今日の秀句/7月11日-17日


[7月17日]
★田の上を今反転の夏つばめ/小口泰與
夏つばめが反転する田は、青田。その青田の上を風を切って飛ぶつばめが力強く、颯爽としている。蒸し暑さも忘れそうだ。(高橋正子)

[7月16日]
★夏の雲輝き流る台風前/多田有花
夏の雲が輝き流れている。そのことは通常のことなのだが、「輝き流る」を意識したのは、輝きがいつもに増していたからだろう。台風前の雲の輝きに、台風前の平常と緊張の入り混じった感情が読める。(高橋正子)

[7月15日]
★目が合えば大きく跳ねる青田の蛙/上島祥子
青田のそばを通っていると、不意に蛙が現れて、目があった。蛙はうれしくなったんだろうか、大きくぴょんと跳ねた。ちょっとユーモラスな句。(高橋正子)

[7月14日]
★夕暮れて西瓜をもらいに実家へと/高橋秀之
実家に西瓜をもらいにゆくというのがいい。大きな西瓜はみんなで分け合って食べるところがいい。夕涼みに家族で西瓜を食べるあかるい家庭が想像できる。(高橋正子)

[7月13日]
★涼風の通れるところへ机置く/多田有花
朝のうちなどは、涼風がよく通り抜ける。そこへ机を置いて仕事をすれば仕事が気持ちよくできることは必至。クーラーに頼る時代に、自然の涼風の恵みはありがたい。(高橋正子)

★匂うほど丘の青葉の湧きあがる/川名ますみ
丘に湧き上がる青葉。その緑の勢いが「匂うほど」となった。青葉の輝く緑に英気をもらう。(高橋正子)

★七色の暖簾の文字はかき氷/高橋秀之
夏は、冷たい食べ物や飲み物は、たのしみなもの。かき氷はその代表。かき氷屋の暖簾も楽しげに七色。かき氷を食べる人は誰も笑顔になる。(高橋正子)

[7月12日]
★老鶯や水の香強き紀の川に/古田敬二
紀ノ川も上流の方か。水辺近くに寄ると、水の匂いが立ち上がる。老鶯の美しい声がのびやかに水を渡る。心洗われるところ。(高橋正子)

★氷菓舐めみんな裸の帰り道/谷口博望
少年期の思い出だろうか。クーラーもない時代、氷菓は子供たちには涼をもとめての大いなる楽しみ。日焼けした裸でアイスキャンデーをなめながら帰ったのも楽しい思い出。(高橋正子)

★大山の樹海涼しく乗馬せり/桑本栄太郎
大山のブナの樹海は西日本でも大きな樹海。樹海を馬で行く涼しさを楽しむ。優雅な気分だろうか。(高橋正子)

[7月11日]
★すずやかに笹飾りしてデイの朝/河野啓一
デイケアに通う日は、仲間の人たちと触れ合う楽しみな日であろう。ケアセンターに到着一番、笹飾りが目に入った。朝のことだけに、笹飾りがさやさやと揺れ、目にすずやかなな印象である。(高橋正子)


コメント

  1. 河野啓一
    2015年7月12日 18:18

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    ★すずやかに笹飾りしてデイの朝 を7月11日の秀句におとり下され、その上正子先生の嬉しいご句評も頂戴しまして感謝感激です。ありがとうございました。今後ともご指導宜しくお願い申し上げます。

  2. 桑本栄太郎
    2015年7月13日 19:03

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    7月12日の今日の秀句に「大山の樹海涼しく乗馬せり」の
    句をお選び頂き、嬉しいご句評も賜り大変有難うございます。
    先日、故郷鳥取へ所要にて帰省しました。家内の弟が大山山麓にて会員制乗馬クラブを行っており、次男が乗り
    最初怖がっていた孫もパパの鞍の前に乗せて貰い、神妙な顔で乗りました。
    大山山麓の樹海は深く、とても涼やかでした。

  3. 高橋秀之
    2015年7月14日 22:03

    お礼
    高橋信之先生、高橋正子先生
    13日の秀句に「七色の暖簾の文字はかき氷」の句をお選びいただきありがとうございました。夏本番の季節を感じるようになりました。

  4. 川名ますみ
    2015年7月15日 0:32

    お礼
    信之先生、正子先生、いつもご懇切な指導をありがとうございます。
    高層街に暮らし、ともすれば、自然と遠く在るように錯覚しがちですけれど、近所には古くからの丘があり、今頃の青葉の勢いに、殊更、その力を得ます。正子先生のコメントを拝読し、英気を養うのに充分な場所だと有難く感じました。

  5. 谷口博望
    2015年7月15日 16:58

    お礼
    信之先生 正子先生
    お礼が遅れてしまいましたが、今日の秀句に選んでいただいてありがとうございました。
    ◇氷菓舐めみんな裸の帰り道
    小学校3年生くらいの思い出で、川へ水泳に行って帰り道の情景です。海水パンツ一丁で真っ黒に日焼けしていました。色々と昔の思い出が甦る今日この頃です。

  6. 上島祥子
    2015年7月16日 11:39

    お礼
    信之先生、正子先生
    目が合えば大きく跳ねる青田の蛙の句を添削の上15日の秀句にお選びくださり有難うございました。また丁寧なコメント有難うございます。

  7. 小口泰與
    2015年7月18日 10:51

    御礼
    高橋信之先生、正子先生
    7月17日の秀句に「夏つばめ」の句をお選びいただき、その上、正子先生には素晴らしい句評をたまわり厚く御礼申し上げます。
    今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。

  8. 多田有花
    2015年7月18日 16:14

    お礼
    信之先生、正子先生、
    「夏の雲輝き流る台風前」を7月16日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
    昨日、台風が最も荒れ狂っていた間は東京にいました。
    戻ってみたら新幹線以外の在来線はすべて運休していました。
    記録的な豪雨だったようです。
    お見舞いのお電話をいただきありがとうございました。