花冠(1月号)No.368 雑詠投句箱


花冠368号は2023年1月10日発行の予定です。つきましては、同人各位の俳句をご投句ください。投句は下記の要領でよろしくお願いいたします。

投句締切:2022年11月20日(日)
投句数 :15句(2022年7月から11月までの句)
場所  :このご案内の<コメント欄>

 2022年10月23日
 花冠代表 髙橋正子

※投句を済まされた方:
①多田有花 ②吉田晃 ③小口泰與 ④桑本栄太郎  ⑤廣田洋一 
⑥弓削和人 ⑦古田敬二 ⑧柳原美知子 ⑨川名ますみ ⑩友田修
⑪髙橋秀之 ⑫西村友宏 ⑬髙橋句美子  ⑭祝恵子 ⑮藤田洋子


コメント

  1. 多田有花
    2022年10月25日 12:10

    花冠368号投句
    開け放つ窓に幾度もほととぎす
    夏の風切りしばかりの前髪に
    蔵王堂へさみだれ傘を借りてゆく

    ささゆりやただかりそめの宿に咲く
    巫女歩む梅雨ある国の装束で
    軒先に巣立ち燕の群れ飛びぬ

    ラピスラズリつけて涼しき鎖骨かな
    原爆忌昼の窓辺に虫の声
    立秋や今日の献立黒板に

    近況を語り合いたる盆の客
    夕月のひかり増しゆく厨事
    稲の香や夜の家並み途切れれば

    天高し弓担ぎゆく女子高生
    秋の海日差しを載せて静かなり
    秋深し雌牛が生まれたとの報せ

  2. 吉田晃
    2022年10月31日 10:42

    花冠368号投句
    風群れて青田を翔けてゆく軽さ
    草の実の簡素な色が野にあふれ
    小鳥来て金柑黄に輝ける
    早苗田の水に畦行く人の影
    峡の田を守る案山子の首手拭い
    農が行く後ろ手にして刈田道
    カーテンの白透きとおる二月来る
    夏灯グラスに酒の清み芳る
    皿に置く菓子に新茶の湯気を添え
    夏蝶の木影より出て花鉢へ
    向日葵のどこに咲いても明るい黄
    樹が傾ぐ黄砂をつれて来る風に
    花茣蓙へ汗の我が子が眠りける
    水鉄砲母子が遊ぶ長湯かな
    梅雨寒の寺院へ濡れる石畳

  3. 小口泰與
    2022年10月31日 13:10

    花冠368号投句
    花冠俳句15句
    1初蝶や和紙のハガキの桜色
    2上州は風の国原揚ひばり
    3春の鳥句会仲間と居るごとし
    4草の芽や色鮮やかなランドセル
    5赤城より朝日いただく青田かな
    6朝焼けや彼方の山は雲育て
    7単線の汽笛聞こゆる端居かな
    8野を分けし利根迸る夕立かな
    9ままごとのお椀かろしや赤のまま
    10芭蕉葉のたがいに違う雨の音
    11こぼれ萩朝日つれなく差しにけり
    12高原の雲脚迅しななかまど
    13日を乗せて舟の下るや小六月
    14しわしわの土に朝日や寒鴉
    15産土は坂の町なり寒椿

  4. 桑本栄太郎
    2022年11月6日 19:15

    花冠368号1月号投句
    ①新涼のラジオ体操妻の朝
    ②迎え火のなくて夕餉を摂りにけり
    ③手に供花の盆供養なるバスの客
    ④新涼のオールディーズやバーバーに
    ⑤秋雲のつぎつぎ生まる嶺の奥
    ⑥爽籟や下校生吹くリコーダー
    ⑦青空の風に群れ居り赤とんぼ
    ⑧供えらる束の野菊や辻地蔵
    ⑨石垣を被い垂れ居り風の萩
    ⑩露草や溝の流れの心地良く
    ⑪べらんだにたつた二連や柿すだれ
    ⑫朝冷えや日向日蔭の色の濃く
    ⑬散策に柿の色づく柿街道
    ⑭見上げいる青空あおく鵙猛る
    ⑮天空は風のあるらし秋の雲

  5. 桑本栄太郎
    2022年11月9日 11:29

    訂正と差し替えのお願い。
    お早う御座います!!。
    何度も大変恐れいります。訂正と句の差し替えをお願い申し上げます。
    1、誤⑪「べらんだ」にたつた二連や柿すだれ
      ↓
      正⑪ベランダにたつた二連や柿すだれ
    2、差し替え(9月度花冠金賞受賞句)へ差し替えたく存じます。
      ②迎え火のなくて夕餉を摂りにけり
      ↓
      ②ふるさとの最後のひとつ梨をむく

    お忙しいところ大変恐縮ですが、宜しくお手配の程をお願い申し上げます。

  6. 廣田洋一
    2022年11月13日 15:45

    花冠368号投句
    ぎらぎらと立秋の日が昇りけり
    鶴の首水吹き上げて秋澄めり
    星一つ窓を斜めに流れけり
    栗ご飯黄色く光る夕べかな
    土手の道歩む先々虫の声
    鯉の群行きつ戻りつ水澄めり
    台風の前の晴天稲穂刈る
    川沿ひの畦道歩む月見かな
    月祀る友と二人の酒宴かな
    秋灯に一人味はふ郷の酒
    子規庵に糸瓜を探す子規忌かな
    人通り絶えたる道の良夜かな
    神主が先頭に立つ秋祭り
    秋風と共に頂く薄茶かな
    金色の光残して柳散る

  7. 弓削和人
    2022年11月13日 18:00

    花冠368号投句
    ご尊顔はるか秋思の盧舎那仏
    溝そばの根のふしぶしや水澄めり
    星月夜待つこと含む映画館
    立ちこめる雲や鶏頭穂の燃ゆる
    鵙日和尾羽を定めて飛びゆけり
    竹を伐る音の恋しき夕べかな
    よく来たと戴くよべの柿二つ
    目が合うとそらす夜寒の車両かな
    照り返す水黒々と破れ蓮
    屋上の菊人形や山暮れて
    網棚に秋気残れり終着駅
    秋星やイルミネーションの花も加え
    秋深し人の待ちたる時計台
    初冬の皆既月食街あかり
    冬に入る戸口を開ける音澄みて
    以上

  8. 古田敬二
    2022年11月13日 20:59

    花冠1月号(No.368)投句
    1.原爆忌イマージセせよと聴こえけり
    2.炎天の妻の歩速に合わせけり
    3.踏むまいぞ踏むまいぞとや蟻の列
    4.浜木綿亡き義父植えし花
    5.祗園会や思い出すのは街の熱
    6.築後百年夏の花野にかこまれて
    7.鷺草は羽根に水玉乗せて揺れ
    8.高みから突然ひとつ鵙猛る
    9.無人駅コスモス一本我と立つ
    10.鰯雲吐き出している水平線
    11.二階からジャズピアノ鳴る酔芙蓉
    12.赤トンボ群れを離れて竿に来る
    13.久女句碑菊の畑の角曲がり
    14.喜寿五人揃いて秋の夜平和論
    15.見上げれば今年一番の鰯雲

  9. 柳原美知子
    2022年11月16日 11:58

    花冠368号投句
    石鎚に向き後ずさりながら田植
    星空の果てなきしじま蛍の火
    青嶺へと棚田棚田がせり上がり
    ズッキーニやっと雄花が咲き受粉
    皿ケ嶺清水を放つブナの葉陰
    合歓咲いてはるか島なみ青湛え
    稲穂出て夜風が匂う星仄か
    水路の水汲んで苧殻火尽きるまで
    この里の帰燕の飛翔見とどける
    月見団子丸めていれば雨あがり
    潮の香の濃くなり湾に鰯雲
    潮風にぼんぼり揺れて芋煮える
    湯あがりの身の透きゆける十三夜
    茎引けば土よりからから落花生
     親友橘紀子さん追悼
    菊ひらく朝日の中に友おわす

  10. 川名ますみ
    2022年11月19日 19:05

    俳誌『花冠』第368号投句
    水彩の青の刷られしサンドレス
    白ばらに手のひらほどの湿りあり
    また晴れし十三回忌青葉風
    命日の夕べざくざくきゃべつ切る
    空色の切り絵をひらく戻り梅雨
    街へ来ぬ素足にかるきハイヒール
    空蝉のふんばり碧き羽を背負う
    剃刀のあたる襟足夏の雲
    髪切って胡瓜どっさり冷や汁に
    野牡丹の若き葉にさす明るい赤
    爽やかにコンテスタント調弦す
    竜胆のふれれば傾ぐやわらかさ
    撫子の花弁を梳いて風静か
    初時雨しろき天井仰ぎみる
    日向ぼこ猫がそうしていた部屋で

  11. 友田修
    2022年11月19日 19:14

    花冠368号投句
    1. 雨上がり樹々に緑の戻りけり
    2. 蚊帳を吊る柱はすでに傾きぬ
    3. 手折られし草木の跡や蝉時雨
    4. 蝉時雨焼け付くようなアスファルト
    5. 世田谷の蜻蛉横切る日暮れかな
    6. 夕暮れに鴉の叫ぶ残暑かな
    7. 秋立ちて雲一つなき高き空
    8. さわやかに続く秋晴れ気も軽く
    9. もみじ葉を落とす古池月の影
    10. 今朝の秋果てなき空の蒼さかな
    11. 秋桜の揺れる畑よ青い空
    12. むら雲に隠るる秋の月あかし
    13. 湯治場の浴衣に涼し秋の風
    14. 陽だまりを選んで歩く冬散歩
    15. 早暁の乾いた風や冬立ちぬ

  12. 高橋秀之
    2022年11月19日 19:54

    花冠第368号投句
    春月や寝起き眼に目玉焼き
    こいのぼり今年も青き大空へ
    背伸びして灯りを消して夏布団
    夏の富士友と並びの座席から
    友と行く夏の立山空青し
    日傘さし遊覧船で堀巡り
    梨の実の瑞々しさは今年初
    夕食に酒はなくとも冷ややっこ
    旅先で大空みれば中秋の月
    目の前を行ったり来たり秋茜
    秋の風ふと爽やかに頬を撫で
    秋雨の中を静かに出航す
    影法師踏みつつ帰る秋の暮れ
    御堂筋パレード彩る銀杏の木
    夕闇の冬の港に浮標灯る
    よろしくお願いします

  13. 髙橋句美子
    2022年11月21日 10:53

    一月号(No.368)投句
    夕立の雨雲流れ来甥に会う
    梅雨入りの窓辺が陰りひんやりと
    夏の夕新しい道を歩いてみる
    日が沈む七夕祭りのアーケード
    夏氷ガラスにカランと塊を
    桃ゼリー匙の冷たさ一瞬に
    夏草をかき分け進む植物園
    真夏日の大樹風に靡くまま
    禊萩の群生枝の小さい赤
    秋の蜂花を探してきらきらと
    鮭包むホイルの凹凸煌びやか
    きのこ飯いくつも買って雨の夕
    冬晴れの朝の道の工事中
    寄せ鍋へ野菜ざくざくいろいろと
    皆既月食慌ただしくて十一月

  14. 西村友宏
    2022年11月21日 10:54

    1月号(No.368)投句
    遠雷や出発前の旅の宿
    バス停に連なる傘と雨蛙
    花金の仕事あがりの鯵光る
    風鈴の音に佇む駄菓子店
    仕事終えアイス舐めれば沢の音
    あたらしい日傘が光る日曜日
    革靴を磨きつつ待つ流星群
    真っ新な運動靴で夏雲へ
    風鈴と古典に耽るカフェテラス
    鈴虫の音(ね)のする方へ歩く夕
    沸騰する薬缶にかけ寄る秋の夕
    秋空へ街一番のビルが立つ
    風呂そうじ終えて最後の柿をむく
    路地裏の紅葉が揺れる朝の風
    痩せ細る秋刀魚に憂う温暖化

  15. 藤田洋子
    2022年11月30日 10:35

    花冠1月号(№368号)投句
    新涼の産声待ちて空明くる
    空澄みて乾きし産衣抱き入るる
    庭先の日毎に増えし小菊の黄
    小菊咲く母となる娘の里帰り
    初栗の艶々明日はお七夜に
    先ず供え仄かな香り栗おこわ
    在りし日の机上も椅子も冬に入る
    今朝の冬珈琲静かに落としつつ
    冬日差す窓に向け置く夫の椅子
    妹を兄が手を引き七五三
    小春空乳歯二本の赤子笑む
    さくと切る林檎の蜜の透き通る
    夕日中並木果つまで黄葉降る
    落葉掃く戸口日の翳日の匂い
    ひととせを振り返る日々落葉掃く

  16. 祝恵子(転記)
    2022年12月6日 15:22

    1月号(No.368)雑詠投句
    11月月例ネット句会ブログより転記
    ●祝恵子
    生まれたて影を連れてる子のメダカ/
    冷やし食ぶマンゴープリン二人の午後
    吾が影を追い越しトンボの影も飛ぶ
    山からの水の流れや曼殊沙華
    芙蓉咲くお出しの匂う店暖簾
    笛太鼓豊作祈る獅子踊り
    虫の音を楽しむ散歩夕の風
    格子戸より見える芙蓉の大き花
    花盛らる見つけた中の吾亦紅
    本物ですか触れば造花秋桜
    このところ鵙声響く朝となる
    菊一輪地蔵に一礼線路ぎわ
    詰め放題からつき牡蠣を袋詰め
    升で豆量り売りする冬テント
    熱々のもち米臼へ餅こねる