9月20日(1句)
★月白や西空紺の暮れ残る/桑本栄太郎
「月白」は月が昇る前に空が月の光で白んでいる様子。西に日は沈んだものの空に紺色が残っている。暮れ残る紺と対比され、月白がいっそう美しくなっている。(髙橋正子)
9月19日(3句)
★草の影くっきり見せて今日の月/廣田洋一
月の明るさに比例して、草の影がくっきりとしている、静かな月夜が目に浮かぶ。(髙橋正子)
★月白ややがて樹間の光り初む/多田有花
月が出る前に月の出るあたりが明るく白んでいる空は美しい。いよいよ月がでる瞬間に樹間が光りはじめる。切り絵のような絵画的な美しさがいい。(髙橋正子)
★トンネルのさきは秩父の秋の雲/弓削和人
暗いトンネルから抜けた瞬間に広がる「秩父の空と浮かぶ秋の雲」。ただ明るい秋の空だけでなく、「秩父」の固有名詞から陰影のある「秩父の空と秋の雲」が想起される。(髙橋正子)
9月18日(1句)
★夕焼けの残れる中へ今日の月/多田有花
この句の魅力は、夕焼けと月という異なる時間帯の自然現象が同時に存在する瞬間を捉えているところです。夕焼けの赤い光と、月の静かな光が共存することで、時間の移ろいと自然の美しさが強調されています。
また、「残れる」という表現が、夕焼けが完全には消えずにまだ少し残っている様子を示しており、その中に新たに月が現れることで、過去と現在が交錯する瞬間を感じさせます。
(これは生成AIによるコメントです。髙橋正子の責任で引用しました。)
夕空に残る夕焼けのほのかな赤い色と、そこに昇る色の付き始めた今日の月。しずかな色のうつろいが、時そのもののうつろいを感じさせる句。(髙橋正子)
9月17日(1句)
★鮮やかに月夜横切る飛行機雲/多田有花
伝統的にイメージされる月夜と、飛行機雲の取り合わせが新鮮。月に人類が足跡を残してから月のイメージも変わったが、それでも月はロマンティックな要素を持っている。飛行機で月の前を横切っているような感覚になる。(髙橋正子)
9月16日(1句)
★吾とわが身を寿ぎぬ敬老日/桑本栄太郎
「吾」と「わが身」は共に自分のことだが、自分の捉え方に意識の違いがある。「吾」を成り立たせているものと、生身の身体の「わが身」。吾とわが身をよく知りのは結局自分自身。一人静かにこれまで生きてきた自分を寿ぐ敬老の日。(髙橋正子)
9月15日(1句)
★秋晴れに遠き田いっそう輝きぬ/多田有花
秋晴れで遠くまで見える。遠い田んぼには稲が熟れているのだろう。日差しが存分に当たって、いっそう輝いている。「いっそう輝く田」がくっきりと印象に残る。(髙橋正子)
9月14日(2句)
★せせらぎに従うように木の実落つ/弓削和人
木の実の落ち方をしずかに観察してできた句。せせらぎの流れに従って、木の実が流れのように落ちている。どこかでつながる自然のおくゆかさとやわらかな美しさがある。(髙橋正子)
★来て見れば既に刈田となりにけり/桑本栄太郎
熟田の景色がまだ見られると思って来てみたところ、すでに稔った稲は刈り取られ、全く違った刈田の景色となっていた。一日にして変わった変化は、人間の営みと自然の交差する点として感じられる。(髙橋正子)
9月13日(1句)
★大富士を向こうに仰ぐ花野かな/廣田洋一
句意は「向こうに富士山を仰ぎ見る花野はすばらしい」、ということ。読む人それぞれが、富士山の姿、花野の姿を浮かべる仕掛けになって、景色が楽しめる。(髙橋正子)
9月12日(2句)
★秋星に包まれ今日をしまいける/小口泰與
「包まれる」というほど星がたくさん見える夜も更けたころ、今日の仕事をしまう充実感。いい一日の終わりに夜空のおびただしい星がねぎらってくれる。(髙橋正子)
★あぜ道を行けば四方へ飛蝗飛ぶ/桑本栄太郎
あぜ道を行くと、あぜの草のなかから、飛蝗が驚いたように四方へ飛び出す。飛び出す飛蝗に少年のころのような愉快さを感じている作者ではないか。(髙橋正子)
9月11日(1句)
★夕月の光増すなか燕飛ぶ/多田有花
「夕月の光増す」は美しい景色。夕方から夜に移っていくと月の光も増してくる。時が移りゆく姿が夕月の光によって目に見えて来る。その中をしなやかに燕が飛ぶ姿が印象に残る。(髙橋正子)
コメント
お礼
正子先生
「夕月の光増すなか燕飛ぶ」を
9月11日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
アパートの壁にコシアカツバメが巣を作っています。
近所にもいくつか巣があり、このところ朝に夕に十数羽が
集団で飛び回る姿が見られます。
先日はすでに薄暗くなり始めているのにまだ飛び回っていました。
御礼
高橋正子先生
9月12日の投句(秋星)の句を今日の秀句にお取り上げ頂きそのうえ正子先生には素晴らしい句評をいただき有難う御座います。
今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋正子先生
9月12日の今日の秀句に「あぜ道を行けば四方へ飛蝗飛ぶ」の句をお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
先日、朝余り残暑の厳しくない時久しぶりに田園を散策しました。草の生えたあぜ道を歩きましたが、足下より飛蝗が彼方此方に飛び出しました。
御礼
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
9月13日の「大富士を向こうに仰ぐ花野かな」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋正子先生
9月14日の今日の秀句に「来て見れば既に刈田となりにけり」の句をお選び頂き、嬉しい語句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
近在の田園散策を過日より数日経て、散策に出掛けました。前回稲穂波の田圃も殆ど刈田の光景になって居りました。
お礼
正子先生
「秋晴れに遠き田いっそう輝きぬ」を
9月15日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
住んでいる場所の周辺は20世紀には田畑の中にぽつぽつ建物がある状態でした。
21世紀に入ってからどんどん建物が増え、今ではその合間にちらほらと田畑が
見える程度になっています。その田もそろそろ稲刈りです。
御礼
高橋正子先生
9月16日の今日の秀句に「吾とわが身を寿ぎぬ敬老日」の句をお選び頂き、嬉しい語句評も頂戴しまして大変有難う御座います!!。
昨日16日は「敬老の日」であり、昭和20年8月27日生まれの小生にとっても記念すべき日でもあります。
改めて自らを祝いました。
自由な投句箱
正子先生
「鮮やかに月夜横切る飛行機雲」を
9月17日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
住まいの周辺は名月に向かう新月以降ずっと晴天で
連日空を眺めては月の姿の変化を楽しんでいました。
待宵ともなると月の輝きは増し、横切る飛行機雲もきれいに見えます。
昨夜の名月も素晴らしく、今日は満月ですからまた楽しみです。
お礼
正子先生
「夕焼けの残れる中へ今日の月」を
9月18日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
17日の十五夜に至るまで姫路周辺は好天続きでした。
今年の名月は月齢14.0で満月ではなく、やや昇ってくるのが早かったようです。
振り返るとまだ夕焼けが残っていました。
生成AIはこのようなこともできるのですね。驚きました。
大変興味深く読ませていただきました。
早速これを俳句鑑賞に導入しておられるところに信之先生の面影を感じました。
お礼
正子先生
「月代ややがて樹間の光り初む」を
9月19日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
今年の十六夜は満月でした。
その月の出を待っていると、山際の空がしだいに白み、
稜線に立つ木々の姿が、その向こうに昇りつつある満月の光を受けて際立ってきます。
満月が昇る迫力と厳かさを感じました。
御礼
高橋正子先生
いつも懇切にご指導いただき有難うございます。
9月19日の「草の影くっきり見せて今日の月」を秀句にお選び頂き、その上正子先生には素敵な句評を賜り、真に有難うございます。
今後とも宜しくご指導の程お願い申し上げます。
御礼
高橋正子先生
9月20日今日の秀句に「月白や西空紺の暮れ残る」の句を、季語の訂正の上お選び頂き、嬉しい語句評も頂戴しあまして大変感謝であります!!。
日毎に日没も早くなり、9月17日の名月よりくだり月に向い毎日眺めて居ります。日没後東の空にお月様が昇って来れば、反対側の西空には紺色の暮れ残る空があり、一番美しい時間であります。