7月16日
★ひんがしの日を真っ向の青田かな/小口泰與
朝日が青田に昇ってくる。青田に昇る朝日はまばゆく、意外にも強烈な光である。青田の青、朝日の強さは、夏の朝の潔さ。(高橋正子)
7月17日
周防灘秋穂(あいお)湾
★あきつ飛ぶ蒼き海辺や秋穂湾/桑本栄太郎
海辺を飛ぶあきつは、海風を受けて、透明でありながらも力強い飛び方をする。「蒼き海辺」があきつを元気にさせている。(高橋正子)
★マンゴーの丸みの残る古新聞/下地鉄
色あでやかなマンゴーを包んでいた古新聞。マンゴーの形のままの丸みを残している。画になる面白みがある。(高橋正子)
7月18日
★月涼し畳に光投げかけて/多田有花
畳の部屋に月光が射しこむ。月の涼しさが心地よい。畳の間が穏やかである。(高橋正子)
7月19日
★碧海の一線今日も乱れなく/下地鉄
沖に引かれた一本の水平線。碧海はやはり沖縄の夏の海でなければいけないであろう。今日も碧海は穏やかにそして広く緊張をもって横たわる。(高橋正子)
★庭先の風の一樹や白槿/藤田裕子(正子添削)
庭先の白槿が咲いた。その一樹を風がよく吹いている。白い槿の花も涼しそうである。「風の一樹」に涼しさが感じられる。(高橋正子)
7月20日
★採りたてを水に浮かべて夏野菜/祝恵子
夏野菜は、茄子、トマト、胡瓜など色も形も楽しい。水に浮かべて、冷やしたり、洗ったり。生き生きとして、楽しいものに触れることはよいものだ。(高橋正子)
7月21日
★夏木立揺れれば青空広々と/高橋秀之
夏木立が風で揺れる。涼しい風は空へ抜けるのか。見上げる青空は広々として爽快だ。(高橋正子)
★さるすべり瓦の上に青空に/桑本栄太郎
高々と花をつける百日紅は、こんな景色によく咲いている。屋根瓦の色にも、青空にも似合う花である。(高橋正子)
7月22日
★雷に打たれし如く入院す/河野啓一
啓一さんが入院された。それも雷に打たれたように、瞬時の出来ごとに、全く不意をつかれてのこと。そんな気持ちが「雷に打たれし如く」に出ている。(高橋正子)
★水遣りの視線へ大き夏の月/佃 康水
一日の暑さもようやく収まりかけたころ、植物に水遣りをする。水を遣りながら、見上げる視線の先に、大きな夏の月が懸っている。大きな夏の月が涼しい。(高橋正子)
コメント
御礼
高橋信之先生、正子先生
「青田」の句を7/16の秀句にお取り上げ頂き、その上、正子先生には嬉しい句評を賜わり厚く御礼申し上げます。有難う御座いました。今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。
お礼
高橋信之先生、正子先生
「あきつ飛ぶ蒼き海辺や秋穂湾」の句を7月17日の今日の秀句にお選び頂き、素晴らしいコメントも添えて頂き、大変有難うございます。初孫の「お食い初め」で山口を訪れ、周防灘秋穂湾の海辺の料理屋で素晴らしい景色を眺めなら、食事を摂りました。
お礼
信之先生、正子先生、
「月涼し畳に光投げかけて」を7月18日の秀句にお選びいただきありがとうございます。
電灯を消して窓を開けると、まさに月涼しの感覚を覚えました。
お礼
信之先生、正子先生、
「白槿」の句を添削していただき、7月19日の秀句にお選びいただきまして有難うございます。温かい句評も賜り、お礼申し上げます。「庭先を」を「庭先の」に添削していただきまして、やわらかく優しい雰囲気になってまいりました。有難うございました。
御礼
高橋信之先生、正子先生
「さるすべり瓦の上に青空に」の句を7月21日の今日の秀句にお選び頂き、素晴らしいコメントもお添え頂き、大変有難うございます。この句は民家の黒瓦の上に、元気良く咲くさるすべりでした。
御礼
高橋信之先生 正子先生
「水遣りの視線へ大き夏の月」の句を7/22の秀句にお選び頂き、素晴らしいお言葉を賜り誠に有難うございます。正子先生の仰る通り、日が落ちて水遣りをしていると満月に近い大きな月が視線に入り、夏の月の涼しさをおぼえました。
お礼
信之先生、正子先生、20日の秀句に夏野菜をお選びいただき温かい句評をいただきましてありがとうございました。