今日の秀句/3月1日~10日


3月10日(1句)

★もくれんの開き初めたりうすみどり/桑本栄太郎
この木蓮は、白木蓮であろう。開くと純白の白さが眼に染みるが、開き初めは、うすみどりがかっている。ういういしさがある。(高橋マアコ)

3月9日(句)

★さへずりの梢見上ぐや青き空/桑本栄太郎
さえずりが降ってくる梢を見上げると、空は真っ青。晴れた空に、小鳥の囀り。うららかな春の日がたのしい。(高橋正子)

3月8日(1句)

★引鴨を追ふかに堰を落つる水/廣田洋一
引鴨を追い立てるように、堰を水が急ぎ落ちる。去るものをさらに追うあわれさるが、それだけ季節が早く移っていく。(高橋正子)

3月7日(1句)

★乙訓の風に流さる揚ひばり/桑本栄太郎
乙訓の風景のなかに、高く揚がるひばり。歴史ある乙訓の地名に様々な思いが重なる。(高橋正子)

3月6日(1句)

<水前寺公園>
★阿蘇よりの伏流水に春の鴨/多田有花
雄大な阿蘇山からの伏流水と、知っている鴨であろうか。それとは知らず、ゆっくりと春を楽しんでいるように思える。私は、高校の九州一周の修学旅行で水前寺公園にもいきました。(高橋正子)

3月5日(1句)

★地を割って光はじくやクロッカス/小口泰與
クロッカスは「光はじく」と表現されるのが、ぴったり。地面すれすれに開く花は地に降る光を弾き、反射させるのだ。(高橋正子)、

3月4日(1句)

★花こぶし獣駆けたる杣の道/小口泰與
辛夷はもともと山の木であろう。獣が駆けていく杣の道に咲いている。四国に住んでいた時、辛夷は植木でしか見なかった。ところが、横浜に暮らすようになって、山にある辛夷、丘に咲く辛夷、庭の辛夷をよく見るようになった。杣の辛夷は、うすき緑を帯びているように思える。(高橋正子)

3月3日(2句)

★梅東風の石段数へ金比羅宮/廣田洋一
金毘羅宮の石段の数の多さは知られるところだが、石段を上ってゆくほど、日や風を身にうけることになる。梅東風を受けながらの金毘羅宮からの眺めが想像できる。(高橋正子)

★立子忌やお菜に悩む妻の留守/桑本栄太郎
星野立子の「まゝ事の飯もおさいも土筆かな」の句が下敷きにある。この句をよく覚えているので、一人居のときのおさいを何にしようかと困ったとき、この句が浮かんだ。この句のように周りの春のものがおさいにできたらと思ったのかも。(高橋正子)

3月2日(3句)

★砂浴びの雀や梅のふふみける/小口泰與
梅の蕾が膨らむ庭。雀が砂浴びしている。可愛らしい雀に寄せる。梅ふふむ日のうららかな思い。(高橋正子)

★オフィス街ランチバッグに春ショール/川名ますみ
オフィス街にも春がきた。オフィスで働く女性たちは、ランチバッグを手に軽やかなショールを巻いて、公昼時を歩いている。ベンチや公園の芝生でランチをするのだろうか。(高橋正子)

★囀りを残して揺るる小枝かな/多田有花
枝で囀っていた小鳥が飛び立った。今飛び立ったばかりで、小枝が揺れて、そこにまだ囀りが残っているように思える。(高橋正子)

3月1日(3句)

★山焼きや勢子の湧き出る点火場所/廣田洋一
山焼きをするとき、点火する場所にそれぞれ勢子が待機している。いざ火をつける時、勢子たちは勢いよくあちこちから湧き出る。山焼きの現場を見るような臨場感がある句。(高橋正子)

★来てみれば水面鎮まり鳥帰る/桑本栄太郎
ある日来てみると、にぎやかに水鳥たちがいた水面が鎮まっている。意外だ。渡り鳥はすでに帰って、静守る水面となっている。「鎮まり」に作者の思いがある。(高橋正子)

★航跡の真白に砕け春の水脈/古田敬二
船の航跡が真っ白に砕ける。春を感じさせる航跡の「真白さ」だ。心晴れやかな句。(高橋正子)

3月1日~10日


3月10日(4名)

多田有花
春風のなかで待ちおり臨時バス★★★
アイスショーへ長き列成す日永かな★★★
カート押し宿へと向かう春の闇★★★★

小口泰與
猫柳河川工事の昼休み★★★★
江戸の味伝う公魚諏訪の味★★★
傘寿過ぎあっと言う間や鳥曇★★★

廣田洋一
東風吹くや並木の枝を見上げたり★★★
朝東風に足を速める丸の内★★★
何がなし浮き立つ気分朝の東風★★★★

桑本栄太郎)
底せせる鴨のつがいや春の川★★★
茫洋と今朝の鞍馬は霞立つ★★★
もくれんの開き初めたりうすみどり★★★★

3月9日(4名)

廣田洋一
子供らの夢を語りし桃の花★★★
桃の花一輪咲きて売られけり★★★
源平桃村に落人の伝説★★★★

多田有花
<水前寺公園三句>
能楽殿春の雅楽の準備中★★★
春の陽に松整然と影を成す★★★
つくばいの湛えし春の空青し★★★★

小口泰與
餌くわえつつつと走る親雀★★★
子雀の嘴よりこぼる滴かな★★★★
針金を咥え飛びけり鴉の巣★★★

桑本栄太郎
堰水の楽を奏づる春の川★★★
川風の料峭なりぬ土堤を行く★★★
さへずりの梢見上ぐや青き空★★★★

3月8日(4名)

多田有花
<水前寺公園三句>
狛犬が逆立ちをする春日和★★★
梅しだれ神社の幟まっすぐに★★★
満開の梅が寄り添う藩主像★★★

廣田洋一
引鴨や跡を残さぬ池之端★★★
引鴨を追ふかに堰を落つる水★★★★
鴨帰りあたりに光る青き草★★★

小口泰與
さざ波にゆるる残照残る鴨★★★
木道の野末や春の雨の雲★★★★
うららかや土偶の尻の豊かなり★★★

桑本栄太郎
<確定申告提出へ>
春光の日差しまぶしき今朝のバス★★★
菜の花や河川畑の花盛り★★★★
年金の暮らしに倦むや納税期★★★

3月7日(4名)

小口泰與
せりせりと波を被りし山葵かな★★★★
借景に赤城鍋割山(なべわり)雪柳★★★
烈風にはや遁走の雀の子★★★

多田有花
<水前寺公園三句>
古りし松春の日差しを存分に★★★
水温む鯉ゆったりと旋回す★★★
手水舎に軽き音たて春の水★★★

廣田洋一
池の面白く光りて水草生ふ★★★
幼子の手を伸ばす池水草生ふ★★★
すいすいと魚影進みて水草生ふ★★★

桑本栄太郎
乙訓の風に流さる揚ひばり★★★★
さみどりのU・F・O見たり土佐みづき★★★
黒々と天に眼や豆の花★★★

3月6日(4名)

小口泰與
まんさくや村の誉れの大学生★★★★
梅咲くや何時もの朝の散歩道★★★
一つ脱ぎ朝の散歩や揚ひばり★★★

多田有花
<水前寺公園三句>
阿蘇よりの伏流水に春の鴨★★★★
春昼や鳥居の奥の稲荷神★★★
春の日の神苑の富士を愛で巡る★★★

廣田洋一
雨上がり啓蟄の庭覗きけり★★★
啓蟄や砂場の山の崩さるる★★★
啓蟄や首伸ばしたる亀二匹★★★

桑本栄太郎
菜の花やはるか山には高速道★★★
堰水の音を聞きつつ春の土堤★★★
どの畦も星の降りたり犬ふぐり★★★★

3月5日(4名)

小口泰與
地を割って光はじくやクロッカス★★★★
引鴨や夕映えの山風を生み★★★
小魚の瓶の淵へと雀の子★★★

多田有花
采配をとる清正公春動く★★★
火の国の名物を食ぶ春の昼★★★
水前寺公園まったき藪椿★★★★

桑本栄太郎
青空の降りそそぐかに揚ひばり★★★★
つんつんと芽ぐむ満天星つつじかな★★★
夢のみな畦に降り立つ犬ふぐり★★★

廣田洋一
水平線うつすら霞む岬かな★★★
黒潮に釣り糸垂れる春岬★★★★
空海像白く光りて遍路道★★★

3月4日(4名)

小口泰與
砂浴びの雀の穴や猫柳★★★

花こぶし獣駆けたる杣の道★★★★
辛夷はもともと山の木であろう。獣が駆けていく杣の道に咲いている。四国に住んでいた時、辛夷は植木でしか見なかった。ところが、横浜に暮らすようになって、山にある辛夷、丘に咲く辛夷、庭の辛夷をよく見るようになった。杣の辛夷は、うすき緑を帯びているように思える。(高橋正子)

鳥声や浅間南面雪解見ゆ★★★

多田有花
<熊本城三句>
鉄骨が支える石垣春淡し★★★★
ゆるゆると長塀下を春の水★★★
内堀に烏水浴びうららけし★★★

桑本栄太郎
木蓮の毛衣ゆるみ芽吹きけり★★★
背の低くすでに支柱や豆の花★★★★
青空を被いて居たり揚ひばり★★★

廣田洋一
水平線白く光れる春の海★★★
菅笠に青き衣の遍路かな★★★
白波に浮かぶ灯台風光る★★★★

3月3日(4名)

小口泰與
桃の日のたおやかなりし赤城山★★★★
雛の日の波たおやかや山上湖★★★
揚ひばり空掻き分けて天心へ★★★

廣田洋一
さざれ石平成の春苔加へけり★★★
梅東風の石段数へ金比羅宮★★★★
山椿高々と咲く坂の道★★★★

桑本栄太郎
立子忌やお菜に悩む妻の留守★★★★
下萌の地道歩めり水の音★★★
嶺の端のほのと明るき春しぐれ★★★

多田有花
<熊本城三句>
異国語に囲まれ春の熊本城★★★
崩れ落ちし石垣の上の春の空★★★★
清正の反り春昼の石垣に★★★

3月2日(6名)

小口泰與
砂浴びの雀や梅のふふみける★★★★
蛇行せる辰之の川揚雲雀★★★★
※辰之=高野辰之(文省唱歌「故郷」の作詞者)(正子注)

残照の浅間や畦の揚ひばり★★★

古田敬二
鍬先に触れる石くれ春耕す★★★★
春昼やメタセコイアのまっすぐ伸び★★★★
春の旅メンバー独り欠けしまま★★★

廣田洋一
春の雨上がるかに見えて降りやまず★★★★

店先の花とりどりに春の雨(原句)
店先の花はとりどり春の雨★★★(正子添削)
もとの句は間違いではありませんが、添削のような句にもなります。

春の雨熱きお茶を頂きぬ★★★

桑本栄太郎
芽柳の天を掃きたる川辺かな★★★
堰水の音を聞きつつ春の川★★★

下萌や川辺を歩む堰と音(原句)
下萌えや川辺歩めば堰の音★★★★(正子添削)

川名ますみ
春霞遠くの富士の浮かびおり★★★
水仙の蕾ほっそり葉のかげに★★★
オフィス街ランチバッグに春ショール★★★★

多田有花
囀を残して揺れし小枝かな(原句)
囀りを残して揺るる小枝かな★★★★(正子添削)

落ちてなおしばし端麗藪椿★★★★
播磨灘穏やかにあり夕霞★★★

3月1日(5名)

多田有花
春の雨あがりし頂に座しぬ★★★
水滴が梅の蕾にひとつずつ★★★★
パグと会う雨のあがりし梅林で★★★

小口泰與
晩酌は切子の盃や遠蛙★★★★
囀りや釣具選びの友と居り★★★
うぐいすや燃ゆる浅間山(あさま)は彼方にて★★★★

廣田洋一
山焼きの煙を見つつ宿に着く★★★★
山焼きや勢子の湧き出る点火場所★★★★
山焼きの炎の揺れて風生まれ★★★★

桑本栄太郎
三月と思う日差しを歩みけり★★★★
来てみれば水面鎮まり鳥帰る★★★★
春日さす崩れ土塀や山の里★★★

古田敬二
真白に砕けて広がる春の水脈(原句)
航跡の真白に砕け春の水脈★★★★(正子添削)

老人の歩幅は小さく初音聞く(原句)
老人の歩幅小さし初音聞く★★★★(正子添削)

春落暉地球の動く速さかな★★★

自由な投句箱/2月21日~28日


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今日の秀句/2月21日~28日


2月28日(2句)

★芽柳の風に和したる朝かな/小口泰與
風が吹くと芽柳の枝が、柔らかく靡く。風に誘われ、風のままに、早緑の枝をなびかせる。朝の風が少し寂しくさせる。(高橋正子)

★山茱萸の咲いて垣根の朝かな/桑本栄太郎
山茱萸が真っ黄色に咲く垣根。朝日があたって、早春の朝がきらめいている。そんな景色と空気感がいい。(高橋正子)

2月27日(2句)

★こぼこぼと暗渠流るる春の水/桑本栄太郎
暗渠から、水がこぼこぼと流れる音が聞こえてくる。その音を聞き、流れを想像する。水が急ぎ踊っているような「こぼこぼ」という音。その音こそ春の水音だ。(高橋正子)

★春の水脈エンジン音にやや遅れ/古田敬二
遊覧船やフェリーの船尾に立って、航跡がうまれるのを見るのは、切もなくて面白い。気をつければ、船のエンジンに少し遅れて、水脈が生れる。そこに気づいた。(高橋正子)

2月26日(2句)

<熊本城>
★春空へクレーン立ちおり天守閣/多田有花
熊本城は、先の地震で、石垣が崩れ無残な姿になったが、ただいまも修復中。春空に聳える熊本城と、クレーンの珍しい取り合わせとなった。(高橋正子)

<大原野山裾の村>
★菜の花の山里照らす明かりかな/桑本栄太郎
大原野の里は、今も大原女の姿が見えそうな感じだ。菜の花が、時が巻き戻されたように、山里を明るくてらしている。(高橋正子)

2月25日(2句)

★採りためて三和土に並ぶ蕨かな/小口泰與
山行きのついでに、その度、少し採ってきた蕨。早蕨は、特にうれしいものだが、食べるほどではなく、冷たい三和土に並べてある。三和土の冷たさ、蕨の冷たさが重なってリアルだ。(高橋正子)

★白梅の伸び行く枝に白き雲/廣田洋一
白梅の枝が伸びて、白い雲に近づくように思え、梅の白と雲の白が重なって、やわらかな早春の景色となっている。(高橋正子)

2月24日(3句)

★したたかに雪代山女遡上せり/小口泰與
「雪代山女」は、春の雪解けの頃の山女。雪解け水に白く濁る川を遡上する山女は、夏の渓流釣りで楽しむ山女とは違って、「したたかさ」を感じる。釣り人にとって、冷たい川では餌の食いつきが悪く釣れにくいというより、山女がしたたかなのだと思う。(高橋正子)

★春光のどどっと過ぎ行く新幹線/桑本栄太郎
春光をまとい高架を走り過ぎる新幹線は、春光そのものになって、どどっと過ぎて行くのだ。このスピード感ある美は、未来的な美を感じさせてくれる。(高橋正子)

★ベランダがまねく光を蜜蜂を/川名ますみ
春、高層階のベランダは、光でいっぱいになる。蜜蜂までもやってくる。「ベランダが光と蜜蜂をまねく」
は詩的な詠みだ。(高橋正子)

2月23日(1句)

★春の服柔らかき風呼びこめり/廣田洋一
春服をまとったとたん、服が「柔らかき゚風」を呼び込んだ。軽い柔らかな素材でできた春の服は、その柔らかさゆえに、「柔らかき゚風」を服の中に呼び込んだ。「呼びこめり」が上手い。(高橋正子)

2月22日(2句)

★こぼこぼと溝の流れや春の水/桑本栄太郎
身近を流れる溝川の流れがこぼこぼと音を立てている。春の水とは、こんなにも豊かに音を立てるのだ。(高橋正子)

★芽吹き待つふるさとの山の丸きかな/古田敬二
芽吹く前の山は丸い。「ふるさとの山が丸い」は、感傷ではなく、事実やさしく丸いのだ。芽吹いた山の淡い色合いが今から待たれるのだ。(高橋正子)

2月21日(2句)

★片減りの鍬もて八十路の春耕す/古田敬二
鉄でできている鍬も長年使われれば、使う人の癖などもあって、片減りする。相棒のような、自分の歴史のような愛着の鍬での春耕のたのしみは、健康の褒美でもあろう。(高橋正子)

 二上山登山
★春の森抜ければ峠の空に出る/多田有花
「森を抜けて」出たところが「空」であった。ここが素晴らしい。360度の春空の眺めだ。 (高橋正子) 

2月21日~28日


2月28日(4名)

多田有花
道草をしつつ帰りぬ春うらら★★★
梅が香や今日は薄日のさす日和★★★
春の山レスキュー隊が訓練す★★★★

小口泰與
残照の湖の奴雁や柳の芽★★★
芽柳の風に和したる朝かな★★★★
ほつほつと山茱萸咲くや粉糠雨★★★

廣田洋一
立ち上がるさまに咲きたる臥龍梅★★★★
支柱なくも花枝伸ばす臥龍梅★★★
堰落ちる水に光りて臥龍梅★★★

桑本栄太郎
さざ波の日差しきらめく二月尽★★★
山茱萸の咲いて垣根の朝かな★★★★
吹き抜ける風の水面や蘆の角★★★★

2月27日(5名)

多田有花
新幹線春陽のなかへ滑り出る★★★
二月早や市電の走る街に来し★★★★
早春の大樹を包む光かな★★★

小口泰與
春眠やかの日の事の鮮やかに★★★★
一頭も居らぬ牛舎や蝿生まる★★★
山茱萸のふふむ朝や雨の雲★★★

廣田洋一
小魚の動き軽快水温む★★★
用水路水底濁り水温む★★★★
ちらほらと釣り人見えて水温む★★★

桑本栄太郎
こぼこぼと暗渠流るる春の水★★★★
まんさくの一木黄なる明かりかな★★★★
嶺上の群青宙や春の宵★★★

古田敬二
春の水脈エンジン音にやや遅れ★★★★
春の水脈デッキに立ちて眺めけり★★★★
指先はやや冷え春の水脈に立つ★★★

2月26日(4名)

多田有花
<熊本城三句>
回復は未だ浅春熊本城★★★
再建を待つ石垣にさす春陽★★★
春空へクレーン立ちおり天守閣★★★★

小口泰與
風つかみゴム風船の天心へ★★★★
揚ひばり鍬の手やすむ老夫婦★★★
マヌカンを飲み込み揺るるシャボン玉★★★

廣田洋一
青き空鳶の一声山笑ふ(原句)
青空の鳶の一声山笑ふ★★★(正子添削)

天園を駆け抜ける朝山笑ふ★★★
湧き出でし水のせせらぎ山笑ふ★★★★

桑本栄太郎
<大原野山裾の村>
菜の花の山里照らす明かりかな★★★★
どの家も斉藤姓や春日さす★★★
白梅や不許葷酒入山門★★★

2月25日(5名)

小口泰與
はるかまで長き裾野や畑返す(原句)
はるかまで長き裾野や春耕す★★★★(正子添削)

春風や湖に影置くルアー釣★★★
採りためて三和土に並ぶ蕨かな★★★★

廣田洋一
湧き出でし水のせせらぎ梅日和★★★★

白き梅伸び行く先に白き雲(原句)
白梅の伸び行く枝に白き雲★★★★(正子添削)
名を背負ひ咲きたる梅の誇らしげ★★★

多田有花
フルーツをたっぷり春のパンケーキ★★★
木漏れ日のなかに聞きたる初音かな★★★★
陽の下に弁当広げ梅見客★★★

桑本栄太郎
春日さす方へ向き居り桜の芽★★★★
のどけしや煙たなびく里の山★★★
菜園の賑わいて居り春暑し★★★

2月24日(5名)

廣田洋一
マンションをふはり包めり春霞★★★★
たらの芽や微かに放つ福島の香★★★
黒文字や待てども鳴かず鶯餅(原句)
これは川柳です。
黒文字や今も鳴くかに鶯餅★★★(正子添削)

小口泰與
錦絵の浮かぶ酒盃や春の鳥★★★
したたかに雪代山女遡上せり★★★★
春灯や学生街のカレー店★★★

桑本栄太郎
生駒嶺のうねりはるかや春霞★★★
ふところに鉄塔抱き山笑ふ★★★
春光のどどっと過ぎ行く新幹線★★★★

多田有花
望遠レンズ構え夫婦で梅を撮る★★★
梅林に立ち寄ることを日課とす★★★
内裏雛窓辺に飾る喫茶店★★★★

川名ますみ
ドアノブにスープ掛けられ今朝立春★★★
梅苑に遅れて大樹咲き初むる★★★
ベランダがまねく光を蜜蜂を★★★★

2月23日(4名)

廣田洋一
外出日心はずませ春コート★★★
春の服柔らかき風呼びこめり★★★★
春服の足も軽やか独り旅★★★

小口泰與
雪間より光り弾くや蕗の薹★★★★
川魚の腹の蕗味噌焼きにけり★★★★
ぐい飲みを選るひと時や木の芽味噌★★★

桑本栄太郎
池二つまわる散歩や春の風★★★★
土手道を風と歩むや蓬萌ゆ★★★
木蓮の芽のかくかくと春日かな★★★

多田有花
<二上山登山>
春の山下りて出会いし絵馬の龍★★★

紅白が重なり咲きぬ梅の園★★★★
青空から枝垂れて淡き梅の色★★★

2月22日(5名)

多田有花
<二上山登山三句>
日時計を囲んで座り春めきぬ★★★

春陽背に歩く雌岳から雄岳へと(原句)
雌岳から雄岳へ歩く春陽背に★★★★(正子添削)

春きざす大津皇子の墓所かな★★★

廣田洋一
春の川水嵩増して雲白し★★★
春の川上る小魚群れをなす★★★
川底の石にはしゃぎて春の川★★★★

小口泰與
雪代や遡上叶わぬてんから師★★★
春の田の一羽鴉の鋭声かな★★★
春光の急端刻む流れかな★★★

桑本栄太郎
梅が香や岩の苔むす正法寺★★★
まんさくの搾り出すかに川辺かな★★★
こぼこぼと溝の流れや春の水★★★★

古田敬二
芽吹き待つふるさとの山の丸きかな★★★★
頭上行く鳥影のあり春耕す★★★★
大木によればごうごう木の芽風★★★

2月21日(5名)

古田敬二 
春寒し飛騨川崖から吹きあぐる★★★
飛騨川の水量やや増し寒あける★★★
片減りの鍬もて八十路の春耕す★★★★

多田有花 
<二上山登山三句>
春の鴨見つつ古墳へ登りけり★★★
早春の山路の彼方金剛山★★★
春の森抜ければ峠の空に出る★★★★

廣田洋一 
暖かし日のさんさんと砂浜に★★★
門出でて頬撫でる風暖かし★★★
竹林に子らの声聞く暖かし★★★★

小口泰與
翔つ鳥の梢(うれ)ふるわすや春の沼★★★
砂利石の小躍りに行く春の川★★★★
鳶舞うて風の吹きぬく春田かな★★★

桑本栄太郎
春風と親しみ歩む田道かな★★★
菜の花や脇目もふらず農の人★★★★
春日さすくいくい天へ桜の芽★★★

自由な投句箱/2月11日~20日


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今日の秀句/2月11日~20日


※2月1日から10日までのコメントをいたしました。ご確認ください。(2月21日)
2月20日(1句)

★春の水棚田清らにして奔る/小口泰與
春の水の「やわらかさ」、雪を解かした水の「清らかさ」、奔るによって表わされる「勢い」がそろって、山国の春の水となっている。「棚田清らに」が燃える季節のすがすがしさがある。(高橋正子)

2月19日(2句)

★芽柳の更に色濃き枝垂れかな/桑本栄太郎
日々柳の芽も膨らんでいる。二三日見なかった日があったのか、「更に色濃き」と思う日があって、着実に芽吹きが進んでいることを知った驚き。(高橋正子)

★飛騨川の流れ白しや雪解水/古田敬二
もとの句は、「白き流れや」となっていたが、「白き流れ」は、雪解け水のせいであることをはっきりさせ、「流れ白しや」とした。雪解け水の激しく流れる様子が想像できると思う。(高橋正子)

2月18日(1句)

★山の音川の音消す牡丹雪/小口泰與
雪は物音を包んで降る。山の音、川の音がいつもなら耳に聞こえるのに、牡丹雪がちらちら降って山の音川の音がやわらかく消されている。牡丹雪の降るやわらかな景色が見える。(高橋正子)

2月17日(3句)

★勝手口出でては摘みし蕗の薹/廣田洋一
勝手口のような日陰の湿り気のある所にも蕗の薹が出る。勝手口を出て、一、二個摘んで汁の実などにする。「出でては」の「は」は、出てはその度に摘むということなので、嬉しさも読み取れる。(高橋正子)

★雀らの塒の一樹や日の永き/小口泰與
日が永くなり、昼間はうららかさ感じるようになった。雀らが一本の樹を塒に夕方には戻ってくる。まるで我が子が家にもどってくるような安堵感がある。(高橋正子)

★こし餡の當麻の里の蓬餅/多田有花
奈良の當麻の里の蓬はやわらかく生えそろっていそうだ。その蓬を摘んで蓬餅に。こし餡を包むと、おいしそうだ。「當麻の里」と「こし餡」の取り合わせがいい。(高橋正子)

2月16日(1句)

★丘上の嵐に堪えて梅満開/桑本栄太郎
丘の上は風も、時には嵐となって吹くが、その嵐に耐え、梅が満開で、清らかな香りを漂わせている。「梅満開」がうれしい。(高橋正子)

2月15日(2句)

★岩の蔭早緑光る蕗の薹/廣田洋一
岩の蔭に早緑のものを見つけた。きらっと光る早緑色に、蕗の薹と知る。蕗の薹を見つけた嬉しさ。春を見つけた嬉しさだ。(高橋正子)

★また来れば遅速揃いぬ丘の梅/桑本栄太郎
梅の花の開花は、咲き始めこそ日向日陰で遅速があるものの、時期が来たならば、どの梅も一斉に花を咲かせている。幾度も来て、梅を愛すればこその発見だで、それを表現できるのが俳句の良さと言える。(高橋正子)

2月14日(3句)

★土筆野へランドセル置き家遠し小口泰與
家はまだまだ遠いのに、土筆を見つけ、ランドセルを野に置いて土筆取りに夢中になっている小学生。低学年であろう。温かく見守っている作者。(高橋正子)

★オフロードバイクと出会う春山路/多田有花
春の山路でオフロードバイクと出会ったことによって、読み手にも春の山路の息吹が感じられる。元気をもらえる句だ。(高橋正子)

★茎立や上京の日の近づきぬ/桑本栄太郎
茎立ころを思えば、故郷を離れ、就職のための上京する日が近づいているのだろうと思う。今の身で思えば、茎立の季節がくれば、上京する日を思い出す、ということでもあろう。じみじみとする句だ。(高橋正子)

2月13日(2句)

★まだ咲かぬさみどりいろの梅林/古田敬二
白梅の梅林がまだ咲かないうちは、たしかに、梅林全体がさみどり色である。さみどり色が流されているような淡さがあり、寒さも枝にまつわっている。微妙なところがよく捉えられている。(高橋正子)

★紅梅や榛名山(はるな)へ迫る雨の雲/小口泰與
「紅梅」と「雨の雲」の取り合わせがいい。紅梅は真っ青な晴れた空もいいが、雨の雲もいい。花がふっくらと見える。(高橋正子)

2月12日(3句)

★毛の国の雪解しずくは牧からも/小口泰與
毛の国、冬の厳しさから解放される季節が来た。雪解しずくは牧場からも始まる。「牧からも」に、厳しい冬を越えて到来する春の明るさが思われる。(高橋正子)

★白梅や蕊の奥より光る紅/廣田洋一
白梅をよく観察すれば、蕊の奥が紅色がかっている。白梅の五つの花弁を引き絞るように紅が芯にある。それが力強く、光っているのだ。梅の花の生命力。(高橋正子)

★早春の水音確かに流れ継ぐ/古田敬二
早春の水音。雪解け水かもしれない。にじみ出た山清水からも知れない。ころころと音を立てて、とぎれることなく、「流れ継ぐ」。「流れ継ぐ」が上手い。早春の水の本質をよくとらえている。(高橋正子)

2月11日(1句)

★紅梅を見上げ静かに歩みけ/多田有花
白梅に比べ、紅梅にはふっくらとした華やかさがある。紅梅を見上げれば、自然歩みも静かにおっとりしてくる。いかにも女性の句である。(高橋正子)

2月11日~20日


2月20日(3名)

小口泰與
浅間燃え襞の雪解を急かせけり★★★
白鳥の引きゆく沼の黙に暮★★★
春の水棚田清らにして奔る★★★★

多田有花
雨水の雨広く山野を潤しぬ★★★
春満月雨の彼方に隠れたり★★★
<二上山登山>
傘堂や向かいし春のニ上山★★★★

桑本栄太郎
春風のなどて波風池の面に★★★
カラコロと竹林鳴りぬ春の風★★★
乙訓は風の丘なり犬ふぐり★★★★

2月19日(5名)

小口泰與
霞たる両毛線の尾灯かな★★★
春の山南面襞を少し見せ★★★
握り飯みごと完食山笑う★★★★

多田有花
<かにカニ日帰りエクスプレス>
残雪の峰見つつ越ゆ分水界★★★★
春うらら但馬の海辺へ蟹食べに★★★
麗らかな波打ち寄せる日本海★★★

廣田洋一
雨水とて雨の降り出す昼餉時★★★★
昼過ぎて雛を出したる雨水かな★★★
雨水かな空地の土の黒々と★★★★

桑本栄太郎
芽柳の更に色濃き枝垂れかな★★★★
うつすらと淡き田面や春の雨★★★
下萌の地道を歩めばうすみどり★★★

古田敬二
大蛇行して飛騨川の雪解水★★★

飛騨川の白き流れや雪解水(原句)
飛騨川の流れ白しや雪解水★★★★(正子添削)

片減りの鍬もて独り春耕す★★★★

2月18日(4名)

小口泰與
山の音川の音消す牡丹雪★★★★
淡雪や湖に際立つ榛名富士★★★
榛名湖の面へ打つ春の霰かな(原句)
榛名湖の面(おも)打つ春の霰かな★★★★(正子添削)

廣田洋一
木の幹を捩り合わせし盆梅かな★★★
思ひのまま紅白に咲く盆梅かな★★★★
盆梅の一輪咲きし花屋の前★★★

桑本栄太郎
ポスターの”鴨川踊り”や春めきぬ★★★★
まんさくの搾りだすかに咲き初むる★★★
ほつほつと芽ぐむ小枝や雪やなぎ★★★

多田有花
柿の葉寿司の暖簾揺らす春風(原句)
柿の葉寿司の暖簾を揺らし春の風★★★★(正子添削)
元の句のリズムを整えました。

<當麻寺二句>
春早し最古の梵鐘見上げおり★★★
春浅し三重塔並び立つ★★★

2月17日(4名)

廣田洋一
春の風邪やっぱり作る卵酒★★★
勝手口出でては摘みし蕗の薹★★★★
福島の土を離れし蕗の薹★★★

小口泰與
雀らの塒の一樹や日の永き★★★★
囀りや湖一望の展望台★★★
春雨や人影ふたつ観覧車★★★

多田有花
白梅が路地の向こうに咲いている★★★
こし餡の當麻の里の蓬餅★★★★
大甕に菜の花たっぷり生けられて★★★★

桑本栄太郎
色めきて見ゆる日差しや桜芽木★★★
料峭のドア開きたる停車かな★★★★
春しぐれ降りてパン屋の匂い立つ★★★

2月16日(3名)

多田有花
新しきマンション出現する二月★★★
春寒の六甲淡路播磨灘★★★
春寒料峭小豆島高し★★★

小口泰與
二階家の烈風耐うや凍返る★★★
風つかみ二十五畳の大凧ぞ★★★
夕雉の鋭声や風の山の沼★★★★

桑本栄太郎
丘上の嵐に堪えて梅満開★★★★
写メールの添付に撮りぬ丘の梅★★★
浅春の地道散策大原野★★★

2月15日(4名)

多田有花
山路ゆく余寒の風の吹く中を★★★
梅が枝や陽の差す方へ伸ばされて★★★
料峭の頂に立ち沖を見る★★★★

小口泰與
春塵の榛名山(はるな)すっぽり包みけり★★★
夕暮の鳶のあらがう春疾風★★★★
旧姓で呼ぶ友の居り春の風★★★

廣田洋一
岩の蔭早緑光る蕗の薹★★★★
蕗の薹苦きが良しと春の味★★★
故郷の思ひ出放つ蕗の薹★★★

桑本栄太郎
しべ見せて紅の乱れや椿落つ★★★
一句浮かぶまで見つめたる梅見かな★★★
また来れば遅速揃いぬ丘の梅★★★★

2月14日(4名)

小口泰與
土筆野へランドセル置き家遠し★★★★
傘寿とて春風に乗る髪膚かな★★★
風光る祖父母の贈る晴着かな★★★

多田有花
オフロードバイクと出会う春山路★★★★
雲速く余寒の沖の光りけり★★★
梅開く彼方に出でし昼の月★★★

廣田洋一
男性は花束贈るバレンタインの日★★★
チョコ土産待ちたる子らのバレンタインデー★★★
ハートチョコ作りたる跡バレンタインの朝★★★

桑本栄太郎
通り過ぐ買物帰りや夜の梅★★★
奔放に畑を占めたる野梅かな★★★
茎立や上京の日の近づきぬ★★★★

2月13日(5名)

多田有花
春寒の竹垣に添う水仙花★★★★
冴返る届かぬところへ球をつ★★★
早春の入日幾分北へ寄り★★★

古田敬二
まだ咲かぬさみどりいろの梅林★★★★
飛騨川の白き流れや雪解水★★★
大蛇行して飛騨川の雪解水★★★★

小口泰與
紅梅や榛名山(はるな)へ迫る雨の雲★★★★
雀の子からだ振るわせ寄りそうる★★★
仏壇の位牌金文字春の闇★★★

廣田洋一
春浅き川べりの風水の音★★★★
ビル谷間素手を打つ風春浅し★★★
時折の風に襟立て春浅し★★★★

桑本栄太郎
春泥を避けつつ歩む丘公園★★★★
ほつほつと咲き初めいたる雪柳★★★
春雪のしずり音あり午後の夢★★★

2月12日(5名)

小口泰與
蕗の薹テンカラ釣師放尿す★★★
白梅やぐい飲み満たす手酌酒★★★
毛の国の雪解しずくは牧からも★★★★

多田有花
パソコンで過ぎる休日春の雪★★★
春の雪夕餉は鍋と決めました★★★
雪なりき平成最後の建国日★★★★

廣田洋一
学バスに行列作る入試かな★★★
白梅や蕊の奥より光る紅★★★★
白梅の枝先触れる紅き梅★★★

桑本栄太郎
<京都の朝よりの牡丹雪>
想い出の遠く近くに春の雪★★★
非は吾に在りとせし日や春の雪★★★
春雪の車行き交うライトかな★★★★「

古田敬二
ごうごうと梢を揺らす木の芽風★★★
早春の水音確かに流れ継ぐ★★★★
春寒し飛騨川崖から吹き上げる★★★

2月11日(4名)

多田有花
紅梅を見上げ静かに歩みけり★★★★
目覚めれば春雪降り続く朝★★★
塵芥しばし覆われ春の雪★★★

小口泰與
風光る雲を越えぬく麒麟とよ★★★
朧なるおれおれ詐欺の電話かな★★★
鍋割山(なべわり)へ声ふるわせて揚雲雀★★★★

廣田洋一
災害の平成を経る建国の日★★★
雪溶けて災ひ流す建国日★★★
建国日新駅工事着々と★★★★

桑本栄太郎
傷つきし山河癒せり春の雪★★★
へんぽんと見よ建国の日章旗★★★
写メールの添付に撮りぬ梅一輪★★★★

自由な投句箱/2月1日~10日


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今日の秀句/2月1日~10日


2月10日(3句)

★黄梅を活ける立居の和室かな/小口泰與
黄梅を活けてある和室。そこに日常を立ったり、座ったりして過ごす。穏やかで、きちんとした生活が見える。(高橋正子)

★赤き実の数多光りて冴返る/多田有花
春が来るかと思えば、まだまだ。冴え返る日がある。南天や、もちの実の赤さが目に染む。光が強くなった証拠だ。(高橋正子)

★駅を出で大橋行くや春の雪/桑本栄太郎
駅を出て四条大橋を行く。そこは春の雪が降り、絵画のような世界がある。(高橋正子)

2月9日(1句)

★紅梅の蕾ふくらみ上京す/桑本栄太郎
庭の紅梅を日々見ていて、蕾がいよいよふくらんできた。その日は、故郷を離れて上京する日だ。(高橋正子)

2月8日(2句)

★梅が香のすでに満ちたり陽の中に/多田有花
「すでに満ちたり陽の中に」で馥郁と香る梅の香りに酔いそうだ。(高橋正子)

★ふかふかの芝生に絡み蓬萌ゆ/桑本栄太郎
ふかふかの芝生に混じって萌える蓬。「絡む」ように萌えてきたのだ。身近なところに萌える蓬に春がきたい嬉しさが読める。(高橋正子)

2月7日(2句)

★釣り上げし公魚の腹薄桜/廣田洋一
釣り上げた公魚は、きらきらと輝いて、腹は、薄桜色。いかにも淡水魚の公魚に相応しい色だ。「薄桜色」と見たのがすばらしい。(高橋正子)

★窓磨く朝に小さき梅一輪/川名ますみ
少し暖かくなったから窓を磨きたくなったのだろう。窓を磨く朝。小さな一輪の梅が、咲いているのに気付いた。嬉しくなる梅の開花だ。(高橋正子)

2月6日(3句)

★あけぼのの長き裾野や冴返る/小口泰與
おそらく赤城山の裾野であろう。赤城山は富士山に次いで裾野が長いと聞いている。曙光に見え始めた長い長い裾野からくる冴え返る空気。晴は遠からじ。(高橋正子)

★青き湖挿されしえりの林立す/廣田洋一
琵琶湖の伝統的な漁法のえり漁。幾何学的な、古代の遺跡のような図形に見える。「青き湖」がその印象を強めている。(高橋正子)

★梅が香の窓より来たる礼拝中/桑本栄太郎
礼拝中に、ふと窓から匂う梅の香り。きよらかな思いが深まる。(高橋正子)

2月5日(2句)

★点々と薄氷光る日の出かな/廣田洋一
早朝、外に出ると、地の小さい窪みに張った薄氷がきらっと光る。点々とある窪みを光らせて日が昇ったのだ。大地の緊張感が感じられる。(高橋正子)

★上り来て空の青さや梅香る/桑本栄太郎 
空の青さを本当に実感するときは、どんなときか。丘を上って来て、良い香りに梅の花が咲いているの二である。見上げる空は真っ青。梅の白さ、梅の香りによって空がすっきりとした青空になった。(高橋正子)

2月4日(1句)

★榛名湖へ道真直ぐや春来る/小口泰與
榛名湖へ道が真直ぐなのが、「確かに」春が来ていることを思わせてくれる。(高橋正子)

2月3日(1句)

★冬の梅空の高きに風の音/多田有花
まだ冬ながら梅が一輪二輪と花をつけている。耳をそばだてれば高いところでは、風の吹く音がしている。梅が咲きながらもまだまだ冬の中にいるのだ。(高橋正子)

2月2日(2句)

★鳥影の窓に映るや春近し/小口泰與
日差しが春めいてくると、窓も明るくなり、つい目が窓に向く。窓に鳥の影が映る。長閑な春の日がそこまできている。(高橋正子)

★子を送り冬の星座を見上げけり/古田敬二
夜、子を見送って、家にそそくさと入らず、しばし星空を見上げる。凍てついた冬の星座の輝きに子を送り出したあとの親の気持ちが伝わる。(高橋正子)

2月1日(1句)

★松山の遥か暮れゆく寒明忌/桑本栄太郎
寒明忌は、虚子と並び、子規門下の双璧と言われた革新俳句の河東碧梧桐の忌日で、2月1日。忌日は必ずしも多くの俳人に共有されていると、私は思わないが、「松山の遥か暮れゆく」で、松山と関係ある俳人だろうと推測できる。寒明の近いほのと暮れゆく空を見れば、遥か松山の碧梧桐のことが偲ばれる。(高橋正子)