自由な投句箱/1月11日~20日(2021年)

※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之
◆花冠発行所◆
https://blog.goo.ne.jp/kakan100
◆月例ネット句会
https://blog.goo.ne.jp/kakan02d
◆俳句日記/高橋正子◆
https://blog.goo.ne.jp/kakan02

今日の秀句/1月11日~20日

1月20日(2句)
★大寒の天に伸び行く梢かな/桑本栄太郎
大寒という寒さのなかで、天に伸びる梢が快い。寒さで縮こまりがちな人の背筋も伸びるようだ。(高橋正子)
★大寒や御嶽伊吹鈴鹿峰/古田敬二
大寒の厳しい寒さと対峙するように、御嶽、伊吹、鈴鹿峰の雄峰が聳えている。それらが見える位置に立つという力強さが素晴らしい。(高橋正子)
1月19日(1句)
★さざ波に舫いておりぬ鴨の陣/桑本栄太郎
鴨が陣を張っている。さざ波に揺れて、波まかせに一陣が揺れている。その一体感は、まるで舟が舫うようである。(高橋正子)
1月18日(2句)
★湖へ径真直ぐや雪催/小口泰與
湖へ真っすぐ伸びている径。今にも雪が舞いそうな底冷えの径。径の真っすぐさが、印象に残る。(高橋正子)
★鍬はじめ大根取りて帰りけり/古田敬二
鍬はじめは、大根を取って帰る。寒いときの大根はありがたいながら普段の野菜。普段の暮らしの中に、畑に旬の大根がある豊かさがいい。(高橋正子)
1月17日(1句)
★寒暁や阪神淡路震災忌/多田有花
26年前の1月17日、のちに阪神淡路大震災と呼ばれる大地震が起こった。
そのとき、松山にいた私たちは、高速道路が曲がり、橋からトラックが落ちかかった映像や、刻々増える死者の数に驚いてテレビを見ていた。数日して被害者となっ若い女性の棺が帰った。私にして、そんなことが思い出される「寒暁」だ。(髙橋正子)
1月16日(2句)
★探梅の寺苑に来たり大原野/桑本栄太郎
京都大原野には、桜や梅の名所といわれなくても、花のある寺もが多くあることだろう。探梅で歩くうちに寺苑に来た。梅だけでない、寺苑の良さにも魅了されたことだろう。(高橋正子)
★三日月へ寒中の花火あがりけり/多田有花
寒中の花火。厳しくも澄み切った空気に、打ち上げられた花火が印象強く目に入る。三日月も鋭さを増して寒中の厳しさを見せている。寒中の花火の良さ。(高橋正子)
1月15日(2句)
★あけぼのの赤城榛名の吹雪けり/小口泰與
赤城山、榛名山、どちらを見ても吹雪いている。あけぼの雄大な景色がいい。(高橋正子)
★どんど火の社に高く大原野/桑本栄太郎
どんど焼き、地方では、多く、河原や田んぼなど広い場所で行われるが、この句では、紫式部が氏神と崇めた大原野神社のどんど焼きのようだ。境内が広くどんどの火も社に高く上がったのである。高く上がれば願いが叶うという話もある。「社に高く大原野」で終止したのがいい。(髙橋正子)
1月14日(1句)
★竜の玉探して上る寺の坂/古田敬二
寺の坂は日差して暖かい。坂の縁には龍のひげが植えられているので、坂を上りながら、青く光る実、龍の玉を探しながら上った。子供のころの遊びに、龍の玉を麦藁の先を開いてのせ、息を吹いて躍らせるものがあった。遊び心がたのしい。(高橋正子)
1月13日(1句)
★冬芽立つ桜の枝を愛しめり/廣田洋一
俳人にとって、桜の楽しみは花の開花だけではない。冬芽が立つと喜び、芽が膨らみ、蕾が膨らみ、蕾の先に色を見ては喜ぶ。今は冬芽が立った桜の枝がなんとも愛しいのだ。(高橋正子)
1月12日(2句)
★枯葉坂いつも離れて妻が来る/古田敬二
枯葉の降り積もった坂道を妻と上っている。今日に限らずなのだが、妻はいつも少し離れて来る。妻には妻の見るところがあるのか、歩幅が違ってそうなるのか。付きすぎるわけでも、離れすぎるわけでもない距離。枯葉坂のこの距離感の淡さがいい。(高橋正子)
★明け遅し雪しんしんと降る朝は/多田有花
関西や日本海沿岸に大雪が降った朝なのか。雪はしんしんと降り、そんな朝は、明けるのが遅い。白とうすねず色の雪の朝が日本画のように美しい。(高橋正子)
1月11日(1句)
★夕映えの沼を綾なす小白鳥/小口泰與
夕映えの沼に小白鳥が群れをなして浮かんでいる。小白鳥によって、夕映えの沼に綾が生まれる。その時を逃さず句にした。(高橋正子)

1月11日~20日

1月20日(4名)
小口泰與
室咲や祝辞短き程良かれ★★★
冬桜奇岩巨石の妙義山★★★★
固まりし雀黒ぐろ枯桜★★★
廣田洋一
大寒や庭の草々揺れてをり★★★
大寒や空青々と澄みにけり★★★
新築の庭の植木や春隣★★★★
桑本栄太郎
山の端の宵のみずいろ寒雷忌★★★
大寒の天に伸び行く梢かな★★★★
大寒という寒さのなかで、天に伸びる梢が快い。寒さで縮こまりがちな人の背筋も伸びるようだ。(高橋正子)
早梅のうすきピンクや丘公園★★★
古田敬二
大寒や朝の光の色濃くて★★★
大寒の朝くっきりと御嶽山★★★
大寒や御嶽伊吹鈴鹿峰★★★★
大寒の厳しい寒さと対峙するように、御嶽、伊吹、鈴鹿峰の雄峰が聳えている。それらが見える位置に立つという力強さが素晴らしい。(高橋正子)
1月19日(4名)
小口泰與
大利根の古き旅籠や寒蜆★★★★
寒梅や沼に綾なす夕日影★★★
蝋梅や朝日いただく榛名富士★★★
廣田洋一
寒の雨細かき粒の吹かれをり★★★
鯉二匹浮かび来たれる寒の雨★★★
荒畑のしっとり濡れし寒の雨★★★★
多田有花
仕事する行く一月を追いかけて★★★
寒卵茹でてふたつに割りにけり★★★
マフラーのまま朝の車を運転す★★★

桑本栄太郎

吹きすさぶ風に狂いぬ飛雪かな★★★
さざ波に舫うようなり鴨の陣(原句)
さざ波に舫いておりぬ鴨の陣★★★★(正子添削)
鴨が陣を張っている。さざ波に揺れて、波まかせに一陣が揺れている。その一体感は、まるで舟が舫うようである。(高橋正子)
群がりて地を啄むみぬ寒すずめ★★★
1月18日(4名)
廣田洋一
公園の木々のびやかに日脚伸ぶ★★★
いつも通り終えたる散歩日脚伸ぶ★★★
平幕の勝ち進みたり日脚伸ぶ★★★★
小口泰與
日当りに犬眠りけり巴焼★★★
天と地の難事次次虎落笛★★★
湖へ径真直ぐや雪催★★★★
湖へ真っすぐ伸びている径。今にも雪が舞いそうな底冷えの径。径の真っすぐさが、印象に残る。(高橋正子)
桑本栄太郎
寒風の地道にありぬ靴の跡★★★
堰水の七段落つや蘆枯るる★★★
寒晴れやテニスコートの音弾む★★★

古田敬二

子供らの歓声公園の枯れケヤキ★★★
約束のふくらみこぶしの冬花芽★★★
鍬はじめ大根取りて帰りけり★★★★
鍬はじめは、大根を取って帰る。寒いときの大根はありがたいながら普段の野菜。普段の暮らしの中に、畑に旬の大根がある豊かさがいい。(高橋正子)
1月17日(4名)
小口泰與
白鳥の鋭声つづりて翔ちにけり★★★
また一人寒鮒釣に来たりけり★★★
白銀の雪の浅間へ朝日かな★★★
廣田洋一
冷酒を水と間違へ初笑★★★
久しぶり出会ひし人と初笑★★★
小吉の御神籤引きて初笑★★★★
桑本栄太郎
ともし火の「がんばろう」とや阪神忌★★★
散策の出鼻をくじく寒の雨★★★
雪雲の垂れ込め重く蓋いけり★★★
多田有花
寒の水で朝のコーヒーを入れる★★★
寒暁や阪神淡路震災忌★★★★
26年前の1月17日、のちに阪神淡路大震災と呼ばれる大地震が起こった。
そのとき、松山にいた私たちは、高速道路が曲がり、橋からトラックが落ちかかった映像や、刻々増える死者の数に驚いてテレビを見ていた。数日して被害者となっ若い女性の棺が帰った。私にして、そんなことが思い出される「寒暁」だ。(髙橋正子)
一月の仕事はポモドーロテクニック★★★
1月16日(5名)
古田敬二
メジロ来る自慢の胸を反らせて来る★★★★
飛騨川の瀬高変らず初山河★★★
綿虫と遊び一日早く閉じ★★★
廣田洋一
畝一つ取り残されて葱太し★★★
小さき庭並び立ちたる葱五本★★★
大根の首をさらせる日向畑★★★★
小口泰與
白鳥の水脈の綾なす夕日影★★★★
争うや脚を狙いて小白鳥★★★
白鳥へひと筋の日矢羽ばたけり★★★
桑本栄太郎
探梅の寺苑に来たる大原野(原句)
探梅の寺苑に来たり大原野★★★★(正子添削)
京都大原野には、桜や梅の名所といわれなくても、花のある寺もが多くあることだろう。探梅で歩くうちに寺苑に来た。梅だけでない、寺苑の良さにも魅了されたことだろう。(高橋正子)
せつかちは吾の家系や梅探る★★★
新月のとがりて在りぬ寒の暮れ★★★
多田有花
窓からの風に春の遠からじ★★★
音もなく降り始めたり寒の雨★★★
三日月へ寒中の花火あがりけり★★★★
寒中の花火。厳しくも澄み切った空気に、打ち上げられた花火が印象強く目に入る。三日月も鋭さを増して寒中の厳しさを見せている。寒中の花火の良さ。(高橋正子)
1月15日(3名)
小口泰與
あけぼのの赤城榛名の吹雪けり★★★★
赤城山、榛名山、どちらを見ても吹雪いている。あけぼの雄大な景色がいい。(高橋正子)
ひと筋の夕日の綺羅やかいつぶり★★★
濃紺の榛名九嶺寒紅梅★★★
廣田洋一
テレビ寄席名人芸に初笑★★★
整然と畝の並びし葱畑★★★★
引き売りの主より買ひし葱一把★★★
桑本栄太郎
連れもつて妻の出掛けや女正月★★★
どんど火の社に高く大原野★★★★
どんど焼き、地方では、多く、河原や田んぼなど広い場所で行われるが、この句では、紫式部が氏神と崇めた大原野神社のどんど焼きのようだ。境内が広くどんどの火も社に高く上がったのである。高く上がれば願いが叶うという話もある。「社に高く大原野」で終止したのがいい。(髙橋正子)
山際の黒きうねりや寒夕焼け★★★
1月14日(4名)
古田敬二
青空へクロガネモチの実の赤し★★★
竜の玉探して上る寺の坂★★★★
寺の坂は日差して暖かい。坂の縁には龍のひげが植えられているので、坂を上りながら、青く光る実、龍の玉を探しながら上った。子供のころの遊びに、龍の玉を麦藁の先を開いてのせ、息を吹いて躍らせるものがあった。遊び心がたのしい。(高橋正子)
コロナ禍や余白の多き新暦★★★

小口泰與

浅間越え赤城越え来る鴨の陣★★★
風花や木へかたまりし群雀★★★★
餌まくや真鴨大鷭翔けにける★★★
廣田洋一
夢に見し蛇のご利益竜の玉★★★
一茎に三輪開き水仙花★★★
浮氷日を返しつつ動きをり★★★★
桑本栄太郎
老犬と老婆連れ行く寒ゆるむ★★★
さざ波の寄するばかりや冬の池★★★
曲がり根の浮かび地割れや冬ざるる★★★
1月13日(4名)
廣田洋一
水仙や並びて門を向きてをり★★★
先っぽの少し色付く冬芽かな★★★
冬芽立つ桜の枝を愛しめり★★★★
俳人にとって、桜の楽しみは花の開花だけではない。冬芽が立つと喜び、芽が膨らみ、蕾が膨らみ、蕾の先に色を見ては喜ぶ。今は冬芽が立った桜の枝がなんとも愛しいのだ。(高橋正子)
小口泰與
見張りせる上枝の二羽の寒雀★★★
山風の秀づ上州麦芽ぐむ★★★
笹鳴や下校の子らの家遠し(原句)
笹鳴や下校の子らに家遠し★★★★(正子添削)
桑本栄太郎
クレーン車に乗りて作業や寒晴るる★★★
きらきらと光る梢や枯銀杏★★★
冬耕の畝の乾びて日差しけり★★★
多田有花
大霜やフロントガラスにぬるま湯を★★★
夕映えの白鷺城や日脚伸ぶ★★★
日脚伸ぶ幼子ジャンプを繰り返す★★★
1月12日(5名)
小口泰與
風つのる牡丹冬芽へ朝日かな(原句)
風つのり牡丹冬芽へ朝日かな★★★★(正子添削)
リズム打つ霰や森の丸太小屋★★★★
燃えさかる紅蓮の炎どんどかな★★★
廣田洋一
草の影光あふるる竜の玉★★★★
草の葉のしずく溜め込み竜の玉★★★
散歩道流れる川や竜の玉★★★
古田敬二
水痩せて見下ろす冬の飛騨の川★★★
落ち葉降る寺迄緩き坂上る★★★
枯葉坂いつも離れて妻が来る★★★★
枯葉の降り積もった坂道を妻と上っている。今日に限らずなのだが、妻はいつも少し離れて来る。妻には妻の見るところがあるのか、歩幅が違ってそうなるのか。付きすぎるわけでも、離れすぎるわけでもない距離。枯葉坂のこの距離感の淡さがいい。(高橋正子)
桑本栄太郎
登校の一列つづく雪の朝★★★★
朝からの雪がみぞれに枝の先★★★
雪雲の峡にとどまる日暮れかな★★★
多田有花
明け遅し雪しんしんと降る朝は★★★★
関西や日本海沿岸に大雪が降った朝なのか。雪はしんしんと降り、そんな朝は、明けるのが遅い。白とうすねず色の雪の朝が日本画のように美しい。(高橋正子)
瀬戸内の雪は優しきままに溶け★★★
ゆったりと流れるピアノ日脚伸ぶ★★★
1月11日(4名)
小口泰與
夕映えの沼を綾なす小白鳥★★★★
夕映えの沼に小白鳥が群れをなして浮かんでいる。小白鳥によって、夕映えの沼に綾が生まれる。その時を逃さず句にした。(高橋正子)
風垣やチワワ二匹の大鼾★★★
冬雲雀赤城のすそ野眼間に★★★
廣田洋一
乳母車赤児の声に初笑★★★
茜空狭まり行きぬ寒夕焼★★★
寒夕焼浅瀬の波をきらめかせ★★★
スカイプの孫とつなぎ居る鏡割★★★
山の端のうすき茜や寒夕焼け★★★
赤き実を食べ過ぎたのね雪うさぎ★★★

自由な投句箱/1月1日~10日(2021年)

※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之
◆花冠発行所◆
https://blog.goo.ne.jp/kakan100
◆月例ネット句会
https://blog.goo.ne.jp/kakan02d
◆俳句日記/高橋正子◆
https://blog.goo.ne.jp/kakan02

今日の秀句/1月1日~10日(2021年)

1月8日(1句)
★青空や風ごうごうと寒波急/多田有花
寒波が急に訪れ、今回は北陸や秋田は大雪となった。雪が来なくても、青空に風がごうごうと鳴る。急に来襲した寒波のすざましさ。(高橋正子)
1月7日(1句)
★山風を含む松取る夕べかな/小口泰與
門松や松飾を取る夕べ。7日に取るところもあれば、14日に取るところもある。松は、そこにあるままに、山風に吹かれているが、それを下す。松過ぎの一抹のさびしさが伝わる。(高橋正子)
1月6日(1句)
★干上がりし畔川の底笹子鳴く/小口泰與
畔川も干上がって、冬ざれの景色を目の当たりにするようになった。そんな冬ざれのなかにもチャッチャッと、笹子の鳴く声が聞こえる。鴬がそばにいるのは、嬉しい。(高橋正子)
1月5日(3句)
★大利根の流れ清かや福寿草/小口泰與
大利根川の流れに沿うところの自生する福寿草か。寒さに耐え、かたまって、日に向くように花を開く様子は、見る人をあたたかい思いにさせてくれる。(高橋正子)
★凧揚がり糸巻きを子に渡しけり/廣田洋一
凧をめったに上げない最近の子供たち。なかなかうまく風を捕まえられないので凧が揚がらない。代わって凧揚げに。凧があがったところで、凧の糸巻きを子に返してやる。子ども時代に帰ったような愉快なひとときと、人柄のやさしさ。(高橋正子)
★小寒の街を小径を自転車で/多田有花
いよいよ寒くなった街。自転車で、街を走る。小径をちょこちょこと走る。いろんな景色、いろんな人、いろんなものを見て、変わって楽しいもの。(高橋正子)
1月4日(1句)
★トラックの変哲も無き初荷かな/小口泰與
昨今の初荷は、特に飾り立てることもないが、新年初めて送り出し、また、受け入れる荷は、初荷に違いない。変哲もない初荷に、心のうちでは、しっかりと今年の幸先よいことを願っている。(高橋正子)
1月3日(1句)
★一斉に草木の息吹く初明り
初明かりが差すと、一斉に息吹く草木に、年の改まったことを思う。草木に息吹を感じたのは、新年のはつらつとした作者の精神そのもの。すがすがしい句。(高橋正子)
1月2日(1句)
★福寿草今年は子らの帰省せぬ/小口泰與
今年は新型コロナウィルスの感染拡大で、年末年始を静かに過ごすよう、政府や知事から要請されている。帰省を控えた人たちも多い。子や孫たちが正月に帰省しないのは、さびしいが、時が時だけに止むを得ない。そんな中この句の「福寿草」は、しずかな豊かさを象徴しているようで、心に沁みてくる。(高橋正子)
1月1日(2句)
★初御空富士の真白さ際立てり/廣田洋一
作者の住まうところからは、冠雪の富士が望める。初空に真っ白な富士の嶺を眺め、年の新しさにめでたくも、粛然とした気持ちになられたことだろう。(高橋正子)
★「紅白」を終えて峰より除夜の鐘/桑本栄太郎
NHKの「紅白歌合戦」は、大晦日の恒例番組となって久しい。「紅白」と省略して呼ばれたりしている。その「紅白」が終わると峰から除夜の鐘が聞こえて来る。京都嵯峨にお住いの作者ならではの、峰よりの除夜の鐘の響きに古都のゆかしさが忍ばれる。(高橋正子)

1月1日~10日(2021年)

1月9日(4名)
小口泰與
山風に声かすれたる達磨市★★★星
米撒くや我の先へと寒雀★★★
悪声を投げかく朝の寒鴉★★★
廣田洋一
書初の墨痕淋漓万葉歌★★★★
書初や希望を込めて収束と★★★
寒鯉の口を開けども波立たず★★★
桑本栄太郎
暁闇の早起き妻のなずな粥★★★
夕暮れの群青空や寒波来る★★★
ふるさとの夜は長きや雪の雷★★★★

多田有花

厳寒の朝厳かに明けてくる★★★★
風荒れて光明るし寒四郎★★★
寝る前の布団へ白金懐炉かな★★★
1月8日(3名)
小口泰與
白鳥の水脈の文様夕日影★★★★
ひと筋の没日の沼や小白鳥★★★
町医者の待合室の隙間風★★★
廣田洋一
輪飾りを次々取りて廻りけり★★★
動かざる寒鯉に日の差しにけり★★★
寒鯉に御神酒含ませ厄払い★★★
多田有花
青空や風ごうごうと寒波急★★★★
寒波が急に訪れ、今回は北陸や秋田は大雪となった。雪が来なくても、青空に風がごうごうと鳴る。急に来襲した寒波のすざましさ。(高橋正子)
雲なき夜明けベランダの蛇口凍て★★★
着膨れてやじろべえを真似てみる★★★
1月7日(3名)
小口泰與
達磨市赤城は風を放ちけり★★★
風も無き赤城榛名や薺打★★★
山風を含む松取る夕べかな★★★★
門松や松飾を取る夕べ。7日に取るところもあれば、14日に取るところもある。松は、そこにあるままに、山風に吹かれているが、それを下す。松過ぎの一抹のさびしさが伝わる。(高橋正子)
廣田洋一
宝船風運ぶ帆も装へり★★★★
たまたまに齧れる俳句嫁が君★★★
戯れに神棚に乗る嫁が君★★★
多田有花
昼は背に夜は布団に懐炉あり★★★
ほこほこと日差しの中に山眠る★★★★
顔の横冷たき耳がついている★★★
1月6日(3名)
小口泰與
冬鷺の田へ目を向け動かざる★★★
干上がりし畔川の底笹子鳴く★★★★
畔川も干上がって、冬ざれの景色を目の当たりにするようになった。そんな冬ざれのなかにもチャッチャッと、笹子の鳴く声が聞こえる。鴬がそばにいるのは、嬉しい。(高橋正子)
赤城晴風に包まる寒雀★★★
廣田洋一
水仙の揃ひて日差し浴びてをり★★★★
4日の投句の「水仙の揃ひて日を浴びてをり」の方が、字足らずですが、いいです。この句の字足らずは、課題としておいてください。
寒鯉の二匹寄り添ひ動かざる★★★
寒鯉の身を潜めたる岩の影★★★
多田有花
手袋外すタッチパネルに触れるため★★★
松の内午後から風の少し出る★★★★
寒晴れや川波きらきらと光る★★★
1月5日(3名)
小口泰與
夕影の沼へひと筋初写真★★★
大利根の流れ清かや福寿草★★★★
大利根川の流れに沿うところの自生する福寿草か。寒さに耐え、かたまって、日に向くように花を開く様子は、見る人をあたたかい思いにさせてくれる。(高橋正子)
裏白や妻とそろいの服装に★★★
廣田洋一
乾杯を省きし仕事始めかな★★★
凧揚げる風柔らかく子らの声★★★
凧揚がり糸巻きを子に渡しけり★★★★
凧をめったに上げない最近の子供たち。なかなかうまく風を捕まえられないので凧が揚がらない。代わって凧揚げに。凧があがったところで、凧の糸巻きを子に返してやる。子ども時代に帰ったような愉快なひとときと、人柄のやさしさ。(高橋正子)
多田有花
小寒や兵庫はかまぼこ発祥地★★★
小寒の街を小径自転車で(原句)
小寒の街を小径を自転車で★★★★
いよいよ寒くなった街。自転車で、街を走る。小径をちょこちょこと走る。いろんな景色、いろんな人、いろんなものを見て、変わって楽しいもの。(高橋正子)
通院も一年を超ゆ寒の入★★★
1月4日(3名)
小口泰與
乗初や山の社の静寂なる★★★
トラックの変哲も無き初荷かな★★★★
昨今の初荷は、特に飾り立てることもないが、新年初めて送り出し、また、受け入れる荷は、初荷に違いない。変哲もない初荷に、心のうちでは、しっかりと今年の幸先よいことを願っている。(高橋正子)
晴着着てお酌の妻のかいがいし★★★
廣田洋一
文机また散らばりぬ三が日★★★★
水仙の揃ひて日を浴びてをり★★★★
中七の字足らずが気になります。いい句だけに惜しいです。
水仙の蕾ふくらみ丈比べ★★★
多田有花
よく冷えて穏やかに過ぎ三が日(原句)
冷え込んで穏やかに過ぎ三が日★★★★(正子添削①)
三が日よく冷え穏やかに過ぎぬ(正子添削②)
「よく晴れて」の場合なら、すぐ天候のこととわかるのですが、「よく冷えて」で、天候以外のことがまず、浮かんできます。
日常へ人みな戻る四日かな★★★
新しき塵を吸い取り初掃除★★★
1月3日(3名)
小口泰與
輪飾りの揺れし床の間小犬かな★★★
静かなる夫婦と犬や鏡餅★★★
行きかわすプールの中の年賀かな★★★★
廣田洋一
一斉に草木の息吹く初明り★★★★
初明かりが差すと、一斉に息吹く草木に、年の改まったことを思う。草木に息吹を感じたのは、新年のはつらつとした作者の精神そのもの。すがすがしい句。(高橋正子)
福寿草盃のごと黄金色★★★
いつもより人出少なき初詣★★★
多田有花
帰省子と卓を囲める二日かな★★★
洗濯機回す三日の清々し★★★
初暦スマホアプリをクリックす★★★★
1月2日(3名)
小口泰與
福寿草今年は子らの帰省せぬ★★★★
今年は新型コロナウィルスの感染拡大で、年末年始を静かに過ごすよう、政府や知事から要請されている。帰省を控えた人たちも多い。子や孫たちが正月に帰省しないのは、さびしいが、時が時だけに止むを得ない。そんな中この句の「福寿草」は、しずかな豊かさを象徴しているようで、心に沁みてくる。(高橋正子)
日を受けし雪の浅間の淑気かな★★★★
日本酒も餡子も好きやお正月★★★
廣田洋一
月皓皓初日の前の一時を★★★★
数へ年八十路となりぬ初明り★★★
図らずも手を合わせたり初明り★★★★
多田有花
新年の挨拶すべてSNS★★★
穏やかに二日の光さしにけり★★★
パソコンで写真見ている二日かな★★★
※桑本栄太郎さんは、パソコンの不調で投句できないとのことです。Faxでのご投句をお勧めしています。(高橋正子)
1月1日(4名)
小口泰與
初浅間坂東太郎滔滔と★★★
赤赤と白き浅間へ朝日かな(原句)
赤々と雪の浅間へ朝日かな★★★★(正子添削)
青空へ長きすそ野や初景色★★★

廣田洋一

雑煮椀先ずは遺影に供へけり★★★
ひたすらに青く光れる初御空★★★
初御空富士の白さの際立てり(原句)
初御空富士の真白さ際立てり★★★★(正子添削)
作者の住まうところからは、冠雪の富士が望める。初空に真っ白な富士の嶺を眺め、年の新しさにめでたくも、粛然とした気持ちになられたことだろう。(高橋正子)
多田有花
元日の未明の空に月残り★★★
沈みゆく月に差したり初日影★★★
明けの空鳴きかわしつつ初鴉★★★★

桑本栄太郎

紅白の終えて峰より除夜の鐘(原句)
「紅白」を終えて峰より除夜の鐘★★★★(正子添削)
NHKの「紅白歌合戦」は、大晦日の恒例番組となって久しい。「紅白」と省略して呼ばれたりしている。その「紅白」が終わると峰から除夜の鐘が聞こえて来る。京都嵯峨にお住いの作者ならではの、峰よりの除夜の鐘の響きに古都のゆかしさが忍ばれる。(高橋正子)
一天の曇りのなきや年明くる★★★
あたらしき物を身につけ年迎ふ★★★

■2020年月例ネット句会金賞作品第1席発表■

2020年月例ネット句会金賞作品について、好きな句を一人、3句選をしていただきました。ご参加いただいた皆様ありがとうございました。12月30日で選を締め切りました。結果を下記アドレスの月例ネット句会ブログに発表しています。ご覧ください。(高橋正子)

自由な投句箱/12月21日~31日

※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆花冠発行所◆
https://blog.goo.ne.jp/kakan100
◆月例ネット句会
https://blog.goo.ne.jp/kakan02d
◆俳句日記/高橋正子◆
https://blog.goo.ne.jp/kakan02

今日の秀句/12月21日~31日

12月31日(1句)
★うち揃い星空のもと除夜詣/小口泰與
除夜詣は、大晦日の日の入りから元旦の日の出までの間に、普段着で神社仏閣にお参りすることで、江戸時代からの風習と聞く。初詣よりも、打ち解けた感じがする。星空の道を歩く子とも、暗い境内の篝火も情趣がある。この句は、みんな揃って星空のもとをお詣りに出かけたこと。それが、なごやかでいい。(高橋正子)
12月30日(2句)
★店先の松の枝濡らす冬の雨/廣田洋一
店先にあるのは、正月の用の松の枝か。はやばやと売られる松の枝に冬の雨がかかり、緑濃い松の枝もさびさびした印象に。(高橋正子)
★ゆずり葉も添えられありぬ松飾る/桑本栄太郎
松飾にゆずり葉が添えられて、ゆずり葉の赤い色が品よく華やかさをかもしだしている。ゆずり葉を添える地方も、添えないところもある。(高橋正子)
12月29日(2句)
★数え日の赤き実ばかり目立ちけり/多田有花
日を数えるようになると、赤い実が目につく。実南天、万両、千両、藪柑子、もちの実、かまずみなど、フランスヒイラギなど。寒さの中、赤い小さい実が可愛く、印象に残る。赤色の温かさと、鳥を呼ぶその色が、歳晩をあかるくしてくれる。(高橋正子)
★フレームの光の中にアフリカの木/廣田洋一
植物園の温室に入ると、アフリカの植物がたくさん見られる。日本の真夏に元気に咲く花には、アフリカ原産のものが多い。木々も見られる。光がさんさんと差し込み。アフリカの木が異色をはなって立っている。(高橋正子)
12月28日(1句)
★毛筆の一句添えたり賀状書く/桑本栄太郎
賀状は、プリンターで印刷されたものが多いが、ひとこと手書きの言葉があると、まごころが伝わってきて、うれしいものだ。毛筆で一句したためてあれば、風雅な年賀状となって、正月らしさにふれることになる。(高橋正子)
12月27日(1句)
★数へ日の一時過ごす理髪店/廣田洋一
数へ日となると、男性方は煤逃れではないだろうが、理髪店で髪を整えてもらる人が多い。待合はよく暖房されて、石鹸の匂いなどがして、思い思いに新聞や雑誌、スマホなどをみて過ごしている。師走のひと時のゆっくりした時間がある。(高橋正子)
12月26日(1句)
★埋火や俳画楽しき蕪村の忌/桑本栄太郎
蕪村は絵描きとしても評価されている。私は、展示会などで蕪村の画を見ると、一幅欲しくなるのだが、俳味もあって、楽しいところがある。埋火のようなほのかな温かみがある。忌日俳句として楽しさがある句は、珍しい。(高橋正子)
12月25日(1句)
★風花や箒目しかと華やかに/小口泰與
風花は遠くの山に降った雪が風に乗って飛んでくるもの。粛然とした立てられた箒目を風花が華やかにしてくれる。(高橋正子)
12月24日(2句)
★再会の語尾の弾みて師走かな/小口泰與
師走のあわただしい中、会いたい人に再び会えた嬉しさ。話す言葉も語尾が上がり調子に弾んでいる。(高橋正子)
★改札口出れば聖夜の灯が迎へ/廣田洋一
いつもの改札口を出ると、迎えてくれる聖夜の灯。聖夜の灯がことさらに清らかに、瞬いている。(高橋正子)
12月23日(1句)
★冬未明起きだすことの楽しさよ/多田有花
冬の未明は一番気温が下がる時。大方の人は温かい布団から抜け出すのは、いやな時間帯だが、作者は違って、冬の未明を楽しんでいる。未明の空の星や月、外気温、窓からの暗い景色など。発見も多いことだろう。(高橋正子)
12月22日(2句)
★冬空へメタセコイアの三角錐/古田敬二
メタセコイヤの三角錐の樹形が高々と聳えている。人工的とも思えるような三角錐も冬ざれの中の印象に残るものの一つ。(高橋正子)
★窓開けよ富士の四方に冬夕焼/川名ますみ
「窓開けよ」と思わず叫びたくなる富士山の景色。富士の四方に夕焼けが力強く広がっている。生活圏内に富士山が見える特別な恩恵とも言えそう。(高橋正子)
12月21日(2句)
★赤城嶺へ開く北窓冬椿/小口泰與
北窓を開くと産土の山、赤城山が見える。冬椿も赤く、あたたかそうに咲いている。この景色こそ、作者には心落ち着く景色なのではなかろうか。(高橋正子)
★兼ねし今朝の柚子湯や溢れさす/廣田洋一
冬至の柚子湯を待ちかねていた。朝湯を立てて柚子を入れ、湯を溢れさせて入る柚子湯に、身も心もすこやかになれる。至福の時を味わう。(高橋正子)

12月21日~31日

12月31日(4名)
小口泰與
うち揃い星空のもと除夜詣★★★★
除夜詣は、大晦日の日の入りから元旦の日の出までの間に、普段着で神社仏閣にお参りすることで、江戸時代からの風習と聞く。初詣よりも、打ち解けた感じがする。星空の道を歩く子とも、暗い境内の篝火も情趣がある。この句は、みんな揃って星空のもとをお詣りに出かけたこと。それが、なごやかでいい。(高橋正子)
見守らる星影の道除夜の鐘★★★
年の夜やパソコンの塵拭きにける★★★★
廣田洋一
黒豆をことこと煮たる大晦日★★★
大晦日一人厨で蕎麦を茹で★★★★
腰痛をなだめすかして年を越す★★★
桑本栄太郎
雪晴れや日差し煌めく庭の木々★★★★
朝よりのおせち料理や年暮るる★★★
きしきしとガラス磨きや年の果★★★

多田有花

家揺らし風荒れるなり小晦日★★★
珍しや風荒れ続け大晦日★★★★
ゆく年の光静かに消えてゆく★★★
12月30日(4名)
廣田洋一
笹鳴や遠く近くに竹揺れる★★★
冬の川白く光りて笹鳴ける★★★
店先の松の枝濡らす冬の雨★★★★
店先にあるのは、正月の用の松の枝か。はやばやと売られる松の枝に冬の雨がかかり、緑濃い松の枝もさびさびした印象に。(高橋正子)
小口泰與
小晦日午睡の犬の鼾かな★★★
カンロ飴頬張り日向ぼこかな★★★
小晦日洗車終わりて星仰ぐ★★★★
桑本栄太郎
年の瀬や妻の腰痛出で来たる★★★
小晦日の夜ともなりてみぞれ降る★★★
ゆずり葉も添えられありぬ松飾る★★★★
松飾にゆずり葉が添えられて、ゆずり葉の赤い色が品よく華やかさをかもしだしている。ゆずり葉を添える地方も、添えないところもある。(高橋正子)
多田有花
釣り人の声が聞こえる枇杷の花★★★
駆けてゆく少年たちの息白し★★★★
大型犬連れ立ち散歩年の内★★★
12月29日(4名)
小口泰與
隼や夕映えの沼騒めきぬ(原句)
隼や夕映えの沼騒めかし★★★★(正子添削)
雲速く川は平らや冬の鳥★★★
夕映えの沼きらめくや小白鳥★★★
多田有花
水鳥やさざ波たてて渚を歩く★★★
数え日の赤き実ばかり目立ちけり★★★★
日を数えるようになると、赤い実が目につく。実南天、万両、千両、藪柑子、もちの実、かまずみなど、フランスヒイラギなど。寒さの中、赤い小さい実が可愛く、印象に残る。赤色の温かさと、鳥を呼ぶその色が、歳晩をあかるくしてくれる。(高橋正子)
歳末や弁財天に人ぽつぽつ★★★

廣田洋一

温室を出でて匂へるシクラメン★★★
フレームの光の中にアフリカの木★★★★
植物園の温室に入ると、アフリカの植物がたくさん見られる。日本の真夏に元気に咲く花には、アフリカ原産のものが多い。木々も見られる。光がさんさんと差し込み。アフリカの木が異色をはなって立っている。(高橋正子)
捨てるもの先づ積み上げし年用意★★★
桑本栄太郎
日矢となる天の梯子や冬日さす★★★
吹きさらす風に怖気ず八つ手咲く★★★★
極月のレジに並びぬディスタンス★★★
12月28日(4名)
小口泰與
笛鳴らし歩む山道冬の蝶★★★★
日向ぼこ飛行機雲と鳥声と★★★
売り物の鷹のはく製峠茶屋★★★
廣田洋一
止り木に羽根を広げし若き鷹★★★★
久方の雨音聞こゆ温め酒★★★
平穏に一日過ぎし温め酒★★★
多田有花
ウォーキングの人の数多や年の暮★★★
餌与う人あり鴨の群れており★★★
光の環きらめく中に鴨の群★★★★

桑本栄太郎

毛筆の一句添えたり賀状書く★★★★
賀状は、プリンターで印刷されたものが多いが、ひとこと手書きの言葉があると、まごころが伝わってきて、うれしいものだ。毛筆で一句したためてあれば、風雅な年賀状となって、正月らしさにふれることになる。(高橋正子)
煤逃げもならず指示受け二日目に★★★
お使いの今日は何度目年用意★★★
12月27日(4名)
小口泰與
咳込むや妻の差し出すあめ袋★★★
社外掃く人皆がみな息白し★★★★
シーソーの日向ぼっこの老夫婦★★★
多田有花
<姫路城フォーシーズンファンタジアhitotose三句>
数え日のイルミネーション姫路城★★★
年暮れぬ真白き城が夜空に立ち★★★★
音楽と光と城と年惜しむ★★★

廣田洋一

予約せしお節届きて年詰まる★★★
数へ日の一時過ごす理髪店★★★★
数へ日となると、男性方は煤逃れではないだろうが、理髪店で髪を整えてもらる人が多い。待合はよく暖房されて、石鹸の匂いなどがして、思い思いに新聞や雑誌、スマホなどをみて過ごしている。師走のひと時のゆっくりした時間がある。(高橋正子)
数へ日と思ひつつ過ごす一日かな★★★
桑本栄太郎
予報聞き慌てて掛る煤払★★★
歳晩の茜となりぬ街の夕★★★
極月の月を臨むや夕空に★★★

12月26日(4名)
小口泰與
夕映えの沼の水輪や二羽の鴨★★★
爪切りの爪見失いたる師走かな★★★
良く効くと里の古老の風邪薬★★★
廣田洋一
小さくも紅は濃きかな寒椿★★★
青空に光を返す寒椿★★★★
数へ日やジムのレッスン一つ有り★★★
多田有花
水仙はうつむき加減に咲きにけり★★★
分譲住宅鉢に小さき葉牡丹を★★★★
花八つ手午後の日差しのやわらかく★★★

桑本栄太郎

埋火や俳画楽しき蕪村の忌★★★★
蕪村は絵描きとしても評価されている。私は、展示会などで蕪村の画を見ると、一幅欲しくなるのだが、俳味もあって、楽しいところがある。埋火のようなほのかな温かみがある。埋火が効いて、忌日俳句として楽しさがある句は、珍しい。(高橋正子)
数へ日や今日は今日とて先送り★★★
起きて見る西空早やも冬茜★★★
12月25日(3名)
廣田洋一
予定事一つ残して暦果つ★★★
ハイド氏のあぶりだされしクリスマス★★★
句座終へて弥撒に向かひし聖夜かな★★★
小口泰與
風花や箒目しかと華やかに★★★★
風花は遠くの山に降った雪が風に乗って飛んでくるもの。粛然とした立てられた箒目を風花が華やかにしてくれる。(高橋正子)
朝焚火ニッカポッカの鳶の人★★★
沼架かる入日の橋や小白鳥★★★
桑本栄太郎
みどり児の飼葉桶とやクリスマス★★★
日差したる水面きらめき鳰潜く★★★
寒風にゆれて絡みぬ木々の枝★★★
12月24日(5名)
小口泰與
今年我何事も無き師走かな★★★
再会の語尾の弾みて師走かな★★★★
師走のあわただしい中、会いたい人に再び会えた嬉しさ。話す言葉も語尾が上がり調子に弾んでいる。(高橋正子)
美しき鯉の飛びはね師走かな★★★
廣田洋一
信仰は別のことなり聖菓買ふ★★★
改札口出れば聖夜の灯が迎へ★★★★
いつもの改札口を出ると、迎えてくれる聖夜の灯。聖夜の灯がことさらに清らかに、瞬いている。(高橋正子)
鯉二匹口を開けたり冬日かな★★★
多田有花
降誕祭聖母マリアに花飾る★★★★
聖樹立つみなの心に祈りあり★★★
久々のお湿りなりしクリスマス★★★

桑本栄太郎

大木の剪り株白し冬ざるる★★★
黒猫の金のひとみや雪気雲★★★★
イブの夜の雨がみぞれに替りけり★★★
川名ますみ
牡蠣洗う匂いゆるゆる流れ来る★★★
人形のサンタクロースの手を握る★★★★
年用意親子喧嘩の声もあり★★★
12月23日(5名)
小口泰與
数え日やヒューズ飛びたる家の中★★★
両県にはだかる浅間師走かな★★★
空風や里の訛の同級生★★★
廣田洋一
ポインセチア道にはみだす花舗の前★★★★
ポインセチア第九の曲の響きけり★★★
かき分けて光見せたり龍の玉★★★
多田有花
木星土星隣り合いたり冬至の夜★★★
冬未明起きだすことの楽しさよ★★★★
冬の未明は一番気温が下がる時。大方の人は温かい布団から抜け出すのは、いやな時間帯だが、作者は違って、冬の未明を楽しんでいる。未明の空の星や月、外気温、窓からの暗い景色など。発見も多いことだろう。(高橋正子)
クリスマス厩のイエス飾られて★★★

桑本栄太郎

裸木となりし銀杏やバス通り★★★
ぴこぴこと尾羽上下や冬の鳥★★★
道端に献花とボトル冬ざるる★★★
古田敬二
重力に浮力が勝る柚子湯なり★★★
浴室に鬼柚子の香あふれさす★★★
全身に柚子の香つけて風呂あがる★★★★
12月22日(6名)
廣田洋一
大鮪解体ショーに横たわり★★★
大トロを一切れ加へ鮪丼★★★
取り置きし南瓜を煮たる冬至かな★★★
小口泰與
冬ざれの谷川岳や髑髏★★★
歳晩や焼き饅頭を頬張りて★★★
加湿器や稀代の難事ふつふつと★★★
桑本栄太郎
照るくもる雲の間にまに冬日かな★★★
吹き晒す風に動ぜず八つ手咲く★★★
裸木となりし銀杏や芽のとびとび★★★

多田有花

<トランプ米大統領再選支持集会・デモ in 大阪三句>
年の瀬や星条旗連ね御堂筋★★★
プラカード掲げ師走の大阪を★★★
被り物デモを楽しみ十二月★★★

古田敬二

独酌すあては冬至南瓜とす★★★
冬至から新しき事始めんと★★★
冬空へメタセコイアの三角錐★★★★
メタセコイヤの三角錐の樹形が高々と聳えている。人工的とも思えるような三角錐も冬ざれの中の印象に残るものの一つ。(高橋正子)
川名ますみ
窓を開け夕焼けに照る冬の富士★★★
窓開けよ富士の四方に冬夕焼★★★★
「窓開けよ」と思わず叫びたくなる富士山の景色。富士の四方に夕焼けが力強く広がっている。生活圏内に富士山が見える特別な恩恵とも言えそう。(高橋正子)
冬薔薇ひとひら垂らし枯れ始む★★★
12月21日(5名)
小口泰與
赤城嶺へ開く北窓冬椿★★★★
北窓を開くと産土の山、赤城山が見える。冬椿も赤く、あたたかそうに咲いている。この景色こそ、作者には心落ち着く景色なのではなかろうか。(高橋正子)
炭の香や妻を待つ間の一人酒★★★★
埋火や赤城の風に起こされし★★★
廣田洋一
待ち兼ねし今朝の柚子湯や溢れさす★★★★
冬至の柚子湯を待ちかねていた。朝湯を立てて柚子を入れ、湯を溢れさせて入る柚子湯に、身も心もすこやかになれる。至福の時を味わう。(高橋正子)
頂きし柚子に囲まれ朝湯かな★★★
電車にて冬至の朝の日差し浴ぶ★★★★
多田有花
<トランプ米大統領再選支持集会・デモ in 大阪三句>
集い来し残る紅葉の公園に★★★
冬空の下に集いし二千人★★★
横断幕手に歩く師走の街★★★

桑本栄太郎

燦々と日差し明るき冬至かな★★★
弟の退院報らす冬至の日★★★
ぷかぷかと実の寄り来たる冬至の湯★★★

古田敬二

快晴の空からまっすぐ石叩き★★★
雪晴れに快音させてゲートボール★★★★
樹間より初冠雪の伊吹山★★★