●小口泰與
雨しずくふくむ冬菜を摘みにけり★★★★
雨しずくのついた冬菜は一段と緑も濃く、生き生きとふくよかに育っている。冬菜にも寒さや冷たさにもめげない力がある。(高橋正子)
寒暁のビルあかあかと朝日影★★★
荒星のこぼるる山や牡丹鍋★★★
●古田敬二
大股に春の気配の風を行く★★★★
角曲がる北風強く向かい来る★★★
玄関に活けし白梅開きけり★★★
●下地鉄
石蓴汁椀の香りの湯気やさし★★★★
石蓴(あおさ)の味噌汁などは、磯の香りがして、湯気もやさしく立ち上って春らしいものだ。。一椀の汁に春がある。(高橋正子)
唐獅子の眼もやわらかき春ちかし★★★
寒椿山深くして音も無く★★★
●桑本栄太郎
寒林といえど梢の空へ空へ★★★
遠山の眠りを揺する日射しかな★★★
蝋梅の道の明かりを教会へ★★★★
「教会へ」とあるので、ヨーロッパの小さな村の雰囲気を想像してしまう。それは、蝋梅の花の「香り」よりも「明るさ」を詠んでいるせいであるだろう。(高橋正子)
●小西 宏
霜柱つま先に触れ瑠璃の音★★★
満天星の冬芽差す日の柔らかし★★★
鳥の声澄む晴天の枯林★★★★
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
1月27日の「蝋梅の道の明かりを教会へ」の句に★印のご指導を賜り、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難うございます。教会の礼拝には、バス、電車を乗り継ぎ1時間ほどかけて行きます。その道すがらに咲く蝋梅の花は、教会へ向かっていると言う事柄と共に花の黄色の明るさは、喜びでもあります。