[1月14日]
★青天に銀杏裸木枝払われ/川名ますみ
真っ青な空にそそり立つ銀杏の裸木。この季節に枝が打ち払われ、すっきりと樹形が整えられる。芽吹く季節が楽しみだ。(高橋正子)
★枯芝に青きを探し小道ゆく/河野啓一
小道を辿り、枯芝の根本を覗きこんだりすると、柔らかな緑の芝が目につき、驚く。表面の枯れ色からは、想像もできないけれど、着実に春への準備がされている。小道を辿る楽しさとなる。(高橋正子)
<鴨川・四条大橋>
★曇り来る遙か鞍馬や雪もよい/桑本栄太郎
四条大橋からの眺め。空が掻き曇る思えば遥か鞍馬は雪催いのようだ。鞍馬へと思いが馳せ、動きのある句となった。(高橋正子)
[1月13日]
★夕映えの湖へ着水大白鳥/小口泰與
夕映えの湖に大白鳥が羽を広げて、シルエットのように着水する。着水の水しぶきがきらめく。大白鳥の存在感に固唾を呑むような素晴らしい光景だ。(高橋正子)
★冬日さす車内まぶしき家路かな/桑本栄太郎
晴れた日には、日脚が伸びた印象がもてるこの頃。所用で出かけた車内にも冬日がまぶしく差し込んで、家路もうららかな気持ちになる。(高橋正子)
★寒晴れに山城の山連なりぬ/多田有花
「山城の山」に連なる山々が見渡せ、寒晴れの空のもとに、気持ちが壮大になる。(高橋正子)
[1月12日]
★水流し七草の葉を選りわける/祝恵子
七草のパックが売られているが、ひとまとめになった七草を、名を確かめながら水を流して洗い選り分ける。七草が揃っているのも新春らしくてうれしいものだ。「水を流して」に七草に清冽さが加わった。(高橋正子)
★餅の花菓子舗の梁に幹這わし/佃 康水
正月の餅花を個人の家で飾ることは少なくなったが、菓子舗などでは華やかに飾っていることがある。この菓子舗は老舗なのだろう。梁も立派で、その梁に添わせて幹の堂々とした餅花が大ぶりで新春の明るさを振りまいている。(高橋正子)
[1月11日]
★雁木下町内のどんど焼き告ぐ/内山富佐子
雁木のある雪国にも、正月のお飾りなどを集めて焼く「どんど焼き」の日が来た。雁木を通って町内に「どんど焼き」を知せて歩く雪国の暮らしがしのべる。(高橋正子)
★雪道と朝焼けの色混じり合う/迫田和代
雪道を朝日が染めて、雪に朝焼けのバラ色が見える。雪道に絵画的な明るい美しさを見た。(高橋正子)
追悼
★友召され岩木の山に雪降り積む/小川和子
岩木山は津軽富士と呼ばれているが、富士山よりも優しい山容。岩木山を友と眺めたことであろうが、その友が天に召されて、ただ今は、静かに雪が降り積もる。悲しみがあまりにも静かである。(高橋正子)
[1月10日]
★戎講青笹どっと奉じられ/河野啓一
この句は100万人の人出で賑わうという今宮神社の十日戎の様子だろう。福笹の青笹に千両万両の小判を付けて捧げる。青笹は目に爽やかで、芳しく縁起がよい。それが「どっと」というほどの量で思わず笑みがこぼれる。(高橋正子)
[1月9日]
★五日には天神宮へペダルこぐ/祝 恵子
松の内も過ぎ、五日となった今日は、日常に戻りはしたもののどこか正月気分がまだ残っている。馴染みの天満宮まで自転車を漕いで初詣がてらに出かけたのであろうか。うきうきした気分楽しい。(高橋正子)
[1月8日]
★群雀四方に居りし枯野かな/小口泰與
蕭条とした枯野にも、四方に雀の群れが居て草の穂からこぼれた種などを啄んでいる。枯野と言えど生き生きと暮らす雀を育んでいる。(高橋正子)
★餅花の明るき朝やデイの窓/河野啓一
正月明けデイサービスに通うと、窓には餅花が明るく、柔らかな色合いで垂れ下がっている。目にすれば心和む餅花だ。(高橋正子)
★松過ぎや漆器を布に包み入れ/佃 康水
松も過ぎ、正月に使った雑煮の椀や、お節の重箱などをしまう仕事がある。漆器を傷めないように、布に包んで箱にしまう。正月を無事終えた安堵に加え、「松」「布」の言葉から、漆器の柔らかな艶がことさら印象に残る。(高橋正子)
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
1月8日の投句にご指導をたまわり、その上、「枯野」の句を8日の秀句にお取り上げいただき、正子先生には素晴らしい句評を賜わり厚く感謝申し上げます。
有難う御座いました。
御礼
高橋信之先生、正子先生
1/8の「餅花」の句を秀句におとり下され、正子先生の嬉しいご句評をお添え下さいまして、誠に有難うございました。厚く御礼申し上げます。明日もう1箇所の施設に参りますので様子を愉しみにしております。
御礼
高橋信之先生 高橋正子先生
1/8日の「松過ぎ」の句を今日の秀句にお選び頂き、正子先生には素晴らしい句評を賜り誠に有難うございます。今年は子供達は年内の早い内に帰省し、1日には事情が有って沖縄へ発ちました。それ故、年内にお正月の料理や遊びを済ませました。その後、風邪をひき、お重箱や椀など部屋に陰干しはしたものの仕舞うのが遅くなり丁度松納めに合わせて柔らかい布で巻き箱に納めることになりました。こう言った事も節目の行事として気持ちも改まり、また俳句に残せる幸せを感じています。
御礼
高橋信之先生 高橋正子先生
1/10の「戎講」の句を今日の秀句にお選び頂き、正子先生には今宮戎の賑わいの様子まで素晴らしいご懇切な句評を賜りまして誠に有難うございました。今後共ご指導のほどよろしくお願い申し上げます。
お礼
信之先生
正子先生
1/11の 雪道と朝焼けの句を 今日の秀句 にお選びいただきとても嬉しいです。そのうえ正子先生の素適なコメントやる気充分です。有難うございました。今後ともよろしくお願いいたします。
お礼
正子先生、9日の「五日」を秀句にお選び下さり嬉しい句評をありがとうございました。
お礼
信之先生、正子先生、11日の「雪降り積む」の句に、選.
評を頂きましてありがとうございました。二十代の頃からの得がたい畏友でした。
御礼
高橋信之先生 高橋正子先生
1/12日の今日の秀句に「餅の花」の句をお選び頂き、正子先生には素敵な句評を賜り誠に有難うございます。先生の仰る通り老舗の和菓子屋で、柳の木を切って梁に枝を這わせたり、大小天井一杯に餅花が枝垂れ華やいでいます。店員さんに聞いて見ると社長が先頭に立ち従業員皆で餅花を作ったのだそうです。
御礼
高橋信之先生、正子先生
1月13日の秀句に「大白鳥」の句をお取り上げいただき、正子先生には素晴らしい句評を賜わり厚く感謝申し上げます。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
信之先生、正子先生、12日の秀句に「七草」をお取りいただき素敵な句評をありがとうございました。
お礼
信之先生、正子先生、
「寒晴れに山城の山連なりぬ」を13日の秀句にお選びいただき、ありがとうございます。
兵庫県の山はなだらかなものが多く、山城跡があちこちにあります。
ご句評いただいたとおり、それらの城跡から城跡の山々を見渡すと、今の景色と歴史が交錯してさらに壮大な思いがします。
御礼
高橋信之先生、正子先生
1月13日の今日の秀句に「冬日さす車内まぶしき家路かな」の句をお選び頂き、嬉しいご句評も頂戴しまして大変有難うございます。変化の激しい今の時季の気候ながら、少しづつ日脚も伸び、風を遮る電車の車内は冬の日差しも眩しい程です。
御礼
高橋信之先生、正子先生
1/14の投句[枯れ芝」を今日の秀句におとり下さり、正子先生の有難いご句評も賜りまして厚くお礼申し上げます。
団地の中を通る送迎車から見たイメージにより作句致しました。枯れ切った芝の中にも緑がかったものが見られ、春もそのうちに、と感じた次第です。
御礼
高橋信之先生、正子先生
1月14日の秀句に「曇り来る遙か鞍馬や雪もよい」の句をお選び頂き、正子先生には嬉しいご句評も賜り大変有難うございます。京都四条大橋からは、東に比叡山北側には鞍馬山が望まれ、先日の雪がうっすらとまだ残り素晴らしい眺めです。気候の変化の激しい中、先日には鞍馬山の上に雪雲が広がりつつありました。