1月20日(2句)
★凍星や昨日のメールはや古ぶ/小口泰與
星も凍る寒い夜、昨日のメールは、それがいつのメールかと思えるように、日が過ぎた思いがする。(髙橋正子)
★日の温みふわり抱へて福寿草/廣田洋一
「ふはり(ふわり)」に作者の優しさと、冬の日ざしの温みがよく読み取れる。(髙橋正子)
1月19日(2句)
★風防ぐビニール強し冬いちご/小口泰與
下に参考にあげた句は、同じ作者の句で、発想に似通うところがあるが、冬苺の句に新しさがあるように思う。「ビニール強し」には、作者の思いが素直に出ている。現実をよく写生していると言える。
(参考:霜防ぐわら束数多星の夜/小口泰與)
(参考:霜防ぐわら束数多星の夜/小口泰與)
(髙橋正子)
★葱青々ところどころは折れながら/多田有花
畑に青々としている葱も、どれもがまっすぐではなく、ところどころに葉が折れている。折れた原因は風の仕業か、栄養状態なのかはわからないが、自然さがいい。(髙橋正子)
1月18日(2句)
★松過の夕刻にある明るさよ/多田有花
松過、松明は、関西では十五日、関東では七日と慣習的に言われている。冬至をすぎ、2,3週間のころで、日ごと昼間が長くなっていく。夕刻にも明るさが見えるようになった。夕刻の明るさに希望が見えるようだ。(髙橋正子)
★駅降りてどちらに行くか探梅行/廣田洋一
探梅に行く。初めての土地か、右に行っても左に行っても、北に行っても南に行っても、梅園はあるのだろう。どちらへ行くかは、あたりを見回して、勘に頼ってきめるのかもしれない。ちょっと迷って、それも楽しい探梅行だ。(髙橋正子)
1月17日(1句)
★ぽつぽつと朝日に目立つ冬木の芽/桑本栄太郎
冬木の枝に朝日が差すと、小さな冬木の芽が「ぽつぽつ」と浮かぶ。一番に朝日に目立つのである。小さい冬木の芽なが鋭い様子がうかがえる。(髙橋正子)
1月16日(1句)
★風花の光り溜めつつ躍りけり/桑本栄太郎
風花は遠くの峰などから吹かれてきた雪が、花びらのように舞うのを言うが、すぐに葉や地上に降りないで、ゆっくりと舞い落ちる。ゆっくり落ちる間に「光を溜め」ている。観察の細やかさによって、風花に光が生まれた。(髙橋正子)
1月15日(1句)
★茶の花や赤城颪に吹かれける/小口泰與
赤城颪の冷たい空っ風にきよらかな茶の花が吹かれている。愛おしさしきりである。(髙橋正子)
1月14日(2句)
★再びは会う事も無き冬の街/小口泰與
一度きて、再びは来ることもない街は人生経験を積むと意外とあるものだ。「来る」ではなく、「会う」としたことにその思いが深い。(髙橋正子)
★コーヒーに寒九の水を沸かすかな/廣田洋一
コーヒーは、水次第。一年で最も清らかで服薬によいとされる寒中九日間に汲まれる水で、コーヒーを沸かす。「沸かすかな」に待ち遠しさ、嬉しさがでている。すっきりとした味わい深いコーヒーが出来上がったであろう。(髙橋正子)
1月13日(1句)
★焚火たく地域バザーや土曜日に/桑本栄太郎
土曜日に地域のバザーがある。広場では、暖をとるために焚火が焚かれて、大鍋には湯気もたっているであろう。色とりどりの物も売られているだろう。地域コミュニティの賑わいが見える。(髙橋正子)
1月12日(2句)
★淑気満つ秋田訛りの行き交うて/弓削和人
秋田には秋田の正月がある。淑気が満ちるなか、秋田訛りで新年の挨拶が交わされる。それを見ているのは秋田訛りをめずらしく思う作者。おのずと秋田人となっていく。(髙橋正子)
兵庫県立あわじ石の寝屋緑地
★大観覧車見下ろせば冬の海/多田有花
★大観覧車見下ろせば冬の海/多田有花
大観覧車の下は冬の海。観覧車の立地として海の近くが選ばれる。上空に上れば、海の真上に出た感じがする。冬の海を真下にする感覚が実感できる。(髙橋正子)
1月11日(1句)
★島に来て八幡宮へ初詣/多田有花
八幡宮は、八幡神をまつる、宇佐八幡を総社とする神社。全国には大きな神社から地域の小さい神社を数えると何万となるであろう。島には島の八幡宮があり、島の住人にもなったように気軽に参詣した。そこが数ある神社のよさ。(髙橋正子)