つばくらめ嘴より泥を落としけり★★★★
燕は泥が好き。巣作りに忙しい燕は泥を嘴より落とすこともある。そんな瞬間を見た。せっせと働く燕の姿だ。(高橋正子)

廣田洋一
重たげに赤く咲きけり木瓜の花★★★
日を浴びて木瓜の花の熱放つ★★★
城跡の戦の記憶木瓜の花★★★★

多田有花
髪切って暖かき光の中へ★★★★
庭先で少女縄跳び春休み★★★
河川敷キャッチボールの日永かな★★★

古田敬二
紅梅や弥勒菩薩の唇(口)の色★★★
春光を受けてまっ平ぶどう棚(原句)
葡萄棚春光を受けまっ平ら★★★★(正子添削)
枝広げ天抱く様に梅真白★★★

桑本栄太郎
青み来るバスの大路や木の芽吹く★★★
咲き分けの源平桃や春の昼★★★
若蓬の田舎みやげを天麩羅に★★★★
田舎で摘んだまだ若い蓬の土産。まずは天麩羅に。懐かしい故郷の野を思い出されたことだろう。野や山のものが食べられる春の嬉しい時期だ。(高橋正子)

3月27日(6名)

廣田洋一
土替えて四季なり苺を蒔きにけり★★★
水苔をたっぷり敷て鷺草植う★★★★
間を空けて百合の球根植えにけり★★★

多田有花
初燕フロントガラスを横切りぬ★★★★
初燕とフロントガラスの取り合わせが新鮮だ。初燕が来る頃はまた、桜の咲く季節でもある。どこかに桜のイメージが湧く句だ。(高橋正子)

頂に立ちて探しぬ初桜★★★
上弦の月紅梅の上に出て★★★

小口泰與
榛名山(はるな)より利根川(とね)へ流るる霞かな★★★
山分けし坂東太郎雪解かな★★★
畳替え済みたる居間や春の池★★★

河野啓一
平城京小川に沿いてつくし摘む★★★★
平城京と言われた奈良には、小川に沿えば土筆が摘めるのどかな野辺が残っている。土筆を摘むにも古都のゆかしさを思う。(高橋正子)

小鳥来る天平の野に青い空★★★
せせらぎを掻き分け探す土筆かな★★★

古田敬二
十階の窓から夜桜姉は癌★★★★
癌の姉を見舞う病棟の十階からは、上から見る夜桜が哀しくも美しい。姉を思う心が繊細。(高橋正子)

桜散る三百年の梢から★★★
散る桜分厚き杉板寺の縁★★★

桑本栄太郎
霾天の嶺の微かや天王山★★★★
咲き分けの源平桃や鴨川に★★★
春暑しトランクルームへ幾たびも★★★

3月26日2名)

廣田洋一
春の野の香りかぎつつ寝転べり★★★★
「寝転んで香りをかぐ」。青春が戻ったような気分だ。(高橋正子)

春の野のせせらぎの音和やかに★★★
春の野の棚引く先に富士浮かぶ★★★

小口泰與
春霖や裏山はやす草の丈★★★
走り根の窪みくぼみに落椿★★★★
あや取りの糸のようなるしだれ梅★★★

3月25日2名)

廣田洋一
屋根替や古き藁屋根裸にす★★★
屋根替えやお茶の時間の長きこと★★★★
「屋根替」は冬の間の積雪などで傷んだ萱や藁の屋根を春に葺き替えたので、春の季語となっている。暖かい春の日に屋根をはぎ取って葺き替える。作業の間のお茶の時間ものんびりと長い。春の日の悠長さ。(高橋正子)

屋根替えや瓦に変わり情緒なく★★★

小口泰與
何故に夜も黄砂来る水の星★★★
ローム層大地ゆがめし春疾風★★★
池の面へ口開けし鯉春時雨★★★

多田有花
頂より見下ろす春の川みどり★★★
梅が香に包まれて立つ朝かな★★★
本堂にアートを飾り彼岸寺★★★

桑本栄太郎
竜天に登る日矢さす雲間かな★★★★
さくら無き桜ケ丘や花の昼★★★
物集(もずめ)ちょうバス停ありぬ雪柳★★★

川名ますみ
ベランダのビオラを束ね墓参り★★★
花菫束ねんとして零したり★★★
春夕焼出窓の写真にぎやかに★★★★
春の夕焼けに照らされた出窓は、思い出の品などいろんなものが飾られてにぎやかになった。昼間はむしろしんとしている出窓なのだ。明日が楽しい日となる予感のする春夕焼けだ。(高橋正子)

3月24(5名)

小口泰與
遠山は大地の果てや揚雲雀★★★★
ほつほつと瑞枝出でけり春の沼★★★
洗顔の妻の叫びや春嵐★★★

廣田洋一
咲き急ぎ色の斑なチューリップ★★★
日を浴びて起き上がりたる犬ふぐり★★★★
前庭の零れんばかり八重椿★★★

多田有花
倒木や彼岸嵐の過ぎしあと★★★
落椿そこは踏まずに歩きけり★★★
一木の倒れ広がる春の空★★★★

桑本栄太郎
春雨のあがる地道やにはたづみ★★★
さみどりや雨に俯く土佐みづき★★★
春蘭や風のベランダさみどりに★★★★

川名ますみ
花の枝抱えて来たる母の友★★★★
初ざくら居間の花瓶に咲き白し★★★★
居間の花瓶を満たす桜の白さが初初しい。「白し」がいい。(高橋正子)

3月23(4名)

小口泰與
辛夷咲く榛名の空は青充たす★★★★
春疾風奈翁の帽子飛ばすかな★★★
春暁の畑に鍬打つ老婆かな★★★

廣田洋一
初桜川縁白く染まりたる★★★
桜咲くまづ街角の若木かな★★★★
行く人に声かけるごと桜咲く★★★

多田有花
住職に道をたずねし彼岸寺★★★★
連日の雨と風との彼岸かな★★★
春分の雨降るなかを図書館へ★★★

桑本栄太郎
坂道の風吹き上げる連翹黄★★★★
山よりの風にうなずく雪やなぎ★★★
植込みの沈丁の香や歯科医院★★★

3月22(4名)

小口泰與
大藁屋雪解雫の鎖樋★★★
淡雪を嘴で弾きし雀かな★★★★
石仏の微笑や磴の花ミモザ★★★

廣田洋一
いつの間に雨になりたる春の雪★★★
春雨や共に濡れ行く友の居て★★★★
濡れるのをいとわない春雨であるが、「共に濡れゆく友」がいて、春雨の情感が深まった句。(高橋正子)

春雨の雨に当たらぬ花時計★★★

多田有花
春の陽に船を散りばめ大阪湾★★★★
春陽背にずらりと役行者像★★★
春霞む浪花の街を遠望す★★★

桑本栄太郎
降りしきる雨に明るき花菜道★★★★
菜の花は雨が降ると、黄色の花色がますますはっきりとしてくる。降りしきる雨のわずらわしさを明るく楽しませてくれる菜の花の色だ。雨脚の白さが目に見える。(高橋正子)

乙訓の丘に雨降る花菜かな★★★
一村の屋号で呼ばふ春うらら★★★

3月21(3名)

廣田洋一
母の忌や共に読経の雨蛙(原句)
母の忌や読経の声に雨蛙★★★★(正子添削)
因みに、蛙は春の季語ですが、雨蛙は夏の季語です。

花の芽の紅く枝垂れる桜かな★★★
朝からの雨降り止まず彼岸寒★★★

小口泰與
春分や朝刊の文字清々し★★★★
春分の朝の清々しに、朝刊の文字が鮮やかに眼に入る。清々しく思えた。今年の春分は昼頃から雪となったが、雪ながらも空が高く光は春分と思えた。(高橋正子)

片栗や明るき風の峠道★★★
活きの良き商店街やお中日★★★

桑本栄太郎
咲き切らぬつぼみの侭に花の冷え★★★★
花冷えの雨の一日や暮れ来たる★★★
春分の雨をかこつや家居ひと日★★★

自由な投句箱/3月11日~20日


生き生きと、みずみずしい俳句を期待しています。

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今日の秀句/3月11日~20日


3月20日(1句)

★打ち出しの空の明るき浪花場所/多田有花

3月19日(1句)

★轟轟と湖に飲まるる雪解水/小口泰與
平明な表現だが、平明なので、作者の実感が読み手に直に伝ってくる。(高橋信之)

3月18日(1句)

★青空に白さも白き辛夷咲く/廣田洋一
中7の「白さも白き」は、青空の辛夷を詠んで、その核心を述べたもの。作者の思いが伝わってくる。(高橋信之)

3月17日(1句)

★藪椿飾られている手水口/多田有花
寺などの手水口に季節の花が飾られているのを見ることがある。藪椿は手水口を飾るのに相応しい花と思える。水が温み、陽の光も増して、花と水の出会いがいきいきとしている。(高橋正子)

3月16日(1句)

★釣糸のもつれの解けて春火桶/小口泰與
冬の間釣りは休んでいたのかもしれない。これから釣のシーズンが始まるとなって、もつれた釣り糸を丹念にほぐす仕事がある。脇に火桶を置いて、釣り糸をほぐす。こうした時間も釣の時間なのだ。「春火桶」がほの暖かくでよい。(高橋正子)

3月15日(1句)

★芦屋なるメゾン眩しき白木蓮/桑本栄太郎
芦屋のメゾン。高級住宅地を誇る芦屋の邸宅に白木蓮が耀く。「メゾン」の外来語が白木蓮と取り合わされて、瀟洒に響く。春の日の瀟洒な美。(高橋正子)

3月14日(2句)

★さえずりや堂の柱へしみ入りぬ/小口泰與
「堂の柱」と言うからには、寺などの堂々とした柱で、木目が見える。柱に罅あるのかもしれない。だから、盛んなさえずりが「柱へしみ入りぬ」となるのだろう。(高橋正子)

★暖かや園児らの空さんさんと/廣田洋一
「園児らの空」が「さんさんと」に繋がったところが素晴らしい。園児らの活発な動きが想像でき、園児への眼差しのやさしさが思われる。(高橋正子)

3月13日(1句)

★メロディーの報らす洗濯水温む/桑本栄太郎
洗濯機もコンピューターで動く。洗濯が終われば、メロディーで報せる。水が温み、洗濯機も軽く回る。メロディーが鼻歌に聞こえる。(高橋正子)

3月12日(1句)

★菜の花の黄色真すぐに線路際/廣田洋一
線路際に菜の花が咲き、線路際を黄色く染めている。線路が真直ぐ延びるので真直ぐなのだ。鉄道沿線の長閑な春の風景が旅にさそいそうだ。(高橋正子)

3月11日(3句)

★牛の子の鳴き声高き木の芽晴/小口泰與
「鳴き声高き」には子牛らしさが表現されている。いきいきと鳴く牛の子に良く晴れ渡った空が似合う。(高橋正子)

★苗札も土も新たな朝かな/廣田洋一
植えられた苗が生き生きとしているのを感じるのは、だれでも。「苗札も土も新たな朝」は感性がフレッシュなことの表れ。(高橋正子)

★せせらぎをたどりて登る春の山/多田有花
せせらぎをたどって登る山は、なだらかな山であろう。山の姿もたおやかに思える。春の山だ。(高橋正子)

3月11日~20日


3月20日(4名)

廣田洋一
弓なりに助け求める雪柳★★★
甘酒を垂らすが如し小米花★★★
金網を超えて光れる雪柳★★★★

小口泰與
蛙子をじっと見据うる園児達★★★
鮎の子のおのおの遡行身すぎかな★★★
みすずかる信濃の春やみすず飴★★★

多田有花
打ち出しの空の明るき浪花場所★★★★
吹き荒れし風雨おさまり冴返る★★★
振り仰ぐミモザの黄色空の青★★★

桑本栄太郎
同窓会の妻の帰郷や入日岸★★★★
満開となれど翳りや白木蓮★★★
すみれ咲く頃となりたり宝塚★★★

3月19日(3名)

小口泰與
永き日の馬棚を歩める子馬かな★★★
一瞬に初虹消ゆる山峡へ★★★
轟轟と湖に飲まるる雪解水★★★★
平明な表現だが、平明なので、作者の実感が読み手に直に伝ってくる。(高橋信之)

廣田洋一
パンジーの目鼻確かめ立ち止まる★★★
名を知らず会えば挨拶菫草★★★
パンジーの群れれば目立つ黄色かな★★★★「

桑本栄太郎
青白き翳を持ちたり白木蓮★★★
車窓より見下ろす土手に草青む★★★
せせらぎの桜芽ふふむ高瀬川★★★★

3月18日(3名)

小口泰與
森林の生き物の息花辛夷★★★
はくれんやいよよ厄無き老年期★★★
あけぼのの榛名十峰みな笑う★★★★

廣田洋一
青空に白さも白き辛夷咲く★★★★
中7の「白さも白き」は、青空の辛夷を詠んで、その核心を述べたもの。作者の思いが伝わってくる。(高橋信之)

花辛夷雲の流れに竿さして★★★
夜道にも白く浮かべる花辛夷★★★

桑本栄太郎
海岸の海づり公園春の潮★★★★
外つ人のカップル手繋ぎ春の旅★★★
草青む土手の鉄路や阪急線★★★

3月17日(4名)

多田有花
藪椿飾られている手水口★★★★
寺などの手水口に季節の花が飾られているのを見ることがある。藪椿は手水口を飾るのに相応しい花と思える。水が温み、陽の光も増して、花と水の出会いがいきいきとしている。(高橋正子)

春うらら壁リフォームの作業員★★★
春色のケーキが並ぶウインドウ★★★

小口泰與
谷川の大岩揺する燕かな★★★
我が庭は鮫の棲みかぞ朧月★★★
朝夕の赤城の裾野揚雲雀★★★★

桑本栄太郎
白れんや山の手六甲青き空★★★
春潮の海の神戸や朝日さす★★★
松籟の明石の浜や春の凪★★★★

廣田洋一
堀端の水の光りて青き踏む★★★★
皇居前風そよそよと青き踏む★★★
孫自慢途切れぬ人と青き踏む★★★

3月16日(3名)

小口泰與
はくれんや空にやすらう鳶の笛★★★
「鳶の笛」はじっさい輪を描いて動いている感じですので、「やすらう」は無理な感じです。

カールの髪肩になびかせ卒業す★★★
釣糸のもつれの解けて春火桶★★★★
冬の間釣りは休んでいたのかもしれない。これから釣のシーズンが始まるとなって、もつれた釣り糸を丹念にほぐす仕事がある。脇に火桶を置いて、釣り糸をほぐす。こうした時間も釣の時間なのだ。「春火桶」がほの暖かくでよい。(高橋正子)

廣田洋一
一斉に胸反り返す風信子(原句)
一斉に花反り返す風信子★★★(正子添削)
「胸」がしっくりこないです。「花」でよいと思います。

先ず咲きし濃紫色風信子★★★★
風信子風に打たれて横倒し★★★

桑本栄太郎
格子戸の街道筋や菜の花に★★★
もくれんの無垢に影さす日差しかな★★★★
入日落つ淀の河口や春の夕★★★

3月15日(3名)

廣田洋一
見て見てと八重に咲きたる黄水仙★★★
花の芯赤く染めたる黄水仙★★★
門前を華やかに見せ八重黄水仙★★★★

小口泰與
鐘の音のまろきや里は梅日和★★★
観梅や上野毛古墳たもとおり★★★
身じろがぬ赤城や郷は地虫出づ★★★★

桑本栄太郎
海づりの明石海峡春の凪★★★
芦屋なるメゾン眩しき白木蓮★★★★
入日落つ淀の河口や夕霞★★★

3月14日(5名)

川名ますみ
枯れし梅また一つより咲き初むる★★★
引鳥を載せてお濠の松大き★★★
濃き色は香りあまやかヒヤシンス★★★★

小口泰與
さえずりや堂の柱へしみ入りぬ★★★★
おちこちに生え出づままの名草の芽★★★
庭草の丈なすままの長閑さよ★★★

廣田洋一
暖かや園児らの空さんさんと★★★★
二駅を眠りて過ごす暖かし★★★
暖かくなるとの予報外出す★★★

桑本栄太郎
<明石の海>
如月の海の淡きや遥かまで★★★
対岸の島は淡路や春の凪★★★★
海岸の松の並木や春の海★★★

3月13日(3名)

廣田洋一
日を浴びて指先開く紫陽花の芽★★★
道端の赤く染まりぬ満天星の芽★★★
名草の芽一雨毎にたくましく★★★★

小口泰與
紅梅の香にまみいるや帰宅時★★★★
朝刊のインクの匂い風光る★★★
春塵や曲がり角なる道路鏡★★★

桑本栄太郎
<友人の告別式より>
春星となりし友逝く天見上ぐ★★★
畦焼のけぶり立つ見ゆ野面かな★★★
メロディーの報らす洗濯水温む★★★★

3月12日(4名)

廣田洋一
菜の花の黄一直線線路際(原句)
菜の花の黄色真すぐに線路際★★★★(正子添削)
河津桜交々触る枝の先★★★
菜の花とコラボの映える河津桜★★★

小口泰與
凍返る赤城の風のひもすがら★★★
蜜蜂の免れかたき疾風かな★★★★
貝寄風や水をたまわる舫い舟★★★

多田有花
山の影映して碧し春の池★★★★
露天の湯春陽のなかへ流れ落つ★★★
雉鳩の並んで歩く春山路★★★

桑本栄太郎
雲流れ山笑い居り天王山★★★
送電線少し垂れ見ゆ春暑し★★★
かぎろひのつづく鉄路や電車来る★★★★

3月11日(3名)

小口泰與
牛の子の鳴き声定か木の芽晴★★★
 (※御礼 (小口泰與)2018-03-12 10:27:33高橋正子先生
  牛の子の句の「定か」のご指摘有難う御座います。「牛の子の高き鳴き声」に直しました。)

牛の子の鳴き声高き木の芽晴★★★★
こちらの句のほうが、牛の子が可愛らしくいきいきしています。的確な表現になりました。「定か」がしっくりこないです。

三山の郷や山川春日影★★★
目借り時催眠術にかかりけり★★★

廣田洋一
苗札も土も新たな朝かな★★★★
苗札に花の色まで記しけり★★★
苗札の雨にさらされ売れ残る★★★

多田有花
せせらぎをたどりて登る春の山★★★★
頂に談笑の人笑の山★★★
山行のラーメン春菜たっぷりと★★★