12月6日-7日

12月7日
●古田敬二
坂多きプラハは白き霜の街★★★★
政治の面では「プラハの春」を思い起こすが、この句からプラハは、坂の多い街、厳しく霜が白く置く街と知る。東欧の古都のそういう街に私は憧れる。(高橋正子)

城郭の名残の壁に霜真白★★★
森奥へ霜の白さの伸びており★★★

●小口泰與
神の留守浅間は雪をかずきけり★★★
あけぼのや影の散らばる寒雀★★★
火の山の南面とけし冬芽かな★★★

●桑本栄太郎
採り跡の千々の乱れや冬菜畑★★★

外焚きの風呂の閉ざされ冬日さす★★★★
今は使われなくなった外焚きの風呂が閉ざされて冬日が暖かく差している。子供のころの風呂焚きの思い出も蘇るのだろう。(高橋正子)

大雪の吾にもありぬ秘密保護★★★

●多田有花
啄木鳥や静かに落葉つづく森★★★
やわらかく墓所に降り積む落葉かな★★★★
岩尾根の冬青空の中に立つ★★★

12月6日

●小口泰與
山風に番茶の似合う炬燵かな★★★
山すその寒灯ゆれし風の音★★★
カプチーノ飲み終わりけり北颪★★★

●多田有花
真昼の陽明るく木の葉降りやまず★★★★
「木の葉降りやまず」の景色が、真昼の陽の中であるのがこの句の良さ。透明感に加え、「時の永遠」もあわせて感じさせる。(高橋正子)

山影が冬の霞の中に浮く★★★
いま落ちしばかりの木の葉踏みてゆく★★★

●桑本栄太郎
池の辺の風の素通り蘆枯るる★★★★
枯蘆にかかわるのか、かかわらぬのか、池の辺を風が通り抜ける。素通りする。さらさらと吹く冬の風がよい。(高橋正子)

枯蘆の踊るばかりや風の音★★★
さざ波の岸に久遠や冬の池★★★


コメント

  1. 多田有花
    2013年12月8日 18:42

    お礼
    信之先生、正子先生、
    「真昼の陽明るく木の葉降りやまず」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
    姫路では、落葉が今もっとも盛んな時期です。
    風がなくても落葉が落葉を誘うようにとどまることなく続いています。

  2. 桑本栄太郎
    2013年12月8日 19:34

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    12月6日の句「池の辺の風の素通り蘆枯るる」、12月7日の句「外焚きの風呂の閉ざされ冬日さす」の句に★印のご指導を賜り、それぞれ嬉しい素敵なご句評も頂戴しまして大変有難うございます。散策に出かける度に冬ざれの光景が進み、季節の移り変わりの早やさに驚くばかりです。