1月16日
●小口泰與
寒声や風に逆らう鴉二羽★★★
せんべいの売上伸びし空っ風★★★★
空っ風が吹く日は、炬燵やストーブを囲み、熱いお茶を呑み、せんべいを食べることが多いのだろう。勢いせんべいがよく売れる。結構なことだ。(高橋正子)
夕づきて干かごの餅揺れにけり★★★
●小西 宏
土黒く載せて雲母(きらら)の霜柱★★★★
霜柱が黒土を持ち上げていることがある。黒土に混じって雲母が輝いていることもあって、自然の成り行きながら驚かされる。(高橋正子)
冬晴の梯子に籠り松手入れ★★★
枯枝に柿刺してあり鳥の為★★★
●桑本栄太郎
赤き実の空へ干乾び寒晴るる★★★
水色の空に背伸びや冬芽どち★★★
水禽のつがいの離れ呼び合える★★★
●多田有花
むかし綿いまはダウンのちゃんちゃんこ★★★
寒の夕沖金色に光りけり★★★★
入日間際の日が沖に反射し、沖は金色になる。寒の夕が金色を渋くさせて、落ち着いている。(高橋正子)
万両や古刹が伝える略系図★★★
1月15日
●小口泰與
うま酒の信濃にありて冬の月★★★
切炬燵玉子ごはんのほっかほか★★★
藁仕事煤のつきたる自在鉤★★★★
炉辺での藁仕事はが昔ながらに続いているのも貴重なことだ。炉の上にぶら下がる自在鉤もさすがに煤けて年代を感じさせている。(高橋正子)
●多田有花
土を崩せばきらやかに霜柱★★★
寒の陽を浴び石段を登る★★★
池凍り真昼の日差し跳ね返す★★★★
凍った池が跳ね返す真昼の光の白い世界が洒落ている。「真昼」なので光に混ざりけがない。(高橋正子)
●桑本栄太郎
寒晴れの起重機高く日の中へ★★★★
起重機は機械でありながら、人間的な雰囲気がある。寒晴れの日の中に突き出て作業をしている様子は、見ていても面白いものだ。(高橋正子)
一月の真中や川の涸れ尽きぬ★★★
水色の空に風花舞い揚がる★★★
●河野啓一
網張って虫よけしたる冬野菜★★★
冬ざれの並木道にも鳥の影★★★
稜線をそぎ落としたる雪六甲★★★★
雪が積むと山稜がくっきりとする。無駄をそぎ落としたような厳しい姿を見せる。雪嶺の厳しい美しさである。(高橋正子)
●小西 宏
昼どきの物思いして雪を待つ★★★
探梅の谷地深きなる薄緑★★★
太箸に粗(あら)を突ついて鮟鱇鍋★★★★
「太箸」がいい。酒が進み、話が湧いている男連中の囲む鮟鱇鍋だろう。(高橋正子)
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
1/15の投句に★印のご指導を賜わり、その上、正子先生には、素晴らしい句評を頂き有難う御座いました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋信之先生、正子先生
1月15日の「寒晴れの起重機空の日の中へ」の句に★印のご指導を賜り、嬉しい素敵なご句評も頂戴しまして大変有難うございます。先日の外出先の高槻市界隈で見かけた光景ですが、寒晴れの真っ青な空にめったに見られない起重機の高いアームがゆったり動いていました。ご指摘のように、起重機の動きに機械ながら人間的な詩情を感じました。
お礼
高橋正子先生
「太箸に粗(あら)を突ついて鮟鱇鍋」に男たちの集い酒をご想像くださり、たいへんありがとうございました。粗はゼラチン質がコリコリしていて美味でした。
お礼
信之先生、正子先生、
「池凍り真昼の日差し跳ね返す」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
さすがに寒中で、山寺の池が昼になっても凍っていました。
御礼
高橋信之先生、正子先生
1/16の投句に★印のご指導を賜わり、その上、正子先生には「空っ風」の句に素晴らしい句評を頂き有難う御座いました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
信之先生、正子先生、
「寒の夕沖金色に光りけり」にご指導、ご句評をいただきありがとうございます。
まわりの景色は暮れてきて、沖だけが輝いていて、そのコントラストが印象に残りました。
お礼
高橋正子先生
「土黒く載せて雲母(きらら)の霜柱」に嬉しいお言葉をお贈り下さり、たいへんありがとうございます。犬と散歩する近所の公園の朝の風景でした。
お礼
信之先生、正子先生
[雪六甲の句に★印によるご指導を賜り、正子先生には素敵なご句評を御添え戴きまして誠に有難うございました。