5月16日(木)

●小口泰與
青鷺の脛打つ水を凝視せり★★★
鳥鳴きて朝日透かせる若葉かな★★★
下闇や打ち捨てられし鎌と鍬★★★

●迫田和代
夏日避け庭の木陰のレモネード★★★★
木陰で飲むレモネード。おしゃれな句で、いかにも涼しそうだ。(高橋正子)

新緑の向こうに浮かぶ白い雲★★★
夏草の茂みを除けて川流れ★★★

●河野啓一
薫風を招き入れたり窓全開★★★
風薫る朝空高くとんび舞う★★★
森の中辿りて嬉し風薫る★★★

●桑本栄太郎
かしましき程の田道や揚ひばり★★★★
田道は しずかに明るく、雲雀を邪魔するものもない。雲雀が野の明るさを謳歌している。(高橋正子)

山風の田水に吹きぬ夕薄暑★★★
さざ波の片辺に奔る代田かな★★★

●多田有花
窓開けて五月の風を入れ走る★★★
夏の蝶飛び交わしつつ森に消ゆ★★★
森歩き若葉を鳴らす風を聞く★★★

●下地鉄
紫陽花の雨の星屑輝けリ★★★
梅雨空や連山影を失えり★★★
雷鳴の大きいほどのしずまれり★★★

●黒谷光子
カットして涼しき髪を風の中★★★★
髪をカットして襟足もすっきりとした気持ちは、さっぱりとしてよい気持ちだ。日常生活のなかにも、フレッシュな気持ちになれる場面はいくらでもある。(高橋正子)

莢豌豆山ほど採れて娘に分かつ★★★
莢豌豆揚げて衣を透くみどり★★★

●佃 康水
 広島県緑化センター
昼月を上げて深山の朴の花★★★★
深山の気配をもつ朴の花と空の昼月とを詠んだ大きな景色の句。それがまた、大らかにしっかりと咲く朴の花とよく付合している。(高橋正子)

空深し白光放つ朴の花★★★
揺れる葉へ穂は真っ直ぐに栃の花★★★

●小西 宏
ビル望み丘に髭立つ麦の秋★★★
軽鳧の子の手に汗握る細き脚★★★
葉に会えば隠れて小さき桜の実★★★

●古田敬二
通学路明るき陽と声糸繰草★★★
エンドウ採る実のふくらみを確かめて★★★
芍薬のこぼれそうなる咲き終わり★★★


コメント

  1. 佃 康水
    2013年5月20日 13:21

    お礼
    信之先生 正子先生
    5/16の句へのご指導を有難うございます。また、「朴の花」の句へ素敵な句評を賜り大変嬉しく感謝申し上げます。「朴の花」を見たくて緑化センターに参りました。深山に咲いて居るので近くで見る事は出来ませんでしたが、仰ぎ見ると空には白い月(欠けては居ましたが)が浮かび余計感動致しました。