8月4日(日)


●小口泰與
赤城より矢庭にきたる夕立かな★★★
空蝉やはたとひざ打つ同窓会★★★
唐突に轟音生みしはたた神★★★

●小西 宏
老農の畑にトマトの群真っ赤★★★★
日焼けて深く刻まれた皺の農夫。それに真っ赤に熟れたトマト、トマト。この取り合わせが画になり、意味になっている。(高橋正子)

夏高くオオヤマトンボ巡航す★★★
病葉となりて桜の香の仄か★★★

●黒谷光子
木曽連山掲ぐ入道雲大き★★★★
青々と聳える木曽の山々。その山々が、また堂々と入道雲を掲げている。この連山にして、この入道雲。真夏の雄々しい姿がさわやかだ。(高橋正子)

山頂へ続く雪渓幾筋も★★★
立ち止まりまた立ち止まりお花畑★★★

●多田有花
山の水たっぷり汲んで墓洗う★★★★
墓地は山のふもとにある。冷たい山の水を汲んで、きれいさっぱりと墓を洗う。故人もさっぱりと涼しい思いになられたことであろう。(高橋正子)

暑き日につくつくぼうし鳴き初める★★★
朝の風窓より入りぬ秋近し★★★

●古田敬二
パナマ帽あれば炎暑へ出る勇気★★★
鍬の柄の真昼の極暑の熱のあり★★★
茄子を焼くちらりと母を思い出し★★★

●桑本栄太郎
夏草の午後ともなれば萎れけり★★★
枝先の微風逃さずさるすべり★★★
干上がりて小石の流れ旱川★★★

●高橋秀之
水平線から昇る夏の陽は眩し★★★★
夏は朝日にして、はや力強く眩しい。水平線から昇る朝日は、海を輝かせて特に眩しい。(高橋正子)

昇る日が夏の青海の揺れ照らす★★★
眼前にあるのは夏の空と海★★★


コメント

  1. 小西 宏
    2013年8月5日 21:29

    お礼
    高橋正子先生
    「老農の畑にトマトの群真っ赤」へのお言葉、たいへん嬉しく、有難く頂戴いたしました。母のいる施設の近くの畑では老齢の農夫が畑の世話をしているのよく見かけます。時々、お孫さんか曾孫さんらしい子供も付いていて、車を引いたりなど、お手伝いしています。

  2. 高橋秀之
    2013年8月6日 5:44

    お礼
    高橋正子先生
    水平線から昇る夏の陽は眩しの句にコメントをいただきありがとうございました。
    旅行先(紀伊勝浦)の朝の露天風呂から見た光景でしたが、いただいたコメントのとおり、
    水平線から昇る朝日は、海を輝かせて特に眩しかったです。

  3. 多田有花
    2013年8月6日 17:45

    お礼
    信之先生、正子先生、
    「山の水たっぷり汲んで墓洗う」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
    少し早めでしたが、お墓の掃除をしてきました。草をひいて、掃き清めて、水を汲んで墓石をふいて…。
    暑かったですが、一区切りつきました。