自由な投句箱/1月21日~31日(2018年)


生き生きと、みずみずしい俳句を期待しています。

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※投句は、一日1回3句に限ります。
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今日の秀句/1月21日~31日(2018年)


1月31日(2句)

★青空の丘をかおらす水仙花/小口泰與
丘の上の水仙郷なのであろう。青空と触れるところの水仙の花花がかおりを一斉に放っている。素晴らしい景色だ。(高橋正子)

★手提げよりはみ出す葱の青々と/廣田洋一
葱を買うと買い物の手提げ袋からはみ出す。はみ出した葱の葉の元気に手提げ袋も画になる様だ。(高橋正子)

1月30日(1句)

★群青の空残りたる寒暮かな/桑本栄太郎
寒暮といいながらも暮れ残る空は、美しい群青色を見せている。春が近くきていることを思わせる。(高橋正子)

1月29日(2句)

★遠景は大和の峰か雪を置く/古田敬二
旅をしていると遠くの山々が気にかかる。どのあたりのやまであろうか。雪を置いて、大和の峰であろうかと。いい旅情だ。(高橋正子)

★まんさくの葉枯のままに綻びぬ/桑本栄太郎
まんさくの花が綻びはじめても、枯れた葉がまだあちこちについている。枯れた葉といってもカラッとして色合いがいい。まんさくの花の色とのと幸せもシックだ。(高橋正子)

1月28日(2句)

★無人なる枯野の駅に目覚めけり/古田敬二
旅の列車。ふと目覚めると無人の枯野の駅に止まっている。荒涼とした枯野の駅は暖房の車内から見れば別の世界のようである。(高橋正子)

★青空に凛と寒林並びけり/桑本栄太郎
青空に凛と寒林が並ぶ様子に思わず背筋が正される。厳しいさの中に青空が明るい。(高橋正子)

1月27日(1句)

★早梅の一輪ほどの丘の上/桑本栄太郎
丘に上れば梅が一輪ほど開いている。この丘に小さな春が来ている。その嬉しさは、丘であるからこそ感じられると思う。(高橋正子)

1月26日(2句)

★雪溶けて白き花見せシクラメン/廣田洋一
雪の白とシクラメンの白の清潔感に春らしさがある。白い雪が解け、シクラメンの白い花が見える。(高橋正子)

★まほろばの大和を歩く寒の昼/多田有花
「倭(やまと)は 国のまほろば たたなづく 青垣 山隠( やまこも)れる 倭しうるはし」を思い出させる句だが、今も大和を歩けば、特に寒中の昼に歩けば、歴史的な感覚が蘇るのだろう。(高橋正子)

1月25日(1句)

★南座の錦絵囲み日脚伸ぶ/桑本栄太郎
南座にかけられた役者の錦絵。その錦絵にも日脚が伸び、明るく照らしている。春はそこまで来ている。(高橋正子)

1月24日(2句)

★冬耕の畦ゆく赤き長靴よ/多田有花
寒々とした畑を耕し、畦を歩く人。赤い長靴が荒涼とした景色に一際目立つ。お洒落である。赤い長靴を履くのは男性であろう。昔のゴム長靴のイメージからすれば、日本人の生活がお洒落に洋風になったと思う。(高橋正子)

★新雪の小さき花芽に触れて消ゆ/川名ますみ
1月の22日は大雪となったが、雪は降り始めは、小さな花芽に優しく触れて、消えていった。小さな花芽を愛おしみ慈しむような雪の「新しさ」がうれしい。(高橋正子)

1月23日(2句)

★自転車をそのまま埋めて雪深し/廣田洋一
戸外に置かれたままの自転車に雪が積もり、その形をまますっぽりと埋めてしまった。これほどの雪を想像もしなかったのだろう。「自転車」に普段の生活が見える。(高橋正子)

<三輪山登拝>
★鈴の音を鳴らし神山(おやま)へ寒参/多田有花
寒参の清々しさ。「鈴の音」が寒参を厳しいだけでなく、やわらかく澄んだものにしている。(高橋正子)
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1月22日(2句)

★寒暁や山へと向かう列車待つ/多田有花
寒暁、冬山へと向かう列車。暁の凍るような冷たさも、「山へと向かう」ということで、吹っ飛ばされる。山へどんな期待があるのか、と想像して興味の湧く句だ。(高橋正子)

★朝の雨音無き雪となりにけり/廣田洋一
朝は細かい雨が降っていたのが、音もなく降る雪に変わった。降りながら「無音」の雪の世界が奥深く広がっている。(高橋正子)

1月21日(1句)

★芍薬の赤き芽揃う黒き土/古田敬二
芍薬の芽はつやつやとしている。「赤」といういろも様々だが、つややかな赤が湿りを含んだ黒土に似合い、見るものの気持ちをを生き生きとさせてくれる。(高橋正子)

1月21日~31日(2018年)


1月31日(4名)

●古田敬二
難病の友への見舞い猫柳★★★
白菜の夕餉へ残業の子が帰る★★★
冬の陽の光となりて小鳥来る(原句)
冬の陽の光となりて来し小鳥★★★★(正子添削)
「冬の陽」(冬の季語)と「小鳥来る」(秋の季語)がどちらも同じくらいの比重で、季重なりの難が免れません。添削のようにしたらどうでしょうか。

●小口泰與
探梅や九十九折なる道路鏡★★★
支離滅裂にこぼれ行く寒雀★★★
青空の丘をかおらす水仙花★★★★
丘の上の水仙郷なのであろう。青空と触れるところの水仙の花花がかおりを一斉に放っている。素晴らしい景色だ。(高橋正子)

●廣田洋一
手提げよりはみ出す葱の青々と★★★★
葱を買うと買い物の手提げ袋からはみ出す。はみ出した葱の葉の元気に手提げ袋も画になる様だ。(高橋正子)

日だまりや小さき冬芽二つ三つ★★★
二人して旅の話や葱鮪鍋★★★

●桑本栄太郎
車降り徒歩の家路や日脚伸ぶ★★★★
冬鷺の水辺に沿いてせせりけり★★★
恥ずかしきほどの明かりや寒の月★★★

1月30日(3名)

●小口泰與
定位置に座りし我や冬座敷★★★★
孫の風邪移されしとかメールかな★★★
マスク取り元会長の回顧談★★★

●廣田洋一
屋根雪のばさり打ちたる車かな★★★
知らぬ間に数の増えたる寒椿★★★★
昼食に誘ひ出される冬日和★★★

●桑本栄太郎
山眠るすそ野隘路や天王山★★★
うねうねと摂津山並み冬の靄★★★
群青の空残りたる寒暮かな★★★★
寒暮といいながらも暮れ残る空は、美しい群青色を見せている。春が近くきていることを思わせる。(高橋正子)

1月29日(5名)

●小口泰與
山風に対い帰宅や根深汁★★★★
司馬遷の史記を枕に冬籠★★★
小面と向かい会いたる長火鉢★★★

●廣田洋一
若鷹や脚に紐巻き空仰ぐ★★★
土凍てて浄めの塩の浮かびをり★★★
蝋梅や黄の透き通る青き空★★★★

●多田有花
厳寒の沖の光りし播磨灘(原句)
「光りし」は「光った」の意味です。
厳寒の沖の光れる播磨灘(正子添削)
「光れる」は「光っている」の意味です。

頂に霰降るなか昼ごはん★★★★
寒中の山下り熱き紅茶飲む★★★

●古田敬二
初旅や人生鈍行単線路★★★
風花舞うここは大和の国堺★★★
遠景は大和の峰か雪を置く★★★★
旅をしていると遠くの山々が気にかかる。どのあたりのやまであろうか。雪を置いて、大和の峰であろうかと。いい旅情だ。(高橋正子)

●桑本栄太郎
フェンス立てノックボールや日脚伸ぶ★★★
まんさくの葉枯のままに綻びぬ★★★★
まんさくの花が綻びはじめても、枯れた葉がまだあちこちについている。枯れた葉といってもカラッとして色合いがいい。まんさくの花の色とのと幸せもシックだ。(高橋正子)

かりかりと今朝の比叡は凍てにけり★★★

1月28日(4名)

小口泰與
熱燗やついに詩人となりがたし★★★
雑炊や鍋割山に星数多★★★★
献血に人は居らずや焼芋屋★★★

廣田洋一
積上げし雪山日毎細くなり★★★
まだ有ると指差す先に雪の山★★★
寒椿ぱつと開きて息止める★★★★

古田敬二
風花の風の吹きこむ吉野線★★★
無人なる枯野の駅に目覚めけり★★★★
旅の列車。ふと目覚めると無人の枯野の駅に止まっている。荒涼とした枯野の駅は暖房の車内から見れば別の世界のようである。(高橋正子)

ワンマンカー枯野に震えて止まりけり★★★

桑本栄太郎
冬萌や売地看板主なき地に★★★
青空に凛と寒林並びけり★★★★
青空に凛と寒林が並ぶ様子に思わず背筋が正される。厳しいさの中に青空が明るい。(高橋正子)

フェンス立て少年野球や日脚伸ぶ★★★

1月27日(3名)

●廣田洋一
北極の氷溶けだし大寒波★★★
寒波来る真鯛は紅く泳ぎ居り★★★
寒波来る湘南の空深き青★★★★

●小口泰與
熱燗や車座になる句会後★★★
熱熱の飯に落とせし寒卵★★★

●桑本栄太郎
目覚むれば入日茜やはだれ雪★★★
早梅の一輪ほどの丘上かな(原句)
早梅の一輪ほどの丘の上★★★★(正子添削)
丘に上れば梅が一輪ほど開いている。この丘に小さな春が来ている。その嬉しさは、丘であるからこそ感じられると思う。(高橋正子)

寒林の青空に伸び絡みけり★★★

1月26日(4名)

●小口泰與
禿頭の頬被りすや 畑仕事★★★
手袋の十指をひろぐ朝かな★★★★
上物の並ぶ五十集の金目鯛★★★

●廣田洋一
雀二羽餌をついばみ春近し★★★
雪溶けて白き花見せシクラメン★★★★
雪の白とシクラメンの白の清潔感に春らしさがある。白い雪が解け、シクラメンの白い花が見える。(高橋正子)

春隣張替進むアスファルト★★★

●桑本栄太郎
階段の踊り場雪の団地かな★★★
蝋梅の青空透かし日差しけり(原句)
日差し受け蝋梅青空透かしけり★★★★(正子添削)
元の句は、「蝋梅」が「日差しけり」となっています。主語と述語が一致していません。

冬畑のマルチ襤褸や丘の風★★★

●多田有花
まほろばの大和を歩く寒の昼★★★★
「倭(やまと)は 国のまほろば たたなづく 青垣 山隠( やまこも)れる 倭しうるはし」を思い出させる句だが、今も大和を歩けば、特に寒中の昼に歩けば、歴史的な感覚が蘇るのだろう。(高橋正子)

ベランダの氷柱に迫る朝日影★★★
ざくざくと霜柱踏み走りけり★★★

1月25日(3名)

●小口泰與
霜柱風の中なる無言館★★★★
蒟蒻の鍋沸沸と寒紅梅★★★
毛皮夫人サイドカーより下りにけり★★★

●廣田洋一
鉢の木や雪折れもせず枝拡げ★★★
風花やヘッドライトに浮かびをり★★★
客寄せに店の前だけ雪を掻く★★★

●桑本栄太郎
川風の橋の四条やゆりかもめ★★★
南座の錦絵囲み日脚伸ぶ★★★★
南座にかけられた役者の錦絵。その錦絵にも日脚が伸び、明るく照らしている。春はそこまで来ている。(高橋正子)
真青なる空の日差しや深雪晴★★★

1月24日(5名)

●小口泰與
極寒の草津白根の噴火かな★★★★
どどどっと家を揺るがす深雪かな★★★
寒暁はローランサンのピンクかな★★★

●廣田洋一
鉢の土篩にかけて春をまつ★★★
あちこちの旅の案内春を待つ★★★
春待つや一間の畳入れ替えぬ★★★★

●多田有花
冬耕の畦ゆく赤き長靴よ★★★★
寒々とした畑を耕し、畦を歩く人。赤い長靴が荒涼とした景色に一際目立つ。お洒落である。赤い長靴を履くのは男性であろう。昔のゴム長靴のイメージからすれば、日本人の生活がお洒落に洋風になったと思う。(高橋正子)

わらわらと礫のごとし寒の鳥★★★
マフラーに首を埋めてバスを待つ★★★

●桑本栄太郎
鉄塔の冬の入日や天王山★★★★
青々とそこのみ列に冬菜かな★★★
ちりちりと嶺の赤きや寒波来る★★★

●川名ますみ
新雪の小さき花芽に触れて消ゆ★★★★
1月の22日は大雪となったが、雪は降り始めは、小さな花芽に優しく触れて、消えていった。小さな花芽を愛おしみ慈しむような雪の「新しさ」がうれしい。(高橋正子)

段ボールたたみし橇を手に走る★★★
お手製の橇を小脇に庭へ出る★★★

1月23日(4名)

●小口泰與
白鳥のかけ行く羽根に夕日かな★★★★
水しぶき上げて駆け行くスワンかな★★★
二羽寄りてハートマークのスワンかな★★★

●廣田洋一
自転車をそのまま埋めて雪深し★★★★
戸外に置かれたままの自転車に雪が積もり、その形をまますっぽりと埋めてしまった。これほどの雪を想像もしなかったのだろう。「自転車」に普段の生活が見える。(高橋正子)

雪払ひ姿正せり松の木よ★★★
ビル谷間青き空より風花す★★★

●多田有花
<三輪山登拝>
鈴の音を鳴らし神山(おやま)へ寒参★★★★
寒参の清々しさ。「鈴の音」が寒参を厳しいだけでなく、やわらかく澄んだものにしている。(高橋正子)
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素足にて山肌を踏む寒詣★★★
寒晴れの畝傍耳成を望む★★★

●桑本栄太郎
暁闇の枝絡み合い寒茜★★★
水滴の枝にきらめき春隣★★★★
冬萌の売地看板主なき地に★★★

1月22日(4名)

●小口泰與
涸れかれて砂煙あぐ冬田かな★★★
荒縄の結び目新た冬の園★★★★
小魚の遡上妨ぐ冬の川★★★

●多田有花
大寒や陽の明るさに歩みだす★★★
島影の霞みて春の遠からじ★★★
寒暁や山へと向かう列車待つ★★★★
寒暁、冬山へと向かう列車。暁の凍るような冷たさも、「山へと向かう」ということで、吹っ飛ばされる。山へどんな期待があるのか、と想像して興味の湧く句だ。(高橋正子)

●廣田洋一
細雪細き小枝を白く染め★★★
朝の雨音無き雪となりにけり★★★★
朝は細かい雨が降っていたのが、音もなく降る雪に変わった。降りながら「無音」の雪の世界が奥深く広がっている。(高橋正子)

雪降るや飾りし戌の吠え立てる★★★

●桑本栄太郎
暁天に枝の絡みて寒の朝★★★
日曜日の少年野球や冬日燦★★★★
禿頭の僧に日射しや寒ゆるむ★★★

1月21日(4名)

●小口泰與
上州の山を眼下に雪浅間★★★
雪山や園庭にひびく禽の声★★★
波立ちて覚満淵の枯野かな★★★

●廣田洋一
風に耐へ色深まれり冬薔薇★★★
冬の薔薇五本贈りし誕生日★★★★
車椅子電動に変へ冬薔薇★★★

●古田敬二
蕎麦掻や故郷の想い出かき回す★★★
蝋梅やズームアップの先に咲く★★★
芍薬の赤き芽揃う黒き土★★★★
芍薬の芽はつやつやとしている。「赤」といういろも様々だが、つややかな赤が湿りを含んだ黒土に似合い、見るものの気持ちをを生き生きとさせてくれる。(高橋正子)

●桑本栄太郎
あかつきの空に寒林絡み居り★★★
淀川の川波おどる浮寝鳥★★★★
久女忌や明けの鴉の嗤うかに★★★

自由な投句箱/1月11日~20日(2018年)


生き生きと、みずみずしい俳句を期待しています。

※当季雑詠3句(新年・冬の句)を<コメント欄>にお書き込みください。
※投句は、一日1回3句に限ります。
※好きな句の選とコメントを<コメント欄>にお書き込みください。
※お礼などの伝言も<コメント欄>にお書きください。
※登録のない俳号やペンネームでの投句は、削除いたします。(例:唐辛子など)
主宰:高橋正子・管理:高橋信之

◆俳句添削教室◆
http://www.21style.jp/bbs/kakan02
◆俳句日記/高橋正子◆
http://blog.goo.ne.jp/kakan02

今日の秀句/11日~20日(2018年)


1月20日(1句)

★大寒と言えばいつもや青空に/桑本栄太郎
大寒の入り。そういえば、大寒に入る日はいつも青空だ。大気が透徹して青空が限りなく広がる。(高橋正子)

1月19日(2句)

★底冷えや星の光のとがりたる/廣田洋一
底冷えのする夜、星の光が鋭く尖る。厳しい寒さに星はきりりと美しさを増す。(高橋正子)

★畝の間の水のきらめき寒ゆるむ/桑本栄太郎
畑の畝の間の水たまりは、春を促す雨が降った後であろうが、煌めいて、「寒ゆるむ」を実感させてくれる。(高橋正子)

1月18日(1句)

★早梅や竹林の風柔らかし/廣田洋一
「風柔らかし」の感覚がよい。早梅を見つけると、竹林を吹く風もしなやかに、柔らかくなる。(高橋正子)

1月17日(1句)

★隠れ沼へ冬三日月の光かな/小口泰與
冬の厳しく澄み切った世界がいい。(高橋正子)

1月16日(2句)

★禽立ちて冬晴れの沼ありにけり/小口泰與
禽の飛び去った後の冬晴れの沼。静かでありながら、晴れやかで何か小さなものが動く気配がする。(高橋正子)

★生牡蠣やさっと啜れる海の味/廣田洋一
生牡蠣は生きのいいところをさっと食すのがいい。口に含んだとたんの潮の香が立つのが牡蠣の良さ。(高橋正子)

1月15日(1句)

★頂に立てば眩しき寒の沖/多田有花
「寒の沖」がただ「眩しい」。夾雑物のないすっきりとした景色がいい。(高橋正子)

1月14日(1句)

★裏庭を風のかおらす水仙花/小口泰與
裏庭に咲く水仙を風が吹いて香らせる。裏庭は水仙の香りに満ちて、静かでとても清々しいのだ。(高橋正子)

1月13日(1句)

★枯枝のひろがる天の青さかな/古田敬二
「枯枝」の清潔さが天の青さに際立っている。枯枝とはとはいうものの、内側にはいきいきと樹液が巡っている。(高橋正子)

1月12日(1句)

★写真機をしかと構えり寒禽に/小口泰與
野山に出れば、寒禽の声が飛び交う。写真機を構えて寒禽の様子を撮ろうと構える。被写体の寒禽に、ぐっとカメラを構える心意気。(高橋正子)

1月11日(1句)

★生駒山二日の朝日東より/河野啓一
生駒山が見えるところに住む人にとっては、目を向ければいつも存在する親しい山。新年二日の朝日も東より昇り、新年が歩み始めた心強さ。(高橋正子)

1月11日~20日(2018年)


1月20日(4名)

●小口泰與
湯湯治や現にもどる空っ風★★★★
寒靄の鍋割山へ朝日かな★★★
妻を呼ぶ間にも消えけり冬の虹★★★

●廣田洋一
水仙や木々の根方に乱れ咲く★★★★
大寒と言えど穏やか朝日差す★★★
人恋し大寒の午後待ち合わす★★★

●桑本栄太郎
大寒と言えばいつもや青空に★★★★
大寒の入り。そういえば、大寒に入る日はいつも青空だ。大気が透徹して青空が限りなく広がる。(高橋正子)

秀才の世は儚きや寒雷忌★★★
若枝の青く色めき寒ゆるむ★★★

川名ますみ
次々に話したきこと寒夕焼★★★★
冬雲短くもなき七七日★★★
法事終え故人の近き冬茜★★★

1月19日(3名)

●小口泰與
たっぷりと朝日吸い込み霜畳★★★
赤城より風花舞いて鳶も舞い★★★★
風に立つ白衣観音寒茜★★★

●廣田洋一
頬冷た襟元締める朝の風★★★
朝一番冷たき事務所冷たき手★★★
底冷えや星の光のとがりたる★★★★
底冷えのする夜、星の光が鋭く尖る。厳しい寒さに星はきりりと美しさを増す。(高橋正子)

●桑本栄太郎
暁闇の空に寒林絡み居り★★★
工場の朝の蒸気や寒ゆるむ★★★
畝の間の水のきらめき寒ゆるむ★★★★
畑の畝の間の水たまりは、春を促す雨が降った後であろうが、煌めいて、「寒ゆるむ」を実感させてくれる。(高橋正子)

1月18日(3名)

●小口泰與
三山は色をたがえて春を待つ★★★
空風や自転車下りし女学生★★★★
空風や髪逆立てし受験生★★★

●廣田洋一
公園にぽつりと灯る梅早し★★★
縁側の日はさんさんと冬の梅★★★
早梅や竹林の風柔らかし★★★★
「風柔らかし」の感覚がよい。早梅を見つけると、竹林を吹く風もしなやかに、柔らかくなる。(高橋正子)

●桑本栄太郎
カーテンを開けて滴や寒緩む★★★
畝の間に水の溜まりて寒緩む★★★★
冬晴れや回送電車の車庫へ入る★★★

1月17日(3名)

●小口泰與
隠れ沼へ冬三日月の光かな★★★★
冬の厳しく澄み切った世界がいい。(高橋正子)

老犬の長き涎や冬銀河★★★
峠より突き抜けてくる冬の風★★★

●廣田洋一
ちらほらと降りては消ゆる雪の花★★★
雪の朝そつと片足埋めてみる★★★
雪の下水の氷らぬスケート場★★★

●桑本栄太郎
竹筒の灯かり哀しき阪神忌★★★★
音もなく降る雨眠く寒緩む★★★
寒緩むとは云え一日雨となり★★★

1月16日(5名)

●多田有花
やわらかく食せり寒の干柿を★★★
一月やゆっくりトレイルランニング★★★
電気代はねあがりたり寒きびし★★★
全く同感です。

●小口泰與
隠れ沼の枯木に日差し鳥の声★★★
禽立ちて冬晴れの沼ありにけり★★★★
禽の飛び去った後の冬晴れの沼。静かでありながら、晴れやかで何か小さなものが動く気配がする。(高橋正子)

冬の梅瀬に沿う道へ日差しかな★★★

●廣田洋一
生牡蠣やさっと啜れる海の味★★★★
生牡蠣は生きのいいところをさっと食すのがいい。口に含んだとたんの潮の香が立つのが牡蠣の良さ。(高橋正子)

生牡蠣のとろりとしたるr月★★★
味噌鍋や野菜の底に牡蠣潜む★★★

●古田敬二
切干に刻めば大根水を噴く★★★★
まっすぐに冬の木立と我が影と★★★
厳冬に耐える野菜の草を抜く★★★

●桑本栄太郎
寒釣の湾処に一人桂川★★★
なだらかに生駒嶺うねり冬の雲★★★
冬ざれの祇園小路や勇歌碑★★★

1月15日(4名)

●小口泰與
赤城山(あかぎ)暮れ利根川(とね)も暮れけり掘炬燵★★★
石仏の目じり長きや日脚伸ぶ★★★
夕さりの太子の井戸へ冬日影★★★

●多田有花
日脚伸ぶ入日は北へ歩みおり(原句)
日脚伸ぶ入日は北へ歩みけり★★★★(正子添削)

午後三時裸木の影長く伸び★★★

頂に立てば眩しき寒の沖★★★★
「寒の沖」がただ「眩しい」。夾雑物のないすっきりとした景色がいい。(高橋正子)

●廣田洋一
稲の花厨に飾る小正月★★★★
「餅花」を地方によっては「稲の花」とも呼ぶ。養蚕の盛んなところでは「繭玉」と呼ばれる。

ヘルパーさん装い新た小正月★★★
缶詰の小豆で済ます小正月★★★

●桑本栄太郎
君を抱き夢の旅路へ暖鳥★★★
午後の日に盛りとなりぬしづり雪★★★
寒柝の団地にひびく夜更けかな★★★

1月14日(4名)

●小口泰與
裏庭を風のかおらす水仙花★★★★
裏庭に咲く水仙を風が吹いて香らせる。裏庭は水仙の香りに満ちて、静かでとても清々しいのだ。(高橋正子)

寒月や沼寂寞の木木の影★★★
灯の消えし足尾銅山虎落笛★★★

●廣田洋一
励ましの声掛け合ひて冬薔薇★★★
冬薔薇一輪挿しの花瓶かな★★★
闘病の友思ひ出す冬薔薇★★★

●多田有花
暖かき布団の引力寒の朝★★★
枯蓮に空どこまでも晴れ渡り★★★★
のんびりと陽を浴びている冬の山★★★

●桑本栄太郎
剪定の切り口白く冬ざるる★★★
枯蘆の水面疎らに日暮れけり★★★
どんど火の開く闇夜の朝かな(原句)
どんど火が闇夜を開き朝となる★★★(正子添削)

1月13日(5名)

●廣田洋一
寒の朝隣家の灯り確かめる★★★
急ぎ足早めるほどに息白し★★★
起き立てのコーヒー香る冬の朝(原句)
起き立てにコーヒー香る冬の朝★★★(正子添削)

●多田有花
どんど焼知らせる朝の町内放送★★★
寒風の空に枝張る欅かな★★★
陽は日ごと明るし寒波つのれども★★★

●小口泰與
寒梅や碧虚の下の城の跡★★★
朝日刺す榛名山(はるな)へ忽と吹雪かな★★★
線香の消えんとするや大嚏★★

●古田敬二
黒く伸び冬の木立と我が影と★★★
枯枝のひろがる天の青さかな★★★★
「枯枝」の清潔さが天の青さに際立っている。枯枝とはとはいうものの、内側にはいきいきと樹液が巡っている。(高橋正子)

我も枯れ冬木も枯れて影伸ばす★★★

●桑本栄太郎
丘上の風の日射しや梅探る(原句)
丘上の風と日射しや梅探る★★★★(正子添削)
もとの句の「風の日射し」は、わかりにくい。「の」を使い方にご注意ください。

光るものありて踏みみる初氷★★★
枯蘆の水面疎らに日暮れけり★★★

1月12日(4名)

●小口泰與
写真機をしかと構えし冬の禽(原句)
写真機をしかと構えり寒禽に★★★★(正子添削)
野山に出れば、寒禽の声が飛び交う。写真機を構えて寒禽の様子を撮ろうと構える。被写体の寒禽に、ぐっとカメラを構える心意気。(高橋正子)

座布団をかえす高座や寒紅梅★★★
縄文のビーナスの胸実千両★★★

●多田有花
寒の陽の窓に明るし風荒れる★★★
列島の背にのしかかる寒波かな★★★
古タオル外の蛇口に巻く寒夜★★★

●桑本栄太郎
雪晴やはるかに臨む白き嶺★★★
外つ人の初撮りなるや冬の京★★★
竹刀持て裸足走るや寒稽古★★★

●廣田洋一
電飾の青き灯りや寒の雨★★★
梅の木を黒く見せける冬の雨(原句)
梅の木を黒々濡らす冬の雨★★★★(正子添削)
団栗の木をかさかさと冬の雨★★★

1月11日(4名)

●廣田洋一
ゆで小豆一缶用意鏡開★★★
鏡開喜寿目指す道開きけり★★★
鏡開き汁粉待ちをる朝稽古★★★

●小口泰與
鍬振るう赤城颪に刃向かいて★★★
沼凍てて断頭台の小舟かな★★★
白鳥の鋭声や夕日一筋に★★★

●河野啓一
 =変松年始に入院を余儀なくされて-
去年ことし病院食の味薄く★★★
生駒山二日の朝日東より★★★★
生駒山が見えるところに住む人にとっては、目を向ければいつも存在する親しい山。新年二日の朝日も東より昇り、新年が歩み始めた心強さ。(高橋正子)

孫のフながめ一日寝正月★★★

●桑本栄太郎
大橋を人の行き交うゆりかもめ★★★
南座の工事足場や冬の京★★★
べつたらの試食もありぬ八坂前★★★

自由な投句箱/1月1日~10日(2018年)


生き生きと、みずみずしい句を期待しています。

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今日の秀句/1月1日~10日(2018年)


1月10日(2句)

★暮れ初める丹沢の山冴返る/廣田洋一
湘南からは丹沢の山が見えるであろうが、暮れ初めた山が冴え返り、向き合うと、その厳しさが励ましにもなってくれる。(高橋正子)

★冬耕す長靴の泥重くして/古田敬二
冬の野の耕しは、汗をかきながらも寒く、冷たい。長靴に付く泥も水気を含んで重い。それが現実だが、現実が力強い。(高橋正子)

1月9日(2句)

★三山はなべて紺色日短・小口泰與
泰與さんにとって、三山とは上毛三山。日の短さを思う日々だが、仰ぎ見る山々は美しい紺色だ。(高橋正子)

★冬芽立つ囁くごとき梢かな/廣田洋一
冬芽がまるで囁くように揃って立っている。小さなものの命の愛おしさを思わせる句だ。(高橋正子)

1月8日(3句)

★快晴の新春の山歩きけり/多田有花
新春の山というだけで、うきうきとする。快晴の日の下を「歩く楽しみ」があって、いい。(高橋正子)

★竹林の節の白さよ寒の雨/桑本栄太郎
竹林の竹の節に目がゆく時は、寒さが極まる時かもしれない。寒の雨に竹がきりりと節を引き締めている。(高橋正子)

★工場の蒸気噴き居り雪しぐれ/桑本栄太郎
工場からは蒸気が勢いよく噴き出している。外は雪しぐれ。雪しぐれの日も工場は活気がある。いい取り合わせだ。(高橋正子)

1月7日(1句)

冬萌や資材置場の朝の声(原句)
★冬萌や資材置場に朝の声/小口泰與
資材置き場でよく見かけるのは空き地を利用したもので、舗装などしていない。そこに冬草が萌え出て、仕事をする人が、寒い朝にも拘わらす、挨拶をしたり、仕事の段取りを話したりしている。寒い朝の声に、聞いてるものは元気をもらう。添削は、作者のいる場所をはっきりとさせた。(高橋正子)

1月6日(1句)
★静かな雨降りてあがりぬ寒の入/多田有花
寒の入りの天候が格別荒れるわけでもなく、静かな雨で寒に入った。しずしずと季節が巡るのもいい。(高橋正子)

1月5日(1句)

★正月の海の夜明けを見る電車/多田有花
正月の海、そしてその夜明けは、どれほどすばらしいものであるか。それを見るように運行される初電車。わずかな乗車距離も旅の心になれるよさ。(高橋正子)

1月4日(1句)

★麦の芽やうねり大きく黒き土/桑本栄太郎
「うねり」に躍動感が読み取れる。麦の芽の緑と、黒い色の土は、大地のゆたかさの象徴のようだる。(高橋正子)

1月3日(2句)

★晴着の子吊り上げてゆく初詣/多田有花
小さな子に晴着を着せて初詣。晴着の裾が汚れるのか吊り上げて参らせる。ほほえましい光景だ。(高橋正子)

★破魔矢の鈴の音軽く響きけり/廣田洋一
破魔矢の鈴がちりちりと軽く響くのが正月らしい晴れやかさで快い。(高橋真亜子)

1月2日

該当句無し

1月1日(2句)

★元旦やゆるり瞬く大犬座/廣田洋一
大犬座の瞬きがゆるやか。元旦の時がゆるやかなのだ。(高橋正子)

★延々と銀杏冬芽やバス通り/桑本栄太郎
散りつくした銀杏に冬芽がしっかりとついている。延々と続く銀杏並木のバス通り。「延々と続くこと」の明るさ。(高橋正子)

1月1日~10日(2018年)


1月10日(4名)

廣田洋一
暮れ初める丹沢の山冴返る★★★★
湘南からは丹沢の山が見えるであろうが、暮れ初めた山が冴え返り、向き合うと、その厳しさが励ましにもなってくれる。(高橋正子)

お湯割りの焼酎二杯冴える夜★★★
新しき土を盛りたる空地冴ゆ★★★

小口泰與
冬の日の居間に差しけり猫の聲★★★
底冷えの仏壇の花かえにけり★★★
弐階より冷たき手すり伝いけり★★★

古田敬二
命秘めまっすぐに立つタラ枯れ木★★★
枝先は命の緑タラ枯れ木★★★
冬耕す長靴の泥重くして★★★★
冬の野の耕しは、汗をかきながらも寒く、冷たい。長靴に付く泥も水気を含んで重い。それが現実だが、現実が力強い。
(高橋正子)

桑本栄太郎
外つ人の初撮りなるや冬の京★★★
水匂う花見小路や冬の雨★★★
店先に酢茎の樽の置かれけり★★★

1月9日(3名)

小口泰與
三山はなべて紺色日短★★★★
泰與さんにとって、三山とは上毛三山。日の短さを思う日々だが、仰ぎ見る山々は美しい紺色だ。(高橋正子)

爛爛と朝日を浴びし雪浅間★★★
薄紅の朝の浅間や冬雲雀★★★

廣田洋一
寒晴やバス待つ人の少なかり★★★
朝稽古終えたる街の寒日和★★★
冬芽立つ囁くごとき梢かな★★★★
冬芽がまるで囁くように揃って立っている。小さなものの命の愛おしさを思わせる句だ。(高橋正子)

桑本栄太郎
葉牡丹の淡々巻いて日差しけり★★★
太陽のにぶき日差しや寒四郎★★★
ふるさとの海鳴り遠くしまき風★★★

1月8日(4名)

小口泰與
琅玕や水面にぎわす寒落暉★★★
枯葎こむらの痛みますばかり★★
酒を飲みしめは羊かん寒の内★★

多田有花
快晴の新春の山歩きけり★★★★
柚子入れて野菜ジュースを搾りおり★★★
正月のからだほぐしている八日★★

廣田洋一
成人式見送る母の小さき背★★★
成人日髪黒々と染め上げし★★★
成人式帰宅の駅の献血車★★★

桑本栄太郎
竹林の節の白さよ寒の雨★★★★
工場の蒸気噴き居り雪しぐれ★★★★
待ち合わす改札口や成人日★★★

1月7日(4名)

小口泰與
松取りて山風のみの巷かな★★★
冬萌や資材置場の朝の声(原句)
冬萌や資材置場に朝の声★★★★(正子添削)
資材置き場でよく見かけるのは空き地を利用したもので、舗装などしていない。そこに冬草が萌え出て、仕事をする人が、寒い朝にも拘わらす、挨拶をしたり、仕事の段取りを話したりしている。寒い朝の声に、聞いてるものは元気をもらう。添削は、作者のいる場所をはっきりとさせた。(高橋正子)

冬ざれの銀杏大樹の走り根ぞ★★★

多田有花
はつ春の光を浴びて耕しぬ★★★
人日の日差しいっぱい頂に★★★
干支の絵馬いただき戻る七日かな★★★

桑本栄太郎
冬萌や土手の斜面の南面す(原句)
南面の土手の斜面や冬萌ゆる★★★★(正子添削)
生駒嶺の冬の霞に沈みけり★★★
黒雲の去りて顕はや嶺の雪★★★

廣田洋一
初句会特選記念の手帳かな★★★
寝入り端古き友より初電話★★★
新年会背の伸びし子伸びぬ子も★★★

1月6日(4名)

小口泰與
出初式火消しは纏空へ振り★★★
火の山へ従う山や冬菫★★★★
薄紅の空に映ゆるや雪浅間★★★

多田有花
かの人よりいただく小さきお年玉★★★
小寒や雨音のなき雨の降る★★★
静かな雨降りてあがりぬ寒の入★★★★

廣田洋一
寒の入りかねて用意のコート着る★★★
寒の入り地震警報寒々し★★★
良く笑う友とつつけり河豚の鍋★★★

桑本栄太郎
改札を出でて陸橋冬木の芽★★★
ちょんちょんと跳んで悲鳴や冬の鵯★★
目薬の口に入りたり寒に入る★★

1月5日(5名)

廣田洋一
喰積や何をするにも独りかな★★★
喰積や酒も仏に供へけり★★★★
喰積の玉子焼きよりはけて行き★★★

小口泰與
湯薬の匂い流るる寒の入★★★★
枯れきって逆光すいと薄かな★★★
棚探し毛の三山の馳走にて★★★

多田有花
新玉の夜の静けさに歩みだす★★★
着膨れて列車を待てり人の群★★★
正月の海の夜明けを見る電車★★★★
正月の海、そしてその夜明けは、どれほどすばらしいものであるか。それを見るように運行される初電車。わずかな乗車距離も旅の心になれるよさ。(高橋正子)

桑本栄太郎
黒猫の目玉茂みに冬日燦★★★
キャッチボールの服もまばらや初練習★★★
ぷかぷかと波のとりこや鴨の陣★★★★

川名ますみ
初暦力一杯表紙切る★★★
水仙のかたまって咲く医科の裏★★★★
弾き初めに母の好みしモーツァルト★★★

1月4日(5名)

多田有花
筆始描く大和の雪景色★★★
正月の凧が河原に二つ三つ★★★
タップして開くスマホの初暦★★★

古田敬二
声変わりせし孫も来て新年会★★★
背伸びして枇杷の花嗅ぐ森独り★★★
故郷にもありし香りよ枇杷の花★★★★

小口泰與
娘らを駅に送りて初やいと★★★
蝋梅や古き机の傷の跡★★★★
冬萌や羽音激しき群雀★★★

廣田 洋一
我家にも福もたらすかふくら雀★★★
寒雀連なる先に富士の山★★★
日溜りを行きつ戻りつ寒雀★★★★

桑本栄太郎
麦の芽やうねり大きく黒き土★★★★
「うねり」に躍動感が読み取れる。麦の芽の緑と、黒い色の土は、大地のゆたかさの象徴のようだる。(高橋正子)

冬耕の土くろぐろと返さるる★★★
冬萌や畦の囲みて濃く淡く★★★

1月3日(5名)

小口泰與
天窓へ朝日差し込む御慶かな★★★
隠れ沼の葦枯れており雲と鳥★★★
新幹線はや満席の三日かな★★★

古田敬二
初日の出拝む我らに平和あれ★★★
冬オリオンを夜間飛行機明日へ行く★★★
初詣へ窓の下行く下駄の音★★★

多田有花
去年今年沁み透りゆく鐘の音★★★★
晴着の子吊り上げてゆく初詣★★★★
小さな子に晴着を着せて初詣。晴着の裾が汚れるのか吊り上げて参らせる。ほほえましい光景だ。(高橋正子)
母の手をひいて年始の客となる★★★

(桑本栄太郎
御降やガラス越しなる嶺の白★★★
平成の御代慕はしき参賀かな★★★
三日はやパンの恋しくなりにけり★★★

廣田洋一
ハラハラ散りカサカサ鳴ける木の葉かな★★★
破魔矢の鈴の音軽く響きけり★★★★
破魔矢の鈴がちりちりと軽く響くのが正月らしい晴れやかさで快い。(高橋真亜子)

老夫婦杖を頼りに初詣★★★

1月2日(4名)

小口泰與
初景色平成の世も終わりける★★★
眼間の人に御慶の足湯かな★★★
一月の土瓶で煮込む薬かな★★★

廣田洋一
初詣靴音高き老婦人★★★
初手水ハンカチ持てる母隣り★★★★
初御空観音像の白きかな★★★

多田有花
静けさや霜の大地に初明り★★★
元朝や日の出を待って外に出る★★★
寄せ来るは光の波や初景色★★★

桑本栄太郎
娶らざる吾子戻り来て寝正月★★★
平成の一般参賀や御代の春★★★
二日はや満艦飾や濯ぎもの★★★

1月1日(3名)

小口泰與
噴煙の垂直に伸び初日かな★★★
初景色白き浅間へ朝日差す★★★
噴煙を紅に染めたる初日の出★★★

廣田洋一
元旦やゆるり瞬く大犬座★★★★
大犬座の瞬きがゆるやか。元旦の時がゆるやかなのだ。(高橋正子)
初日の出光の帯水面を走る★★★
赤き球黄色き光初日かな★★★

桑本栄太郎
東雲の今朝の茜や初明り★★★
延々と銀杏冬芽やバス通り★★★★
散りつくした銀杏に冬芽がしっかりとついている。延々と続く銀杏並木のバス通り。「延々と続くこと」の明るさ。(高橋正子)

教会に昨日につづく初礼拝★★★