今日の秀句/9月13日~19日


[9月19日]

★風に揺れコスモス明るく野を飾る/迫田和代
コスモスの愛らしさは見るものの心を和ませる。野に揺れれば、野は明るく飾られる。素直な句だ。(高橋正子)

[9月18日]

★玄関のチャイムが鳴って月明り/高橋秀之
玄関のチャイムに戸を開けると月の明かりが差し込んだ。平和な月明かりの夜だ。(高橋正子)

[9月17日]

★夕茜へ吹かれ飄々秋の蝶/佃 康水
夕茜へ吹かれて飛ぶ秋の蝶を、「飄々」と捉えたのは、作者の心の在り様と推察するが、世俗を超えた印象がする。(高橋正子)

★かろがろと秋の草花硝子器へ/川名ますみ
秋草と硝子器の取り合わせが自然体でさわやか。「かろがろと」した秋草の印象が強まる。(高橋正子)

[9月16日]

★昇り来る日の壮大や稲穂波/小口泰與
豊かに稔る稲穂の波を輝かせて昇ってくる朝日を「壮大」と思う。大きな朝日への祈りがある。(高橋正子)

[9月15日]

該当句無し

[9月14日]

★水平線わずかに丸し秋の海/福田ひろし
遠く水平線を眺めると、地球の丸みに水平線がわずかに弧を描いているのがわかる。さわやかな秋の海が快く詠まれた。(高橋正子)

[9月13日]

★山すその畑のしじまや威し銃/桑本栄太郎
山すその畑は、静まり返っている。そこに威し銃がしじまを破って鳴り響く。威し銃の音によっていっそう静かさが強調される。(高橋正子)

9月13日〜19日


9月19日(4名)

●迫田和代
青々と峠の道の草の花★★★
風に揺れコスモス明るく野を飾る★★★★
コスモスの愛らしさは見るものの心を和ませる。野に揺れれば、野は明るく飾られる。素直な句だ。(高橋正子)

白桃の力を胸に句をつくる★★★

●小口泰與
ここよりは谷川岳や渡り鳥★★★
十州の境縦横渡り椋鳥(むく)★★★
虫の音や匂い振りまく草刈機★★★★

●河野啓一
山深き丹波高原吾も紅★★★
赤屋根の秋の牛舎や六甲山★★★
秋冷の杉木立かな水の音★★★★

●高橋秀之
秋日差す京都御苑の砂利の路★★★
秋雲は鴨川上流の山の上★★★★
秋風に吹かれて歩く河川敷★★★

9月18日(5名)

●祝恵子
水に影落として夫々案山子立つ★★★
作り手のかかし子らの名を連ね★★★
色つきし鬼灯雨の雫つけ★★★★

●小口泰與
靄の中忽と案山子のデスマスク★★★
水澄むや手のひらの上榛名富士★★★
あけぼのや稲穂の色の定まりぬ★★★★

●河野啓一
明日香野の棚田に稲架の二つ三つ★★★
大和より地酒届くや敬老日★★★
吾が肩をふわと追い越す草の絮★★★★

●桑本栄太郎
<古希同窓会にて上京>
<名古屋>
秋日さすビルの高きは名古屋かな★★★
<浜松・浜名湖>
池の面にソーラーパネルや秋日影★★★
<富士吉田>
秋天の煙突あまたやけぶり居り★★★★

●高橋秀之
梨の皮慣れぬ手つきで剥く息子★★★
口の中にじわっと水分冷えた梨★★★

玄関のチャイムが鳴って月明り★★★★
玄関のチャイムに戸を開けると月の明かりが差し込んだ。平和な月明かりの夜だ。(高橋正子)

9月17日(5名)

●小口泰與
火口湖の風の中なる秋桜★★★★
湖の稚魚を見ている走り蕎麦★★★
忽然と人と見まがう案山子かな★★★

●河野啓一
森の辺を群れて軽々赤とんぼ★★★★
雨を得て土手に並ぶや曼珠沙華★★★
秋夕焼け早く帰ろう日が暮れる★★★

●佃 康水
夕茜へ吹かれ飄々秋の蝶★★★★
夕茜へ吹かれて飛ぶ秋の蝶を、「飄々」と捉えたのは、作者の心の在り様と推察するが、世俗を超えた印象がする。(高橋正子)

色変えぬ松や古刹に影の濃し★★★
掛稲へ棹ごとシート掛けられる★★★

●川名ますみ
かろがろと秋の草花硝子器へ★★★★
秋草と硝子器の取り合わせが自然体でさわやか。「かろがろと」した秋草の印象が強まる。(高橋正子)

草の実にえのころ添えし一束を★★★
案ずるはその粒ほどに実むらさき★★★

●福田ひろし
路地裏に秋潮の香のさやかなり★★★★
海軍の施設は朽ちて秋の海★★★
西の果ての岬に立ちし秋の暮★★★

9月16日(2名)

●小口泰與
走り行くボートの影や秋の暮★★★
すれ違う朝の挨拶稲雀★★★

昇り来る日の壮大や稲穂波★★★★
豊かに稔る稲穂の波を輝かせて昇ってくる朝日を「壮大」と思う。大きな朝日への祈りがある。(高橋正子)

●桑本栄太郎
走りゆく雲の茜や鳥威し★★★★
つり人の通う小径や荻の風★★★
のぞき見るコスモス畑やバスの窓★★★

9月15日(2名)

●小口泰與
赤赤と夕日そびらに夕化粧★★★★
稲雀こぼれし二羽の行方かな★★★
寝そびれてはや梢に小鳥来る★★★

●河野啓一
曼珠沙華虎尾草とコンサート★★★
新小豆大納言とて売られけり★★★
路地裏の鬼ごっこかな白粉花★★★★

9月14日(2名)

●福田ひろし
水平線わずかに丸し秋の海★★★★
遠く水平線を眺めると、地球の丸みに水平線がわずかに弧を描いているのがわかる。さわやかな秋の海が快く詠まれた。(高橋正子)

南洋へ貨物船出づ秋の朝★★★
鰯雲返信のなき些事に倦む★★★

●小口泰與
稲の穂や羽音高らか群雀★★★
飛び立ちて大うねりせる稲雀★★★★
あさがおや独り大工の匠技★★★

9月13日(2名)

●小口泰與
いと古りし柱時計や秋扇★★★
初紅葉山は冠雪あらまほし★★★
靴先を濡らす畷や暁の虫★★★★

●桑本栄太郎
山すその畑のしじまや威し銃★★★★
山すその畑は、静まり返っている。そこに威し銃がしじまを破って鳴り響く。威し銃の音によっていっそう静かさが強調される。(高橋正子)

雨止めば風のくすぐり猫じやらし★★★
裏庭の軒の木蔭や蘇枋の実★★★

●デイリー句会投句箱/9月7日~12日●


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今日の秀句/9月7日~12日


[9月11日]
★天高し飛機滑走路を離れたり/河野啓一
滑走路を離れ飛行機が晴れた空へを飛び立つ。青く高く晴れた空へ、飛行機と共に飛んで行きたいような晴れやかな気持。(高橋正子)

[9月10日]
★雨上がり玲瓏として草ひばり/小口泰與★★★★
草ひばりはフィリリリと鳴いて、鈴を振るような声とされる。塵が洗われた雨上がりは、特に秋気が澄み、小さな草ひばりの声も「玲瓏」と感じられる。(高橋正子)

[9月9日]
駄菓子屋の軒先き深し秋澄めり/福田ひろし
軒が深く、レトロな看板も昔のままであるような駄菓子屋のたたずまい。その駄菓子屋がくっきりと印象づけられるのも、空気が澄んできたせい。「秋澄む」ころは郷愁も湧く。(高橋正子)

★瀬戸内を大きく跨ぎ秋の虹/高橋秀之
瀬戸内の海を大きく跨いで架かる虹が、大きな夢を見させてくれる。大きな虹の弧をくぐって、晴れ晴れとした世界へゆきたいような気持になる。(高橋正子)

[9月8日]
 剣山登山
★竜胆やつるぎの霧にまぎれつつ/多田有花
登山の道で竜胆に出会えたのは、実にうれしいもの。私が来るのを咲いて待っていてくれたかのように思える。高山の霧にまぎれながら咲く竜胆が美しく可憐。(高橋正子)

[9月7日]
★山峡の湖青からむ鬼やんま/小口泰與
補虫網を手にし、蜻蛉や鬼やんまを追いかけていた少年の頃を懐かしく思う。少年にとっては、父母がいて、家族があって、世の中が平和で、幸せであった。(高橋信之)

9月7日~12日

9月12日(2名)
●小口泰與
曼殊沙華はや彼岸花まんじゅさげ★★★
竹春や牧の子馬の脚の丈★★★
料理待つその間も酒と新生姜★★★★

●桑本栄太郎
青空の底抜けにけり野分去る
(添削)野分去り青空の底抜けるほど★★★★
芸大の垣根につづく葛の谷★★★
パソコンの機嫌斜めや夜半の秋★★★

9月11日(3名)

●小口泰與
白塗りの稚児の泣き顔秋祭★★★
三日月の刃の如し忠治の温泉(ゆ)★★★
月白や小諸の宿の鯉料理★★★★

●河野啓一
天高し飛機滑走路を離れたり★★★★
滑走路を離れ飛行機が晴れた空へを飛び立つ。青く高く晴れた空へ、飛行機と共に飛んで行きたいような晴れやかな気持。(高橋正子)

花カンナ芝生抽んで背比べ★★★
大口を開けて人形胡桃割る★★★

●桑本栄太郎
朝冷えや想いめぐらす旅の空★★★★
身に沁むや病院バスの演歌聞く★★★
鬼怒川の憤怒なりしや秋出★★★水

9月10日(3名)

●小口泰與
雨上がり玲瓏として草ひばり★★★★
草ひばりはフィリリリと鳴いて、鈴を振るような声とされる。塵が洗われた雨上がりは、特に秋気が澄み、小さな草ひばりの声も「玲瓏」と感じられる。(高橋正子)

上州の風と育つや秋キャベツ★★★
風の中リフトの下の藤袴★★★

●河野啓一
干されたるするめ烏賊かな日に映えて★★★★
露草のつゆの雫や日を返し★★★
秋めくや茅で葺かれし鄙の里★★★

●高橋秀之
飲み会を終えて帰りの秋の空★★★
秋の夜の始発駅で待つ列車★★★★
秋の夜の夫婦の会話のすれ違い★★★

9月9日(6名)

●小口泰與
竜胆や鴉の声の高かりし★★★★
夕ぐれの雨の竜胆杣の宿★★★
我が髪膚病も無しや色葉散る★★★

●河野啓一
さわさわと野道たどれば女郎花★★★★
秋の道逍遥すれば合歓の花★★★
秋台風通り抜けたり静寂に★★★

●福田ひろし
駄菓子屋の軒先き深し秋澄めり★★★★
軒が深く、レトロな看板も昔のままであるような駄菓子屋のたたずまい。その駄菓子屋がくっきりと印象づけられるのも、空気が澄んできたせい。「秋澄む」ころは郷愁も湧く。(高橋正子)

秋遍路かなた備前か備中か★★★
秋めきて麒麟のような雲流る★★★

●桑本栄太郎
秋雨や飛沫とび去る阪急線★★★
鬼灯の鉢飾りたる町家かな★★★★
秋雨の祇園の路地へ異邦人★★★

●小川和子
雲奔る蒼穹に立つ秋の虹★★★
秋の虹薄れわが街茜さす★★★
新秋刀魚きらり光るを焼き上ぐる★★★★

●高橋秀之
ただいまの声より前に梨あるよ★★★
台風が過ぎて大空星多し★★★

瀬戸内を大きく跨いで秋の虹
(添削)瀬戸内を大きく跨ぎ秋の虹★★★★
瀬戸内の海を大きく跨いで架かる虹が、大きな夢を見させてくれる。大きな虹の弧をくぐって、晴れ晴れとした世界へゆきたいような気持になる。(高橋正子)

9月8日(5名)

●谷口博望
花薄瀬戸の島々見晴るかし★★★★
曼珠沙華こうのとりとの交信中★★★
秋めくや瓔珞の如梧桐の実★★★

●小口泰與
すすき野のすすき揺るがす入日かな★★★
馬追や朝日煌煌田を照らす★★★★
下り簗こちら見ている禽三羽★★★

●河野啓一
物産展阿波のすだちは小箱入り★★★
夕まぐれグランドの隅ちちろ鳴く★★★
秋場所の近きや隅田のふれ太鼓★★★★

●桑本栄太郎
秋雨の銀杏色づく梢かな★★★
鬼やんま見透かすように眼の遇いぬ★★★
赤とんぼ風の行方を報せけり★★★★

●多田有花
九月来る昼の驟雨に迎えられ★★★
秋の陽が差し込む森や蝉の声★★★
剣山登山
竜胆やつるぎの霧にまぎれつつ★★★★
登山の道で竜胆に出会えたのは、実にうれしいもの。私が来るのを咲いて待っていてくれたかのように思える。高山の霧にまぎれながら咲く竜胆が美しく可憐。(高橋正子)

9月7日(3名)

●小口泰與
名山の山巓見えず薄見ゆ★★★
山峡の湖青からむ鬼やんま★★★★
補虫網を手にし、蜻蛉や鬼やんまを追いかけていた少年の頃を懐かしく思う。少年にとっては、父母がいて、家族があって、世の中が平和で、幸せであった。(高橋信之)

朝露やおちこちの畑爺と婆★★★

●谷口博望
秋あわれ赤く染りし辛夷の実★★★★
秋さびし黒い実付けし花蘇枋★★★
秋懐や赤い実付けし山法師★★★

●桑本栄太郎
身のうえを嘆くようなり草ひばり★★★
緋色のみ残る畦あり曼珠沙華★★★★
田道ゆき溝の流れや稲穂波★★★

●デイリー句会投句箱/9月1日~6日●


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今日の秀句/9月1日~6日


[9月6日]
★提灯の準備万端秋祭り/河野啓一
秋祭りの提燈の準備を万端整えて祭りを待つ時は、子どもでなくても、大人でも郷愁もあって、心楽しいものだ。(高橋正子)

★秋蝶の一休みする吾靴へ/祝恵子
私も腰を下ろして一休みしているのだろう。秋蝶が私の靴へ飛んできて止まった。束の間、一休みする秋蝶の可憐さ、はかなさが愛おしく思える。(高橋正子)

[9月5日]
★秋気澄む画家の描きし湖なれば/小川和子
画家によって描かれた湖の画は、静謐な印象の画なのであろう。画家の精神を通したので、特に秋気の澄む湖の印象をもったのがこの句の妙味。(高橋正子)

[9月4日]
★朝の日へ潤い匂う稲の花/佃 康水
「潤い匂う」ほどの稲の花のみずみずしい豊かさが人に感銘を与える。朝日が射して、神々しいほどだ。(高橋正子)

★サンマ焼く香りが部屋に満ち満ちて/高橋秀之
サンマを焼けば、部屋はサンマを焼く匂いが立ち込める。「満ち満ちて」というからには、たくさんのサンマが焼かれたことだろう。庶民の飾り気のない生き生きとした生活が詠まれている。(高橋正子)

[9月3日]
★草刈りし野に集い来る秋茜/古田敬二
草を刈ってすっきりとした野に、秋茜が集まってきた。草が刈られ野広々となるのを待っていたかのようだ。集い飛ぶ秋茜が眩しい。(高橋正子)

[9月2日]
★旅先の地図を片手に秋の朝/高橋秀之
地図を片手に旅先の道を歩く。さわやかな季節の秋の朝だからこそ、地図を楽しみつつということになる。
(高橋正子)

[9月1日]
★流星や窓辺に置きし母の椅子/小口泰與
流星は夜半、一瞬の美しさと儚さをもって空に現れる。そんな流星を見た夜、窓辺の椅子に母のことをふっと思い出した。(高橋正子)

9月1日~6日

9月6日(5名)

●谷口博望
相輪の緑の館水引草
(添削)相輪の寺の緑に水引草★★★★
六時の鐘撞く坊主や百日紅★★★
鵯の叢歩く番かな★★★

●迫田和代
泣かないで広島の心原爆忌★★★
秋の陽をあびる垣根の白い花★★★★
客一人山のはに昇る月を待つ★★★

●小口泰與
朝顔や塾の門扉に人の数★★★
大利根の流れに抗す銀漢ぞ★★★
秋蝶の火の見櫓を越えゆけり★★★★

●河野啓一
霧雨の中にオクラの白い花★★★
秋の海釣果を提げて息来る
(添削)秋海の釣果を提げて息来る★★★

提灯の準備万端秋祭り★★★★
秋祭りの提燈の準備を万端整えて祭りを待つ時は、子どもでなくても、大人でも郷愁もあって、心楽しいものだ。(高橋正子)

●祝恵子
秋蝶の一休みする吾靴へ★★★★
私も腰を下ろして一休みしているのだろう。秋蝶が私の靴へ飛んできて止まった。束の間、一休みする秋蝶の可憐さ、はかなさが愛おしく思える。(高橋正子)

魔女の飛ぶ箒に跨ぐ案山子いて★★★
おみなえし向こうへ駆けゆく幼たち★★★

9月5日(5名)

●小口泰與
鉄塔の日を支えけり渡り鳥★★★
山の端へ日のうつろえる芙蓉かな★★★
崖離れ桐の一葉の漂いぬ★★★★

●小川和子
秋気澄む画家の描きし湖なれば★★★★
画家によって描かれた湖の画は、静謐な印象の画なのであろう。画家の精神を通したので、特に秋気の澄む湖の象をもったのがこの句の妙味。(高橋正子)

連山に霧を翳して嶺あおき★★★
狗尾の間合いに揺るる野の花よ★★★

●河野啓一
青柿の日々太り来るその姿★★★
播州路行けば古城の秋の声★★★
名物は落ち鮎料理山の宿★★★★

●桑本栄太郎
朝日さす庭に魔笛や小鳥来る★★★★
爽籟の枝のさざめく木蔭かな★★★
逍遥と田道歩めり秋の色★★★

●高橋秀之
ガレージに秋の蚊一匹ふらふらと★★★
風呂上りコップに一杯柚子ジュース★★★
日が暮れて星が現る高き空★★★★

9月4日(7名)
●小口泰與
コスモスや牧一望の馬の数★★★★
贈られし酢橘や夜の酒の量★★★
畦道の葉の反射せる残暑かな★★★

●河野啓一
法師蝉目覚め告げおり高らかに★★★
秋冷や朝の生駒も晴れて来し★★★★
須磨浦や大橋望む霧の中★★★

●佃 康水
朝の日へ潤い匂う稲の花★★★★
「潤い匂う」ほどの稲の花のみずみずしい豊かさが人に感銘を与える。朝日が射して、神々しいほどだ。(高橋正子)
  
蛇崩れの山まだ癒えず鰯雲★★★
鷹の爪束ね干さるる通し土間★★★

●小川和子
甲斐路来てどこまで続く葡萄棚★★★
爽やかや翠湛うる山の湖★★★★
高原に振り返り見る吾亦紅★★★

●桑本栄太郎
秋声や銀杏色づく天の青★★★
人棲まぬ旧家なれども酔芙蓉★★★
幟立つ御田刈神事や秋祭★★★★

●古田敬二
秋茜「これより木曽路」と群れにけり★★★
木曽駒ケ岳(きそこま)を清冽に来る秋の谷★★★
初秋の白樺真直ぐ幹を立て★★★★

●高橋秀之
サンマ焼く香りが部屋に満ち満ちて★★★★
サンマを焼けば、部屋はサンマを焼く匂いが立ち込める。「満ち満ちて」というからには、たくさんのサンマが焼かれたことだろう。庶民の飾り気のない生き生きとした生活が詠まれている。(高橋正子)

大皿をはみ出し並ぶ焼きサンマ★★★
各々がサンマ一匹平らげる★★★

9月3日(4名)
●小口泰與
山裾の直視三里の蕎麦の花★★★★
三山と利根の流れや渡り鳥★★★
コスモスの空青あおと湖の波★★★

●古田敬二
白樺の霧の中からバスが来る★★★
畑の草抜かんと屈めば法師蝉★★★

草刈りし野に集い来る秋茜★★★★
草を刈ってすっきりとした野に、秋茜が集まってきた。草が刈られ野広々となるのを待っていたかのようだ。集い飛ぶ秋茜が眩しい。(高橋正子)

●河野啓一
キチキチと人驚かす虫の声★★★★
秋雨や竿に連なる水の玉★★★
秋の宵パソコンつけて句作かな★★★

●桑本栄太郎
秋蝉の気怠くなりぬ朝の庭★★★
讃美歌の上棟式や秋の雨★★★★
山崎の秋嶺はきと蒸留所★★★

9月2日(4名)
●小口泰與
忽然と豪雨になるや秋祭★★★★
訪ね来る人やお昼の牽牛花★★★
身の内に魚眼レンズの桃の実よ★★★

●河野啓一
竹伐るや若竹既に高く伸び★★★★
ひごの先アカトンボ支えし竹細工★★★
秋暑し雲の下なる狭庭かな★★★

●桑本栄太郎
土の香の風に乗りけり秋驟雨★★★★
蜥蜴穴に入る沈思かな動かざる★★★
後ろまえ穿いて日暮れや愁あはれ★★★

●高橋秀之
参道の日影で休憩法師蝉★★★
機上から見ても形はうろこ雲★★★

旅先の地図を片手に秋の朝★★★★
地図を片手に旅先の道を歩く。さわやかな季節の秋の朝だからこそ、地図を楽しみつつということになる。
(高橋正子)

9月1日(4名)
●小口泰與
流星や窓辺に置きし母の椅子★★★★
流星は夜半、一瞬の美しさと儚さをもって空に現れる。そんな流星を見た夜、窓辺の椅子に母のことをふっと思い出した。(高橋正子)

あけぼのの草の光るや野路の秋★★★
鵯の大樹を征する朝かな★★★

●河野啓一
萩の庭裏木戸越しに見て通る★★★
桔梗の薄青くして風の中★★★★
頃良きや訪ねる大和柿の里★★★

●桑本栄太郎
君想うゆえにきみ在り酔芙蓉★★★
深秋や隣は芋を焼く匂い★★★
早風呂の牛乳せっけん秋の宵★★★★

●高橋秀之
鈴虫の音色は寝付きの歌がわり★★★
(添削)鈴虫の音色を寝付きの歌に聞き

鈴虫が役所の玄関口で鳴く
(添削)市役所の玄関口に鳴く鈴虫★★★★

秋の夕暮れ時に降る急な雨★★★

●夏休み投句箱/7月18日~8月31日●


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今日の秀句/8月16日-31日(夏休み投句箱)


8月31日
★朝顔の紺に照らさるわが足もと/川名ますみ
朝のたのしみに朝顔を見に外に佇むと、紺色の朝顔が足元に花をつけている。混じりけのない紺色に足元が照らされているような幸せな思いになった。「照らさる」は、朝顔が紺色であるからこそ感じられたこと。(高橋正子)

8月30日
★秋夕べ港の見える喫茶室/河野啓一
港の見える喫茶室は、古来の秋の夕暮れの印象を変えて洒落た雰囲気があってのびやかだ。(高橋正子)

8月29日
★遠山へ沈む夕日や露の玉/小口泰與
夕日が沈むころにはもう露が置く山国の暮らしが想像できる句。(高橋正子)

★爽涼や庭の音無き日の出まえ/桑本栄太郎
爽やかに、涼しくて、音のない日の出まえ。爽涼の季節の一日が始まるもっともいい時間だ。(高橋正子)

8月27日
★かろやかに光りて白し雲は秋/河野啓一
秋になった嬉しさが「かろやかに光て白し」に表よく現されている。(高橋正子)

7月25日
★朝顔やますぐに刷ける薄き紅/川名ますみ
朝顔に、すっとまっすぐに薄紅の筋が入っている。ひと刷毛刷いたようにすっきりとした薄紅にうら若さがある。(高橋正子)

8月24日
★いつ来てもお花畑は空の下/河野啓一
お花畑が空の下というのは、当然なのだが、「いつ来ても空の下」という感激は純粋だ。花好き、植物好きの素直な感懐。(高橋正子)

8月23日
★谷間の宿の持て成し新豆腐/小口泰與
谷間の宿の鄙びた宿のもてなしが「新豆腐」なのは、当然といえば当然なのだろうが、新鮮だ。(高橋正子)

★播州の空晴れ上がりあかとんぼ/河野啓一
播州といえば、播州平野が思い起こされる。瀬戸内に面した播州平野の空の明るさにあかとんぼが飛んでゆく。さわやか初秋の風景になつかしさがある。童謡「あかとんぼ」も播州で作られたことも合わせて思う。(高橋正子)

8月20日
★水滴の朝日耀よう稲の花/桑本栄太郎
稲の花についた水滴の朝日が耀く。水滴よりもそこに映った朝日が鋭く耀き、稲の花に残暑の厳しさがある。(高橋正子)

8月19日
★朝顔の色数えつつ朝餉かな/河野啓一
朝顔が今日は何色がいくつ咲いたと朝餉の食卓に朝顔の話題がのぼる。涼やかな朝の食事に食もすすみそうだ。(高橋正子)

8月17日
待合の椅子にノースリーブの子等並ぶ/上島祥子
駅の待合か。待合の椅子には、夏休みの子供たちが並んでいる。どの子もノースリーブで日焼けした腕を見せ元気だ。楽しそうな雰囲気を振りまいている。(高橋正子)

8月16日
★故郷や赤白競うさるすべり/谷口博望
故郷を訪ねると、赤と白のさるすべりが競うように咲いている。夏真っ盛りの故郷の強い印象だ。昔もそうだったのだろう。(高橋正子)

★封書にて青きどんぐり届きたり/川名ますみ
青いどんぐりを封書で送ってくれる友人がいる。さわやかな初秋の挨拶に、心あたたまる。(高橋正子)