●小口泰與
熱燗や赤むらさきの赤城山★★★
木枯しや榛名の肌の焦げ茶色★★★
蓼科の湯宿の古りし炬燵かな★★★
●桑本栄太郎
光陰の過ぎし習いや芒枯る★★★
下校子の駅へとつづく冬田かな★★★★
冬田の中を下校の子がつぎつぎと駅へ向かって歩く。駅も、下校の子たちも冬田との関わり合いでいい生活風景となっている。(高橋正子)
風吹けば彩の舞いおり木の葉飛ぶ★★★
●多田有花
丘の上冬の朝日が当たる家★★★
坂道が冬青空へ抜けてゆく★★★★
坂道のその上は青空へつながる。坂道の魅力はこんなところに大いにある言える。(高橋正子)
冬枯れの川べりをゆくクラシックカー★★★
●佃 康水
広島 三瀧寺紅葉祭り
冬瀧や朱の葉隠れに音激し★★★
磨崖仏の顔を掠めて散紅葉★★★
日の温み残る欄干紅葉散る★★★★
陽だまりの欄干にたたずめば、紅葉が散ってくる。日に照り映える紅葉や日の温みなど、心が温かく癒される思いだ。(高橋正子)
●古田敬二
良き知らせ真っ盛りなる石蕗の花★★★★
石蕗の花の明るさが、良き知らせそのもののようだ。(高橋正子)
逆光に透かして盛りの黄葉樹★★★
ドングリの豊かに膨らみ輝けり★★★
●小西 宏
音遠き落葉の森に日の斜め★★★
落葉掃く八十余歳来し方を★★★
富士の雪うす影にしてひとつ星★★★
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
「下校子の駅へとつづく冬田かな」の句に★印のご指導を賜り、大変有難うございます。外出からの帰宅時の夕方4時過ぎに、大阪府三島郡島本町辺りで、JR島本駅へ下校の高校生が向かう場面に出会いました。大阪府の中でもかなり鄙びた場所です。かばんを持った男女の高校生達がそぞろ歩きに駅へ向かう光景は、冬の夕方の風情を感じました。
お礼
高橋信之先生 高橋正子先生
11/24日の投句へ★印のご指導を誠に有難うございます。又、正子先生には「日の温み残る欄干紅葉散る」の句へ温かい句評を賜り感謝申し上げます。三瀧寺の多宝塔の坂を上ると丁度傾いた日が差し込んで欄干が温かくなっていました。紅葉も美しく心癒される古刹でした。