小口泰與
D五一の蒸気硬しや夏の草★★★★
D五一も限られたところでしか走っていないが、蒸気機関車というのは、人間的な魅力のある機関車だ。「蒸気硬し」がこの句の面白さだが、慎重に蒸気を吐き出し、夏草の伸び始めた線路を走っている景を想像する。夏草がさほど茂っていない故の「蒸気硬し」だろう。(高橋正子)
石楠花や男体山の冷気みつ★★★
蛇の髭の花やひそっと田に居りぬ★★★
黒谷光子
豌豆の筋とる雨音聞きながら★★★
雨降って庭は緑を滴らす★★★
五月雨のひと日静かに暮れてゆく★★★
河野啓一
花蜜柑白き香りのとき想う★★★
庭の薔薇咲いて姿の美しき★★★
日ごと摘む庭の大きなサラダ菜を★★★
桑本栄太郎
延々とつづく鉄路の酸葉かな★★★★
銀色の丘となりけり茅花咲く★★★
さみどりの陽射し透き居り窓若葉★★★
多田有花
朝の雨高く咲きおり桐の花★★★
大橋はすっぽり初夏の霧の中★★★
須磨海岸夏のはじめの波寄せる★★★
コメント
御礼
高橋正子先生
「夏の草」の句に4つの★印のご指導を賜わり、その上、正子先生より素晴らしい句評を頂き有難う御座いました。
今後ともよろしくご指導のほどお願い申し上げます。