今日の秀句/7月11日~20日


7月20日(2句)

★海風に幟はためく氷水/廣田洋一
「氷」の幟を立てて、氷水を案内しているが、その幟が海風にはためいている。その光景は夏そのもの。(高橋正子)

★大仏もともに濡れつつ梅の雨/多田有花
鎌倉の大仏は、露座仏。梅雨が降れば、梅雨に濡れる。大仏を拝する私も濡れるが、大仏も濡れておられる。「ともに濡れつつ」と仏の心をふと思った。(高橋正子)

7月19日(1句)

★短夜のバルト海行く船の旅/廣田洋一
北欧のバルト海は地中海で、その船旅を楽しまれた。船で行く旅はゆったりと沿岸の景色が楽しめる。短夜が効いて、つい、白夜を思ってしまった。(高橋正子)

7月18日(3句)

★青葉木寃山にちりばむ星の数/小口泰與
青葉木寃が鳴く山、そのうえには星がちりばめられている。豊かな思いになる夜である。(高橋正子)

<鎌倉・建長寺>
★山百合を映して池あり建長寺/多田有花
山百合は山などに自生して、自生とは思えぬほどの大きな花を数花つけ、倒れそうな姿である。それがそのまま池に映り、静かさをたたえている。禅寺の池となれば、趣も格別だ。(高橋正子)

★祇園会の明けて朝より雨となる/桑本栄太郎
祇園会が明けて、安堵の雨であろうか。静かに京を濡らしている。(高橋正子)

7月17日(1句)

鎌倉・建長寺
★蓮開く細かな雨を宿しつつ/多田有花
蓮が開くのは、梅雨のころから。雨の蓮、晴れた朝の蓮。それぞれに赴きがあるが、建長寺の蓮は細かな雨を宿して開いていた。禅寺の静かさとも言えようか。(高橋正子)

7月16日(1句)

 鎌倉・建長寺
★地蔵座す仏堂包み梅の雨/多田有花
梅雨の長雨にすっぽりと包まれた法堂。幾年の歳月の静かさを思う。(高橋正子)

7月15日(1句)

★雲の峰どのレジ台を選びても/小口泰與
スーパーのレジに並ぶ。どのレジ台を選んでも、そこからは雲の峰が見える。ひろびろとした地方の町の眺めのいいスーパー。日常のここにも詩心を湧かせる景色がある。(高椅正子)

7月14日(1句)

★夏燕ついと虚空に飛び出しぬ/多田有花
夏燕はどこから現れたかと思うほど、ついと空に飛び出してくる。夏空の深さを思う時だ。春の巣作りのころ、梅雨のころと燕はそれぞれの季節、自分の仕事に合わせたような飛び方をするが、夏燕は、飛び方がなんと面白い。(高橋正子)

7月13日(1句)

★嬬恋の山家の一夜寝茣蓙かな/小口泰與
冷房のないころ、夏の寝苦しさを避けるため、寝茣蓙を使った。イ草のふんぷんとした香りに匂いからも涼しさを感じたものだ。嬬恋の山家では、冷房を入れるほどでもないのだろう。寝茣蓙を敷いて寝た一夜が昔懐かしさを呼ぶ。(高橋正子)

7月12日(2句)

★時鳥山家の夕餉早早と/小口泰與
山家に泊まる。はやばやと夕餉をとれば、時鳥が鳴く。たっぷりと時間がある山家の夕ベ。(高橋正子)

<京都四条通り>
★曳初めの長刀鉾に出会いけり/桑本栄太郎
祇園祭の始まり。偶然にも曳き初めの長刀鉾に出会った。祇園祭の高揚感がここに始まり湧いたとき。(高橋正子)

7月11日(2句)

<沖縄平和祈念公園>
★慰霊の日の日の出に向けて歩きけり/多田有花
沖縄慰霊の日は6月23日。8月6日の広島原爆忌、8月9日の長崎原爆忌と合わせて、記憶すべき日とされるようになった。日の出に向けて歩くは、意味があるということだが、純真に命を捧げた人たちを思う。(高橋正子)

★旅人をもてなす宿の岩清水/廣田洋一
旅の渇きをいやしてくれるのは、冷たくおいしい水。岩からしみ出る清水は何よりうれしいもの。(高橋正子)

7月11日~20日


7月20日(4名)

小口泰與
夏嵐白波立つる雨後の河★★★
雨粒の重みに耐ふるねぢれ花★★★
二階より浴衣羽織りて下りて来し★★★

廣田洋一
久々に青空見えてかき氷★★★
海風に幟はためく氷水★★★★
「氷」の幟を立てて、氷水を案内しているが、その幟が海風にはためいている。その光景は夏そのもの。(高橋正子)

向き合ひて二人で崩すかき氷★★★

多田有花
<鎌倉御代川>
それぞれがテーブルにつく夏座敷★★★
<鎌倉大仏二句>
大仏もともに濡れつつ梅の雨★★★★
鎌倉の大仏は、露座仏。梅雨が降れば、梅雨に濡れる。大仏を拝する私も濡れるが、大仏も濡れておられる。「ともに濡れつつ」と仏の心をふと思った。(高橋正子)

夏木立の中に立ちおり晶子歌碑★★★

桑本栄太郎
茅舎忌の失念したり三日のち★★★
梅雨空に”最後の願い”選挙カー★★★
待合いの冷房過ぎて身を竦め★★★

7月19日(4名)

小口泰與
コップ酒ちびちび飲むや立葵★★★
夕顔やネイル広告抽斗へ★★★
早々に赤提灯や立葵★★★

廣田洋一
短夜のバルト海行く船の旅★★★★
北欧のバルト海は地中海で、その船旅を楽しまれた。船で行く旅はゆったりと沿岸の景色が楽しめる。短夜が効いて、つい、白夜を思ってしまった。(高橋正子)

短夜や朝一番の露店湯に★★★
短夜やまたも起きたるこむら返り★★★

桑本栄太郎
夏風邪の咳の頻りに目覚めけり★★★
梅雨冷のバスの車内に身を竦め★★★
梅雨空の境目無しに暮れゆけり★★★

多田有花
<鎌倉・鶴岡八幡宮三句>
さみだれを宿し富士山ナン★★★バープレート★★★
五月雨傘八幡宮の石段を
さみだれや静御前の舞いし跡★★★★

7月18日(4名)

小口泰與
青葉木寃山にちりばむ星の数★★★★
青葉木寃が鳴く山、そのうえには星がちりばめられている。豊かな思いになる夜である。(高橋正子)

滴りや時を隔てし岩の容★★★
傘寿にて高みを目指し夕端居★★★

多田有花
<鎌倉・建長寺三句>
山百合を映す池あり建長寺(原句)
山百合を映して池あり建長寺★★★★(正子添削)
山百合は山などに自生して、自生とは思えぬほどの大きな花を数花つけ、倒れそうな姿である。それがそのまま池に映り、静かさをたたえている。禅寺の池となれば、趣も格別だ。(高橋正子)

禅寺やことに艶やか百合の花★★★
緑濃き嵩山門を通る道★★★★

廣田洋一
電車の中香水の香にむせびけり★★★
香水や誘ひ心を忍ばせて★★★
香水の薔薇の香りとすれ違ふ★★★★

桑本栄太郎
祇園会の明けて朝より雨となる★★★★
祇園会が明けて、安堵の雨であろうか。静かに京を濡らしている。(高橋正子)

降りつづき蛙鳴かざるひと日かな★★★
梅雨冷や夜ともなれば窓を閉む★★★

7月17日(4名)

小口泰與
野良猫も涼風求め居りにける★★★
炎天や球に飛びつく下級生★★★

夕立の棚田の畦を越ゆる波(原句)
夕立や棚田の畦を越ゆる波★★★★(正子添削)

多田有花
<鎌倉・建長寺三句>
梅天の彼方より五爪の龍★★★

蓮開く細かな雨を宿しつつ★★★★
蓮が開くのは、梅雨のころから。雨の蓮、晴れた朝の蓮。それぞれに赴きがあるが、建長寺の蓮は細かな雨を宿して開いていた。禅寺の静かさとも言えようか。(高橋正子)

雨に濡れ山百合匂う参道に★★★

廣田洋一
船旅やジャグジー浴びる水着かな★★★
ヴィーナスが二カ所隠せる水着かな★★★
一人だけ黄色の水着競泳レッスン★★★

桑本栄太郎
白き筋ありて嬉しや甜瓜★★★
目じるしのような高さや曼荼羅華★★★
万緑や松尾大社の赤鳥居★★★

7月16日(4名)

小口泰與
網戸より犬の覗くや夕間暮れ★★★
色違う目高の目玉同じ白★★★
山肌の濃淡ありし夏の山(原句)
山肌に濃淡ありぬ夏の山★★★★(正子添削)

廣田洋一
床下に二本寝てをり梅酒かな★★★
漬け置きて琥珀色なる梅酒かな★★★
健康に良しと言ひつつ梅酒汲む★★★

桑本栄太郎
昼寝子の遠く近くに選挙カー★★★
花びらのうつむき来たり額の花★★★
黒蟻の戸惑いあゆむ日差しかな★★★

多田有花
人工島次々渡る梅雨最中★★★
<鎌倉・建長寺二句>
茅葺の鐘楼静か青梅雨に★★★

地蔵座す仏堂包み梅の雨★★★★
梅雨の長雨にすっぽりと包まれた法堂。幾年の歳月の静かさを思う。(高橋正子)

7月15日(4名)

小口泰與
雲の峰どのレジ台を選びても★★★★
スーパーのレジに並ぶ。どのレジ台を選んでも、そこからは雲の峰が見える。ひろびろとした地方の町の眺めのいいスーパー。日常のここにも詩心を湧かせる景色がある。(高椅正子)

山小屋の飯盒飯の円座かな★★★
網戸より赤城の風の遊びける★★★

廣田洋一
シャワー浴びさっと一振りオーデコロン★★★
お土産の香水買ひしシャンゼリゼ★★★
海の日や雨にたたられ人気なし★★★

桑本栄太郎
早朝の蝉の時雨に目覚めけり★★★
山畑の支柱に縋る胡瓜かな★★★
妻の行く四条通りや宵々山★★★★

多田有花
梅雨の富士頂のみをのぞかせて★★★★
梅雨寒の東京ドームを見下ろせる★★★
東京の夜景さみだれに煙る★★★

7月14日(4名)

小口泰與
昼寝覚め忽と泣き出す園児かな★★★
混浴の露天へかすか河鹿かな★★★
船頭は中学生よ蛍狩★★★★

廣田洋一
風鈴や短冊変へて音新た★★★
縁側の風鈴鳴らす座敷風★★★★
窓開けて風鈴鳴るを待ちにけり★★★

桑本栄太郎
ぽつぽつと夢想い居り明け早し★★★
雨雲の峰駆け昇る梅雨晴間★★★★
雨雲の天王山の青嶺かな★★★

多田有花
夏燕ついと虚空に飛び出しぬ★★★★
夏燕はどこから現れたかと思うほど、ついと空に飛び出してくる。夏空の深さを思う時だ。春の巣作りのころ、梅雨のころと燕はそれぞれの季節、自分の仕事に合わせたような飛び方をするが、夏燕は、飛び方がなんと面白い。(高橋正子)

梅雨曇降られることなく山下りる★★★
錦鯉袋に入り売られおり★★★

7月13日(4名)

多田有花
<おきなわワールド三句>
緑陰をつくり咲きおり鳳凰木★★★★
三段花咲くや紅芋ソフト食ぶ★★★
石亀が見上げる青き夏の花★★★

廣田洋一
梅雨寒や草の葉の伸び止まりぬ★★★
梅雨寒や朝の長湯を楽しめり★★★★
梅雨冷や長袖シャツに着替えたる★★★

小口泰與
にこやかに妻の造りしどぜう鍋★★★
迫りくる赤城の襞や夏座敷★★★★

嬬恋の山家の一夜寝茣蓙かな★★★★
冷房のないころ、夏の寝苦しさを避けるため、寝茣蓙を使った。イ草のふんぷんとした香りに匂いからも涼しさを感じたものだ。嬬恋の山家では、冷房を入れるほどでもないのだろう。寝茣蓙を敷いて寝た一夜が昔懐かしさを呼ぶ。(高橋正子)

桑本栄太郎
梅雨空を見上げ散歩の思案かな★★★
花びらのうつむき裏に額の花★★★
昼寝子の目覚め想うは夢のこと★★★

7月12日(4名)

廣田洋一
日の盛り鳥の鳴き声絶えにけり★★★★
日盛や道路工事は一休み★★★
日盛に動き溌剌球児たち★★★

小口泰與
時鳥山家の夕餉早早と★★★★
山家に泊まる。はやばやと夕餉をとれば、時鳥が鳴く。たっぷりと時間がある山家の夕ベ。(高橋正子)

名にし負う浅間の里の洗鯉★★★
二十年納戸の奥の梅酒かな★★★

桑本栄太郎
晴れ渡る嶺の奥なり雲の峰★★★
見渡せばバスの席より青田波★★★
<京都四条通り>
曳初めの長刀鉾に出会いけり★★★★
祇園祭の始まり。偶然にも曳き初めの長刀鉾に出会った。祇園祭の高揚感がここに始まり湧いたとき。(高橋正子)

多田有花
<沖縄平和祈念公園>
あの夏も海はあくまで美しく★★★
<おきなわワールド二句>
エイサーの踊り手飛び散る玉の汗★★★★
三線を習う人あり夏座敷★★★

7月11日(4名)

(多田有花)
<沖縄平和祈念公園三句>
花束を供える沖縄忌近し★★★
名を刻む石の屏風が立つ夏野★★★

慰霊の日の日の出に向けて歩きけり★★★★
沖縄慰霊の日は6月23日。8月6日の広島原爆忌、8月9日の長崎原爆忌と合わせて、記憶すべき日とされるようになった。日の出に向けて歩くは、特に意味はないだろうが、純真に命を捧げた人たちを思う。(高橋正子)

小口泰與
冷酒や糖質好きの我が髪膚★★★
緑濃き水面や親子ラムネ抜く★★★★
油照裁判所より美魔女かな★★★

廣田洋一
旅人をもてなす宿の岩清水★★★★
旅の渇きをいやしてくれるのは、冷たくおいしい水。岩からしみ出る清水は何よりうれしいもの。(高橋正子)
富士よりの清水掬ひて山道へ★★★
岩場より湧き出る清水手に受けし★★★★

桑本栄太郎
荒梅雨やフロントガラスの玉飛沫★★★
梅雨雲の峰ふところに留まりぬ★★★★
恐ろしき青き灯点る誘蛾灯★★★

自由な投句箱/7月1日~10日


※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
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今日の秀句/7月1日~10日


7月10日(1句)

<沖縄平和祈念公園>
★梅雨晴や広々と海見えるところまで/多田有花
梅雨晴で、心がひろびろと広がる。海が見えるところまで、すっきりと晴れている。梅雨晴の開放感がいい。平和祈念公園ともなれば、思いははるかとなる。(高橋正子)

7月9日(1句)

★青柿の葉影に暗く太りけり/桑本栄太郎
青柿は葉隠れに実を付けて、葉の色に紛れている。実を付けたばかりは頑ななほど堅そうで、緑が暗い。「暗く太り」が発見。(高橋正子)

7月8日(3句)

★水平線に白雲並ぶ夏の朝/廣田洋一
水平線に何もない日もある。今朝は、白い雲が並んび、作者を呼んでいるような感じがする。すっきりとした夏の朝だ。(高橋正子)

★海晴れて夏の青さの戻りけり/多田有花
海が晴れると海の色が変わる。今日は夏の青さだ。記憶にある夏海の青が蘇った。(高橋正子)

★蛇行せる岸辺にひとつ青胡桃/小口泰與
蛇行をする川の岸辺。川上から運ばれてきたのだろう、青胡桃が引っかかっている。青胡桃は風で落ちたのか、落とされたのか、青胡桃の旅を想像する。(高橋正子)

7月7日(1句)

<ぱいかじ島唄ライブ>
★夏の夜は沖縄料理と島唄と/多田有花
沖縄を体験するのには、料理はもっともなのだが、それに島唄を聞くと、島民の心と気持ちが重なるような思いになるのではないだろうか。「島唄」が効いた。(高橋正子)

7月6日

該当句なし

7月5日(2句)

★柔らかき緑溢れるフィヨードル/廣田洋一
フィヨールドの夏は、緑が際立つ。「柔らかき緑」がやさしく夏を彩って旅を和ませてくれるようだ。(高橋正子)

 世界遺産・中城城跡
★夏空や残りし石垣の緻密/多田有花
残りった石垣に思いがある。緻密に積み上げられた石垣に人の歴史が刻まれている。(高橋正子)

7月4日(2句)

★オスロの空赤く光れる桜の実/廣田洋一
「オスロの空」と「桜の実」が北欧のメルヘンを想起させてくれるきれいな句だ。(高橋正子)

★石垣に座れば鳥来る夏の海/多田有花
石垣に座って海を見ていると、つぎつぎ、いろんな鳥がやって来る。見ていて楽しくなる。少年少女にかえれるような世界。(高橋正子)

7月3日(1句)

★雨蛙覚満淵を圧倒す/小口泰與
「覚満淵」は小尾瀬と呼ばれる湿原。雨蛙がその湿原を圧倒し、湧き上がるかのように鳴いている。湿原の夏を謳歌する雨蛙。覚満淵に支えられた句。(高橋正子)

7月2日(2句)

★陽の温み残るピーマン五つ取る/古田敬二
家庭菜園のピーマン。五つがちょうど取りごろ。それをもぐと陽の温みが残っている。夏の日差しに育ったピーマンだ。(高橋正子)

首里城
★海見える石垣に揺れハイビスカス/多田有花
海、石垣、ハイビスカスの取り合わせが夏らしく涼しそうだ。(高橋正子)

7月1日(1句)

★ででっぽと山鳩鳴きぬ梅雨晴間/桑本栄太郎
夏の朝、山鳩の声を聞くとあたりに涼しさが漂う。そんな印象が私にあるせいか、山鳩の声を聞くと夏が来たと思う。梅雨の晴間、のどかに涼しい。(高橋正子)

7月1日~10日


7月10日(4名)
小口泰與
ソーダ―水舟より降るる二人連★★★
兄弟は皆八十路なり雲の峰★★★★
梅雨寒の和紙にぽとりとインクかな★★★

多田有花
<沖縄平和祈念公園三句>
夏の海望みし平和祈念堂★★★
平和祈念公園夏の蝶が舞う★★★
梅雨晴や広々と海見えるところまで★★★★
梅雨晴で、心がひろびろと広がる。海が見えるところまで、すっきりと晴れている。梅雨晴の開放感がいい。平和祈念公園ともなれば、思いははるかとなる。(高橋正子)

廣田洋一
咲ききりて横になりたる百合の花★★★
役終えし百合の頭を切り落とす★★★
俳人か枯れし紫陽花見詰めをり★★★

桑本栄太郎
晴れ居ても又雨雲の梅雨晴間★★★
川べりの地道歩めばきりぎりす★★★★
梔子の甘き香風の夕闇に★★★

7月9日(4名)

小口泰與
雨蛙赤城全山支配せり★★★
冷汁や貨物列車の長き列★★★
冷麦や明治時代のガラス窓★★★

多田有花
太陽の下沖縄のアロハシャツ★★★
<ひめゆりの塔二句>
乙女らの慰霊碑に手向けハイビスカス★★★
夏の花彩るひめゆり資料館★★★

桑本栄太郎
花びらの下向く頃や額の花★★★
青柿の葉影に暗く太りけり★★★★
青柿は葉隠れに実を付けて、葉の色に紛れている。実を付けたばかりは頑ななほど堅そうで、緑が暗い。「暗く太り」が発見。(高橋正子)

校庭のフェンスに沿いぬ夾竹桃★★★

廣田洋一
飯笊の飯を掬ひてお茶漬けとせり★★★
猫飯や海外出張のご馳走なり★★★
お茶漬けや猫飯と言ふ人の有り★★★

7月8日(4名)

廣田洋一
はまなすや河口に近き道の端★★★
水平線に白雲並ぶ夏の朝★★★★
水平線に何もない日もある。今朝は、白い雲が並んび、作者を呼んでいるような感じがする。すっきりとした夏の朝だ。(高橋正子)

川縁の色とりどりに夏の花★★★

多田有花
<ホテルモントレ沖縄>
貝殻を皿に飾りし夏の朝★★★
海晴れて夏の青さの戻りけり★★★★
海が晴れると海の色が変わる。今日は夏の青さだ。記憶にある夏海の青が蘇った。(高橋正子)
リゾートの真白き教会夏の朝★★★★

小口泰與
蛇行せる岸辺にひとつ青胡桃★★★★
蛇行をする川の岸辺。川上から運ばれてきたのだろう、青胡桃が引っかかっている。青胡桃は風で落ちたのか、落とされたのか、青胡桃の旅を想像する。(高橋正子)

登校の列乱れしや蟻の列★★★
鳥声や農夫昼寝の畦十字★★★

桑本栄太郎
煙為すミストシャワーや商店街★★★★
しみじみと裸身横たえ梅雨の風呂★★★
湯上りの夜気心地良き梅雨の宵★★★

7月7日(3名)

多田有花
<ぱいかじ島唄ライブ>
紅芋もシークワーサーもある梅酒★★★
夏の夜は沖縄料理と島唄と★★★★
沖縄を体験するのには、料理はもっともなのだが、それに島唄を聞くと、島民の心と気持ちが重なるような思いになるのではないだろうか。「島唄」が効いた。(高橋正子)

<ホテルモントレ沖縄>
胡蝶蘭飾られ朝のテーブルに★★★

小口泰與
ハンカチを置き忘れたり無言館★★★
真白な和紙かぶせある夏料理★★★★
くちなしの待合室に佳人かな★★★

桑本栄太郎
初蝉のその一声が蝉しぐれ★★★★
心地良き風の窓辺や夕映えに★★★
梔子の甘き香風に日暮れけり★★★

7月6日(4名)

廣田洋一
夏花の屋根を覆へる農家かな★★★
水鏡街を映せる夏の海★★★★
古の王妃を囲む夏の花★★★

多田有花
<琉球村>
水牛やハイビスカス咲くサーターヤー★★★★
(サーターヤーは沖縄言葉で砂糖屋のこと)
<ぱいかじ島唄ライブ二句>
島唄やオリオンビールを飲みながら★★★
海ぶどうたっぷり盛られ夏料理★★★★

小口泰與
一円の噴井に踊る朝かな★★★
滝の前カメラすっぽり水飛沫★★★★
岩を打つ水の切っ先男滝★★★

桑本栄太郎
朝涼の夜気のこりたる未明かな★★★
との曇る空に陰なし溽暑来る★★★
昼寝子に近づき去りぬ選挙カー★★★

7月5日(4名)

廣田洋一
水しぶき真白にはねて滝落ちる★★★

滝を背に跳ね踊りたる「妖精」かな(原句)
妖精の跳ね踊るかな滝を背に★★★★(正子添削例①)
滝を背に青衣の妖精跳ね踊る(正子添削例②)

柔らかき緑溢れるフィヨードル★★★★
フィヨールドの夏は、緑が際立つ。「柔らかき緑」がやさしく夏を彩って旅を和ませてくれるようだ。(高橋正子)

多田有花
<世界遺産・中城城跡>
夏空や残りし石垣の緻密★★★★
残りった石垣に思いがある。緻密に積み上げられた石垣に人の歴史が刻まれている。(高橋正子)

<琉球村二句>
夏服が訪ねる琉球古民家を(原句)
夏服で訪ねる琉球古民家を★★★★(正子添削)
添削句も「で」が問題ですが、お考えいただければと思います。

琉球の踊りを見たり夏座敷★★★

小口泰與
たっぷりの田水に風の植田かな★★★
山裾の噴井に銭の光かな★★★★
鳥声や赤城のすそ野青田風★★★

桑本栄太郎
校庭の金網に沿う夾竹桃★★★

捩花の下草刈られ捩れけり(原句)
捩花の下草刈られ捩じれ立つ★★★★(正子添削)

葉柳の風に凭るる川辺かな(原句)
葉柳の茂りて風に凭るるよ★★★★(正子添削)

7月4日(4名)

廣田洋一
銅像も噴水浴びる花壇かな★★★★
オスロの空赤く光れる桜の実★★★★
「オスロの空」と「桜の実」が北欧のメルヘンを想起させてくれるきれいな句だ。(高橋正子)

フィヨルドの切り立つ崖や夏の川★★★

多田有花
<世界遺産・中城城跡三句>
梅雨曇いくつも石のアーチを潜る★★★
梅雨空を幾度も飛びぬ空軍機★★★★

鳥が来る夏の海見ゆ石垣に(原句)
石垣に座れば鳥来る夏の海★★★★(正子添削)
石垣に座って海を見ていると、つぎつぎ、いろんな鳥がやって来る。見ていて楽しくなる。少年少女にかえれるような世界。(高橋正子)

小口泰與
水槽に寄るや目高の目の光★★★
五月野や衣装ぬれたる二人連★★★
夏畑や動作せわしき人と鶏★★★★

桑本栄太郎
鳩鳴けば”ノアの箱舟”梅雨晴間★★★
蒼き灯の点る夜道や誘蛾燈★★★
どの子等も幼顔なり夜振の火★★★★

7月3日(4名)

小口泰與
雨蛙覚満淵を圧倒す★★★★
「覚満淵」は小尾瀬と呼ばれる湿原。雨蛙がその湿原を圧倒し、湧き上がるかのように鳴いている。湿原の夏を謳歌する雨蛙。覚満淵に支えられた句。(高橋正子)

鳥声や畝間にひょこと雨蛙★★★
梅雨晴や短パン破棄し女の子★★★

多田有花
<那覇市立城西小学校>
南西風にシーサー戴く小学校★★★
<世界遺産・中城城跡二句>
万緑へ護佐丸カートで向かいけり★★★
城跡に蘇鉄の花の咲きにけり★★★★

桑本栄太郎
雨雲の峰ふところに五月闇★★★
との曇る侭に暮れ行く梅雨の山★★★
早風呂の宵の口なり梅雨の闇★★★★

古田敬二
梔子の厨に白く香りけり★★★
法面を紫に染めアガパンサス★★★★
新じゃがを切れば包丁に残る影★★★

7月2日(4名)

古田敬二
二杯目の豆のご飯の塩加減★★★
赤黄色緑紺色夏野菜★★★
陽の温み残るピーマン五つ取る★★★★
家庭菜園のピーマン。五つがちょうど取りごろ。それをもぐと陽の温みが残っている。夏の日差しに育ったピーマンだ。(高橋正子)

多田有花
<首里城三句>
海見える石垣に揺れハイビスカス★★★★
海、石垣、ハイビスカスの取り合わせが夏らしく涼しそうだ。(高橋正子)

守礼門夏の日差しの戻りけり★★★★
沖縄そばにソフトクリームを添えて★★★

小口泰與
梅雨寒や木の長椅子の軋みおり
大沼小沼(おの、この)の赤城七峰梅雨の雷★★★
茶柱の立ちたる朝餉目高の子★★★★

桑本栄太郎
 団地改装工事本日終了
工事終え安堵しきりや玉の汗★★★
涼風の葉擦れの音の並木かな★★★
かしましくすずめ塒へ宵涼し★★★★

7月1日(4名)

多田有花
<首里城三句>
梅雨空や琉球伝統菓子を食ぶ★★★
さみだれの上がりぬ城を巡るうち★★★
龍こそは王の象徴夏盛ん★★★★

小口泰與
三山の見ゆる我家や夏霞★★★
折も折妻の指さす二重虹★★★★
滔滔と田川流るる夏燕★★★

廣田洋一
この道の先に架かれる虹の橋★★★
堰落ちる水のかけたる小さき虹★★★★
高きビルをまたぎて虹の立ちにけり★★★

桑本栄太郎
深梅雨や雨音止みて目覚め居り★★★
ででっぽと山鳩鳴きぬ梅雨晴間★★★★
夏の朝、山鳩の声を聞くとあたりに涼しさが漂う。そんな印象が私にあるせいか、山鳩の声を聞くと夏が来たと思う。梅雨の晴間、のどかに涼しい。(高橋正子)

山梔子の花に夕闇迫りけり★★★

自由な投句箱/6月21日~30日


※当季雑詠3句(夏の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
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今日の秀句/6月21日~30日


6月30日(1句)

★首里城の赤鮮やかに梅天へ/多田有花
首里城の瓦の特徴ある赤が梅雨空を見据えるかのようにそびえている。沖縄の力強さのようなものを感じる。(高橋正子)

6月29日(1句)

★ナイロビの夜を赤々と夏暖炉/廣田洋一
ケニアは赤道直下でも高地では、夏は零下にも冷え込むことがあるらしい。暖炉が必要。あかあかと燃える暖炉を囲み、暖炉の火を顔に映して、楽しい話が続いた夜だったのだろう。(高橋正子)

6月28日(1句)

★帰省して先ず井戸水に喉鳴らす/廣田洋一
帰省して、懐かしいもの、うれしいものは、さまざまあるけれど、井戸水は一番懐かしく、うれしいものではなかろうか。おいしく、冷たい井戸水に生き返る思いだ。(高橋正子)

6月27日(2句)

★曇れども雨まだ遠し睡蓮に/多田有花
空はどんより曇っているが、降りそうにもない。重たそうな雲の下に睡蓮が可憐に咲いている。重い雲と睡蓮の
微妙な力関係が面白い。(高橋正子)

★米を研ぐ音たからかに梅雨晴間/川名ますみ
梅雨の晴れ間。この晴れ間を使って家事をいろいろ済ませたい。活動的になる。米を研ぐにも力が入る。シャキシャキと高らかな音は快い。(高橋正子)

6月26日(2句)

★五月雨や棚田の水へ足を入れ/小口泰與
五月雨が降る中、棚田へ。植田の雑草を抜くために足をいれたか。五月雨の振り込む水の感触は、棚田のもの。(高橋正子)

★見上ぐれば合歓の花なり橋袂/桑本栄太郎
見上げたら、合歓のやさしい花が咲いていた。なにか慰められる気持ちだ。そこは橋の袂。川風が吹いてくるだろう、空も見えるだろう。橋を行き来する人や車。そんな景色も見える句。(高橋正子

6月25日(1句)

★蓬蓬とD51止まる青芒/小口泰與
D51と青芒の取り合わせがいい。青芒の青とD51の黒が力強く、しかも涼しそうだ。(高橋正子)

6月24日(2句)

★梅雨の晴れ間に島が見えると、気持ちが晴れやかに遠くへと広がる。島の名は伊江島。平らな離島がすっきりと見えて納得。伊江島は美ら水族館から眺められ、30分ほどフェリーニ乗れば到着できるとのこと。(高橋正子)
伊江島のすっきり見える梅雨晴間/多田有花

★久々の雨に色濃き茄子の花/廣田洋一
茄子の花の紫は、濡れてこそ涼しく思える。久々の雨もうれしいが、すずやかな茄子の花を見るのもも嬉しい。(高橋正子)

6月23日(1句)

<沖縄美ら海水族館>
★ジンベイザメその大きさよ涼しさよ/多田有花
ジンベエザメのその名前も愛嬌があるが、それが、大きな体でゆっくりと泳ぐ。その所作が水中では、涼しさを誘うのだ。(高橋正子)

6月22日(1句)

<沖縄美ら海水族館>
★泳ぐたび水を涼しくする海月/多田有花
海月は、夏の季語。これまで歳時記に載っている句は、海月の哀れな姿を詠んだものが多い中、この句は、水族館の海月であるが、哀れどころか、生き生きと、水をさらに涼しくするかのようにひらひら、自在に泳ぐ姿が詠まれている。(高橋正子)

6月21日(1句)

★朝茶事に花束抱へ夏衣/廣田洋一
朝茶事に使う涼しそうな花をいろいろと抱えている夏衣の婦人。それは、静ではなく、動であって、茶事の場を作る行いが人間的。(高橋正子)

6月21日~30日


6月30日(4名)

多田有花
<ホテルモントレ沖縄>
荒梅雨を聞きつつ朝のバイキング★★★
<首里城二句>
梅天へ首里城の赤鮮やかに(原句)
首里城の赤鮮やかに梅天へ★★★★(正子添削)
首里城の瓦の特徴ある赤が梅雨空を見据えるかのようにそびえている。沖縄の力強さのようなものを感じる。(高橋正子)

首里城のハイビスカスの雨に濡れ★★★

廣田洋一
昼食後机に伏せて昼寝かな★★★
新築の雨戸を閉めて三尺寝★★★
うつらうつら舟を漕ぎつつ昼寝せり★★★

小口泰與
あけぼのの植田へ禽とそよ風と★★★
山影を映す植田や老農婦★★★
夏霧や犬のリードの山羊の群★★★★

桑本栄太郎
あぢさゐの彩の変化や高瀬川★★★
木槿咲く紅の花芯の揺れながら★★★
涼風の窓より来たる雨止む夜(原句)
涼風の窓より来たり雨止む夜★★★★(正子添削)

6月29日(4名)

多田有花
<沖縄料理二句>
銘柄はオリオンビールと決まりけり★★★
もちもちとジーマーミ豆腐の冷奴★★★
夏の夜の東シナ海沖望む★★★

小口泰與
短夜や小唄の稽古ほどほどに★★★
妙義より荒船山へ風薫る★★★
毛の国の溶岩原豊か大夕立★★★

廣田洋一
夏暖炉赤々燃えるナイロビの夜(原句)
ナイロビの夜を赤々と夏暖炉★★★★(正子添削)
ケニアは赤道直下でも高地では、夏は零下にも冷え込むことがあるらしい。暖炉が必要。あかあかと燃える暖炉を囲み、暖炉の火を顔に映して、楽しい話が続いた夜だったのだろう。(高橋正子)

夏炉の火眺めつつ飲むウイスキー★★★
焚かねども茶釜を据えし夏炉かな★★★

桑本栄太郎
蠅除を取りて夕餉や残業に★★★
暑気払ふ心算が仇に晩酌の★★★
信号に赤き尾灯や夏ともし★★★

6月28日(4名)

多田有花
<沖縄・備瀬のフクギ並木>
そぞろ歩く福木並木の風涼し★★★

<名護市役所>
役所とは思えぬ建物驟雨去る★★★
シーサーに迎えられたる夏の夕★★★

小口泰與
縦横に土竜の道や梅雨の月★★★★
頭髪は親譲りなり夏の星★★★
空は蒼暁の赤城の風青し★★★

廣田洋一
帰省して先ず井戸水に喉鳴らす★★★★
帰省して、懐かしいもの、うれしいものは、さまざまあるけれど、井戸水は一番懐かしく、うれしいものではなかろうか。おいしく、冷たい井戸水に生き返る思いだ。(高橋正子)

帰省子を迎へる母の声髙し★★★★
帰省子の大の字になる座敷かな★★★

桑本栄太郎
芙美子忌や夫婦の仲も米櫃に★★★
雨降れば旋回したる夏つばめ★★★★
山桃の綺羅のルビーや雨のあと★★★

6月27日(5名)

多田有花
曇れども雨まだ遠し睡蓮に★★★★
空はどんより曇っているが、降りそうにもない。重たそうな雲の下に睡蓮が可憐に咲いている。重い雲と睡蓮の
微妙な力関係が面白い。(高橋正子)

涼風を集めし午後の頂に(原句)
「頂が涼風を集める」という意味なので、意味を取るのにちょっとぎくしゃくしました。
涼風の集まる午後の頂に★★★(正子添削)

柏葉紫陽花水路に沿いて咲きにけり★★★

小口泰與
起重機のかき回しける皐月空★★★
山羊の子の青春早し夏の雲★★★★
秋桜子の名付けし滝の小ささよ★★★

廣田洋一
葛餅や冷えし黒蜜舌を打つ★★★
葛餅や幟はためく老舗有り★★★★
葛餅や小町通を風の抜け★★★

桑本栄太郎
木槿咲く紅の花芯の揺れながら★★★
堰水の音を聞きつつ蘆の風★★★
朝刊のビニール袋に梅雨荒るる(原句)
朝刊のビニール袋や梅雨荒るる★★★(正子添削)

川名ますみ
米を研ぐ音たからかに梅雨晴間★★★★
梅雨の晴れ間。この晴れ間を使って家事をいろいろ済ませたい。活動的になる。米を研ぐにも力が入る。シャキシャキと高らかな音は快い。(高橋正子)

ゼラニウム蕾をもたげ梅雨の月(原句)
もとの句だと、梅雨の月と、ゼラニウムの関係性が薄くなります。
梅雨月に蕾もたげしセラニウム★★★★(正子添削①)
梅雨月に蕾をもたげゼラニウム(正子添削②)

梅雨の月雲の動きの紛れなき★★★

6月26日(4名)

多田有花
<世界遺産・今帰仁城跡三句>
城跡へ紅芋アイスを食べてのち★★★
城跡から梅雨の晴間の水平線★★★★
白百合の咲きぬ今帰仁城跡に★★★

小口泰與
青梅雨や弓道場の一年生★★★

五月雨や棚田へ一歩足を入れ(原句)
五月雨や棚田の水へ足を入れ★★★★(正子添削)
五月雨が降る中、棚田へ。植田の雑草を抜くために足をいれたか。五月雨の振り込む水の感触は、棚田のもの。(高橋正子)

夏日影小犬は頑と動かざる★★★

廣田洋一
百合の花開くにつれて傾きぬ★★★
色百合や日毎に色の透き通り★★★
百合開くここを曲がれば我家かな★★★★

桑本栄太郎
梔子の花に夕闇迫りけり★★★
堰水の音を聞きつつ夏の土手★★★

見上ぐれば橋の袂や合歓の花(原句)
「見上げれば橋の袂」は、具合が悪いのでは?

見上ぐれば合歓の花なり橋袂★★★★(正子添削)
見上げたら、合歓のやさしい花が咲いていた。なにか慰められる気持ちだ。そこは橋の袂。川風が吹いてくるだろう、空も見えるだろう。橋を行き来する人や車。そんな景色も見える句。(高橋正子)

6月25日(5名)

多田有花
樹にあるは森青蛙の卵かな★★★
水音の近くに雨待つ額の花(原句)
「近くに」の「に」が説明なので、散文的な句になってしまいます。

水音を近く雨待つ額の花★★★★(正子添削)
夏至の日やあべのハルカスを望む★★★

小口泰與
青芝や快音発す一年生★★★
雨音と梅の実落つる音したり★★★
蓬蓬とD51止まる青芒★★★★
D51と青芒の取り合わせがいい。青芒の青とD51の黒が力強く、しかも涼しそうだ。(高橋正子)

廣田洋一
丈低き金柑の木に白き花★★★
金柑の花を揺すれる地震あり★★★★
一つの枝に並び咲きたる金柑の花★★★

桑本栄太郎
嶺上の夕焼雲や寺の鐘★★★★
まくなぎを払い歩めり夕の川★★★
夕映えや雲染まりたる嶺の上★★★

川名ますみ
色も香も味も青々夏料理★★★

幾たびも大きく咲ける泰山木(原句)
「大きく咲く」が、具体的にどんなことなのか、曖昧なのです。

幾たびも大きな花を泰山木★★★★(正子添削①)
泰山木大きな花の咲きつづく(正子添削②)

紫陽花に囲まれ静か女学園★★★

6月24日(4名)

多田有花
<沖縄美ら海水族館三句>
南瓜食ぶマナティー二頭夏の日に★★★
伊江島のすっきり見える梅雨晴間★★★★
梅雨の晴れ間に島が見えると、気持ちが晴れやかに遠くへと広がる。島の名は伊江島。平らな離島がすっきりと見えて納得。伊江島は美ら水族館から眺められ、30分ほどフェリーニ乗れば到着できるとのこと。(高橋正子)

海亀の耳に届きし波の音★★★

小口泰與
夏祭磨き上げたる床柱★★★★
床替ふる犬の居場所の暑さかな★★★
峰雲や長きすそ野の赤城山★★★

廣田洋一
茄子の花横に揺れをる濃紫★★★
久々の雨に色濃き茄子の花★★★★
茄子の花の紫は、濡れてこそ涼しく思える。久々の雨もうれしいが、すずやかな茄子の花を見るのもも嬉しい。(高橋正子)

手入れ良き畑の隅や茄子の花★★★

桑本栄太郎
万緑の古戦場なり天王山★★★
ベランダを飾る鉢なり七変化★★★
退屈と云うは幸せ梅雨きのこ★★★

6月23日(4名)

多田有花
<沖縄美ら海水族館三句>
ジンベイザメその大きさよ涼しさよ★★★★
ジンベエザメのその名前も愛嬌があるが、それが、大きな体でゆっくりと泳ぐ。その所作が水中では、涼しさを誘うのだ。(高橋正子)

黒潮の海を間近くアイスティー★★★
南風やマッコウクジラの骨見上ぐ★★★

廣田洋一
十薬や葉の天麩羅を揚げてみる★★★
雨上がり十薬の匂ひ立ち上がり★★★
大雨や十薬の蕊高くなり★★★★

小口泰與
新しき朝の赤城山(あかぎ)やアイスティー★★★★
妻の炊く筍飯に皆多弁★★★
滔滔と田水や畦の残り鴨★★★

桑本栄太郎
山梔子の花に滴や雨あがる★★★
京なれや朝より浴衣乗客に★★★★
※(正子注)「なれや」は、断定の助動詞「なり」+疑問の係助詞「や」
「京なれや」は「京だからだろうか」の意味。

廃屋の工場跡に枇杷熟るる★★★

6月22日(4名)

多田有花
<沖縄美ら海水族館三句>
チンアナゴゆらゆら揺れる涼味かな★★★

泳ぐたび水を涼しくする海月★★★★
海月は、夏の季語。これまで歳時記に載っている句は、海月の哀れな姿を詠んだものが多い中、この句は、水族館の海月であるが、哀れどころか、生き生きと、水をさらに涼しくするかのようにひらひら、自在に泳ぐ姿が詠まれている。(高橋正子)

夏服の観光客とコブシメと★★★

小口泰與
水飛沫立てて田水へ通し鴨★★★
捻花に丈しのがるるチワワかな★★★
D五一の利根川(とね)をしりへや夏燕★★★

廣田洋一
サバンナの強き日を浴びサンドレス★★★★
夏服やサファリスーツと決めた日々★★★
夏服や二の腕白き受験生★★★

桑本栄太郎
凌霄花の風に揺るるは炎かな★★★

夕昏を歩む香りや青無花果(原句)
「歩む香り」は、論理的にいかがでしょうか。そうでなく、「歩む」で切ると、3段切れになります。
夕昏を歩みて匂う青無花果★★★★(正子添削)

山の端の入日茜や風涼し★★★

6月21日(5名)

多田有花
<沖縄美ら海水族館三句>
生涯を涼しき水に過ごしけり★★★
六月の伊勢海老あでやかに揃う★★★
美しき毒持ち夏の海に舞う★★★

小口泰與
夏風邪や悪魔の涙どどと出づ★★★
ため息の聞こゆ事務所や旱星★★★
外に出づや蜥蜴と見合う吾子の顔★★★

廣田洋一
端然と椅子に座れる夏衣★★★
朝茶事に花束抱へ夏衣★★★★
朝茶事に使う涼しそうな花をいろいろと抱えている夏衣の婦人。それは、静ではなく、動であって、茶事の場を作る行いが人間的。(高橋正子)

老い隠す明るき色や夏衣★★★

古田敬二
池の面を急旋回の夏燕★★★
涼風に夕餉の香り乗りてくる★★★
涼しさはメタセコイアを抜けてくる★★★

桑本栄太郎
さらさらと葉擦れ涼しき並木かな★★★
山梔子の花の香りや雨催い★★★
硝子戸を慌て閉めたり大夕立★★★

自由な投句箱/6月11日~20日


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