[9月20日]
★秋袷化粧落ちした女あり/迫田和代
秋涼の季節に相応しい織や柄の秋袷も着こなしにより雰囲気はいろいろ。隙なく装うより、少し化粧落ちしたところに、秋のさびしさもあって、個性を感じさせる。(高橋正子)
★佛にと届く大束紫苑かな/黒谷光子
紫苑は丈高く伸びて、ひと茎に咲薄紫の花もたくさんだ。その花を抱えるほどの大束にして、佛にとくれた。紫苑の優しい色があふれる。(高橋正子)
[9月19日]
★マンション群抜けて秋野を送迎車/河野啓一
送迎車は、自宅から多少離れたところへ送り迎えをしてくれ、途中の景色も楽しみなもの。マンション群が途切れたところに急に秋の風情ある野原が現れる。都市近郊の開発中のところなどで見られる景色だが、芒や千々の草を眼にすれば、嬉しいものだ。(高橋正子)
[9月18日]
★校庭に子らの飼う馬秋の風/内山富佐子
校庭で馬を飼うのは、人と馬の生活が親密な北国らしいことであると思うが、「天高く馬肥ゆる秋」の季節を迎えた。子供たちが嬉しそうに馬に餌を与えている様子を思う。(高橋正子)
★カンナ咲く角を曲がれば海に出る/多田有花
生活に海がある瀬戸内海。海の色とカンナの強い色が対比され、明快な瀬戸内らしい風景だ。(高橋正子)
[9月17日]
★名月や北へ来て居る旅の夜半/小川和子
名月の北の夜は、季節も一層進んで、月の光も冴えわたっていることだろう。北の夜半の旅愁の名月。(高橋正子)
★太鼓台金糸銀糸を秋の陽に/多田有花
新居浜の太鼓台は、勇壮できらびやかなことで名高い。太鼓台を飾る金糸、銀糸に秋陽があたるとまばゆい。太鼓台をまぶしくさせる「秋の陽」が、祭りに趣を添える。(高橋正子)
★銀漢や海峡の町の路地深く/福田ひろし
海峡のある町の路地の突き当たりは海であることも多いが、その路地の奥深くに天の川の無数の星が見える。海峡の生活の路地にぴったりと嵌った天の川だ。(高橋正子)
[9月16日]
★上流のはるか鞍馬や秋の雲/桑本栄太郎
京都の北、はるか鞍馬山の方を眺めると秋の雲が浮かんでいる。鞍馬寺、鞍馬山などで知られる鞍馬だが、はるか遠い歴史を思いださせるような秋の雲だ。(高橋正子)
[9月15日]
★子らの乗る土管の汽車や秋の風/内山富佐子
秋の風が心地よく吹くようになると、子供たちはいろんなものを見つけて遊ぶようになる。土管を汽車に見立て、土管にまたがって遊んでいる。かわいらしい風景だ。(高橋正子)
★父母を連れ海峡渡る秋高し/福田ひろし
空は高く晴れ渡り、海峡を流れる潮は明るく輝き、父母を連れての旅がよい旅で、親孝行をされた。海峡の素晴らしい景色を読み手も眺めているようだ。(高橋正子)
[9月14日]
★群れ咲きて水引草の赤の濃し/黒谷光子
水引草は、一すじの茎を伸ばし、それに米粒ほどの小さい花を茎に沿ってつける。まばらに茎が伸びていると、花の存在も空気にまぎれてしまうほど。しかし、群れ咲くとその紅色が鮮やかで、水引草の印象も強まる。(高橋正子)
[9月13日]
★数珠玉の川風に添い水に沿う/桑本栄太郎
川沿いの数珠玉を吹く風に馴染み、そこを過ぎれば、川の水の流れに沿って歩く。風に沿い、水に沿う逍遥は、数珠玉があってどこかさびしくなる。(高橋正子)
[9月12日]
★草の実や羽音きびしき群雀/小口泰與
草の実を食べる雀たちは、人が近づいたり物音がすると、一斉に飛び立つ。この時の、音が厳しく空気を切る。草の実を糧に日々命をつなぐ雀たちの厳しさを見た。(高橋正子)
★群れ飛んで夕日眩しき塩蜻蛉/小西 宏
この句では赤とんぼではなく、塩から蜻蛉が詠まれて、少し珍しい光景だ。夕日を翅に反射させる蜻蛉が眩しいのだが、夕日を取り立てて「夕日眩しき」としたのがよい。蜻蛉と夕日が一体化した。(高橋正子)
[9月11日]
★間引菜やあかあかと朝日出づ/小口泰與
朝の露を踏んで菜を間引くと、朝日があかあかと昇る。素晴らしい秋晴れの朝だ。間引菜の稚いみずみずしさと朝日は生まれ出た喜び。(高橋正子)
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
9月11日の今日の秀句に「間引菜」の句をお取り上げいただき、その上、正子先生には素晴らしい句評を賜わり厚く御礼申し上げます。これからもよろしくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋信之先生、正子先生
9月12日の秀句に「草の実」の句をお選びいただき、その上、正子先生には素晴らしい句評をたまわり厚く御礼申し上げます。有難う御座いました。
お礼
高橋正子先生
「群れ飛んで夕日眩しき塩蜻蛉」を「今日の秀句」にお加えくださり、たいへんありがとうございました。今回はたまたま塩辛蜻蛉の群れに出会ったのですが、先生のお言葉通り、陽に輝く翅が眩しく(銀色の翅だから特にそう感じたのかどうか)この句となりました。
御礼
高橋信之先生、正子先生
9月13日の今日の秀句に「数珠玉の川風に添い水に沿う」
をお選び頂き、素晴らしいご句評もお添え頂き、大変
有難うございます。
水の流れる音を聞き、川風に揺れる数珠玉を見ながら
散策しておりますと、移りゆく季節の趣きを覚えます。
デイリイ句会
一歩ごと屈んで木の実拾いけり
先ず一輪朝陽を受けて彼岸花
コスモスの蕾も花も揺れ優し
Unknown
信之先生、正子先生
「水引草」の句を14日の秀句にお選びいただきまして、ありがとうございました。正子先生にはコメントを頂戴し、たいへん嬉しく読ませていただきました。
お礼
信之先生、正子先生
「子らの乗る・・・」の句を今日の秀句にお選び頂き有難うございます。私の句を豊かに読み取って下さりありがとうございました。嬉しく読ませていただきました
御礼
高橋信之先生、正子先生
9月16日の今日の秀句に「上流のはるか鞍馬や秋の雲」
の句をお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変
有難うございます。京都市内へ出掛けますといつも足を
伸ばし、四条大橋から祇園界隈を散策します。この日も
秋晴れの好天に恵まれ、四条大橋から鴨川の上流の
はるか鞍馬山を眺めますと秋の雲がぽっかり浮かび
くっきりと見えました。
お礼
信之先生、正子先生、
「太鼓台金糸銀糸を秋の陽に」を9月17日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
新居浜太鼓祭りは10月に行われます。先日、祭り期間ではないにもかかわらず、練り歩く一台の太鼓台に出会うことができました。
新調のお披露目だったのかもしれない、と思っています。あの大きさと装飾の見事さは素晴らしいですね。
お礼
信之先生、正子先生
「校庭に子らの飼う馬秋の風」を18日の秀句にお選び頂き有難うございました。
秋の澄んだ風に吹かれて気持ちよさそうに校庭の隅の草を喰んでいる仔馬を見て、可愛らしくまた子供たちも同じ気持ちで可愛がっているのだろうなあと思い句にしました。
お礼
信之先生、正子先生、17日の秀句に「名月」の句をお選び頂き、貴重な評を有難うございます。大切な友を訪ねての旅でしたが、お天気にも恵まれ格別の名月でした。
お礼
信之先生、正子先生、
「カンナ咲く角を曲がれば海に出る」を9月18日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
新居浜の友人宅の近くの風景です。
空が真っ青で、カンナの咲く先に海があり、そこからしまなみ海道が見渡せました。
御礼
高橋信之先生、正子先生
9/19の投句[マンション群抜けて秋野を送迎車」の句
を今日の秀句にお取り下され、正子先生にはご懇篤な嬉しい句評もた廻りまして誠に有難うございました。これからもご指導宜しくお願い申し上げます。
御礼
高橋信之先生、正子先生
9/19の投句[マンション群抜けて秋野を送迎車」の句
を今日の秀句にお取り下され、正子先生にはご懇篤な嬉しい句評もた廻りまして誠に有難うございました。これかからもご指導宜しくお願い申し上げます。
御礼
高橋信之先生、正子先生
9/19の[マンション群抜けて秋野を送迎車」を今日の秀句にお取り下され、正子先生にはご懇篤な嬉しい句評も賜りまして誠に有難うございました。これかからもご指導宜しくお願い申し上げます。
お礼
信之先生
正子先生
9/20 「秋袷化粧落ちした女あり」を 今日の秀句 にお選びいただき有難うございました。とても嬉しいです。近頃袷だと汗をかくことありますから。