2月11日~2月20日

2月20日(5名)
小口泰與
山駅のホーム短し鳥交る★★★
大利根の荒き白波巣立鳥★★★
鶯や背の順に行く登校児★★★
廣田洋一
緑青の屋根に映えたり枝垂梅★★★
鳥居より放物線の枝垂梅★★★
枝先に一輪残る枝垂梅★★★
多田有花
コーヒーを挽く香溢れて余寒なお★★★
残り湯をリサイクルする春の朝★★★
春雨の音にしばし耳を澄ます★★★
桑本栄太郎
陽が差せば騒めき見ゆる銀杏の芽★★★★
白梅の己が明かりを誇りけり★★★
ものの芽の濡れて耀やく日差しかな★★★
Unknown(弓削和人?)
外に出ず雪の名残に雪の舞い★★★
凍て返る夜道はるかや買い出して★★★
紅梅のぽつりぽつりや園の池★★★
2月19日(5名)
弓削和人
始発駅春のわずかに目覚めたり★★★
通い路に子の弾む歩や春来る★★★
梅花を通う人みな麗しき★★★★
小口泰與
あけぼのの白き浅間や揚雲雀★★★
ワイシャツの1日の皴白き梅★★★
風の無き我が産土や百千鳥★★★
廣田洋一
風強く曇り空なる雨水かな★★★
鉢の土入れ替えたるや雨水の日★★★
花咲けと絵馬の飾られ梅の花★★★
桑本栄太郎
春雨のけぶりのやうに視界満つ★★★★
ベランダの鉢の濡れたる雨水かな★★★
枝先の濡れてしずくや木の芽雨★★★
多田有花
鞄より首出す犬や冴返る★★★
春雪や運ばれてゆく競走馬★★★★
湯を取りに戻る朝なり冴返る★★★
 
2月18日(5名)
小口泰與
まんさくや白き浅間に黒き筋★★★
春浅し利根の川波たつ仔細★★★
噴煙の西か南か春の風★★★
廣田洋一
シャンシャンに別れを告げて春寒し★★★
春の水こんこんと湧く神の池★★★★
桜の芽膨らみたれど色付かず★★★
多田有花
メレンゲをつんと尖らせ冴返る★★★
奥山の姿を隠し春の雪★★★★
車窓よりひとひら舞い込み春の雪★★★
桑本栄太郎
との曇る空に確かに木の芽かな★★★
遅き日や子共ら庭に遊び居り★★★
奔放と云われ子に継ぐかの子の忌★★★
 
2月17日(名)
小口泰與
きらきらと光る渓流放ち鮎★★★
「放ち鮎」がどうした(どのようだった)のですか。「きらきらと光る渓流鮎放つ」なら、「鮎を放った」ことがわかり、句が生き生きしてきます。「下五は体言止めが効果的」と言う説にとらわれてないでしょうか。(髙橋正子)
畦道やひたと鳴き止む夕蛙★★★
硝子戸へ雀どすんと山笑う★★★
多田有花
沖遥か霞のかかる淡路島★★★
梅が香に触れる位置まで接近す★★★
小さき緋鯉数多わき出て春の池★★★
桑本栄太郎
久方の友と出会いぬ春きざす★★★
山膚にしがみつき居り斑雪(はだれ)かな★★★
遠き日の想い出おもう春の雪★★★
廣田洋一
池の端首筋撫でる柳の芽★★★
青空に彩り添へて河津桜★★★
寄せ太鼓高くひびきて風光る★★★★
2月16日(5名)
小口泰與
この窓に朝日差しけり百千鳥★★★
春雷や九十九折なる山の径★★★
春風や野鳥手に来る森の路★★★
廣田洋一
軒下に野菜並べて春寒し★★★
駅中で大福売られ春寒し★★★
赤飯の横に売られし鶯餅★★★
多田有花
古墳ある春の山道を辿る★★★
風光る重なりあいて島の影★★★★
頂に寝転んで見る春の空★★★
桑本栄太郎
竹林の百幹揺るる余寒かな★★★
白きもの混り風吹く冴返る★★★
山膚にしろきもの見ゆ春の山★★★
弓削和人
講演を待ちて静まり桃の花★★★★
新幹線星の過ぎゆく余寒かな★★★★
春花の楚々と揺れたり蒸汽船★★★
2月15日(5名)
小口泰與
全容の火の山忽と霞みけり★★★★
端正の雛に座したる吾子の顔★★★
春雪や悉く木の花とせる★★★
弓削和人
朝海にわずかな春や照る山辺★★★★
春の海滞船わずか揺らぎけり★★★★
つづきたる足跡はるか春の海★★★
廣田洋一
飛沫上げ雪を投げ込む雪解川★★★
雪解水流れ早める街の中★★★★
どこまでも二匹並びて猫の恋★★★★
多田有花
高木の伐られ広々春の空★★★
切株に坐し梅林を眺めおり★★★
播磨灘望む梅林となれり★★★★
桑本栄太郎
淡雪の陽射しの中を舞いにけり★★★
降ればすぐ歩道吸い込む春の雪★★★
ふるさとを遠くに想う名残り雪★★★★
2月14日(3名)
小口泰與
庭隅の椿へ翔る野鳥かな★★★
風光る湖まんまんと水湛え★★★★
種の違う鳥の争う春の枝★★★
多田有花
藪つばきつやつやと葉を従えて★★★★
つやつやとした葉に藪つばきの花がくっきりと見える句。花をそれほど言っていないのに、花の印象が強い。(髙橋正子)
早春の日差し明るき森をゆく★★★
紅梅咲く花びらを陽に透かせつつ★★★
廣田洋一
看護師に貰ひしチーズケーキバレンタインデー★★★
バレンタインのチョコ菓子作る女の子★★★
春苺きらきら光放ちをり★★★
2月13日(4名)
小口泰與
揚雲雀聲騒がしや野犬居り★★★
いぬふぐり湖畔のボート綱とかれ★★★
山風を身に孕ませて蓬摘む★★★★
廣田洋一
縁側に並ぶ雛菊鮮やかに★★★
三色菫揃ひてこちら向きてをり★★★★
薔薇の芽や棘より小さくふふみたる★★★
多田有花
恋猫の長き夜あるいは短き夜★★★★
すべきこと最小限に二月早や★★★
咲き初めし紅梅の下とらつぐみ★★★
桑本栄太郎
ものの芽のしつとり青に春の雨★★★★
雨降れば午後より寒く冴え返る★★★
<2月12日近鉄小坂駅>
駅前に鉢植えならべ菜の花忌★★★
2月12日(4名)
小口泰與
喧騒と言うほかは無し猫の恋★★★
春風に大利根の瀞目覚めける★★★★
大沼の梢の小鳥風光る★★★
多田有花
春ぐもりペンキ塗りたての香る★★★★
コンバーターにインク吸い上げ春はじめ★★★
丘の家へ春の朝日の差しにけり★★★
廣田洋一
斜張橋白くそびえて風光る★★★★
列なして紫光る菫かな★★★
若草や駆け回りたる子らの声★★★
桑本栄太郎
山里の甍まぶしき春日かな★★★★
溝川の春の小川となりにけり★★★
足下の花びら震え犬ふぐり★★★
2月11日(4名)
小口泰與
春雪の静寂に忽と猫の声★★★
春雪の刹那背の順登校児★★★
春雪や雁字搦めの裏の門★★★★
廣田洋一
雪止みて空晴れ渡る建国の日★★★
駅前に国旗はためく紀元節★★★
畑横切る犬の足跡春浅し★★★
多田有花
雨上がり朝日まぶしき建国日★★★
早春にふんわりと焼くパンケーキ★★★
犬連れる人の遊べる春の午後★★★
桑本栄太郎
佇みて色めく余寒さくら芽木★★★
へんぽんと旗ひるがえる建国日★★★
さざ波のわらわら走り風光る★★★

■2月月例ネット句会ご案内

■2月月例ネット句会ご案内
①投句:当季雑詠(春の句)3句
②投句期間:2023年2月5日(月)午前6時~2023年2月12日(日)午後5時
③投句は、下記アドレスブログの<コメント欄>にお書き込みください。
※どなたでも投句が許されます。
月例ネット句会ブログ:https://blog.goo.ne.jp/kakan02d
▼互選・入賞・伝言
①互選期間:2月12「日(日)午後6時~午後10時
②入賞発表:2月13日(月)正午
③伝言・お礼等の投稿は、2月13日(月)正午~2月16日(木)午後6時
○句会主宰:高橋正子
○句会管理:高橋信之

自由な投句箱/2月1日~2月10日

※当季雑詠3句(冬の句・春の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/2月1日~2月10日

2月10日(1句)
★早春や利根の白波育ちそめ/小口泰與
川の見方は難しいところがあるが、上流や中流の川では、早春、雪解けで川の水が増えて流れが急になると岩に当たって白波が立つようになるのだろう。そんな川の姿を見て「早春」の思いを強くもった。(髙橋正子)
2月9日(1句)
★未明月を見上げて湯を沸かす/多田有花
未明に起きたとき、お茶を飲むためにガスに暖まりながら、シュンシュンと湯を沸かすのは私もだ。早春の未明のしらじらとした空気に窓から見える冷ややかに澄んだ月の取り合せがいい。(髙橋正子)
2月8日(1句)
★まんさくや雪の山肌眼間に/小口泰與
私は節分の日、横浜の里山公園でまんさくがほころんでいるのを見た。泰與さんは雪の山肌が眼間に迫るところのまんさくを見られた。雪とまんさくが素敵で美しい。(髙橋正子)
2月7日(2句)
★クロッカス日は利根川を直射せり/小口泰與
「直射せり」が日の力強さを表現している。同時に早春の小さい花と大利根の流れが対比され、早春の日に清潔感が読み取れる句となっている。(髙橋正子)
★母の忌の咲き揃ひたる黄水仙/廣田洋一★★★★
日も暖かくなり、さらりとした表現の中に、母への優しい思いが伝わる句。(髙橋正子)
2月6日
※該当句無し
2月5日(1句)
★春が来る走れ新生児救急車/多田有花
新生児に特化しての救急車、「新生児救急車」が、サイレンを鳴らし急を報せながら走る。一分一秒を争う命が助かるように「走れ」とエールを送る。万物の命の春が来ているではないか、と。(髙橋正子)
2月4日(1句)
★雪かきのスコップ屋根に残りけり/弓削和人
和人さんは、雪の少ないところから雪国へ転勤されて、新しい経験をされていることと思う。雪かきのスコップが屋根に残されているのも珍しく目に映る。(髙橋正子)
2月3日(4句)
★あけぼのの荒き山風揚げ雲雀/小口泰與
あけぼのは特に山風が荒い。山風を漕ぎに漕いで、習性とは言え、雲雀は空高く揚がる。不屈の力。(髙橋正子)
★大鷭を浮かべし池や日脚伸ぶ/多田有花
大鷭は黒い鳥だが、鴉のように艶はない。日々伸び行く日差しに、シルエットのように池に浮かんでいるは、真っ黒い大鷭。「日脚伸ぶ」よく生きている。(髙橋正子)
★法螺の音の先導したる節分会/廣田洋一
寺社によって節分会はさまざまな形で行われ、赤鬼、青鬼が法螺貝を吹く修験者を迎えたり、厄除けの儀式ながら、可笑しく、楽しいものであったりする。
法螺貝の音色で異次元の世界に誘われるようだ。(髙橋正子)
★壬生寺へ妻の出掛けや追儺の会/桑本栄太郎
壬生寺の追儺会では、壬生狂言などが行われ、とりわけ楽しみな追儺式である。まるで芝居見物に出かける妻を見送るような心境ではないか。(髙橋正子)
2月2日(1句)
★待春の空気満ちたり酒蔵に/多田有花
日本酒は、1月4、5日から立春までに作られる寒造りが品質がよいということである。出来た酒は新酒として売られるが、そうでないものは一定期間置いて火入れ(低音殺菌)して貯蔵される。立春までに作られた寒造りの酒は、まさに「待春の空気」を感じさせてくれるものだろう。(髙橋正子)
2月1日(2句)
★明星や凍星となり光増す/廣田洋一
明星は金星のこと。暁けの明星、宵の明星と見える位置が違っている。冬星は瞬かないと言われるが、さらに凍星となっては鋭い光となる。そこを見逃さなかった。(髙橋正子)
★枝先の赤味初めたり寒ゆるむ/桑本栄太郎
赤い色は、明るくて、力があって、可愛さもあって、めでたくて、といろいろなイメージをもっている。枝先に赤みが見えると春遠からじと思える。寒のゆるみに気づいたこと。(髙橋正子)

2月1日~2月10日

2月10日(5名)
小口泰與
早春や利根の白波育てそめ(原句)
早春や利根の白波育ちそめ★★★★(正子添削)
春暁や枝に鈴なり雀達★★★
大小の野鳥消えけり春の雪 ★★★
多田有花
干しものをする春の雲見上げつつ★★★
山笑い初めし麓を川流る★★★★
春雨に傘の花咲く下校時★★★
廣田洋一
子ら集ひ母の忌修す二月かな★★★★
チョコレート派手に積上げ二月来る★★★
春の雪着物姿の見映え良き★★★
桑本栄太郎
春しぐれ妻は指圧へ出掛け居り★★★
耳鳴りのつづく朝や春の雨★★★
部屋干しを数多吊るすや春の雨★★★
弓削和人
立春の静岡駅や風過ぎぬ★★★★
雪の根に踏ん張る靴や明けの駅★★★
寒明けの夜雨つづくや街あかり★★★
2月9日(4名)
小口泰與
春光や木木の間にまに鳥の影★★★
麗らかや手の平の餌に野鳥来る★★★
春浅し駆け来る子らの鼻赤し★★★
廣田洋一
デージーの国より来たり白髪に★★★
雛菊の明るき光診療所★★★★
神門の大樹を仰ぎ実朝忌★★★
多田有花
春未明月を見上げて湯を沸かす★★★★
未明に起きたとき、お茶を飲むためにガスに暖まりながら、シュンシュンと湯を沸かすのは私もだ。早春の未明のしらじらとした空気に窓から見える冷ややかに澄んだ月の取り合せがいい。(髙橋正子)
沈みゆく月を隠せる朝霞★★★
窓開けて夕餉の仕込み春の昼★★★
桑本栄太郎
料峭の帽子飛ばさる橋の上★★★
まんさくの蕾ふくらむ葉のままに★★★
春日さすバスの車窓の家路かな★★★
2月8日(4名)
小口泰與
川魚の腹にたっぷり蕗の味噌★★★
まんさくや白き山肌眼間に(原句)
季重なりを気にして「白き山肌」としたと思いますが、はっきり「雪の山肌」としないと曖昧になります。この場合、「まんさく」が主たる季語です。(髙橋正子)
まんさくや雪の山肌眼間に★★★★(正子添削)
私は節分の日、横浜の里山公園でまんさくがほころんでいるのを見た。泰與さんは雪の山肌が眼間に迫るところのまんさくを見られた。雪とまんさくが素敵で美しい。(髙橋正子)
忽然と土を裁ち割るクロッカス★★★
多田有花
外は雨暖かき朝となりにけり★★★
期待こそ幸いの元梅開く★★★
ボサノバを聴きつつ食事春の昼★★★
廣田洋一
りんりんと鈴を鳴らして針供養★★★★
こぼしたる針を拾ひて針供養★★★
神官の祝詞朗々梅の花★★★
桑本栄太郎
春ざれや余熱でつくる玉子焼き★★★★
堰水の光のきらめき落つや猫やなぎ★★★
紅梅の紅のふふむや丘の梅★★★
2月7日(4名)
小口泰與
牧棚に沿いて黄梅咲きにけり★★★
クロッカス日は利根川を直射せり★★★★
「直射せり」が日の力強さを表現している。同時に早春の小さい花と大利根の流れが対比され、早春の日に清潔感が読み取れる句となっている。(髙橋正子)
淡き香の風ともないて風信子★★★
廣田洋一
門前に整列したる黄水仙★★★
母の忌の咲き揃ひたる黄水仙★★★★
日も暖かくなり、さらりとした表現の中に、母への優しい思いが伝わる句。(髙橋正子)
鱈の芽をカラりと揚げて夕餉かな★★★
「鱈の芽」は「楤の芽」の誤変換ですね。(髙橋正子)
多田有花
氏神の社に集い年越祭★★★
路地裏で草野球する春早し★★★
小さき鬼春の初めの軒下に★★★
桑本栄太郎
悠然とひごい真鯉や春の川★★★★
頭より突つ込む尻や春の鴨★★★
堰水の光りきらめく春の川★★★
2月6日(4名)
小口泰與
日を返す水面や沼の夕蛙★★★
唸り飛ぶ花粉まみれの熊ん蜂★★★
梅咲くや肌に切り込む冷気あり★★★
廣田洋一
鶯や声あちこちに庭の奥★★★
料峭や軒下借りて野菜売る★★★
腰痛のツボを押さへて二日灸★★★
多田有花
蝋梅に日差し明るく寒明ける★★★
毛を纏うはくれんの芽や春立ちぬ★★★
立春やクロスバイクをもらいけり★★★
桑本栄太郎
いつまでも消えぬ残雪山膚に★★★
山すその畑のけぶりや春の里★★★
蠟梅のぬめり輝く朝の庭★★★
2月5日(4名)
小口泰與
腹を見せ草に掴まる蛙かな★★★
決心の稜線行くや喜寿の春★★★
田に畦に燥ぐ蛙や雨の中★★★
廣田洋一
立春大吉波の煌めく由比ヶ浜★★★★
強東風に土手の草々なびきけり★★★
薄氷のきらきら光る朝日かな★★★
多田有花
春が来る走れ新生児救急車★★★★
立春の土手を登りて川に出る★★★
春来る陽は暖かく柔らかく★★★
桑本栄太郎
蝋梅のぬめり輝き日差しけり★★★
紅梅のつぼみふふめり丘の上★★★★
何時までも消えぬ斑雪や山の膚★★★
2月4日(5名)
小口泰與
岩燕利根源流の杣の径★★★
揚雲雀白き浅間を眼間に★★★
山鳥や猟犬さっと構えたる★★★
廣田洋一
立春や窓打つ日差し柔らかく★★★
鶯の枝から枝へ青き空★★★
春寒し散歩するにも衿立てて★★★
多田有花
節分も常のメニューと変わりなし★★★
冬尽きぬ声高らかに歌われて★★★
雉盛んに鳴いて冬を送りけり★★★
桑本栄太郎
谷あいの白き筋なす斑雪かな★★★
立春のマルチきらめく畑しごと★★★
テント張り丘上に遊ぶ子等立春★★★
弓削和人
雪かきのスコップ屋根に残りけり★★★★
ワイパーを立てたる車雪の駅★★★
立春や遺るは白き靴の跡★★★
2月3日(4名)
小口泰與
曙の梢(うれ)に掴まり巣立鳥★★★
うぐいすやみたらしだんごほうばりて★★★
あけぼのの荒き山風揚げ雲雀★★★★
多田有花
大鷭を浮かべし池や日脚伸ぶ★★★★
折りたたみ籠携えて春近し★★★
ハムストリングゆっくり伸ばし冬の果★★★
廣田洋一
法螺の音の先導したる節分会★★★★
吾が頭直撃したる福の豆★★★
吾が年を越へて拾ひぬ年の豆★★★
桑本栄太郎
壬生寺へ妻の出掛けや追儺の会★★★★
水底の光り揺らぐや蘆の角★★★
節分や我が身のうちの鬼やらふ★★★
2月2日(4名)
小口泰與
一羽とび三羽消えけり寒雀★★★
冬ばらの枯るる仔細を極めけり★★★
水鳥や榛名へ夕日退りける★★★
廣田洋一
節分やどこの神社に参ろうか★★★
早梅や枝先に日を集めをり★★★
梅早し日差し豊かな河川敷★★★★
多田有花
<明石市・魚住住吉神社>
春を待つ神は海より来たりけり★★★
<明石市・茨木酒造二句>
寒中の酒蔵の暖簾をくぐる★★★
待春の空気満ちたり酒蔵に★★★★
日本酒は、1月4、5日から立春までに作られる寒造りが品質がよいということである。出来た酒は新酒として売られるが、そうでないものは一定期間置いて火入れ(低音殺菌)して貯蔵される。立春までに作られた寒造りの酒は、まさに「待春の空気」を感じさせてくれるものだろう。(髙橋正子)
桑本栄太郎
谷あいの陰にありたり斑雪★★★
水底の光り揺らぐや蘆の角★★★
塵出しの闇に霙の夜寒かな
歳時記では、「夜寒」は、秋の季語で、夜分に寒さを感じることとなっています。(髙橋正子)
2月1日(4名)
小口泰與
山裾の杉百幹や冬の鵙★★★
黙想の沼や忽然鴨の声★★★
しかじかと雀集える枯木かな★★★
廣田洋一
明星や凍星となり光増す★★★★
川の鯉動きいや増し春遠からじ★★★
雪富士や白雲浮かべ端然と★★★
多田有花
牡蠣フライ大きく四つ並びおり★★★
<明石市・浜の散歩道二句>
穏やかな寒の海辺を散歩する★★★
水仙や住吉神社の参道に★★★
桑本栄太郎
にび色の日差し明るく二月来る★★★
もくれんの冬芽早くも色めきぬ★★★
枝先の赤味初めたり寒ゆるむ★★★★

自由な投句箱/1月21日~1月31日(2023年)

※当季雑詠3句(冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/1月21日~1月31日(2023年)

1月31日(1句)
★一月の果てて又もや雪催い/桑本栄太郎
一月が終わると、すぐに節分、立春と続く。が、一月の果てというのに、またも雪。雪催いの天気もあすはまた移り変わるだろう。(髙橋正子)
1月30日(2句)
<明石市・浜の散歩道>
★春近き子午線の町を歩きけり/多田有花
明石市は東経135度の子午線が通る日本でも特別な町。春と言う季節を天文的に、しかも特別な町の生活の中で捉えた楽しい句。(髙橋正子)
★寝て起きぬひかりて根づく雪の原/弓削和人
「寝て起きぬ」は、雪の原のこと。雪の原が夜となり、朝となり起きて朝日にひかる。このようにして、雪が根づいてゆく。このように捉えた句は類がないと思う。(髙橋正子)
1月29日(1句)
★寒禽の雪を零して飛翔かな/桑本栄太郎
寒禽は雪の積もった枝に止まっているのだろう。飛び立つとき雪を零して飛んで行った。寒禽が雪を零した瞬間が生き生きとしている。(髙橋正子)
1月28日(1句)
★昇り来る朝日を待ちぬ雪の嶺/多田有花
朝日が昇る前のほのぐらさに雪嶺は目覚めて白い姿を横たえている。朝日が昇ると雪の嶺はどんな色に輝くのか。ばら色に輝くかもしれない。(髙橋正子)
1月27日(1句)
★窓開ければ又もしきりに今朝の雪/桑本栄太郎
昨日は雪だった。今朝窓を開けると、またもしきりに雪が降っている。降り続く雪は止むこともない。雪がしきりに降る「朝の情感」がいい。(髙橋正子)
1月26日(1句)
★ふくら雀鉢に休みて動かざる/廣田洋一
ふっくらと羽毛を膨らませた雀は見ていると可愛らしいが、じっとして休んでいる。鉢の端に止まって動かないのだ。可愛さとはまた別のふくら雀の姿。(髙橋正子)
1月25日(1句)
★笹鳴や襖閉めたる四畳半/小口泰與
四畳半はこじんまりとした部屋。その部屋が寒くないように襖をぴったり締めて読書でもしているのだろうか。笹鳴が聞こえ、「ほう」と言う声が思わずもれそう。(髙橋正子)
1月24日(2句)
★強霜のなかにいきいき大根葉/多田有花
強霜にもめげず、大根葉が緑濃い葉をいきいきと広げているのを見ると、
人間も励まされ、元気がでる。寒ければ寒いほど、元気に葉を広げている大根が際立つ。(髙橋正子)
★雪しまく京の夜とはなりにけり/桑本栄太郎
盆地である京都は街まで雪が深く積もることは珍しいと報道されていた。この度の寒波でみやびな京の夜も雪がしまき、白一色の世界となっている。(髙橋正子)
1月23日(1句)
★流れ行く水を触りて春を待つ/小口泰與
流れ行く水を見れば、触りたくなるのは待春の心。決して凍っていない、そうそうと流れる水は、幾分かでも温みはじめたであろうか。「流れ行く水」がいい。(髙橋正子)
1月22日(1句)
★寒禽の翔ぶと云うより跳びにけり/桑本栄太郎
鳥も寒いと体が縮こまって硬くなるのか、「飛翔」とは言い難い飛び様。チョンチョンと跳んでいるような姿を見せてくれる。寒さにふくらんだ鳥の姿が思い浮かぶ。(髙橋正子)
1月21日(1句)
★陽光の光りきらめき風花す/桑本栄太郎
風花は遠くの嶺などに降った雪が風で運ばれてちらちら降る雪。大寒には、はや日の光は明るく強さを増してくる。日の光は、なりよりも季節の推移を報せてくれる。明るさの中に舞う風花が美しい。(髙橋正子)

1月21日~1月31日(2023年)

1月31日(3名)
多田有花
<明石市・浜の散歩道三句>
陽光のきらめく渚鴨集う★★★★
日向ぼこするごと小船の引き上げられ★★★
春近き大橋の袂でウインドサーフィン★★★
廣田洋一
寒卵茹でてチーズに代へにけり★★★
道草の丈伸び来たり春隣★★★
ローラースケートの初すべり春隣★★★
桑本栄太郎
一月の果てて又もや雪催ひ★★★★
風花や赤き実乾ぶ遊歩★★★道
四温とはいまだ為らざる日差しかな★★★
1月30日(5名)
小口泰與
曙の澄める野川の氷柱かな★★★★
春近き利根の川面や夕日蹴る★★★
行く冬や解き放たれる髪膚にて★★★
廣田洋一
久闊を叙するメールや初三十日★★★
縦に割り白き身さらす白菜かな★★★
葉牡丹や朝日に向かひ傾ぎをり★★★
多田有花
<明石市・浜の散歩道二句>
春近き子午線の町を歩きけり★★★★
春隣る海まで坂道を降りる★★★
<明石市・来迎寺十一面観音像>
面変わり観音拝観寒の内★★★
桑本栄太郎
陽の力日々に戻りて日脚伸ぶ★★★★
寒晴れの日差し明るき窓の空★★★
残雪の遠嶺明るき日差しかな★★★
弓削和人
雪原や悲しいまでに澄みきりて★★★
寝て起きぬひかりて根づく雪の原★★★★
朝の日を氷柱や垂れて待ちわびぬ★★★
「待ちわびる」の「わびる」に感情が入りすぎているのではないでしょうか。(髙橋正子)
1月29日(3名)
多田有花
寒暁の静けさのなかに座りおり★★★
静かさは土曜の朝の積雪か★★★
午後の陽のすでに明るし春隣★★★
小口泰與
老躯いま鳥にかしずき四温かな★★★
隼や羽音激しき雀達★★★
鈴なりの雀の数や枯枝垂れ★★★
桑本栄太郎
凍雪の車閉じ込め出でられず★★★
寒禽の雪を零して飛翔かな★★★★
網に入れ種の干軒端に草城忌★★★
1月28日(4名)
廣田洋一
地元産野菜特売春隣★★★
湘南に雪の予報や春近し(原句)
「湘南に雪の予報や」と「春近し」の関係が気になります。(髙橋正子)
湘南に雪の予報も春近し★★★★(正子添削)
ぜんざいの餅は一つと決まりをり★★★
多田有花
昇り来る朝日を待ちぬ雪の嶺★★★★
雪の枝へ群れ集いたる雀かな★★★★
朝の雪雨に変わりて昼となる★★★
小口泰與
しかずかに一羽の鴨の群離れ★★★
隼や庭木の雀騒ぎたつ★★★
探梅や坂東太郎滔滔と★★★★
桑本栄太郎
凍晴れやはるかに望む雪の嶺★★★
凍雪のがりがり踏みて子等の声(原句)
凍雪をがりがり踏みて子等の声★★★(正子添削)
ふるさとの村の孤立や豪雪に★★★★
1月27日(4名)
小口泰與
夕映えの褪めてしまうや池の鴛★★★
鴨の中一羽悠然かいつぶり★★★★
綿入やさやにはにかむ吾子二人★★★
廣田洋一
風止みて三日月冴ゆる西の空★★★
参道に龍の玉あり南無阿弥陀★★★★
柊挿していつも通りの鮨屋かな★★★
多田有花
風おさまる夕刻雪の降り出しぬ★★★
積雪に備えワイパーを上げる★★★
冬帝に列島頭を低くする★★★
桑本栄太郎
凍窓や起きてすぐ拭く日のつづく★★★
窓を開け又もしきりに今朝の雪(原句)
窓開ければ又もしきりに今朝の雪★★★★(正子添削)
凍空や早やも日暮れのあかね雲★★★
1月26日(5名)
小口泰與
手のひらへふはりと野鳥枯木立★★★
山風の溶かす大地や日脚伸ぶ★★★
さ迷える人の数多や虎落笛★★★
多田有花
寒波来る外の蛇口にタオル巻く★★★
雲低く寒風しだいに強まりぬ★★★
冬将軍総攻撃の今宵かな★★★
廣田洋一
ふくら雀鉢に休みて動かざる★★★★
日の当たる道を塞ぎしふくら雀★★★
悴みて三日月照らす西の空★★★
桑本栄太郎
何もかもリセットするかに雪景色★★★
ガリガリと車発車や凍つる朝★★★
日脚伸ぶ吾が半生に瑕瑾なし★★★
弓削和人
マフラーをきつく締めるや戸の施錠★★★
日向ぼこバスを待ち待ち頬ゆるみ★★★
寒風や荷物を手繰る指かたし★★★
1月25日(4名)
小口泰與
さびさびの利根の河原や冬の鷺★★★
様様な波の形や枯葎★★★
笹鳴や襖閉めたる四畳半★★★★
廣田洋一
探梅や天神様に祈願せり★★★
探梅や良い匂いねと声上がり★★★
川べりの草々揺れて冬田かな★★★
桑本栄太郎
雪しまく雄叫び激し夜もすがら★★★
風雪や禍根残らぬ吾が半生★★★
露凝るや窓拭く時の開けやらず★★★
弓削和人
風花の舞いて大きく車窓を過ぐ★★★
冬木立学生時分の吾の影★★★
寒波あり天のいずこやはからうか★★★
1月24日(5名)
小口泰與
寒梅や風に逆らう二羽の鳶★★★
鷹舞うや蒸気機関車喘ぎける★★★
水鳥や咳く我に鋭声吐く★★★
多田有花
干し物に残る湿りや冬深し★★★
強霜のなかにいきいき大根葉★★★★
強霜にもめげず、大根葉が緑濃い葉をいきいきと広げているのを見ると、
人間も励まされ、元気がでる。寒ければ寒いほど、元気に葉を広げている大根が際立つ。(髙橋正子)
雨の朝軒下で鳴き寒雀★★★
廣田洋一
残り物寄せ鍋にして一人分★★★
寄せ鍋や婦人が采配振るひたり★★★
庭の隅彩り付けて実千両★★★★
桑本栄太郎
寒波来る顔をしかめつ歯の治療★★★
麦の芽のあごひげかとも葦平忌★★★
雪しまく京の夜とはなりにけり★★★★
盆地である京都は街まで雪が深く積もることは珍しいと報道されていた。この度の寒波でみやびな京の夜も雪がしまき、白一色の世界となっている。(髙橋正子)
弓削和人
寒波いま信号待ちにすれ違い★★★
底冷えや蛇口は一切閉じにけり★★★★
都心ビル闇に響ける虎落笛★★★
1月23日(5名)
小口泰與
赤城よりこれぞこの風空っ風★★★
さなぎだに山湖淋しき鴛鴦一羽★★★
流れ行く水を触りて春を待つ★★★★
流れ行く水を見れば、触りたくなるのは待春の心。決して凍っていない、そうそうと流れる水は、幾分かでも温みはじめたであろうか。「流れ行く水」がいい。(髙橋正子)
廣田洋一
窓際の鉢にやりたる寒の水★★★
寒の水五臓六腑の目覚めけり★★★★
起き抜けの腰痛止めんと寒灸★★★
多田有花
寒暁の空に残りし飛行機雲★★★
春を待ち作る真昼のカレーかな★★★★
午後の陽の陰りて雪の予報かな★★★
桑本栄太郎
陽光の日差し明るく寒の雨★★★
雨降れば体操したる寒波かな★★★
<故郷の日本海を追憶>
海鳴りのふるさと想う寒怒涛★★★
弓削和人
遊ぶ子ら帰る夕べの雪の跡★★★
家の中そぞろ歩きて深雪かな★★★
天高く地を推す雪や夜の杜★★★
1月22日(4名)
小口泰與
上州の風の定かな冬の利根★★★
着水の鴨たちまちに首伸ばし★★★
枯枝にさと向きを変う野鳥かな★★★
多田有花
投げられしバトン追いけり冬の犬★★★
春まぢか知らせるものは日差しなり★★★
ヒレ肉の色鮮やかに日脚伸ぶ★★★
廣田洋一
茶の花や小川の流れゆったりと★★★
茶の花の垣を成したり池の端★★★
大寒の水ひたひたと法の池★★★
桑本栄太郎
教会の讃美歌零れ寒の晴れ★★★
寒禽の翔ぶと云うより跳びにけり★★★★
鳥も寒いと体が縮こまって硬くなるのか、「飛翔」とは言い難い飛び様。チョンチョンと跳んでいるような姿を見せてくれる。寒さにふくらんだ鳥の姿が思い浮かぶ。(髙橋正子)
陽光のマルチ煌めく寒日和★★★
1月21日(5名)
小口泰與★★★
近寄るや沼へ翔け行く鴨の群★★★
笛の音に冬霧立つや山の城★★★
赤城よりこの風定か虎落笛★★★
廣田洋一
訃報告げる友の留守電冴えにけり★★★
ライブ果つ不忍池の冴ゆる中★★★
道端に喇叭並べる水仙花★★★
友田 修
大寒の朝穏やかに晴れわたる★★★
大寒にひかり輝く屋根瓦★★★★
雑煮餅これが最後ね妻が言う★★★
多田有花
車出すリアウインドウ凍てしまま★★★
地は白く凍てて朝日を焦がれおり★★★
寒鴉鳴く声夜明けを告げており★★★
桑本栄太郎
才媛の疎まれやすく久女の忌★★★
陽光の光りきらめき風花す★★★★
風花は遠くの嶺などに降った雪が風で運ばれてちらちら降る雪。大寒には、はや日の光は明るく強さを増してくる。日の光は、なりよりも季節の推移を報せてくれる。明るさの中に舞う風花が美しい。(髙橋正子)
ビニールのハウス煌めき春近し★★★

自由な投句箱/1月11日~1月20日(2023年)

※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
※★印の基準について。
「心が動いている」句を良い句として、★印を付けています。
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

今日の秀句/1月11日~1月20日

1月20日(1句)
★冬枯を静かに流る昼の川/多田有花
「昼」と時を特定された川は、朝や夕べの川と何が違うのだろうか。姿を良く見せて明らかに、急がず緩まず流れる。冬枯には昼の川を一本通したい。枯れの静かさがいい。(髙橋正子)
1月19日(1句)
★日に光るビニールハウス春隣り/桑本栄太郎
日に光るビニールハウスを見ると春が近いと感じてします。ふんだんに差す明るい日の光は春なればこそのもの。(髙橋正子)
1月18日(1句)
★葱提げて妙義の風を纏いけり/小口泰與
上毛三山の一つ妙義山の麓下仁田は葱の産地で有名。丈が短く太い下仁田葱は煮ると甘くとろけるようになり美味。葱を提げ、土産にして誰かを訪ねるところか。畑から抜いて帰るところか。それはわからないが、妙義山からの寒風をまとい葱を提げるのは、この地の生活であろう。(髙橋正子)
1月17日(1句)
★明けやらぬ刻や阪神震災忌/桑本栄太郎
阪神・淡路大震災が起こったのは、1月17日の未明。明けやらぬ刻。そのとき私たちは松山に住んでいたが、揺れに起こされ、テレビをつけると死者のニュースや、新幹線の橋脚が倒れ、道路が曲がっている映像。死者もはじめ500人になるのではと思っていたが、時間が経つにつれ、大変な災害になっているとわかった。死者は5000人を超え始め、近所の娘さんも一日経って遺体となって松山への実家へ帰られた。その「明けやらぬ刻」が記憶されるべき追悼の時となった。(髙橋正子)
1月16日(2句)
★寒風の竹林大きくゆらぎけり/桑本栄太郎
寒風に竹林がゆらぐ。こきざみではなく、大きくゆらぐ。竹のしなやかさ、寒風の力強さが思われる。(髙橋正子)
★初風呂や新たな湯気を胸いっぱい/弓削和人
新年初めて風呂に入った。新年の風呂の湯気は、新しく、ぬくぬくと湯船から立ち上がる。その湯気をためらわず胸いっぱい吸った。気持ちのよい大らかな句。(髙橋正子)
1月15日(2句)
★寒中の快晴水音軽やかに/多田有花
寒中の瀬戸内は快晴が続いた。雨も降らないので、流れる水の音は軽やかに鳴っている。寒中の清潔さのなかの水音がきれいだ。(髙橋正子)
★夜来の雨止みたる空にどんどの火/廣田洋一
夜来の雨があがったばかりの空は、塵が洗われてうるんだような感じ。その空へどんどの火が大きく燃え上がる。正月の飾りを焼くどんど火がきよらかだ。(髙橋正子)
1月14日(1句)
★先んずる鴨の鋭声や沼真中/小口泰與
先を行く鴨が鋭い声を発している。何かを警戒する声か。沼の真ん中というのも気になるが、状況が真に迫って読み取れる。(髙橋正子)
1月13日(句)
★新海苔の香り立ちたる握飯/廣田洋一
新海苔と聞けば、どこか粋な印象を私はもつ。握飯に巻けばいい香りが立ち食欲がそそられる。単刀直入な表現があっさりしていて内容にふさわしい。(髙橋正子)
1月12日(2句)
★存分に日差しを浴びる刈田かな/多田有花
存分に日差しを浴びる刈田がおだやか。瀬戸内沿岸の刈田の風景を思い起こす。日差しはその地方地方の気候の特徴をよく表しているように思う。日差しがよく観察された句。(髙橋正子)
★獣ゆく足跡のほか雪ばかり/弓削和人
降り積もった雪を歩いて行ったのは獣だけ。残されているのはその獣の足跡。
それ以外は何もない世界のさびしさ。少し気持ちを離してみれば、メルヘンの世界のようである。(髙橋正子)
1月11日(1句)
★寒梅や澄みたる空に伸びる枝/廣田洋一
寒梅の若枝がすっと空に伸びている。伸びた枝が寒空の青さを印象付けて、余分のないすっきりした句になっている。(髙橋正子)