9月27日

●小口泰與
菊咲きて誦経の僧の背中(そびら)かな★★★
山霧のまよい起ちけり里の渓★★★
おおかたは流れとともに行く柳★★★

●多田有花
青空へコスモスいっぱい身を揺らす★★★★
「いっぱい」はコスモスがいっぱいでもあるし、身を揺らすのが「大いに」の意味のいっぱいとも解せる。ともかく、たくさんのコスモスが精一杯風に花を揺らせているのだ。その所作がかわいい。(高橋正子)

秋冷の始まる夜のテニスコート★★★
一面の刈田一筋煙たつ★★★

●桑本栄太郎
刻々と雲の変化(へんげ)や野分晴れ★★★
想い出の影のごとくに藤は実に★★★
秋澄みてテニスコートの弾む音★★★

●黒谷光子
山並の分かつは秋の空と湖★★★★
海と空を分かつのが水平線であるのに対し、湖と空を分けているのが、横に伸びる山並。湖の国の秋空が広々として深い。(高橋正子)

秋蝶の湖辺の草に翅たたむ★★★
穏やかな湖見える土手緋のカンナ★★★

●河野啓一
★煮刈りて明るくなりし松手入れ
★天蚕の里に下り来て大きな翅紋★★★
★秋の空白雲包む日の光★★★


コメント

  1. 多田有花
    2013年9月28日 18:39

    お礼
    信之先生、正子せんせい、
    「青空へコスモスいっぱい身を揺らす」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
    コスモスは風によく揺れ、そのさまが花の魅力を増していると感じます。