★二〇一〇年の花冠俳句フェスティバルを四
月七日、八日、信之先生創刊の水煙発祥の地、
松山で句友の皆様と時をともにでき、感慨深
いものがありました。八日は虚子忌でありま
したが、句友の柳原美知子さんのご子息悠二
郎さんが虚子を演じるミュージカル「正岡子
規」をみなさんと観劇でき、よき日となりま
した。悠二郎さんは、小学生時代投句をして
くれていて、今もご自身のブログに毎日俳句
を書き込んでおられます。さすが若い虚子を
演じて不足はありません。信之先生と私は、
美知子さんのご尽力もあって、劇場からの招
待という幸運で特等席で観劇できました。
★「多様な俳句への新たな展開を(五)」を
信之先生より書き下ろしていただきました。
今回は、松山でのフェスティバルの前後のハ
ードなスケジュールの中、発熱を押して書い
ていただきました。松山でミュージカル「正
岡子規」を観劇し、それに触れて、俳句の「
総合性」について述べられています。俳句が
「総合的」であることは、これからの俳句へ
の新しい展望や意見と言えるでしょう。この
ことについて、嘗て俳人も学者も触れており
ません。ご味読ください。
★松山は三年半ぶりに訪ねました。四十年以
上暮らした街ですから、どの景色も脳裏に焼
きついています。写真も撮りました。写真を
見ると、しずかで美しい、ヨーロッパの街に
も匹敵する美しさがあります。松山郊外にあ
る坊っちゃん劇場への道は、昔と変わらず、
青麦の穂が色濃く続いておりました。石鎚山
も皿が嶺も、砥部の障子山も変わらぬ景色を
見せておりました。洋子さん、美知子さんは
じめ、松山句会の皆様には大変お世話になり
ました。
★それと、横浜へ帰ってからのおまけのうれ
しさ。「正岡子規」を演じたキャストの皆さ
んから、お礼の寄せ書きが送られてきました。
正岡子規の演劇キャスト全員の写真が添えて
あり、フェスの最後を飾る記念となりました。
信之先生は、若いとき労演の仕事に携わった
経験で、役者さんとの交流も熟知で、観劇の
より総合的な面白みを味わうことができまし
た。
★子規はすでに過去の人となっていますが、
近代文学を「革新した」功績は大きく、革新
された俳句を「花冠はどうするか」がわれわ
れの課題でありましょうが、それは、信之先
生の「多様な俳句への新たな展開を」にそっ
て、迷わず細く長く俳句を作ることに尽きる
と思います。 (正子)
6月号投句/4月15日
花曇
高橋正子
遠山の桜桜のほつほつと
横浜港
港は春の朝のみどりの潮の色
吊橋の斜鋼張り詰め春の朝
白き桜それが八重なる湾岸道
春光に満ち雲海の眼のかぎり
松山湾上空
島はしずかに島でありたり花曇
松山の楠燃え桜混じり咲く
JALシティ松山
花の夜のショパンのピアノの音の粒
「正岡子規」観劇
青麦を来て劇中の子規と虚子
東京の空はさびしき春茜
俳句メモ/4月15日
遠山の桜桜のほつほつと
横浜港
港は春の朝のみどりの潮の色
吊橋の斜鋼張り詰め春の朝
白き桜それが八重なる湾岸道
春光に満ち雲海の眼のかぎり
松山湾上空
島はしずかに島でありたり花曇
松山の楠燃え桜混じり咲く
JALシティ松山
花の夜のショパンのピアノの音の粒
「正岡子規」観劇
青麦を来て劇中の子規と虚子
東京に戻ればさびし春茜
煽られて花のゆるるは大いなる
ようやくの桜蕾が灯の中に
花すもも散るや夜道の片側に
春嵐夜道を戻る髪弄り
境内に水音のして黄水仙
備前の瓶にあふれ桜の満開に
一日を二日を経ても花満開
仮の世の小さき部屋の雪明り
いつ見ても雪割草のつめたかり
寝残りて春の雪降る屋根の下
にらの香のつんとしてくる夕餉の椀
春の蕗すじをすうっと引き水に
4月14日(水)
俳句
芽木若葉たちまち空の蒼に和す 正子
芽吹いたばかりの瑞々しい若葉がやさしい空の蒼に包まれ、心も晴れ晴れと明るい季節に向かって開かれていくのを感じます。リズムもよく口ずさみたくなる句ですね。(柳原美知子)
○今日の俳句
街空に天守浮かべて山若葉/柳原美知子
「山若葉」が目に新鮮。松山は街のほぼ中心にこんもりと城山がある。若葉に浮かぶ天守は松山を象徴し、絵になる。(高橋正子)
○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/
4月13日(火)
俳句
キーを打つその間も蕗の香指にあり 正子
夕食のお菜を作るため、蕗の皮剥きをされたのでしょうか。その後、パソコンのキーを打っていると、まだ、蕗の香りが指先に残り、その香りの中で仕事が順調に進んでいる。仕事も主婦業も立派にこなされている正子先生の主婦としての幸福な姿を思い浮かべました。(井上治代)
○今日の俳句
虎杖の節毎の紅際立てり/井上治代
虎杖の茎にある紅の班、そして節をくっきりとさせる紅。「紅際立てり」に、虎杖のみずみずしさ、野生の力が感じられる。(高橋正子)
○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/
4月12日(月)
俳句
ポピーの茎の曲線鋼の強さもち 正子
可憐なポピーの花の茎は外観はたおやかだけれど、鋼のような強さを秘めて花を支えている。破調の調べに力強い生命力を感じます。 (柳原美知子)
○今日の俳句
すかんぽの穂が揺れ畦に赤く揺れ/桑本栄太郎
すかんぼは、ふるさとの野や畦、幼い頃を思い出させてくれる。すかんぽの穂の茶がかった赤は、まさに野の赤の色である。「揺れ」がいい。(高橋正子)
[自句自解] 子供のころ田舎であの、すっぱいすかんぽを採って食べたり、ままごとの漬物づくりなどして遊んだ懐かしい想い出があります。大人になって野原で見かけては、何時も想い出しています。(桑本栄太郎)
○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/
4月11日(日)
4月11日(日)
俳句
花の塵掃き寄す少女の一心に 正子
さくらの花びらが散って、地上は花びらで一面覆われています。少女は一心にその花びらを掃き寄せています。少女を見つめる優しい眼差しを感じました。又、花の命の美しさ、尊さも感じました。 (藤田裕子)
○今日の俳句
しゃがみてはタンポポのわた吹きし児よ/藤田裕子
タンポポのわたを見つけては、駆け寄って吹いてみることを繰り返す幼子の仕草がかわいい。子どもながら、けっしてタンポポの茎を折り取らないところ。あるがままをそっと野におく心があることは、素晴らしい。(高橋正子)
○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/
4月10日(土)
俳句
柳青むふるさと遠く住みたれば 正子
うっすらと緑をおびた柳が風にそよぐさまは、その今ある美しさとともに、何故か、過ぎた昔を思い起こさせる力をももっているようです。先生方が松山を離れ、横浜に移ってこられたばかりの頃の作品かと記憶しておりますが、追憶と新たな決意とをともに強く感じておられたことでしょう。(小西 宏)
柳青む様子を見て、ふるさとの光景を思い出されたのでしょう。遠く離れたふるさとであればこその感慨があるのだろうと感じます。 (高橋秀之)
淡く青みはじめた柳がしなやかに揺れるさまは、見ていて心地よくふと、ふるさとの懐かしい景がよみがえったのでしょう。「柳青む」にとても郷愁を感じます。 (小川和子)
○今日、午前、花冠5月号をメール便で発送。松山のフェスに集まったかたには、手渡し済み。
○秀之さん、拙句へのコメントありがとうございます。
秀之さんの俳句ブログは、下記アドレスです。
http://blog.goo.ne.jp/suien48/
○和子さん、拙句へのコメントありがとうございます。
和子さんの俳句ブログは、下記アドレスです。
http://blog.goo.ne.jp/suien21/
○今日の俳句
蒲公英の種ふと浮び空の詩/河野啓一
野原の蒲公英の絮が、風が来て、ふっと空に浮かんだ。これから広い空を飛んでゆく、蒲公英の種子の旅がはじまる。その心は、「詩」と言える。蒲公英の種子の飛行は、「空の詩」であり、「空の歌」なのだ。(高橋正子)
○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/
4月9日(金)
俳句
清洲橋
ケルンの橋青く塗られて春の橋 正子
東京深川の清洲橋(きよすばし)は、隅田川にかかる橋で、1928年竣工。当時世界最美の橋と呼ばれたドイツのケルン市にあった大吊り橋をモデルにしているが、その吊り橋は、第二次世界大戦で破壊され、別の橋が再建された。2000年4月29日に花冠(水煙)創刊200号記念大会を東京深川の芭蕉記念館で開催したが、花冠同人とその清洲橋の美しい夜景を見た夜が懐かしい。(高橋信之)
○今日の俳句
一山の湧き水清し蝶の昼/小口泰與
俗世を離れた静かで明るい世界が「蝶の昼」として詠まれた。一山から湧いて流れる水は清く、蝶が飽きることなく舞っている。(高橋正子)
○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/
4月8日(木)/花まつり(釈迦誕生日)
俳句
稚き葉の白く開きて潅仏会 正子
正子先生が句に詠まれると、花まつりの甘茶佛がこんなにも清らかで可愛いことに感動いたしました。私の寺は5月8日ですが、先生の御句を唱えながら飾らせていただきます。待ち遠しい気持ちです。(黒谷光子)
○現代俳句一日一句鑑賞
http://blog.goo.ne.jp/kakan109/